
伝染性紅斑の流行発生「警報」を発表します
佐賀県感染症発生動向調査(第31週:令和7年7月28日~8月3日)において、伝染性紅斑(リンゴ病)の定点医療機関当たりの患者報告数(注)が2.42(患者報告数29人)となり、流行発生警報の開始基準値である「2」を超えたことから流行発生警報を発表します。
伝染性紅斑(リンゴ病)の感染経路には接触感染や飛沫感染があります。予防には、しっかりとした手洗いや「咳エチケット」の実施が有効です。
(注)
・定点医療機関とは、感染症の発生状況を知るために対象感染症ごとに一定の基準に従って県が各地区に定めた医療機関のことです。
・定点医療機関当たりの患者報告数とは、一週間に一か所の定点医療機関でどのくらいの受診者がいたかを表すもので、全患者報告数を定点医療機関数で除した値となります。
佐賀県における定点医療機関当たりの患者報告数の推移

≪感染症発生動向調査に基づく流行発生警報の基準≫
佐賀県では、県全体の定点医療機関当たりの患者報告数が伝染性紅斑の警報開始基準値を超えた場合に、県民に対して注意喚起を行っています。
〔伝染性紅斑 流行発生警報基準〕
※流行発生警報の解除
県全体の定点医療機関当たりの患者報告数が流行発生警報の継続基準値を下回り、かつ、全保健福祉事務所管内での定点当たりの患者報告数が前週
の値を下回ったとき、自動的に解除されます。
伝染性紅斑とは
両頬に出現する赤い発しん(紅斑)を特徴とし、小児を中心にみられる流行性発しん性疾患です。両頬がリンゴのように赤くなることから「リンゴ病」とも呼ばれます。
これまで伝染性紅斑に感染したことのない女性が妊娠中に感染した場合、胎児にも感染し、胎児水腫などの重篤な状態や、流産のリスクとなる可能 性があります。
<病原体>
ヒトパルボウイルスB19
<感染経路>
・咳やくしゃみによる飛沫感染
・ウイルスのついた手で鼻や口に触れることによる接触感染
<症状>
・約10~20日の潜伏期間の後、微熱やかぜの症状などがみられ、その後、両頬に蝶の羽のような境界鮮明な赤い発しん(紅斑)が現れます。
・続いて、体や手・足に網目状やレース状の発しんが広がります。(1週間程度で消失。)
・中には長引いたり、一度消えた発しんが短期間のうちに再び出現することがあります。成人では関節痛を伴う関節炎や頭痛などの症状が出ることもあります。
※多くの場合、頬に発しんが出現する7~10日くらい前に、微熱やかぜのような症状がみられ、この時期にウイルスの排出が最も多くなりますが、発しんが現れたときにはウイルスの排出はほとんどなく、感染力もほぼ消失しています。
<妊娠中又は妊娠の可能性がある方へ>
熱や倦怠感が出現した後に発しんが出るなど、伝染性紅斑を疑う症状がある場合は、医療機関に相談しましょう。また、感染しても症状がない場合もあるため、周囲に伝染性紅斑の人がいる場合は、妊婦健診の際に、医師に伝えてください。
<予防法>
予防接種はありません。かぜ症状のある人はこまめな手洗いや、せきやくしゃみをする時には口と鼻をハンカチ等でおおうなどの「咳エチケット」
を心がけることが大切です。
<治療法>
基本的には軽い症状の病気のため、経過観察を含め、症状に応じた治療となります。
【参考】
・厚生労働省「伝染性紅斑」
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001488893.pdf