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令和4年 9月1日令和4年9月定例県議会 知事提案事項説明

最終更新日:

 令和4年9月定例県議会の開会に当たり、最近の動き、提案事項などについて御説明申し上げます。
 日本の社会が新型コロナウイルス感染症と向き合い始めて2年半が経ちます。このコロナ禍において、佐賀県は140回を超える対策本部会議を開催して、先手先手でメリハリある対策を打ち、県民の命と暮らしを守ることに全力を注いでいます。また、目の前のコロナ対応を行いながらも、ピンチをチャンスに変えたいとの想いで、コロナ後の社会を見据え、新しい佐賀県を創造する取組に様々チャレンジしてきました。そうした中で実を結んだものの一つが、アサヒビールの佐賀県内への誘致でした。県が前面に立ち、迅速に立地にあたっての課題解決に動くなど、積極的な誘致活動が功を奏し実現に至りました。県と鳥栖市で整備中の新産業集積エリアに新工場を建設して、令和8年から操業を始めることが計画されています。経済波及効果に加え、環境保護やスポーツ振興など幅広い分野で連携できる可能性を感じています。今後もポストコロナ時代を見据え、新しい価値を創造しながら、佐賀を前に進めていきます。
 はじめに、新型コロナウイルス感染症対策について申し上げます。
 佐賀県では、6月から、オミクロン株の変異種であるBA.5の感染が拡大しました。ほとんどが軽症か無症状ですが、感染スピードがとても速く、7月20日以降連日千人を超える感染確認が続いたことで、高齢者を中心に入院が徐々に増えてきました。医療現場がひっ迫するリスクが高まってきたことから、県はプロジェクトMにおいて、肺炎症状などが見られる中等症の患者や中等症に悪化するおそれのある患者に重点化する入院調整の見直しを行っています。あわせて、介護が必要な軽症・無症状の高齢者の受入先として、県西部と東部に1か所ずつ臨時の高齢者用宿泊療養施設を開設し、こうしたことにより、病床使用率は、現在50%前後となっています。そして、医療現場の必死の頑張りによって、救急医療や通常診療を常に受けられる医療環境を何とか維持することができています。マンパワーが厳しい状況の中で、昼夜を問わず頑張っておられる医療従事者をはじめ現場の皆様に改めて感謝申し上げます。
 先日、国において感染者発生届の全数報告が見直されました。全数報告は医療機関や保健所の負担が増して疲弊を招いており、ほとんどが軽症・無症状である現状を踏まえ、これまでも見直しが必要であることを申し上げてまいりました。見直しにより、自治体の判断で発生届を高齢者等に限定できるとされたことから、佐賀県では医師会と調整を行い、適用可能となる明日9月2日から直ちに開始します。県内の医療現場の負担軽減につながるものと考えています。また、同時に、軽症・無症状の方など、今回の見直しで発生届の対象ではなくなる方のために「佐賀型フォローアップシステム(SFS)」を立ち上げます。体調に不安のある方が陽性者登録センターに登録することなどにより、これまでと変わらず、自宅療養支援センターがフォローアップを実施してまいります。
 なお、8月30日には、同じく先行して見直しを表明した宮城県、茨城県、鳥取県と知事会議を開催し、4県がコロナ対策において、今後とも先導的な役割を果たしていくことについて申し合わせました。
 コロナ対策はウイルスの特性に合わせた対応が必要です。オミクロン株となり全体として弱毒化している状況の中では、高齢者への対策は継続しながらも、コロナと折り合いをつけながら共生していく社会の在り方を考えてまいります。
 次に、原油価格・物価高騰への対応について申し上げます。
 国際情勢不安を背景とする世界規模の原油や穀物などの国際価格高騰は現在も続いています。国内では約20年ぶりの円安水準も重なって、ガソリンや重油などの燃料をはじめ、原材料、飼料などの価格が高止まりの状況にあり、県民生活や県内の経済活動に影響が及んでいます。県では、昨年末に対策本部会議を設置して県内の状況を把握し、国の動向も見ながら、現場の課題をできるだけ解消することを目指して順次対策を講じています。対策に当たっては、まずは現下の厳しい状況を乗り切ってもらうために、幅広い分野を対象に、燃油や原材料、飼料などの価格上昇の負担を軽減するための支援を行っています。そして、こうした応急的な対策だけでなく、例えば、事業者の新分野への進出や業態転換などのチャレンジを支援したり、肥料を堆肥に転換し地域資源を活用した循環型農業への転換を後押しするなど、その先を見据え、構造改革を促進する工夫を随所に凝らしています。
 県民生活や経済活動への影響をできるだけ抑えるとともに、厳しい状況においても趨勢を見極めピンチをチャンスに変えていく想いで、引き続き取り組んでまいります。
 続きまして、当面の諸課題への対処方針について申し上げます。
 まず、玄海原子力発電所についてです。
