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令和5年 2月16日令和5年2月定例県議会 知事提案事項説明

最終更新日:

 令和5年2月定例県議会の開会に際し、県政を運営するに当たっての所信を述べさせていただくとともに、最近の動き、提案事項などについて御説明申し上げます。
 私は昨年末の佐賀県知事選挙において、県民の皆様の御支持により、引き続き3期目の県政を担わせていただくことになりました。今回は、新型コロナウイルス感染症への対応を続けている中で、12月6日から3日間程は鳥インフルエンザへの対応も重なり、公務をこなしながら限られた時間での選挙戦となりました。そうした中でも、多くの県民の皆様から、様々な声をお聴きし、たくさんの応援や励ましの言葉もいただきました。佐賀県民のために全身全霊をささげ、現場の声に寄り添いながら、この素晴らしい佐賀をさらに良くしていきたいという想いを強くしています。県民の負託を受けた責任の重さを胸に刻み、真摯に真っ直ぐにひたむきに県政を前に進めてまいります。県議会議員の皆様、佐賀県の発展のため、連携して共に県政を前に進めるべく、よろしくお願いいたします。
 県政運営に当たり、まず、私の最大の使命は、県民の命と暮らしを守ることです。新型コロナウイルス感染症や豪雨災害などへの危機管理対応に引き続き全力を尽くしてまいります。そして、「SSP構想」や「森川海人っプロジェクト」、「子育てし大県“さが”プロジェクト」など、佐賀の将来に向けてこれまで果敢に挑戦してきた様々な取組が、可能性に溢れる佐賀の土壌で芽を出し着実に育ってきています。佐賀が持つ本質的な価値を磨き上げ、これらの芽を大きく育て、「世界に誇れる佐賀」に向けてさらに花を咲かせてまいります。
 いよいよ5月13日には、SAGAアリーナがグランドオープンを迎えます。すり鉢状の形状をしたメインアリーナは、観客席が35度の急勾配でせり上がり、どこからでも臨場感たっぷりにパフォーマンスを体感できます。また、センターと壁面の大型ビジョン、アリーナをぐるっと一周するリボンビジョンの三つを全国で唯一常設し、圧巻のステージショーを演出するなど、まさに新時代のエンターテインメントアリーナです。6月4日に開催するオープン記念イベント「With You!~佐賀県文化芸術祭~」では、唐津くんちの曳山をはじめとする伝承芸能や、ミュージカル、管弦楽団など県内各地の文化芸術が集まって、県全体でお祝いしアリーナに県民の想いや息吹を吹き込みたいと考えています。その後には、B′zやユーミンの全国アリーナツアー、ディズニー・オン・アイス、日本ペインクリニック学会全国大会など、佐賀県初となるイベントが続々と決定しています。国スポ後の2025年には、日本青年会議所(JC)の全国大会が東京、福岡に続き佐賀で初めて開催されることも、嬉しいニュースとなりました。SAGAアリーナが、新たなドラマと感動を生み出し、未来につながる架け橋となってまいります。
 コロナ禍を機に、テレワークやキャッシュレス決済が当たり前になるなど、社会の変容とともにデジタル化は隅々まで浸透してきています。この流れはさらに大きくなっており、これから先、デジタルの先端技術があらゆる産業や社会生活に取り入れられ、イノベーションから今までにない新しい価値が創造されている未来の社会は、「Society5.0」とされています。
 私は、こうした時代の趨勢を見据え、これからの県政において、時代の要請に応える実践的な人材を生み出していくことや、佐賀をデジタル実証フィールドにすることなどによって、Society5.0の新たな時代が佐賀から見えてくるのではないかという思いを抱いています。
 佐賀県は、15歳未満人口割合が全国3位と人口当たりの子供の数が多い県です。しかし、県内の4年制大学の数は2校と全国で最も少ないことから、県内の大学に進学している人は2割にも満たず、8割以上の約2,800人が毎年県外の大学に進学しています。せっかく大切に育ててきた佐賀県の子供たちの多くを県外に流出させているばかりか、佐賀県で学び、活躍したいと思っている子供たちにとって機会損失を招いている状況は、残念でなりません。この構造的な課題を解決するためにも、佐賀県初の県立大学を設置することとし、このたび基本的な考え方を取りまとめました。今からつくる大学であるからこそ、未来に向けて羽ばたける大学にしたいという想いから、これからの時代に合ったITと経営をベースに学ぶ理文融合型の大学をつくりたいと考えています。また、佐賀だからできる新しい大学として、佐賀県全域を学びのフィールドとし、企業、研究機関、教育機関などと連携した実践的・課題解決型の学びや、デジタルの実証フィールドやスポーツなど県の施策を活用した学びを通じ、鳥瞰的な視点を持ち、自ら考え実践することのできる人材を育成したいと考えています。より多くの佐賀の子供たちが高い志と希望をもって県内で学ぶ、新たな選択肢となる県立大学の取組を、前に進めてまいります。
