定期報告制度とは
建築物等の安全性を保つためには、日頃から適法な状態に維持管理することが必要です。
特に、不特定多数の者が利用する建築物等については、一旦、火災等の事故が発生すると大事故に発展するおそれがあることから、より一層の安全を確保する必要があります。
このため、建築基準法では、建築物、建築設備、防火設備及び昇降機等について、それらの所有者・管理者に対し、定期的に専門技術を有する資格者に調査、検査をさせ、その結果を特定行政庁に報告することを義務づけています。
※「特定行政庁」とは、建築基準法に基づく許可や認可等を行う権限を持つ行政庁のことで、佐賀県内では、佐賀市にあっては当該市長を、その他の市 町については佐賀県知事をいいます。
定期報告制度の見直し(平成28年6月1日施行)
これまで、定期報告が義務付けられる建築物等については、法令で定められた一定の建築物等の中から特定行政庁が指定していましたが、建築基準法の一部を改正する法律(平成26年法律第54号)等の施行により、安全上、防火上又は衛生上、特に重要である建築物等については、国が法令により一律に指定し、それ以外の建築物等については、特定行政庁が地域の実情に応じて指定することとなりました。
詳しくはこちらをご参照ください。
⇒ 一般財団法人 日本建築防災協会 <定期報告制度ポータルサイト>(外部リンク)
定期報告の対象となる建築物等と報告時期
定期報告の対象となる建築物等は、以下の表のとおりです。(最終改正:平成28年6月1日)
建築物
◆ :県が建築基準法施行細則で指定する特定建築物
表記無し:国が政令で指定する特定建築物(当該用途に供する床面積の合計が200平方メートルを超え、
避難階以外の階を次に掲げる用途に供するものに限る)
対象 |
報告時期 |
用途 |
規模等(いずれかに該当するもの) |
1 |
a |
劇場、映画館、演芸場、観覧場(屋外観覧場を除く)公会堂又は集会場 |
・当該用途(100平方メートル超の部分)が地階又は3階以上の 階にあるもの
・当該用途の床面積(客席部分)が200平方メートル以上のもの
・劇場・映画館・演芸場で、主階が1階にないもの |
平成28年 (2016年) 9月1日~ 11月30日
以降3年毎 |
b ◆ |
劇場、映画館、演芸場、観覧場(屋外観覧場を除く)公会堂又は集会場 |
・当該用途の床面積が300平方メートル以上のもの |
2 |
百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェ、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、待合、料理店、飲食店又は物品販売業を営む店舗 |
・当該用途(100平方メートル超の部分)が地階又は3階以上の 階にあるもの
・2階にある当該用途の床面積が500平方メートル以上のもの
・当該用途の床面積が3,000平方メートル以上のもの |
平成29年 (2017年) 9月1日~ 11月30日
以降3年毎 |
3 |
旅館又はホテル |
・当該用途(100平方メートル超の部分)が地階又は3階以上の 階にあるもの
・2階にある当該用途の床面積が300平方メートル以上のもの |
平成29年 (2017年) 9月1日~ 11月30日 以降3年毎 |
4 |
病院、診療所(患者の収容施設があるものに限る)、就寝用途の児童福祉施設等 |
・当該用途(100平方メートル超の部分)が地階又は3階以上の 階にあるもの
・2階にある当該用途の床面積が300平方メートル以上のもの (病院、有床診療所については、2階の部分に患者の収容施設 がある場合に限る) |
平成30年 (2018年) 9月1日~ 11月30日 以降3年毎 |
5 |
体育館、博物館、美術館、図書館、ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場、スポーツ練習場(いずれも学校に附属するものを除く) |
・当該用途(100平方メートル超の部分)が3階以上の階にあるもの
・当該用途の床面積が2,000平方メートル以上のもの |
平成28年 (2016年) 9月1日~ 11月30日 以降3年毎 |
6 |
a |
