棚田のなぜ?その1 最終更新日:2010年3月30日 その1へ ・ その2へ 棚田のなぜ? その1 全国地方紙掲載から抜粋 宇根豊氏(農と自然の研究所代表) なぜ、田んぼに石ころがない? 田んぼが開かれた時は、石ころだらけだったにちがいない。農家の人は毎年毎年、石を拾って外に出し続けた。10年がたち、50年がたち、100年がたった。今でも石ころが足の裏に当たったら外に放り出す。田んぼには100年分の仕事がつまっている。 なぜ、畦道は歩きやすい? 田植えの前には、歩きやすくするためにちゃんと畦道の草刈をしている。草刈りをしているから、水がもれているとか歩きながら田んぼや稲の観察がよくできる。草が伸び放題の道では、歩きにくく、マムシをふみつけるかもしれないと不安になってほかのことを感じる余裕がなくなる。 なぜ、田んぼの風は涼しい? 朝、稲の葉の先には小さな水玉が輝いている。この水玉は、稲が田んぼから吸い上げた水を空気中に出したもの。日がのぼり、気温が上がると、水玉は空気中に蒸発していく。その時に稲の葉は冷やされ、その上を吹く風も涼しくなる。 田んぼからは目に見えない水分が空へシャワーのように立ちのぼっている。 なぜ、土はどうしてできた? 石の粉が土になるには、 1. 種が飛んできて草が生え、雨の養分でどうにか育つ 2. 草が枯れ、それを食べる微生物が住みつく。 草は、微生物に食われ腐り、有機物の小さな塊になる。 3. この有機物の塊に養分が含まれていて肥料になる。 こうして何万年もたつと土壌生物(微生物)に食べられた有機物が増えてきて土が黒くなっていく。 いい土とは? 田んぼの土は、耕すとふくらんで盛り上がる。 田植えの時に裸足で入ると土は、ヌルヌルする。雪が降ると田んぼの雪が最初に溶ける。それは土が生きているから。 農家は、いい土を作るため堆肥を運んできて田んぼに入れる。 真っ黒でいい土なら、1グラムに、1億匹の土壌生物(微生物)がいる。 田んぼの土と水? 田んぼに溜まった水は太陽によって温まる。 温まるから、カエルは卵を産む時期になったとわかる。 田んぼの土は、上は温かいけど下は冷たい。水が温まるから上の土は温かいが、下の土は冷たいから真夏でも稲の根は元気。 その1へ ・ その2へ