 AIなどのデジタル技術の進展を捉え、佐賀県は全国に先駆けて産業スマート化センターを開設し、デジタル技術を活用してビジネスの変革に挑む企業それぞれに寄り添い支援してきました。県の支援も契機にAIやIoTで全国的に活躍するIT企業もあり、デジタル技術を駆使したスタートアップ企業も登場しています。これらに加え、IT関連企業の集積に力を入れ、知事就任以降50件を超える誘致を実現しました。さらに、JAXAや全日空などとの連携を進め、様々な経験とアイデアの掛け合わせによるイノベーションの創出に挑んでいます。こうした佐賀県が培ってきた強みや優位性を活かし、佐賀をデジタルの実証フィールドにしていきたいと考えています。1月から開始した吉野ヶ里歴史公園での自動運転モビリティ走行に続き、来年度、SAGAサンライズパーク一帯では、自動運転バスの走行や5Gを活用した臨場感あるスポーツ映像の配信、遠隔操作するロボットでの離れた場所からのイベント参加などの実証実験を行います。また、人工衛星を使った農作物の作付確認や、山間部等におけるドローンを活用した配送などにも取り組み、様々な実証にチャレンジします。デジタル技術でイノベーションを巻き起こし、佐賀から未来の扉を開いてまいります。
 次に、鳥インフルエンザ対策について申し上げます。
 昨年12月6日、武雄市において、県内では約6年ぶり3例目となる高病原性鳥インフルエンザが発生しました。発生後、直ちに発生農場を中心とした移動制限区域の設定などを行うとともに、防災監を現地対策本部に派遣して、発生農場における殺処分や埋却処分等の防疫措置を進めました。関係機関と連携し様々な面で先手先手で備えていたことで、迅速かつ臨機応変なオペレーションを実施することができ、国の目安を大きく前倒しして、半分程度の短時間で防疫措置を完了しています。その後、移動制限区域内の他の農場で新たな発生がないことを確認し、12月29日から制限を解除することができました。今回、防疫措置などに多大な御協力をいただきました建設業者、農業団体、武雄市、国の関係機関などの方々に対しまして、厚く御礼を申し上げます。
 今シーズンの国内での発生件数は過去最多を記録し九州でも多数発生しています。本県においてもまだ予断を許さない状況が続いていることから、先月末の対策本部会議において消毒命令を3月末まで延長し、今月初めに3回目となる農場消毒用消石灰の全県配布を行いました。今後も警戒体制を継続し対応してまいります。
 次に、新型コロナウイルス感染症対策について申し上げます。
 佐賀県では、昨年1月からオミクロン株による感染が始まりました。感染者数は、以前のデルタ株までが5千人であったのに対し、オミクロン株に置き換わったこの1年余りでは25万人を超えています。このオミクロン株は、感染スピードは速いものの、ほとんどが軽症か無症状です。佐賀県は、こうした特性をいち早く分析して、重症化リスクが高い高齢者などの対策に重点を置き、プロジェクトMにより病床のひっ迫を抑え、救急医療や通常診療の体制を維持してきました。また、医療機関等の負担となっていた発生届の全数報告を全国に先駆けて見直し、「佐賀型フォローアップシステム(SFS)」によって、発生届の対象から外れる方にもこれまでどおりの必要に応じた支援を届けています。そして、秋口からの季節性インフルエンザとの同時流行に対しては、コロナを疑う患者は自主検査をして受診を控えるよう国が呼びかける中で、佐賀県は医療機関の協力によりコロナであっても受診できる体制を維持しています。こうして、佐賀県は行政、医療関係者、県民が一丸となり佐賀県独自のオミクロン株対策を実施してきました。
 国においてはようやく、5月8日から、コロナの感染症法上の取扱いを季節性インフルエンザなどと同じ5類に引き下げることが決定されました。5類移行に当たって、国には、国民にとって分かりやすく納得できる方針を、できるだけ早く出していただきたいと思います。佐賀県としては、これからも医療機関等と連携して、県内の状況に応じた対策を考えてまいります。
 続きまして、当面の諸課題への対処方針について申し上げます。
 まず、玄海原子力発電所についてです。
 3、4号機については、特定重大事故等対処施設の工事が続けられてきましたが、3号機は工事が昨年12月5日に完了して同月12日から、4号機も今月2日に完了して9日から、それぞれ発電を再開しています。
 昨年12月28日には、九州電力から安全協定に基づき2件の事前了解願いが提出されました。4号機において、使用済燃料発生量の低減等のため、現行燃料よりも長く使用できる燃料を導入する計画と、1、2号機において、解体作業を円滑に進めるため、廃棄物処理設備を2号機の設備に集約するなど廃止措置計画を変更するものです。これらについては、現在、原子力規制委員会による審査が行われており、県としては、国の審査状況を注視してまいります。九州電力に対しては、国の審査に真摯に対応するとともに、県民に対し分かりやすく丁寧な説明を行うことを求めています。先月25日に九州電力の池辺社長が来訪された際には、安全第一で信頼を積み重ねていただくよう改めて要請しました。
 玄海原子力発電所とは、廃止措置を含めて、これからも長い年月にわたり関わり続けなければなりません。今後とも、県民の安全を何よりも大切に、県も含め全ての関係者の中に気の緩みが生じることがないよう万全を期してまいります。
 次に、佐賀空港の自衛隊使用要請について申し上げます。
