保健所は、地域住民の健康を支える広域的・専門的・技術的拠点と位置付けられる機関です。難病や精神保健に関する相談、結核・感染症対策、薬事・食品衛生・環境衛生に関する監視指導など専門性の高い業務を行います。
佐賀県では、保健所と福祉事務所を統合した「保健福祉事務所」を設置し、保健・医療・福祉・環境に関するサービスを一体的に提供し、児童虐待や障害福祉など、保健と福祉の複合した問題に対する総合的な相談窓口として地域住民をサポートしています。
(保健福祉事務所で働く専門スタッフ)
医師、獣医師、保健師、薬剤師、管理栄養士、臨床検査技師、診療放射線技師、行政職員
等
■保健福祉事務所の主な仕事
〇医療・薬事
・医療監視
・医療に関する相談
・医療関係許認可
・医療従事者免許など
〇健康危機管理
・感染症対策
・災害時健康危機管理
・健康被害の発生予防、拡大防止
・被害者への適切な医療の確保など
〇健康増進と病気の予防
・エイズ、肝炎相談
・食生活・栄養・栄養成分表示相談
・がん予防・生活習慣病相談
・特定給食施設指導
・障害児(者)の歯科保健相談
・たばこ対策など
〇食品・環境衛生
・食品衛生、飲料水に関する相談
・食中毒の予防
・旅館・理美容所等の許可等指導
・狂犬病予防、動物愛護業務など
〇環境保全
・環境保全に関する相談
・公害、浄化槽関係の届出の受付、監視指導など
〇保健・福祉の相談サポート
・子育て・療育相談・不妊相談
・児童虐待・DV等女性相談
・知的・身体・精神・難病等相談
・生活保護・母子・父子・寡婦福祉の相談サポートなど
<具体的業務の例>
◇感染症対策
感染症対策の基本は、感染源・感染経路・感受性(感染状態を起こす可能性)対策です。この3要素を踏まえて地域における予防活動を実践するためには、保健所の有する専門職種と検査機能が重要な役割を担っています。
新型コロナウイルス感染症、新型インフルエンザをはじめとする健康危機事象が発生した場合、患者発生時に迅速に情報を収集し、疫学調査を行って感染源及び感染経路を特定するとともに、関係機関との連携・調整のもと、ハイリスクの集団を把握して感染者の早期発見や感染拡大防止を行います。
また、感染の未然防止を図るため社会福祉施設等の巡回指導及び正しい知識の普及啓発活動を行います。
◇災害時健康危機管理
被災者の所在と時間経過に伴い変化する保健医療ニーズ、医療施設等の地域資源の被災状況、応援の現状と課題等の全体像を把握し、医療をはじめとする専門的な支援者の協力を得て、
・超急性期における、医療チームの応援調整や広域医療搬送等の救命・救護対策及び透析患者や人工呼吸器装着患者など医療機能が失われることにより生命の危機に直面する患者の把握と医療救護
・被災して医療を受けられない者に対して、救護所や自宅等で行う医療救護活動及び災害により失われた医療提供体制の復旧と再開
・避難所等における保健衛生対策と生活環境衛生対策
等を担います。
◇安全・安心な医療に関する対策
医療機関に対する立入調査(医療監視)、医療従事者の免許に係る事務、医療に関する苦情や相談、医療機関の開設・
変更に係る事務等を通じて、良質かつ適切な医療を提供する体制の確保に努めています。
◇母子保健
小児慢性特定疾病医療費や不妊治療助成事業などの医療給付を行うとともに、市町の母子保健事業に対し
専門的・技術的な指導・助言を行い、より専門的なサ-ビスが必要な障害児・慢性疾患児等に対しては、市町とともに保健福祉事務所による直接的支援を行います。
◇精神保健福祉
地域精神保健福祉業務の中心的な行政機関として、企画調整・普及啓発、研修、相談・訪問指導、社会復帰及び自立と社会参加への支援、関係機関との連携等により、地域住民のこころの健康の保持増進を図るための諸活動を行います。
◇難病
原因不明で治療方法が確立していない難病に罹患している患者等に対して、専門的な保健サ-ビスの提供をします。また、サ-ビスが難病患者の生活の場で提供できるよう必要に応じて保健・医療・福祉間の連絡調整をし、難病患者在宅療養支援のネットワ-クづくりに努めます。
◇肝疾患対策
肝がんの主な原因とされるウイルス性肝炎(B型・C型)対策を中心に、肝炎ウイルス検査や肝炎治療費助成事業を実施し、肝炎対策を推進します。
◇健康増進・栄養改善
市町、保健・医療団体、職域保健関係者と連携しながら、栄養・食生活の改善、運動の普及、たばこ対策等に取り組み、住民の健康づくりや生活習慣病予防対策を行います。
◇歯科保健
障害・難病者等の歯科保健事業を実施しています。また、市町と連携を図りながら住民の生涯を通じた歯科保健対策を推進します。
◇環境衛生
一つの施設を不特定多数の人が利用する場合、その施設の衛生管理の不足により感染症等の健康被害が発生することのないよう衛生管理の指導に努めます。その他生活に関係する様々な健康被害発生防止に関する業務を行います。
◇食品衛生
飲食物に起因する健康被害の発生を防止するため、飲食店、食品製造所等の許可、食品関連施設の監視・指導及び県内を中心に流通している食品の検査等を通じ、食品の安全、衛生の向上に努めます。
◇狂犬病予防、動物愛護
狂犬病は、海外では未だに多くの人命が失われる恐ろしい感染症の一つです。狂犬病のまん延による人の健康被害を防止するために、犬の登録、予防注射などの啓発を行います。また、犬、ねこなどの愛玩動物について、これらの動物は「命あるものとして」、生涯適正な飼養がなされるよう動物愛護について啓発を行います。
◇環境保全
環境保全の推進を図るための対策や指導等を行い、人の健康や安全の確保に努めます。生活排水対策を重点的に推進します。
添付ファイル