宅老所とは、一般的に法令に定義のない民間独自の福祉サービスを提供している施設をいいます。このため、統一された定義はありませんが、佐賀県が開設を支援している宅老所とは概ね次のようなものです。
宅老所とは
宅老所とは、高齢者等ができる限り住みなれた地域で生活できるよう、介護保険サービスなどの既存制度の範囲では手が届かない部分(人)にもきめ細かく対応した独自の福祉サービスを提供している地域に密着した施設です。
宅老所の特徴
施設といっても、一般的に施設と聞いてイメージする鉄筋コンクリートづくりの立派な建物とは趣きが違います。民家等を改修した建物を使ってサービスを提供しているところが多く、家庭的な雰囲気の中でサービスが提供されています。
県内の宅老所の多くは、市街地や集落の中といった、住みなれた地域の中にあり、地元のボランティアの方々が参加されていることも多く、まさに「地域によって高齢者等を支えているところ」と表現することもできます。
法律等には「宅老所」の定義はなく、まったく民間の独自な発想でサービス提供が行われています。
具体的にどのようなサービスを提供しているかは、それぞれの「宅老所」によって異なっていますので、一概には言えませんが、「通う」、「泊まる」といったサービスが基本とされています。
対象者も、高齢者に限らず、障害者や児童まで対象としているところもあります。利用定員は、10人程度としているところが多く、対象者一人ひとりとの馴染みの関係を重視し、対象者の生活リズムに応じたきめ細かなサービスが提供されています。
宅老所の多くは、独自サービスと併せて、介護保険法に基づく指定を受け介護保険の対象デイサービス等の居宅サービスを提供しています。
宅老所での具体例
例えば、ある宅老所では、利用者が、その日の夕食をスタッフと一緒に決めて、調理するという光景を見ることができます。その日の新聞折り込みを見比べ、安く売られている食材を探しスタッフといっしょに夕食の献立を考える。スタッフといっしょに買い物に行き、調理を手伝う。そこには、家庭での生活と同じ「役割」があり、本人が生きがいを感じながら生活できる環境への配慮が感じられます。
宅老所は、利用者が比較的小人数であることから、利用者とスタッフや地域ボランティアとの馴染み関係が築かれやすい環境になっています。認知症の症状に著しい改善がみられた方もいらっしゃるそうです。
例えば、ある宅老所では、定期的に宿泊サービスを利用している女性がいます。女性の70歳代の夫は、女性が宅老所に宿泊しているときは、毎日宅老所に訪ねてきます。夫は、妻といっしょに宅老所で夕食を済ませてから自宅に帰ります。女性が病院に入院していたり、老人福祉施設に入所していたとしたら、夫は毎日妻と会いいっしょに食事をする生活は難しかったかもしれません。
宅老所がすべてではありません
宅老所は、上記のように既存の枠にとらわれない、柔軟なサービスを提供しており、その役割が非常に期待されていますが、これは、特別養護老人ホーム等の既存の老人福祉施設の存在を否定するものではありません。
寝たきりの高齢者の方など、看護(療養上の世話)や設備の面で特別養護老人ホーム等でなければ適切な対応ができない対象者もたくさんおられます。
その他
現在、佐賀県では地域共生ステーション(宅老所・ぬくもいホーム)推進事業として宅老所とぬくもいホームを一体的に推進しています。
詳しくは、「佐賀県地域共生ステーション(宅老所・ぬくもいホーム)推進事業」をご覧ください。