 有明海漁協は、昨年11月1日に、公害防止協定覚書付属資料の変更を受け入れ、「県は佐賀空港を自衛隊と共用することができる」とする決定をされ、同日、その旨の回答文書を頂きました。
 その後、県と防衛省との共催で、年の瀬ではあったものの、佐賀市からの年内開催の強い要請を受け、12月25日から27日までの3日間、県民の皆様を対象とした説明会を開催しました。12月25日には、私も出席し、国防の大切さや防衛省からの要請を受け入れた経緯、判断した理由などを説明しました。さらに、先月29日及び今月5日には、佐賀市と防衛省の調整により、川副町などで地域住民を対象とした説明会が開催され、県も出席し、参加者からの質疑に対し県の考えを説明しました。
 今後は、事業主体である防衛省において、用地取得や駐屯地の整備に向けて具体的に取組が進められていきます。特に、漁協の皆様の関心の高い排水対策については、ノリ養殖に影響がないように、防衛省と協力し、有明水産振興センターの知見も活かしながら、実効性のある対策となるよう取り組んでいきます。
 次に、有明海の再生について申し上げます。
 今年度の有明海のノリ養殖については、昨年10月以降の降水量の不足や漁期直前からの赤潮の発生により、例年になく栄養塩が低下した状況が続きました。このため秋芽ノリについては、当初から全域で色落ち被害が発生し、生産枚数・金額ともに昨年の半分を下回る非常に厳しい結果となっています。年明けからの冷凍網期に入った後も状況は好転せず、漁場全域で色落ち被害の発生を確認したことから、県では、緊急対策として赤潮プランクトンの捕食効果が高いカキを漁場へ設置することとし、全域の漁場に約20トンを設置しました。その後、寒波の到来も相まって、赤潮プランクトンは全域で減少し栄養塩も回復していますが、現時点までの生産枚数・金額はともに昨年の半分程度と依然として厳しい状況です。
 1月23日には私が農林水産省を訪問し、今漁期の大変厳しい現状を説明して、国においても、赤潮の発生原因の究明や赤潮プランクトンを捕食する二枚貝類の回復など、ノリの安定生産に向けた対策の充実を強く要望してまいりました。県においても対策に力を入れてまいります。来年度は、底質改善につながる海底耕うんを本年度の2.5倍の1,500ヘクタールに拡大し、二枚貝サルボウの人工稚貝の放流においても本年度の2倍の200万個に増やします。海域環境の改善を図り二枚貝類の資源回復を進めることで、赤潮の発生を抑えノリ養殖の安定生産につなげていきたいと考えており、厳しい環境でも努力されている漁業者の皆様を応援してまいります。
 宝の海である有明海の再生は、国や県、市町、漁業者など有明海に関わるもの皆で取り組む課題です。今後も、有明海の再生という本来の目的を見据え、関係する皆で力を合わせて全力で取り組んでまいります。
 次に、九州新幹線西九州ルートについて申し上げます。
 昨年9月の西九州新幹線開業後、イベントやキャンペーンとの相乗効果もあり、県内の宿泊稼働指数が11月から2か月連続で全国1位になるなど多くの方に佐賀を訪れていただいています。開業と同時に運行を開始した、有明海に沿ってスローな旅を楽しめる「ふたつ星4047」も3か月間の平均乗車率が95%と好調です。開業を契機とするこうした効果がこれからも継続し広域に波及するよう、そこにしかない魅力の磨き上げと発信に取り組んでいる市町や地域をしっかり後押ししてまいります。
 西九州新幹線の開業に伴い、特急列車が大幅に減少し、肥前浜駅から太良方面が非電化区間となった長崎本線の江北-諫早間は、懸念していた利便性の低下が顕在化しています。このため、県は昨年12月に沿線市町とともに、こうした課題を共有し利用者の意見を集約して対応策を検討するためのチーム(チームD)を立ち上げました。これまでJR九州に対して、江北駅と肥前浜駅での乗換負担の軽減や、学校の始業・終業時刻を踏まえたダイヤ調整などについて、具体的な対応策を提案し改善を求めています。また、施設面については、上下分離方式へ移行したことで、駅舎等を県が維持管理するようになったことから、県において、多良駅へのアプローチ改善や駅トイレの洋式化などに順次取り組んでいます。利用者の目線に立って、利便性の改善につながるよう沿線市町とともに取り組んでまいります。
 また、県南西部の玄関口である肥前鹿島駅については、駅エリア全体が「鹿島らしさ」を感じられる訪れたい場所となるよう整備を進めています。
 国土交通省鉄道局との「幅広い協議」については、今月9日に第7回の協議を行い、鉄道局から空港直結ルートの技術的な検討結果について説明がありましたが、フル規格を議論するのであれば、佐賀県の発展や九州の将来展望にどうつながっていくのかなど、大きな視点での国土交通省としての考えを示すよう、改めて求めています。
 次に、城原川ダム事業について申し上げます。
 城原川ダム事業については、現在、ダム本体や付替道路の調査・設計、用地調査、家屋調査などが行われ、ダム建設に向けて着実に進捗している状況です。また、水没予定地域では、国と住民代表の方々との間で用地補償に向けた土地の地目認定などの協議が進められており、集団移転のための候補地選定の作業も丁寧に進められていることで、住民の皆様の生活再建への機運も高まってきています。
