本県における地盤沈下の概況
地盤沈下とは、地下水を過剰に汲み上げることにより、粘土層が収縮し、地表面が沈む現象のことです。地盤沈下が進行すると、建物や道路の損壊、浸水被害、地下構造物の破損など、深刻な影響を引き起こします。
本県の佐賀・白石平野は、表層部に有明粘土層と呼ばれる含水率の高い極めて軟弱な層が分布しており、地下水位の低下による地盤沈下が生じやすい地帯となっています。
また、この地域は地理的に水源に乏しく、従来から農業用水や工業用水、水道用水等の水源を地下水に頼ってきたため、地盤沈下が進行してきました。
地盤沈下のイメージ図
地盤沈下防止等対策の推進
本県では、地盤沈下防止等対策を推進するため、佐賀・白石地域における代替水源の確保等の事業の推進を図る一方、地盤沈下モニタリング(地盤高・地下水位の観測)の実施、佐賀県公害防止条例(平成 15 年以降は佐賀県環境の保全と創造に関する条例。以下、「条例」という。)に基づく地下水の採取規制を行っています。
筑後・佐賀平野地盤沈下防止等対策要綱(S60国土交通省)の概要
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対 策 の 内 容 |
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規制地域 |
観測地域 |
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対象
市町村 |
佐賀地区 |
佐賀市(県道小城北茂安線以南)
小城市(旧牛津町、旧芦刈町の地域)
計210km2 |
佐賀市(旧佐賀市、旧大和町の規制地域以外)
神埼市(旧神埼町、旧千代田町の地域)
小城市(旧小城町、旧三日月町の地域)
吉野ヶ里町、みやき町、上峰町
計306km2 |
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白石地区 |
武雄市(旧北方町の地域)
大町町、江北町、白石町
計163km2 |
鹿島市
計112km2 |
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福岡県 |
なし |
久留米市、筑後市、大川市柳川市、他3町 |
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地下水
採取目標量 |
佐賀地区:600万m3/年
白石地区:300万m3/年 |
なし |
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地盤沈下防止等対策 |
1.地下水採取規制
2.代替水源の確保及び代替水の供給
3.節水及び水使用の合理化 |
適切な地下水の採取の指導 |
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観測・調査 |
1.地盤沈下状況の把握
・水準測量並びに観測井における沈下量、地下水位等の観測
・観測に必要な施設の整備等の推進
2.その他の調査
・井戸の水位及び水質等の一斉調査
・地下水採取量及び地盤沈下等による被害の実態調査
・地質、土質等の関連資料の収集
・水収支、塩水化、地下水かん養、地下水適正利用等の調査 |
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地盤沈下による
災害の防止・復旧 |
1.湛水災害防止及び河川管理施設等の機能復旧のための地盤沈下対策事業の推進
2.湛水災害防止及び河川管理施設等の機能復旧に資するその他の関連事業の推進
3.被害の発生した公共施設等の復旧に資する事業の推進 |
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要綱の推進 |
1.国による要綱に基づく施策の積極的な推進
2.国による関係地方公共団体への具体的施策推進の要請
3.国による関係地方公共団体等への助言、指導、その他必要な援助
4.必要に応じた国及び関係地方公共団体等による協議会の開催
5.要綱の実施状況のとりまとめ及び必要に応じた要綱の見直し |
地盤沈下モニタリング
(1)水準測量
国土地理院及び本県では、地盤沈下の状況を把握するため、水準点による水準測量を実施しています。
水準測量概要
| 測量機関 |
国土地理院 |
佐 賀
県 |
| 路 線 長 |
98km |
150km |
| 区 分 |
一等水準測量 |
一級水準測量 |
| 備 考 |
昭和46年度から毎年継続して観測 (測量基準日:2月1日) (一部は昭和32年度から実施) |
昭和46年度から毎年継続して観測 (測量基準日:2月1日) (一部は昭和45年度から実施) |
(2)観測井調査
佐賀県では、県内7観測所において地下水位及び地盤の変動、その相関関係を把握するための観測井調査を実施しています。これらの観測情報(地下水位及び地盤高のデータ)は、令和8年度(予定)より「佐賀県地盤沈下観測情報サービス(SALSIS〔サルシス〕)」にて、毎日更新されるリアルタイムデータとして確認することができます。


図 観測井調査概要
上記(1)(2)の過去の調査結果は、佐賀県ウェブサイト
(地盤沈下の概況)で公開しています。
佐賀県環境の保全と創造に関する条例による地下水採取規制
条例に基づき、揚水機の吐出口断面積の合計が21cm2を超える揚水施設及び特例承認を受けた揚水施設を有する事業所に地下水採取量の報告を義務づけ、地盤沈下の原因となっている地下水採取状況の把握を行っています。
条例による地下水採取規制に関する詳細については、次のリンク先を御参照ください。
・地下水の揚水施設設置の手続きについて(届出)