これに伴い、吉野ヶ里遺跡展示室にて当該出土品の展示を行います。また、35年前に「吉野ヶ里フィーバー」が巻き起こった記念日である2月23日(金曜日・祝日)には、青銅器鋳造鋳型に関する講演会を開催します。
イ:銅矛・銅剣カの両面鋳型(画像 左:表、右:裏)
石材 角閃石岩
ア:令和5年9月6日に出土したもの(令和5年12月)と同じと判断できる鋳型 1点
イ:これまで出土したものとは異なる新たな鋳型 1点
※今回発見された鋳型(鋳型イ)を含め、吉野ヶ里遺跡では10点の鋳型が出土。
(2)出土地点
吉野ヶ里遺跡日吉神社境内地跡(吉野ヶ里丘陵地区IX区401調査区)
石棺墓の西側付近(遺物包含層からの出土)
(3)時代
弥生時代中期前半(紀元前2世紀頃)
(4)出土した日
鋳型ア:令和5年12月4日(月曜日)
鋳型イ:令和5年12月5日(火曜日)
(5)新たな青銅器鋳造鋳型発見の意義
・吉野ヶ里遺跡で昨年までに出土した鋳型7点は全て石英斑岩製であったが、今年9月に初めて石材が異なる蛇紋岩製の鋳型が出土した。今回、新たに発見された鋳型は角閃石岩製で、この石材の鋳型もまた遺跡初出土となる。当時、青銅器鋳造の先進地であった朝鮮半島ではほとんどの鋳型が滑石製と言われているが、蛇紋岩や角閃石岩は、質感が滑石に類似する石材であり、吉野ヶ里で鋳造を行った工人が朝鮮半島で使用していた石材を求めた可能性がある。
・日本における青銅器生産の初期の石材選びの段階で、蛇紋岩や角閃石岩の鋳型と、鋳型石材として定着した石英斑岩の鋳型が一緒に出土したことは、初期の青銅器生産の様相を考えるうえで極めて重要な発見といえる。
※石英斑岩:火成岩。石英の結晶(斑晶)が大きく目立つ岩石。
※角閃石岩:火成岩。角閃石の結晶が大きく目立つ岩石。
※蛇紋岩:変成岩または火成岩中の超塩基性岩のどちらかに分類。
※滑石:変成岩。
※鋳型石材(蛇紋岩、角閃石岩)の産出地については不明。
※出土地点などの詳細は、こちらの「補足資料」をご覧ください。
- 補足資料 (PDF:505.4キロバイト)
2 出土品の展示・講演会
(1)展示
期日:令和6年2月15日(木曜日)から(終期は未定)
場所:吉野ヶ里歴史公園内
吉野ヶ里遺跡展示室(9時~17時)
観覧費:無料(公園の入園料及び駐車料金が別途必要です。)
(2)講演会
名称:「謎のエリア」出土の青銅器鋳造鋳型
-その意義について-
日時:令和6年2月23日(金曜日・祝日)13時30分~15時30分
場所:吉野ヶ里歴史公園内
吉野ヶ里遺跡展示室
内容:1「吉野ヶ里遺跡から新たに出土した青銅器鋳造鋳型」
佐賀県 文化財保護・活用室 渋谷 格(しぶや・ただし)
2「新出土の青銅器鋳造鋳型の意義」
九州大学比較社会文化研究院 准教授 田尻 義了(たじり・よしのり)氏
3 総評コメント
愛媛大学 ミュージアム 教授 吉田 広(よしだ・ひろし)氏
定員:50名程度(事前申し込み不要)
参加費:無料(公園の入園料及び駐車料金が別途必要です。)