 県としては、地域の治水対策を進めるため、一日も早いダム完成を目指した事業の推進と必要な予算の確保を、引き続き国に働き掛けてまいります。水没予定地域の集落では、人口減少と住民の高齢化も進んでいます。長年にわたりダム問題で御苦労されてきた住民の皆様が具体的な生活再建に向け踏み出せるよう、国や神埼市と連携して、お一人お一人に寄り添いながら、きめ細やかな支援を心掛けてまいります。
 続きまして、提案事項について御説明申し上げます。
 令和5年度当初予算につきましては、「さが新時代を切り拓く」との考えのもと、これまで種を蒔き、芽吹いてきた様々な取組をこれからさらに花開かせていきたい、そして、新たな時代に向かって県民の皆様とチャレンジしていきたいとの想いで編成いたしました。
 知事就任以来、常に先を見ながら、「子育てし大県“さが”プロジェクト」や「森川海人っプロジェクト」、「SSP構想」など、社会の趨勢を見据えたプロジェクトに取り組み、佐賀の未来につながる種を蒔いてきました。そして2期目では、新型コロナや豪雨災害、原油・物価高騰など、県民の命と暮らしを守ることに最優先で取り組みながらも、応急的措置だけでなく、新分野進出、業態転換などの中小企業のチャレンジ支援や、文化芸術の公演の配信などにより新たな活動モデルを創出する「LiveS Beyond(ライブスビヨンド)」、次の豪雨を想定し内水対策に取り組む「プロジェクトIF」、肥料価格高騰を機に堆肥へ転換し循環型農業を推進する取組など、幅広い分野で、未来に希望が見える次のチャレンジの種を蒔いてきました。コロナ対策のフェーズが変わろうとしており、いよいよ社会全体がコロナ禍から新たな時代に向かい歩み始めています。これまで仕掛けてきた様々な施策や戦略の種も芽を出し花開いてきています。これらをさらに大きく花開かせ、そして、県民の皆さんとともに未来へのチャレンジを続けることで「さが新時代」を創ってまいります。
 令和5年度当初予算案の総額は、歳入歳出とも、それぞれ
一般会計     5,365億4,400万円
特別会計    約2,065億  400万円
となり、一般会計を前年度当初予算と比較すると、約345億円の減、率にして約6%の減となっています。減少の主な要因としては、新型コロナ対策関連経費が約173億円の減、SAGAサンライズパーク整備費が約125億円の減、災害復旧関連経費が約29億円の減など、臨時的な経費の減少によるものです。他方、通常の政策的経費については約37億円の増加となっており、各分野の施策をさらに推進してまいります。
 財政運営については、税収等の状況変化に応じてローリングを行い検証しています。今回、当初予算の編成に当たっても、財政調整積立金残高や将来負担比率を検証しながら予算編成を行いました。財政調整積立金残高については、令和8年度末の計画額約130億円を確保できる見通しです。また、将来負担比率については、令和4年度末に約150%でピークを迎えると見込んでいましたが、基金残高の確保などにより、令和4年度末は約130%に改善しています。この先2年程度がピークとなりますが、約140%程度に収まり、県債残高の減少とともに徐々に良くなっていく見通しで、安定的な財政運営ができています。今後も財政状況については外的なものを含め様々な要因で変化することから、常に財政規律に配慮しつつ、佐賀の未来を見据えた県政運営に努めてまいります。
 次に、予算案の主な内容について申し上げます。
 まず、子育てし大県“さが”プロジェクトについてです。
 「佐賀県で子育てがしたい、子育ては楽しい」と思われるような県づくりを推進する「子育てし大県“さが”プロジェクト」に取り組んでいます。結婚から妊娠、出産、子育てという各ライフステージに応じた切れ目のない支援は年々充実し、現在では約70もの事業を展開しています。こうした数々の支援が確実に行き渡るよう、子供が生まれた県内の全ての世帯に「さが子育てエール便」を配布し、佐賀らしさが詰まったギフトとメッセージカードを添えて支援の情報をお届けすることといたしました。佐賀の子育てのしやすさを、全ての子育て世代にもっと知ってもらえるよう取り組んでまいります。
 次に、新生児スクリーニング検査の拡充について申し上げます。
 生まれつきの病気を早期発見する新生児スクリーニング検査は、現在、代謝やホルモン分泌の異常などに関する20疾患が公費検査の対象です。同じく生まれつき遺伝子に原因がある脊髄性筋萎縮症と、免疫に原因がある重症複合免疫不全症については、近年の治療薬の開発などにより早期の発見で治療が可能であるものの、県内では検査が受けられませんでした。いずれも、発症すると命に関わるおそれがあるものであり、県では、この二つの疾患について、県内でも検査が受けられるようにした上で、検査費用を県独自に負担することといたしました。佐賀の子どもたちの、検査で救えるかけがえのない命を守ってまいります。
 次に、児童思春期の精神科医療の充実についてです。
 近年、不登校や摂食障害、ゲーム依存など、何らかの心の問題を抱える子どもが増加しており、症状が深刻化し入院を余儀なくされる場合もあります。早期の入院治療によって重症化を防ぐ可能性が高まることから、県内で唯一児童思春期専門病棟を有する肥前精神医療センターにおいて、入院患者の受入拡充が可能となるよう、平日夜間及び休日の入院医療体制を強化することといたしました。
