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企画展示「“さが”のための公共建築 -未来を描いた建築家たちー」

最終更新日:

Saga Prefectural Government Archives

佐賀県公文書館

 

 

企画展示「“さが”のための公共建築 ー未来を描いた建築家たちー」

 

概要

 

企画展チラシ
 県内の主要公共施設の設計には、戦後の日本建築史に名を残す多くの建築家たちが携わってきました。この展示では、戦後に作られた昭和モダニズム建築を中心に取り上げ、昭和から現在に至るまでの建築史に沿いながら、彼らが設計に込めた想いを紹介しました。
 また、県自治修習所・県教育センター、県文化課、県立図書館、県立博物館の皆さまにご協力いただき、建設時の文書、設計図面(複製)、石膏模型等も展示しました。(展示数23点)
【会期:令和2年9月26日~令和3年1月11日】

 

【展示の構成】

一.昭和モダニズム建築

二.博物館ができるまで

三.佐賀が生んだもう一人の建築家 村野藤吾

四.建築の再評価と継承

 
 

主な展示資料紹介

阿部美樹志書簡

阿部美樹志書簡
昭和24年7月20日

県庁舎本館(現・旧館)の設計を担当した阿部美樹志は、農商務省海外実業練習生としてアメリカで鉄筋コンクリート工学を学び、帰国後、鉄道高架橋設計に携わった人物です。独立後も土木関係の設計を行いながら建築家としても活躍し、阪急百貨店等を手掛けました。

これは、県庁正面図案の裏に記されていた県建築課長宛ての書簡です。阿部は、同月11日にA~Dの4案を県へ送付しており、県はこれを受けて、B案に決定する意向を阿部に伝えていました。しかし、阿部は正面玄関の石柱4本の間隔を変えたE案を再度提出。最終的に、E案が採用されることとなりました。県庁舎建築詳細及び書簡表面の図案については、企画展示「佐賀県庁舎の歴史」をご覧ください。

 
 
広報誌

県立博物館落成についての記事

『広報さが』昭和45年11月号

 昭和30~50年代、県内では多くの公共施設建設が計画されます。これらのうち、県立の図書館、青年の家、博物館といった主要な施設の多くを共同で設計したのが、逓信省営繕部出身の同志であった第一工房を率いる高橋靗一と東京大学の内田祥哉でした。

明治維新100年記念事業のひとつであった博物館の設計には、佐賀が今後大きく飛躍するための原点となるようにという願いが込められ、クロス構造を中心に建物が上部に向けて拡張していくプランを採用しています。県立博物館は昭和45(1970)年に竣工し、翌年、日本建築学会賞作品賞を受賞しています。高橋が「この建物はこの佐賀の風土とはおよそかけ離れたものとして違和感を与えるが、それは私たちの狙いの一つでもある。この違和感が続く限り、この街に影響を与え続けるだろう」と語ったように、半世紀を経てもなお、佐賀の地で異彩を放ち続けています。

 
 
満島全図

満島全図

明治29年

 県立博物館を設計した二人が依頼を受けた当初、「自分たちではなく、郷土の出身であり大先輩である先生に」と推した人物が、 世界平和記念聖堂(現・カトリック幡町教会)や日本生命日比谷ビル(現・日生劇場)等を設計した建築家、村野藤吾です。

 村野は明治24(1891)年に東松浦郡満島村(現・唐津市)に生まれました。母親の健康不良から、生後間もなく乳母の実家である漁師の家に預けられ、唐津湾、虹の松原、松浦川に囲まれたこの地で、12歳までの幼少期を過ごしました。晩年の手記には「自分の人生観は、この赤貧洗うが如き漁師の家で培われた」と記されており、村野の息子も「美しい自然と愛情に溢れた満島での暮らしが、彼のあらゆる情感の原点であった」と語っています。

 村野が手掛けた県職員研修所(現・県自治修習所)・県教育センター(佐賀市大和町)は現在も活用されています。

 
 
大隈記念館完成予想図

大隈記念館完成予想図

昭和39年4月

公共建築という枠には当てはまりませんが、県が深くかかわった建築も展示ではご紹介しました。

昭和30年代後半、大隈重信の生誕125周年を記念して建設が計画された大隈記念館(現・大隈重信記念館)です。昭和39(1964)年4月に建設委員会が発足し、池田直知事(当時)が名誉会長を務めました。大隈記念館は昭和41(1966)年11月に竣工し、翌年10月に建設委員会から佐賀市へと寄贈され、開館を迎えています。

 当時の報告書には、建築の特徴について、設計者である今井兼次が「スイスのゲーテ記念館(現・ゲーテアヌム(ルドルフ・シュタイナーが設計))をモチーフにしている」と語り、「建物を見てもらえばその魅力は十分に伝わる」と自負していたことが記されています。

 県内には他にもル・コルビュジエに学んだ坂倉準三が手掛けた県体育館(現・市村記念体育館)等、この時代の質の高い建築が残っています。この体育館は、明治維新150年記念事業においてメインパビリオン幕末維新記念館としても活用されました。


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