共同住宅(サービス付き高齢者向け住宅に限る)又は寄宿舎(サービス付き高齢者向け住宅、認知症高齢者グループホーム、障害者グループホームに限る) |
・当該用途(100平方メートル超の部分)が地階又は3階以上の 階にあるもの
・2階にある当該用途の床面積が300平方メートル以上のもの |
平成28年 (2016年) 9月1日~ 11月30日
以降3年毎 |
b ◆ |
上記a以外の下宿、共同住宅又は寄宿舎 |
・階数が5以上、かつ、当該用途の床面積が1,500平方メートル 以上のもの |
7 ◆ |
事務所その他これに類する建築物 |
・階数が5以上、かつ、当該用途の床面積が1,000平方メートル 以上のもの |
平成28年 (2016年) 9月1日~ 11月30日 以降3年毎 |
建築設備等
種別 | 対象 | 報告時期 |
---|
昇降機 | - エレベーター
- エスカレーター
- 小荷物専用昇降機(フロアタイプのものに限る)
※以下に該当するものを除く ・住戸内のみを昇降するもの ・労働安全衛生法施行令第1条第9号に規定するエレベーターのうち、同令第12条第1項 第6号に該当するもの | 毎年4月1日 ~ 翌年3月31日 (同日前に法第7条第5項若しくは第7条の2第5項(いずれも同法第87条の2において準用する場合を含む。)の規定による検査済証の交付を受けた日又は前回の報告の日から起算して1年を経過する日がある場合は、当該経過する日の属する月の末日) まで |
準用工作物 | - 観光用エレベーター、観光用エスカレーター
- コースター等の高架の遊戯施設
- メリーゴーラウンド、観覧車等の原動機による回転運動をする遊戯施設
|
防火設備 | - 国指定の建築物に設けられる防火設備
- 以下に掲げる用途のうち、床面積が200平方メートル以上の建築物に設けられる防火設備
- 病院、有床診療所
- 共同住宅(サービス付き高齢者向け住宅に限る)
- 寄宿舎(サービス付き高齢者向け住宅、認知症高齢者グループホーム、障害者グループホームに限る)
- 就寝用途の児童福祉施設等
(外壁開口部の防火設備、常時閉鎖式の防火設備、防火ダンパーを除く) | 毎年4月1日 ~ 翌年3月31日 まで |
建築設備 | 上表<建築物>1~4に揚げる建築物(床面積が2,000平方メートル以上のものに限る)の換気設備、排煙設備、非常用照明装置 | 毎年9月1日 ~ 11月30日 まで |
建築設備、防火設備について詳しい表は以下の通りです。
定期調査・検査を行うことができる資格者(平成28年6月1日~)
建築基準法の一部を改正する法律(平成26年法律第54号)等の施行により、定期報告調査・検査報告の資格者制度も変わりました。これまで特殊建築物調査資格者、昇降機検査資格者、建築設備検査資格者だった方で、引き続き定期調査・検査業務を行おうとする場合は、特定建築物調査員等への移行手続きを行い、新しい資格者証の交付を受ける必要があります。(一級建築士又は二級建築士の免許をお持ちの方は、資格者証の交付を受けることなく業務を行うことができます)
また、防火設備に関する定期検査報告が新設され、専門的な知識を有する者(防火設備検査員)が検査を行う仕組みが導入されました。
資格者証の申請等の手続きについては、こちらをご参照ください。
⇒ 国土交通省<資格者証の申請等の手続きについて>(外部リンク)
<各資格者が調査・検査を行うことができる範囲>
資格者区分 | 建築物の調査 | 建築設備の検査 | 防火設備の検査 | 昇降機・遊戯施設の検査 |
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1級建築士 | ○ | ○ | ○ | ○ |
2級建築士 | ○ | ○ | ○ | ○ |
特定建築物調査員 | ○ | × | × | × |
建築設備検査員 | × | ○ | × | × |
防火設備検査員 | × | × | ○ | × |
昇降機等検査員 | × | × | × | ○ |
※建築士が報酬を得て、定期調査等を実施する場合は、建築士法第23条により建築士事務所の登録を受ける必要があります。
定期報告書及び定期報告概要書(変更等の各種届出を含む)の提出について