○セミナー概要
本県では、農業者の労働力不足の問題解決と福祉事業所の工賃向上・社会参画の推進のために、農業者の作業の一部を福祉事業所に委託するなどする 「農福連携」を推進しています。
この「農福連携」を学ぶセミナーを1月29日、佐賀市のグランデはがくれで開催し、農家や福祉関係者など約90名の方々に聴講いただきました。
はじめに動画「佐賀における農福連携の取り組みの様子」により、高齢化が進む中山間地の農業の実態、中間支援機関による農家と福祉事業所のマッ チング、そして福祉事業所の農作業の様子などをご覧いただきました。
次に報告「佐賀県における農福連携の現状と課題」では、佐賀県農福連携コーディネーターの藤戸小百合氏が
・2022年度は農家23か所、福祉事業所22か所が取り組み、23年度は12月末現在で同29か所、36か所と増えた一方、仲介を行う中間支援者が不足し
ており育成に努めている。
・内職よりも単価が高く、時給千円を超す例もあり、障害者の工賃アップが図れる。
・課題として、農家の多い地域には福祉事業所が少なく、マッチングが進まないので、本セミナーで少しでもいいなと思われたら、チャレンジして欲
しい。農家の労働力不足を解消することは、未来の子供たちに農地を残すことにもつながる。
旨説明いたしました。
また、リレートーク「私たちにとっての農福連携」では、マッチング担当者と福祉作業所、農家という二組の事例を当事者のトークを通じて紹介いた
しました。
(1) まごころ授産所管理者(佐賀市) 坂本 美香氏 × 佐賀県農福連携コーディネーター 藤戸 小百合氏
まごころ授産所では、利用者がタマネギ集荷場での根切りや葉切り作業に従事。坂本氏は「作業はきついと思うが、利用者は笑顔で帰ってき
てくれる。また、工賃もいいし、就労意欲、体力も向上する。利用者がどんなふうにできるか、とりあえずやってみようでいいと思うので挑戦
して欲しい」と、まだ農福連携に取り組んでいない事業所にエールを送られました。
(2) キュウリ農家(嬉野市) 西野 泰斗・結華子氏 × 佐賀県藤津農業振興センター普及課長 八田 聡 氏
西野夫妻は「福祉事業所に葉かぎなどの作業をお願いした当初は、葉っぱと枝を間違って折られたこともあったが、今は完璧にやってもらっ
ている。おかげ様で、他の作物の栽培を検討できるようになった。」と感謝されるとともに「夏場の日中はハウスが暑いので、早朝の涼しい時
間に来てもらえたら体力的にも楽になるのでは」と話されました。
続いて行われた質疑応答の中では、会場から農作業単価の設定方法等の質問があり、藤戸コーディネーターと八田課長から、当該農作業に慣れていな
い一般人を想定して、コーディネーターや農業振興センター職員が実際に作業をやってみて、時間当たりの作業量を計り、最低賃金を下回らないように
単価を算出していること、また、夏は作業が大変であることから、夏場料金を設定することもあるなどの説明がありました。
最後に、会場にて同時開催した「さが農福連携マルシェ」に出店していただいた5事業所から「農福連携取り組み事例の紹介」をしていただきまし
た。ここでは、ここでは、事業所内で生産・加工した農産物や製品の付加価値を高めるため、見栄えが良くなるようパッケージに気を使ったり、事業所内
でファーム(生産)からカフェ(販売)まで実施し、利用者に様々な作業を体験できるよう就労支援を行っているなどの報告があったほか、県工業技術
センターの研修成果を活用してアスパラガスパウダーを開発したなど、各事業所とも生産・加工・販売の各段階における課題やそれに対して独自に工夫
している点などの説明をしていただきました。
○会場写真
<リレートークの様子>
(まごころ授産所 坂本管理者 × 藤戸農福連携コーディネーター)
(キュウリ農家 西野夫妻 × 八田普及課長)
<さが農福連携マルシェの様子>
○配布資料
・「セミナー次第」(裏面:さが農福連携マルシェ概要)
・「農福連携推進事業(農福連携コーディネーター)」(裏面:農福連携コーディネーターの役割)
・「農福連携に関心を持たれた方及び今後取り組んでみたいと思われた方へ」
・「はじめよう!農福連携スタートアップマニュアル Ver.4(農業者・障害福祉サービス事業所向け)
・農福連携セミナーPR用チラシ
チラシ (PDF:525キロバイト)
○参考資料(セミナーで使用したPPT資料)
・(報告「佐賀県における農福連携の現状と課題」)
・(リレートーク:「私たちにとっての農福連携」中、(2)キュウリ農家 西野御夫妻 × 藤津農業振興センター 八田課長)