 次に、小児がん患者等とその家族への支援について申し上げます。
 小児がんなどの患者は、東京や大阪など県外で高度な治療を受けることもあり、通院費用が大きな経済的負担となっています。そのため、小児がん患者等を支える家族のためにも、患者と家族の交通費を支援することといたしました。佐賀県は、小児がん患者等に対して、治療で失った免疫を再び得るための予防接種の再接種や、将来子供を産み育てるため精子や卵子を凍結保存するなどの妊孕性温存治療、在宅療養に必要な訪問介護などを支援しており、九州では一番手厚い支援体制を整えていると自負しておりますが、今後も色々な声を聞きながら、支援を充実させていきたいと思っています。
 次に、多久・小城地区新公立病院建設への支援についてです。
 現在、多久市と小城市では、施設の老朽化や地域の医療ニーズの変化に対応するため、それぞれの公立病院を統合して新たな公立病院の設置が進められています。新病院では、救急医療や外来医療の強化をはじめ、新興感染症への対応や在宅医療など新たな医療ニーズへの対応が強化される計画となっており、県としても、建設を支援し、地域の医療提供体制を守ってまいります。
 次に、“さがすたいる”について申し上げます。
 佐賀県では、誰もが自分らしく、心地よく過ごせる、佐賀らしいやさしさのカタチ“さがすたいる”を進めています。これまで、“さがすたいる”に関する様々な情報発信や、障害のある方を講師とする学校出前講座、さがすたいるフェスなどに取り組んできました。このほか、一昨年からは、同性のカップルなど性的マイノリティの方々が自分らしく輝いて欲しいとの想いで「佐賀県パートナーシップ宣誓制度」を導入し、現在15組の方が宣誓されています。また、昨年には、佐賀県立図書館において、県立としては全国初となる、高齢の方や障害のある方、子育て中の方など、誰もが読書を楽しめる専用ルーム「みんなの森」をオープンしました。来年度は、佐賀さいこうフェスにおいて「さがすたいる映画館」を実施します。視覚や聴覚に障害がある方も音声ガイドや字幕によって楽しむことができ、サポートボランティアが、車椅子やベビーカーなど、館内の移動等をお手伝いして、みんなで楽しめるものをつくっていきたいと思います。
 “さがすたいる”を通じて、年齢や性別、国籍、障害の有無など、一人一人が、同じところも違うところもあるという多様性を自然に受け入れ、みんなが自然と支え合う人に優しい社会を目指してまいります。
 次に、SSP構想の推進について申し上げます。
 SSP構想をスタートして5年が経過し、現在では多くのSSPアスリートが全国、世界で活躍しています。
 昨年末の全日本選手権では、クレー射撃の脇屋昴選手、セーリングの南里研二選手、テコンドーの濱田康弘選手、レスリングの角雅人選手、フェンシングエペ男子佐賀県チームが、それぞれ優勝し、今後、世界選手権などに出場します。また、柔道の近藤隼斗選手が昨年末の国際大会グランドスラム東京で2位となり、先の講道館杯での優勝に続く活躍を見せています。今年は来年のパリ五輪の出場権をかけた勝負の年であり、一人でも多くチャンスを掴み取ってほしいと思います。
 中高生アスリートもこれに続く活躍を見せています。レスリングでは鳥栖西中3年の小柴ゆり選手が、テコンドーでは佐賀工業2年の岡本留佳選手が昨年末の全国大会で優勝し、サッカーのサガン鳥栖U-18は、高円宮杯で優勝してユースと部活動を合わせた高校生チームの頂点に立ちました。
 こうした活躍が続いていることに、アスリートの人生にコミットしながら、人材育成、就職支援、練習環境の充実を一体的に進めているSSP構想が好循環を生み出していることを実感しています。この流れをさらに推し進め、次のステージを開いていくために、来年度からは、新たに科学とビジネスの視点を取り入れた取組にチャレンジします。
 まず、西九州大学と連携して、国立スポーツ科学センターの知見に基づいたアスリート用の体力測定や運動能力測定ができる体制を整え、科学的な育成・支援体制の構築に取り組みます。また、女性アスリートの健康を守るため、医師会や県スポーツ協会などと連携した全国初の「アスリートウェルネス協議会(仮称)」を設立し、女性アスリート特有の健康問題を解決する枠組みを構築して、安心して競技を続けられる環境を整えてまいります。
 そして、佐賀県には、サガン鳥栖や久光スプリングスなど多彩なジャンルのプロスポーツチームの拠点があり、5月にはSAGAアリーナがグランドオープンします。こうした豊かなスポーツ資源を持つ佐賀の強みを活かして、健康、教育、観光など様々な分野で民間企業の技術、ノウハウ、サービスなどとのマッチングを進め、新たなスポーツビジネスの創出につなげてまいります。
 SSP構想を進め、世界に挑戦するトップアスリートの育成と、スポーツを活かしたビジネスシーンの普及を進め、行政、スポーツ界、企業・団体などが一体となって、スポーツのチカラを活かした人づくり、地域づくりを進めてまいります。
 次に、「SAGA2024」国スポ・全障スポについて申し上げます。
 来年10月の本大会の開催まであと1年7か月余りとなり、準備を加速させる段階となってきました。
