平成29年1月20日(金曜日)に、小澤典明(おざわのりあき)資源エネルギー庁資源エネルギー政策統括調整官が佐賀県庁を訪問され、九州電力株式会社玄海原子力発電所3号及び4号炉の再稼働へ向けた理解活動に関する今後の進め方について副島副知事と意見交換がなされました。
面談内容は以下のとおりです。
面談内容(テキスト)
【小澤資源エネルギー庁資源エネルギー政策統括調整官】
副知事、本日はお時間をいただきましてありがとうございます。先ほど、知事のところへ長官の方から世耕大臣の文書を届けて玄海原発の再稼働についてのご説明をさせていただきましたけれども、本日、今後の進め方について、お伺いをしたいと、ご相談をしたいということで参上しました。
玄海原発の再稼働の理解活動については、国としてもしっかり進めていきたいと考えておりますので、県のほうでお考えあるいはご要望というものがあれば、お聞かせいただければありがたいというように思っております。
【副島副知事】
ちょっと少し復命みたいな形になりますけれど、先ほど知事と日下部長官と面談をしていただいた上で、県の、今回の、玄海原発の3、4号機に対する県の取り組み姿勢だとか、プロセスを大切にしていくんだという、安全安心が大事、大切だという旨の発言は、それぞれ前段で県の取り組み姿勢としては、知事から伝えていただいたものと考えています。
それを受けた上でですね、知事のほうから私のほうに、具体的に今後どうしていくのか、しっかりつめよということでの話がございましたので、私のほうが、具体的に内容を詰めさせていただくことになろうかと思います。
その第1回目のことでございますので、私のほうから、お話しする前に、国が、まず現在のところ、どのようなお考えをお持ちなのかということをお伺いをさせていただいた上で、その上で先ほど知事が申し上げました、県の状況、地域性あたりを具体的に少しお話しさせていただければと思っております。
【小澤政策調整官】
ありがとうございます。国の方としては、原発の再稼働にあたっては、これはエネルギー基本計画で方針を決めまして、その下で、原子力規制委員会において、新規制基準に適合すると認められた原発については再稼働を進めると、その際には、立地自治体等関係者の理解と協力を得られるように取り組んでいくという方針でございますので、その方針にのっとって進めたいということでございます。
これまでにも先行した例として、例えば九州電力の川内原子力発電所、関西電力の高浜発電所、四国電力の伊方発電所がございますけれども、こういった場合においても、原発の再稼働の理解活動にあたっては、それぞれの立地自治体を始め関係者の方と本当にコミュニケーションを取らせていただきながら、丁寧に進めてきているところでございます。
地域のほうから具体的な要請があれば、様々な形での説明会、議会での説明会、そういったものもやらせていただいてきておりますし、それはもう、そういった求めに応じて丁寧に説明を尽くしていきたい。これは我々エネ庁だけではなく、原子力規制庁、あるいは内閣府、関係省庁一致協力してしっかりと進めていくというふうに考えています。
大まかにはそういったことでございますけれども、いずれにしましても、佐賀県を始め、地域の皆様の声をお聞きしながら、しっかりと進めていきたいという方針でございますので、従って今、副知事に言っていただいたように、地域の現状・状況とか、実情あるいは御要望というものをお聞きしながら進めていきたいというふうに考えています。
【副島副知事】
わかりました。じゃあ、私のほうからですね、これまでどのような意見を我々県がお受けしたのか。またどのような動きがあったのかということも含めまして、ちょっと知事が日下部長官にお話しした内容と少しかぶるかもしれませんけれども、そこのところをちょっとお話させていただきたいと思います。
玄海原子力発電所の再稼働というのは、県民の大きな関心事ということで、知事のほうも、この問題に関しては、真摯に、愚直に、真っ直ぐに、要するに正面から向き合っていくぞという姿勢だっていうことはさっき明言をさせていただいたところでございます。この姿勢は、今後の手続きにおいても貫かれるものだということで、我々もその意に応じた、準じた形で整理をさせていただければと思っているところでございます。
また国におきましては、いろいろ今後、事務的な手続きの打合せをさせていただきながら、一定程度、決めるべきは決めていただかなくてはいけないということになりますので、国の責任をしっかり果たしていただいて、今回の再稼働に関しての説明責任を果たしていただきたいと思っております。
まず、地域の実情でございますが、再稼働に関しましては、県内にも様々な意見がございました。
具体的にどのような意見かと申し上げますと、主なものについてリストを提供させていただきますので後程ご覧になっていただければと。本日、一部ではございますけれど、私のほうから申し上げておくべきものがあろうかと思いますので、それを申し上げさせていただきます。
例えば、経済界におきましては、「電力の安定供給に向けて安全確保を前提とした玄海原子力発電所の再稼働を」との意見がある一方でですね、市民団体のほうからは、広く意見を聴くという姿勢を山口県政持っておりますので、知事が直接聞いただけでも、
・玄海原発で重大事故が起きれば私たちのふるさと佐賀そのものが失われてしまうため、「県民の命を何よりも優先し、玄海原子力発電所の再稼働を認めないで下さい」
また、
・「原発事故を繰返すな!」玄海原発の再稼働を認めないでください
