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埋蔵文化財保護の流れ その1

最終更新日:

埋蔵文化財とは・・・

 埋蔵文化財とは、一般には土地に埋もれている文化財をいいます。
  (海底や水底にあるものも土地に埋もれているものと同じような状態にあるため埋蔵文化財として取り扱います。また、古墳や城跡など地上から見ても形がわかり、土地と一体となっているものについては埋蔵文化財として取り扱うことになっています。つまり、普通の文化財はそれそのものを見てその性格や価値が判断できますが、埋蔵文化財はそのままの状態では詳しい性格や価値がわからないため、その価値などを知るためには、土地を掘ったり、水中に潜ったりして調べる必要があるものということができます。)

 埋蔵文化財は、一般には遺跡と呼ばれています。
 埋蔵文化財を調査すると、昔の建物の柱の穴や古墳などのお墓などが見つかります。
 こうした、土地そのものに刻まれたりして動かせない個々のもの(不動産)を遺構といいます。
 これに対して、遺跡から出土する土器や石器など、取り上げて持って帰れるようなもの(動産)を遺物といいます。
 (遺跡とは厳密にいうと、こうした遺構や遺物を含む土地の一定のまとまりをいいます。埋蔵文化財とは、土地に埋もれている文化財全体を指します。)

 遺跡(遺構・遺物)は、大昔から人類が土地に残してきた生活のあとです。
 私たち人類が文字を持たない以前の生活は、こうした遺跡を調査することで様々なことがわかってきます。また、文字史料が残っている時代でも、人類が文字として書き残す内容は種類が限られており、より生活に密着した様子は発掘調査によってしか分からないこともたくさんあります。
 (これは、明治・大正・昭和というつい最近のできごとにも当てはまります。優れたものや歴史的重要なものについては記録が残されますが、その当時のありふれたもの、庶民の生活用具というようなものは、なかなか記録として残されることはありません。また、歴史的に重要なものについて、その設計図等が残っているものも、実際にどう建てられたのか、どういう技法で建てられたのかというようなことは、発掘調査によらないと知ることができないこともたくさんあります。)

 埋蔵文化財は、このように私たち人類の歴史を知る上で重要な資料です。
 ですから、遺跡は他の様々な文化財と同じく、その土地を所有する個々の人の個人的な財産とすべきではなく、国民共有の財産と位置づけられているのです。

 

海底にある遺跡も埋蔵文化財土地に刻まれた痕跡が遺構遺跡から出てきた出土品が遺物
海底にある遺跡も埋蔵文化財土地に刻まれた痕跡が遺構遺跡から出てきた出土品が遺物


 

 

佐賀城埋蔵文化財は国民みんなの財産

佐賀城に関する記録はたくさんあるが、

掘ってみないとわからないこともたくさんある。

埋蔵文化財は国民みんなの財産

 

埋蔵文化財の取扱い

 埋蔵文化財は文化財保護法でその取扱いが決められています。

 国や県・市町および国民は埋蔵文化財を保護する義務を負っています。

 埋蔵文化財の保護とは、できるだけ現状を変えない形で後世に残していくことです。
 発掘調査は、開発等がそのまま行われれば、そこに所在する埋蔵文化財が壊されたり、影響を受けたりする場合のやむを得ない措置として行われるものです。
 (発掘調査を行うと、現状で得られる最低限の情報は得られますが、調査によって掘った部分は永久に失われてしまいます。つまり発掘調査もある意味で遺跡の破壊なのです。)


文化財保護法に基づく主な手続き

 ここでは、開発を行う場合の埋蔵文化財の取扱いの流れを簡単に見ていきましょう。
 (詳細については、開発を行おうとする土地が含まれる市町の教育委員会、又は佐賀県にお問い合わせ下さい。

 

1 開発を計画した。(文化財保護法の対象となる開発とは、事業規模に関係なく、土地を掘削したり、土を盛ったり、土地の上に何らかの建造物・構造物を建てるものなどの開発全般を指します。ただし、通常の農作業等、これまで行ってきた掘削の範囲内で行われる日常的な掘削等は含まれません。)