 先月には、大会の公式イメージソング「Batons~キミの夢が叶う時~」を発表しました。歌唱はE-girlsで活躍された鷲尾伶菜さん、作曲は千綿偉功さん、作詞は326さんと、佐賀県出身の3人がタッグを組んで制作してくれました。この曲には、スポーツが「する、観る、支える」と様々な人々の関わりで成り立っており、そして、誰もが多くの人に支えられて生きているという意味が込められています。SAGA2024を盛り上げ、大会終了後も、人生の様々な場面で皆さんの背中を押し続けるエールソングになってほしいと願っています。
 5月からは、リハーサル大会として、各競技の全国や九州大会クラスの大会が県内各地で順次開催されます。そこで得た課題や経験を踏まえ、本大会に向けて競技団体や市町とともに、運営方法の改善などにつなげてまいります。10月には、最後の国体となる「燃ゆる感動 かごしま国体・かごしま大会」が開かれます。SAGA2024と双子の大会と位置付け、「エールプロジェクト」としてスポーツだけでなく、歴史や教育の面でも幅広く交流を進めてきました。この大会を一緒に盛り上げ、鹿児島県からバトンを引き継ぎたいと思います。
 SAGA2024は「体育」から「スポーツ」に変わる最初の大会です。エンターテインメント性あふれる演出やナイトゲームの開催、個人表彰の創設など、新たな取組にチャレンジし、全ての人にスポーツのチカラを届ける「新しい大会」の実現を目指してまいります。
 次に、市村記念体育館のリニューアルについて申し上げます。
 市村記念体育館は、佐賀県出身でリコーの創業者である市村清氏が、昭和38年に、県民の体育と文化の振興を目的に県に寄贈したもので、歴史的価値が高い建物です。長年県民から愛され、肥前さが幕末維新博覧会ではメインパビリオンとして活用したこの大切な建物を、市村氏の志を受け継ぎ、佐賀の未来を創っていく場所にリニューアルしたいと考えています。国の交付金を活用して施設の耐震化や設備の更新などの改修を行ったうえで、多彩な文化・芸術の体験や創作活動により新たな価値を生み出す文化創造拠点とするとともに、災害時には避難施設としても活用できる恒久的な施設としてまいります。
 次に、江藤新平特別展についてです。
 近代日本の根幹を創った江藤新平の没後150年にあわせて、佐賀城本丸歴史館において特別展を開催します。江藤新平は、初代司法卿として民主的な司法制度を導入し、首都を東京に移すことをいち早く提唱するなど、明治政府で数多くの功績を残しました。しかし、佐賀戦争で非業の死を遂げたことが、その輝かしい功績を霞ませ、佐賀の賢人の中にあっても、必ずしも正当な評価がなされてきませんでした。没後150年を機に改めて江藤新平の功績や高い志を多くの県民に知っていただくとともに、県外に向かっても発信をしていきたいと思います。
 次に、やきもののまち有田が輝くための取組については、コロナ禍などの影響もあり厳しい状況が続いている有田焼の産地の方々に、エールを送り前を向いてもらいたいとの想いを込めて、有田町と連携して、アリタセラ・クリスマスマーケットを開催します。アリタセラの雰囲気を活かして、特に若い世代のやきものファンを獲得する機会とし、有田焼を盛り上げる大きなきっかけとしてまいります。
 次に、くらしに身近な地域交通への支援についてです。
 市町が運行しているコミュニティバスやデマンドタクシーは、買い物や通院など、くらしの移動手段として、住民の皆さんが住み慣れた地域で安心して生活し続けるために必要不可欠なものです。今回、利用促進計画を立てて運賃の引き下げなどに取り組む市町に対し、奨励金を交付することとし、くらしに身近な地域交通が、利用しやすく、持続可能なものとなるよう支えてまいります。
 次に、ガストロノミーの環境づくりについて申し上げます。
 ガストロノミーは、フランス語で美食を意味する言葉ですが、その本質は、地域の気候風土が生んだ習慣、伝統、歴史などによって育まれた、食や食文化を体験・考察することであり、県ではこれまで、料理人の感性で佐賀県の食材と器を調和させ、その魅力や価値を磨き上げる「サガマリアージュ」に取り組んでいます。ヨーロッパ諸国では、バカンスなどを利用してガストロノミー体験を楽しむことが自然で、スペインのサン・セバスティアンもその目的地として有名です。昨年2月にスペイン大使館と締結した連携交流の覚書でもガストロノミーに関する連携がテーマのひとつになっています。今回、サガマリアージュに加えて、新たに風光明媚なロケーションで地元の料理人・食材・器によって料理を楽しむ体験型イベントなどにも取り組み、佐賀の自然、文化、食などを活かしたガストロノミーの環境づくりを進め、佐賀の魅力を高めてまいります。
 次に、OPEN-AIR佐賀の推進について申し上げます。
 県では、佐賀が持つ豊かな自然を活かし、様々な魅力を体感するOPEN-AIR佐賀を推進しています。柱の一つとして進めているキャンプ場整備では、民間との協調で運営している波戸岬キャンプ場は、利用者が6倍に増える人気となっています。北山エリアにおいては、現在、レイクサイド北山(仮称)として、キャンプ場の再整備など美しい森と湖のエリアをリブランディングしており、今年の夏にリニューアルオープンする予定です。今回新たに、吉野ヶ里歴史公園について、民間のノウハウ、アイデアを活用し、キャンプフィールドや、飲食機能を備えた拠点施設などを整備することとし、海、山に次ぐアウトドアの拠点としてまいります。