ということ、それから
・「佐賀県民の安全と玄海原発の安全確保に関する要望」
等がございまして、その中で原発をなくそうというような意見もございました。
そういう様々な意見・要望を直接知事も耳にしているところでございます。
また、佐賀県におきましては、政治家同士の集まりということでございまして、知事と県内10市10町の首長が集まります、知事まで入れて合計で21名でございますけれど、GM21ミーティングというのがございます。そこで、昨年10月17日に開催したときに、そのときにも、意見を1回目は拝聴しているわけでございます。
その中で、
・住民の間には、原発再稼働に関する不安の声がありますよ
という声が届けられたり、
・国や九電には安全面について、十分な説明をお願いしたい
ということ、それから、
・今後のエネルギー政策をどうするのか、廃炉をどうするのか、核のゴミをどうするのか、皆が安心できる将来展望を示し、国が責任をもって取り組んでいただきたい
という意見だとか、
・福島ではなぜ事故が起きたのか、それを踏まえてどう変わったのか、総括した説明をお願いしたい
また、更には
・住民の間には、事故が起こったとき、本当に大丈夫なのかという不安がある。緊急事態が起こった時、市町の対応には限界がある。対策がよりよいものになるよう国には支援をお願いしたい
などという声もあったところでございます。
その他、意見を聴く場といたしましては、これは12月末に立ち上げましたけれども、県が設置しました、もう御存知かと思いますけれど、「玄海原子力発電所の再稼働に関して広く意見を聴く委員会」なるものを立ち上げ、私が会長をさせていただいているところでございますが、1回目ということではございましたけれど、そこにおいても、様々な意見をいただいたところでございます。
まずは
・使用済み核燃料の問題、これは非常に大事な問題で、将来的にどうなるのかというのがあり、具体的に今、玄海原発で貯まり続けている使用済み核燃料がどれくらいあるのか、そして、このまま発電すればあと何年ぐらいで満杯になってしまうのか、本当に県外に運び出されるような条件があるのか。そういうことについて具体的な資料を出していただきたい。
というようなこと、それから、
・原発を再稼働するとなれば、いわゆるメリット、デメリット、と言いますか、そういったものをしっかり数字で、要するに客観的に皆さんにお示しいただけないか
というようなこと、それから、
・原発が停止し、最初の頃は節電等のテレビスポットが流れたり、いろんな広報もございました。しかし、最近になっては普通に電気を使っているということでございまして、現実として何の不足も感じていない。電力は十分足りているのではないか
というような思いなども意見が出たところでございます。まず、我々がというのか委員の皆様方が、
・原子力規制委員会が出すゴーサインが、どの程度安全なのか。田中委員長の発言もございますが、ある程度そういうものを出してもらわないと、ちょっと理解がなかなかできづらい
ということでございました。
それから、また意見を様々言う場がございまして、議会の中でも、県民を代表する議会の中でも、様々なこれまでの御意見がございました。
その中のいくつかを御紹介したいと思いますけれど、
・電力の安定供給は、県民の安定した生活や経済活動においては欠かせないものであるので、現時点では安全性の確保を大前提とした上で原子力発電所を引き続き活用していくべきだ
という意見がある一方で、
・「原子力災害時の国の責任の明確化」が必要ではないか。
・規制委員会の田中委員長は、審査に適合したといっても安全だというわけではないと繰り返されている。なぜ再稼働するのか。そう言う意見がある中で再稼働するのか
ということ、それから、
・避難計画が不十分なまま再稼働はあり得ない。
という意見だとか
・最終処分場問題に一定のめどがつくまでは、原発は再稼働すべきでない。
という意見
・再処理工場が稼働できない場合、乾式貯蔵された使用済み核燃料が半永久的に玄海原子力発電所敷地内に貯蔵されたままになるのではないか。
これはまだ乾式ではございませんけれども、こういう意見が出たようです。
・佐賀県民はこの5年、原発なしで暮らしてきた。これは先ほど述べたのと趣旨が若干似ておりますけれども、全国的にも川内原発の2基が再稼働するまでは3年近く原発ゼロであった。また、原発は安くつくと言われてきたが、福島事故の教訓からも事故対策費に莫大なお金を必要としてきた。さらに廃炉費用や使用済み核燃料の管理処分費などを考えると、決して安くない。必要性や経済性からも再考すべきである。
というような意見、それから、
・福島の事故や熊本地震を踏まえた原子力災害対策が必要ではないか。
といいますのも、結構熊本地震で佐賀のほうも揺れましたので、まあそういう不安の声を議会の中で訴えられたものでございます。更には、
・世論調査等では依然として半数を超す国民は再稼働に反対している。夏・冬の電力需要がピークのときでも、全国での電力融通を行えば原発を稼働しなくても電力は足りている
そういうような御意見、といったような否定的な御意見もいただいたところでございます。
このように、様々な御意見をいただいてございます。
国からの立地自治体等関係者や住民への説明は、こういった様々な意見を丁寧に配慮しながらやっていただけないかということでございます。
また、やっていただきたいというお願いでもございます。
それから、県としての思いの部分が少しございます。