 

2 開発計画地が含まれる市町の教育委員会に、埋蔵文化財の取扱いについて照会を行う。


 (1) 市町の教育委員会には、「佐賀県遺跡地図」という地図が備え付けてあります。  

 (この地図は、これまでの調査や偶然発見された遺物などにより、そこが遺跡である可能性がある場所として、知られている地区を示したものです(これを周知の埋蔵文化財包蔵地といいます。)。埋蔵文化財は土地に埋もれていますので、実際に遺跡が存在するかどうかは、掘ってみないとわからないことが多いのです。この地図に記載がない地区にも遺跡が存在する可能性がありますし、遺跡地図の範囲に入っていても実際には過去の水害などで遺跡がなくなっているというような可能性もあります。)
 遺跡地図
 

 (2) この地図に示された範囲で開発を行う場合には、市町教育委員会経由で佐賀県に届出又は通知をする必要があります(民間の開発は文化財保護法第93条に基づく届出、公共の開発については同法第94条に基づく通知)。

 

 (3) この地図の範囲に含まれていなくても、遺跡が存在する可能性があります。この場合、事前の届出や通知は必要ありませんが、そのまま工事に着手した場合に、工事中に遺跡が発見されたときは、その現状を変更せずただちに市町経由で佐賀県に届出又は通知をし、その指示に従う必要があります(民間の開発の場合は、文化財保護法第96条に基づく届出、公共の開発の場合は同法第97条に基づく通知)。このようなことになった場合、開発計画の一時中断という場合も生じてくることもあります。そこで、市町の教育委員会では、周知の埋蔵文化財包蔵地以外の地区でも、埋蔵文化財が存在するかどうかの調査を行っておりますので、周知の埋蔵文化財包蔵地内かどうかを問わず、事前に埋蔵文化財の取扱いについて協議を済ませておくことをお勧めします。


 (4) 照会を受けた市町の教育委員会では、現地を歩いたり、関連資料を調査したりして、遺跡が存在するかどうかを調べます。多くの場合は、対象地の一部を掘って、遺跡の存在の有無や遺跡の性格等について調査を行います(これを試掘調査・確認調査といいます)。

発掘調査
対象地区を部分的に掘り、遺跡の有無・性格を調べる

 

 試掘・確認調査の結果について、市町の教育委員会は県に報告し、照会があった開発内容と遺跡の内容とを審査して、照会があった開発を行う場合の埋蔵文化財の取扱いを決め、照会者に回答を行います(埋蔵文化財の取扱いは、開発の内容によって異なります。計画の変更があった場合は、その旨を再度市町の教育委員会に御照会ください)。

 

3 遺跡の取扱いについて協議する。


 (1) 遺跡が存在しなかった場合
   試掘・確認調査によって遺跡が存在しなかった場合は、そのまま工事を進めることができます(この場合も、周知の埋蔵文化財包蔵地内であれば、上記の文化財保護法に基づく届出・通知は必要です。)。この場合も、たまに試掘・確認調査で把握することができなかった遺跡が見つかることがあります。そのときは、市町の教育委員会にその旨を連絡してください。


 (2) 遺跡が存在した場合
   できるだけ、遺跡をこわしたり影響を及ぼさない方法について協議をします。遺跡がそのまま残すことができる場合は、そのまま工事を慎重に行うことができます。また、工事が遺跡に及ぼす影響が小さい場合等には、市町の教育委員会の職員が工事に立ち合うこともあります。
   開発がどうしても遺跡を破壊し、又は影響を及ぼす場合は本発掘調査を実施し、そこに存在する遺跡についての記録を残すことになります。この発掘調査に必要となる経費については、遺跡を破壊することとなる工事を計画した方に負担(原因者負担)をお願いしています(なお、個人の方が専用住宅を立てられる場合等については補助金の制度があります)。

 

4 発掘調査を実施する。→工事実施
 発掘調査を実施した部分については、原則として工事を着手することができます(まれに、発掘調査を実施した結果重要な遺構が発見された場合等に、改めて保存の協議をお願いすることがあります)。

 

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