 次に、地球温暖化対策について、本県ではこれまで、温室効果ガスの削減に向けて、再生可能エネルギーの導入促進や、歩くライフスタイルの推進などに取り組んでいます。企業が温暖化対策に取り組むことは競争力を高めるチャンスでもあることから、県では新たに、企業活動のグリーン化に意欲的に取り組むモデル企業を創出し、その成果を広く県内へ波及させたいと考えています。また、サガン鳥栖と連携して、ホームゲームにおいて、公共交通機関の利用促進とリユーザブル容器でごみを削減する、ゼロカーボンチャレンジマッチを開催するなど、県民の皆様の温暖化対策への意識を高め、行動変容を促してまいります。
 次に、農業の担い手づくりについてです。
 市町やJAなどと一体となって取り組んでいるトレーニングファームについては、これまでに5箇所整備し、37名の新規就農者が生まれています。来年度からは更なる新規就農者の確保に向け、先進農家にトレーナーになっていただき、その農家の圃場の近くに研修用ハウスを整備するミニトレーニングファームに取り組みます。小規模ではあるものの、取り組みやすさを活かして、来年度はいちご、アスパラガス、ぶどうなどで6箇所を設置する予定であり、まだ設置していない地域や品目にも幅広く拡大してまいります。また、大規模園芸団地の整備についても、来年度は新たに2箇所整備することとしており、就農者の受け皿も拡大してまいります。
 次に、プロジェクトIFについて申し上げます。
 「佐賀県内水対策プロジェクトチーム(プロジェクトIF)」は、今年で3年目を迎えます。気候変動により豪雨災害は毎年起こりうるとの想定のもと、「人命等を守る」「内水を貯める」「内水を流す」これら三つの柱で、内水対策をトータルで進めています。「人命等を守る」対策では、これまで、浸水センサーを272箇所、内水監視カメラは23箇所設置し運用を開始しています。「内水を貯める」対策では、武雄市北方町の焼米ため池において緊急放流ゲートの整備を進めており、また、現在9市町約1,200ヘクタールで取り組んでいる田んぼダムについては、来年度は新たに小城市と江北町が加わり約2,300ヘクタールに拡大します。さらに、「内水を流す」対策については、5台の排水ポンプ車「ファイブスターズ」を各土木事務所に配備し、河川の浚渫は本年度117箇所を実施中ですが、来年度はさらに上回る121箇所で実施する予定です。広田川排水機場の新設や既存の排水機場のポンプ増設、耐水化工事も進めます。
 再び豪雨災害が発生しても、プロジェクトIFと六角川水系での激特事業などが相まって、浸水被害が小さくなったと実感できるよう、国や市町等の関係機関と連携しながら全力で取り組んでまいります。
 次に、佐賀を支える社会資本の整備について申し上げます。
 県が整備を進めている、広域幹線道路網の東西軸となる有明海沿岸道路と、南北軸となる佐賀唐津道路が接続する「Tゾーン」については、橋梁や地盤改良、盛土の工事を展開して事業の進捗を図っています。福富鹿島道路については、全体を早くつなげるため、鹿島側から現地でのボーリング調査等を進め、道路の詳細な設計に着手してまいります。国が整備を進めている大川佐賀道路については、昨年11月12日に諸富インターチェンジが開通し、(仮称)川副インターチェンジに向けた整備が進んでいます。また、鳥栖市においては、(仮称)味坂スマートインターのアクセス道路となる県道鳥栖朝倉線について、昨年12月に九州縦貫自動車道を跨ぐ橋を架設して整備を進めており、唐津市においては、国道204号唐房バイパスが秋に全線開通する予定です。このほか、県全域において地域の生活を支える道路の整備や、安全安心を支える交通安全対策なども進めています。引き続き、地域の発展と県民の暮らしを支える基盤として、広域幹線道路やくらしに身近な道路の整備を着実に進めてまいります。
 国際コンテナターミナルである伊万里港については、昨年11月に、コンテナの積み下ろしに使うガントリークレーンの2号機、愛称「まりん」を供用開始しました。七ツ島地区では、臨港道路七ツ島線の供用開始でアクセスが大きく向上しています。令和5年度は、久原地区における通勤時の渋滞緩和に向けて、久原臨港道路の4車線化に着手します。こうしたコンテナターミナルの機能強化とともに、台湾や東南アジアなどに向けた新規航路の誘致を進め、伊万里港の飛躍につなげてまいります。
 今後も、人々の暮らしを守るとともに、人やモノの交流を促進し、地域の活力を生み出していくための基盤となる社会資本の整備を着実に進めてまいります。
 次に、令和4年度補正予算案の概要について申し上げます。
 補正予算の編成に当たりましては、11月補正後の情勢の推移に対応することといたしており、今回提案いたしました令和4年度2月補正予算案の総額は、歳入歳出とも、それぞれ
一般会計   減額 約107億4,900万円
特別会計       約11億9,700万円
となり、これを既定の予算額と合わせますと、本年度の予算総額は、
一般会計   約5,995億3,900万円
特別会計   約1,986億8,700万円
となっております。