国からの説明等に係る県の考えにつきましては、いわゆる地元の範囲というのがございます。これは、国が責任を持って、地元の範囲はどの範囲なんだということの見解を示していただきたいと考えているところでございます。
また、県への説明につきましては、玄海原発の再稼働に関しまして、様々な観点からの意見や専門的なアドバイスをいただくために、原子力発電所の再稼働に関する先ほどの委員会でございますけれども、委員会の中に、専門部会を設けてございます。そういう様々なところで御意見をいただくようにしておりますので、県の求めに応じて、内容を国のほうでわかりやすく説明するとか、そういうことをやっていただきたいと思っております。
それから、市町への説明でございますけれど、立地町は玄海町でございますが、UPZに含まれます唐津市、伊万里市、玄海町まで入れまして3市町に対しまして、どのように説明していくかについて、国から訪問し具体的に相談をしていただきたいと考えているところでございます。それ以外でも、説明を聞きたいという県内の市町がございましたら、国から説明を行っていただきたいと考えているところでございます。
なお、説明会の開催でございますけれど、県は、県民への説明の場として「県民説明会」が必要であると考えているところでございます。いわゆる対象は県民であるということでございまして、国には、再稼働を進めるとした方針の説明責任を果たす必要があることから、当該説明会を開催していただきたいと考えているところでございます。
また国から、市町に対しては、「住民説明会」の要望があった場合にも、丁寧に対応していただくことはもちろんのこと、当該説明会の開催を行っていただきたいと考えているところでございます。
なお、先程申しましたとおり、説明する対象者は県民でございますので、県民全てが参加できるといいんですけれど、なかなかそういうわけにはまいりません。参加できない県民のことも考えまして、審査結果などについて、説明用のビデオや分り易い資料を作成していただいて、公開していただきたいと考えているところでございます。
様々な機会を捉えて、広く県民の意見を聴くことと、県はしております。先程の委員会を設けたのも、その一つでございます。こうした状況を踏まえまして、国として、県民から提出された質疑等に対しては、真摯に丁寧に対応していただきたいということでお願いしたいと思います。
また、併せて、「県民説明会」や「住民説明会」においても、参加者の質疑等には、わかりやすく、納得できるような丁寧な対応をしていただきたいと思っているところでございます。
それと、UPZには佐賀県だけではございませんで、福岡県と長崎県も含まれてございます。ぜひ福岡県や長崎県とも十分に調整していただきたいと。丁寧に両方に対応に当たっていただきたいというふうに考えているところでございます。
そして、これも、再三お見えになるとお願いしております、九州電力さんに対しても、適切な指導をしていただければと考えているところでございます。
以上、様々、本県の状況等や御意見を申し上げましたけど、国においてこのような点を配慮していただきまして、今後、説明活動を具体的にどのように進めていくか、ぜひご検討をお願いしたいと思います。
その上で、早いうちに、こういうことだということでの、国のお考えをお示しいただければと思うところでございます。よろしくお願いいたします。
【小澤政策調整官】
ありがとうございます。
県の方々の御意見、あるいは今の状況、それから、県としての思い・考え・要望、非常に丁寧に御説明をいただきまして誠にありがとうございます。感謝の気持ちを申し上げます。
今いただいた非常に多岐にわたるお考え・御要望ございましたけれども、それを踏まえてですね、国としての対応をというのを整理・検討した上でですね、理解活動しっかり進めてまいりたいと思いますので。
もちろん、これまでの中で、過去の先例の中で、十分に対応してきているもの、対応できるものものあろうかと思いますので、その辺をしっかりと整理をさせていただいてですね、その上でしっかりと進めるべく、またこちらにもお伺いをして御説明をしたいというふうに思います。
我々としては、佐賀県、それから県民のみなさん、そういったお考えや要望・御意向というのをできるだけ尊重してですね、適切に丁寧な理解活動を進めていきたいというのが方針でございます。これは世耕大臣もそうでございますし、先程、エネ庁長官の日下部もおそらくそういった趣旨のことを申し上げていると思いますので、そういった中で進めていきたいというふうに思います。
いずれにいたしましても、今後とも佐賀県の皆様、あるいは地域の皆様とはですね、丁寧に丁寧にコミュニケーションを取らせていただいて、うまく相談をしながら進めていきたいというふうに思っていますので、ぜひともよろしくお願いいたします
ありがとうございます。本当に、本日はありがとうございました。
【副島副知事】
それともう一つ最後になりますけれど、いろいろ様々な意見を聴く場は現在進行形ということでございまして、今後、様々意見が出てまいります。今ご紹介しただけに限らずですね。
先ほど説明会の分は言いましたけれど、専門委員会の部分だとか、ウェブ上でも意見を求めることもあろうかと思います。
そういうところも含めて、現在進行形でございますので、その都度、こういう意見がございましたと、県が全く気付いていない気づきの部分もあろうかと思いますので、その分、あげますので、今後ともよろしくお願いいたしたいと思います。