佐賀城本丸歴史館テーマ展「鍋島武芸帖」を開催します
江戸時代、平和と安定の到来により武士のあり方は大きく変化し、官僚としての役割が強く求められるようになりました。その一方で、武士にとって武芸は、己のあり方を示す象徴であり続けました。
佐賀藩においても、武芸は勉学とともに身に付けておくべき素養の一つとして位置づけられ、学問とともに剣術、弓術、槍術、薙刀といった様々な武芸が修められていました。佐賀で盛んであった武術の流派としては、刀剣術では肥前タイ捨流や鉄人流や柳生新陰流、槍術では南都宝蔵院流や姉川流や大島流、弓術では日置流などがよく知られています。
令和6年度、これまで「国体」の愛称で親しまれてきた「国民体育大会」を「国民スポーツ大会(「国スポ」)」に改め、新しい大会として「SAGA2024 国スポ・全障スポ」が佐賀県で開催されます。本展覧会ではこの開催にちなみ、近代以前に佐賀で行われていた「武芸」の姿を、当時の武具や武術書等から紹介します。
記
1 会 期 令和6年(2024年)7月19日(金曜日)~9月16日(月曜日・祝日)
2 開館時間 9時30分~18時00分
3 休 館 日 なし
4 会 場 佐賀県立佐賀城本丸歴史館 御小書院(特別展示室)
5 共 催 佐賀県立図書館
6 観 覧 料 無料
7 主な展示資料
「兵術免許皆伝書」(県立名護屋城博物館蔵)/「薙刀<銘 肥前国住源家次>」(県立博物館蔵)/「槍<銘 肥州神崎住小河兵部丞源盛吉>」(個人蔵・県立博物館寄託)/薙刀<銘 因州住藤原兼若>(公益財団法人鍋島報效会蔵)/「雨中之伽」(公益財団法人鍋島報效会蔵・県立図書館寄託)/「南都宝蔵院流十文字鑓
秘事目録(副島家資料)」(本館蔵)/「姉川流槍術初目録」(個人蔵・本館寄託)
8 関連イベント
(1)第235回歴史館ゼミナール「鍋島武芸帖
―佐賀藩士の修めた武芸の姿―」
日時 令和6年8月24日(土曜日) 13時30分~15時
会場 佐賀城本丸歴史館 外御書院
講師 都留 慎司(本館学芸員)
料金 無料(事前申込不要)
(2)「兵法タイ捨流」演武(佐賀城本丸夏休み関連イベント)
日時 令和6年8月1日(木曜日)11時15分~11時30分
会場 佐賀城本丸歴史館 外御書院
内容 江戸時代に佐賀でも広く修められていた剣術「兵法タイ捨流」の演武を行います。
(3)学芸員によるテーマ展解説「江戸時代の佐賀の武術」
日時 令和6年8月1日(木曜日)11時40分~12時
会場 佐賀城本丸歴史館 御小書院(特別展示室)
※ 参加自由
※イベント等についての詳しい内容は、佐賀城本丸歴史館HPをご覧ください。
(https://saga-museum.jp/sagajou/)
【参考】主な展示資料
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新陰流兵法之書 文化9年(1812)11月/佐賀県立図書館蔵 柳生新陰流剣術の伝書。中央に小城藩2代藩主鍋島直能と柳生新陰流中興の祖柳生宗矩の名がみえます。直能は柳生宗矩の門下生の一人であり、直能の父である小城藩初代藩主鍋島元茂と二代にわたり柳生新陰流を相伝したことで知られています。 |
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黒漆塗葵紋唐草蒔絵薙刀拵 (江戸時代後期)/公益財団法人鍋島報效会蔵 佐賀藩10代藩主鍋島直正の正室盛姫(江戸幕府11代将軍徳川家斉18女)か継室筆姫(田安徳川家3代徳川斉匡19女)の輿入れ道具の一つと考えられる薙刀の拵です。拵全体に徳川家の家紋である葵紋の蒔絵が施されています。武家の女性たちにとっても、「武芸」が嗜みの一つとして象徴的な位置づけにあったことを物語っています。 |
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兵術免許皆伝書 (江戸時代後期)/佐賀県立名護屋城博物館蔵 神代鍋島家に伝来した剣術等の免許皆伝書。多くがタイ捨流剣術の伝書からなり、家老家伝来にふさわしく精緻な挿図が描かれています。巻末に創始者の丸目蔵人佐(「丸目蔵人大夫藤原長恵」)と佐賀での相伝の筆頭に連なる木島刑右衛門(「木島刑右衛門尉源清」)の名も記されています。宛所は欠くものの、佐賀藩(肥前)におけるタイ捨流相伝の流れを汲む伝書であるといえます。 |