 今回の補正予算の編成に当たっては、必要な経済対策を国の補正予算を活用して行うこと、そして、年度末での事業の精算を行うことを前提といたしました。減額補正となっている要因としては、経済対策や原油価格・物価高騰対策で約41億円の事業予算を計上する一方、その他の事業の精算などで約148億円の減額となったことによるものです。
 次に、予算案の主な内容について申し上げます。
 まず、ものづくり企業への支援については、コロナ禍や物価高騰等の社会経済情勢の変化に打ち勝ち、更なる成長に向けて、デジタル化やグリーン化、新分野進出など、攻めの設備投資を行うものづくり企業の挑戦を強力に後押しします。一定の賃上げを行う場合には補助率を引き上げるなど、企業のチャレンジを加速させてまいります。
 次に、肥料価格高騰に立ち向かう農家への支援について申し上げます。
 肥料の価格高騰を受け、県では9月補正予算において、秋の作付けに必要な秋肥購入に対し、国の支援が受けられず農家負担が増える部分についての県独自の支援を措置しました。依然として価格が高止まりしていることから、水稲や大豆、アスパラガスなどの春作物に必要な春肥についても、同様に支援を行ってまいります。
 また、肥料から堆肥への転換に向け、散布しやすくするための堆肥の加工や、散布機械の導入などへの支援についても、9月補正予算で措置していましたが、予算を大幅に上回る申請を頂いていることから、予算を増額することとし、堆肥が資源として循環する持続的農業への転換を促進してまいります。
 次に、予算外議案といたしましては、条例議案として23件、条例外議案として13件となっています。
 このうち、乙第11号議案「全ての佐賀県民が一人一人の人権を共に認め合い、支え合う社会づくりを進める条例(案)」につきましては、情報化等の進展に伴い人権に関する問題が複雑多様化する中、特にインターネットによる誹謗中傷等が大きな課題となっていることから、新たな人権尊重条例を制定するものです。不当な差別やいじめ、虐待、誹謗中傷等を「してはならない行為」として規定するとともに、県は、表現の自由を不当に侵害しないよう留意しつつ、インターネット上の誹謗中傷等について、必要と認められる場合には、プロバイダー等に対して削除要請を行います。県内でも様々な人権問題が発生しています。本条例により、県民一人一人が問題を自分のこととして考え、自ら行動していくことを促し、県民皆が人権を共に認め合い、支え合う社会づくりを進めてまいります。
 最後になりますが、私は、この3期目に当たっても、引き続き、人を基軸に考えることで佐賀を輝かせていきたいという思いを込めて「人を大切に、世界に誇れる佐賀づくり」を基本理念とし県政を推進してまいります。
 佐賀県は、大陸に近く東アジアの中央に位置するなどの高い地理的優位性があります。そして、自然に恵まれ、豊富な農林水産物、連綿と続く歴史や文化、地域の人々の絆の強さなど、本物の地域資源に溢れています。私は、佐賀県が、こうした唯一無二の素晴らしさに裏打ちされ、その本質的な力を開花させて躍動している未来を思い描いています。そして、佐賀に生きる全ての人が、尊厳が守られ、慈愛に満ち、人と人との結びつきが社会を支えている未来、さらには、この佐賀の地から、DXやSDGsなど、ものの本質的な姿が生み出され、その果実を県民が享受している未来を創りたいと思っています。
 私は、こうした佐賀の輝く姿を実現していくとの想いで日々県政に取り組んでいます。そのためには何より、佐賀に住む私たち自身が、佐賀が持つ本質的な素晴らしさに気付き、佐賀に誇りと愛着を持つことが大切です。「佐賀さいこう!」を合言葉に様々な取組を重ね、多くの県民の皆様が「佐賀が好き」と感じ、県内各地で自発の地域づくりが生まれているなど、県民の皆様の心に佐賀への愛着と誇りが醸成されつつあると感じています。また“さがすたいる”では、みんながお互いに自然と支え合う優しい社会、一人一人が特性や個性に応じて力を発揮し共に前へ進む社会が、佐賀の地から広がってきています。そして、“さがデザイン”を軸として、佐賀の本質にコミットし磨き上げている様々な施策は、環境や子育て、デザインなどの実践的な取組で連携が進むフィンランドや、ガストロノミー、ツーリズムなどの分野で交流が始まっているスペインなど、国内よりむしろ世界の国々から評価が高まっています。
 こうして、創り上げられる未来の姿に向かって、一歩一歩、そして時には大きく、佐賀県が前進していると実感しており、この歩みをさらに幅広い分野で、大きく力強くしていきたいと思います。
 今、世界は激しく動き、時代は大きな変革期にあります。こうした時であるからこそ、世界の情勢を鳥瞰的に見て、想像力と構想力を発揮し、佐賀の未来を描き創り出してまいります。そして、これからも、人にこだわり、佐賀が持つポテンシャルを最大限に活かし、果敢にチャレンジを続けていく。そんな「人を大切に、世界に誇れる佐賀県」を力強く創ってまいります。
 以上、今回提案いたしました議案などについて御説明申し上げました。
 よろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。





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