 現在、1、2号機の廃炉作業は、蒸気タービン周辺設備の解体撤去や、未使用の燃料を搬出するなど、本格的な解体工事に向けた準備作業が計画どおり進められています。3号機は1月21日から定期検査が行われています。4号機は通常運転を行っていますが、今月12日に発電を停止し、定期検査を開始することとなっています。また、発電所内では、1、2号機の廃炉作業に加え、3、4号機の特定重大事故等対処施設の設置工事が行われています。県としては、九州電力に対し、全ての作業において常に安全を最優先に取り組むよう強く求めています。
 玄海原子力発電所とは、廃止措置を含めて、これからも長い年月にわたり関わり続けなければなりません。今後とも、県民の安全を何よりも大切に、県も含め全ての関係者の中に気の緩みが生じることがないよう万全を期してまいります。
 次に、佐賀空港の自衛隊使用要請について申し上げます。
 有明海漁協は、県と交わしている公害防止協定覚書付属資料について、計画予定地の排水対策など3つの事項に対して防衛省の考えが示されることを条件に、変更に応じるとされています。3条件については、漁協、防衛省及び県の実務者による協議を経て、現在は、漁協の検討委員会で議論されており、8月10日の検討委員会では、特に排水対策について、防衛省より具体的な対策案が説明されました。そして、8月25日から本日9月1日までの予定で、協定締結時の当事者であった漁協6支所の組合員を対象に、防衛省による3条件に関する説明会が開催されています。そして、説明会終了後、漁協では今月中に検討委員会を開催し、覚書付属資料の見直しについての方向性を示したいとされています。県としては、漁協から示された条件が解決されるよう、引き続き調整していくとともに、必要に応じて防衛省に対して働き掛けてまいります。
 次に、有明海の再生について申し上げます。
 諫早湾干拓関連訴訟について、今年3月の福岡高裁における請求異議訴訟差戻審判決では、国の請求を認め、平成22年の福岡高裁確定判決に基づく開門の強制執行は許されないとしました。開門を求める漁業者側は判決を不服として上告しています。上告理由書では、三権分立制度の下で国は確定判決に従うべきであることや、国が確定判決を守らないことを裁判所が認めてよいのかというようなことなどを主張されており、今後、最高裁においてどのような判断がなされるか注視してまいります。有明海の再生のためには、開門調査を含む環境変化の原因究明が必要との想いは変わりません。国に対しては、その必要性を様々な機会を通じて訴えてまいります。
 有明海の水産資源については、10季連続休漁中のタイラギに続いてアゲマキやウミタケが今季も休漁となるなど、依然として厳しい状況にあります。回復に向けて、タイラギについては、大雨による低塩分化リスクが少ない熊本県沖での稚貝育成に今年度も取り組むこととしており、順調に成長すれば年末には佐賀県沖の母貝団地に移殖できる予定です。こうした種苗生産技術や人工稚貝の放流技術の開発とともに、漁場環境の維持・改善に努めるなど、一日も早い漁獲の再開を目指し、関係機関と連携して取り組んでまいります。
 宝の海である有明海の再生は、国や県、市町、漁業者など有明海に関わるもの皆で取り組むべき喫緊の課題です。漁業者が再生を実感するまでの道のりは、まだまだ険しい状況ですが、今後も、有明海の再生という本来の目的を見据え、関係する皆で力を合わせて全力で取り組んでまいります。
 次に、九州新幹線西九州ルートについて申し上げます。
 今月23日に武雄温泉-長崎間が開業します。武雄温泉駅と嬉野温泉駅で開催する開業イベントでは、全市町が参加しそれぞれの魅力をPRすることとしています。県では、県内各地域に息づく文化や歴史、伝統、そこにしかない魅力を発信することで周遊を促し、開業効果を広域に波及させてまいります。
 そして、いよいよ10月1日から、佐賀・長崎デスティネーションキャンペーンが始まります。8月30日には、佐賀県、長崎県、JR九州の三者で記者発表を行い、キャンペーンの実施と多くの来県を全国に呼びかけました。今後、全国のJR主要駅に、両県の食、温泉、景観等をテーマにしたポスターが一斉に掲出され、公式ガイドブックが駅構内で無料配布されます。全国の多くの皆様に、新幹線の開業にあわせ、佐賀、長崎に行ってみたいと思っていただけるよう魅力が伝わる情報発信を行ってまいります。全国からやって来る多くの皆様に、悠久の歴史、豊かな自然を体感し、佐賀の本物の魅力を堪能していただけるよう取り組んでまいります。
 本来西九州ルートは、今回、博多から長崎までの間を在来線も活用する形で全線開業を迎えるはずでした。そのことを前提に、佐賀県は平成19年に肥前山口-諫早間の上下分離に合意しています。この合意は、鹿島や太良など長崎本線沿線地域の皆さんの大変辛い思いの上になされたものです。国がフリーゲージトレインの導入を断念した中で開業を迎えることになり、長崎本線沿線地域の皆さんの心情を察すると複雑な思いがあります。こうした思いも含め、開業により、特急列車が大幅に減ることになる鹿島や太良などの長崎本線沿線地域の振興に力を注いでまいります。肥前鹿島駅周辺整備についても「鹿島らしさ」を感じられるわざわざ訪れてみたい駅にこだわって、駅エリア全体が魅力的な交流拠点となるよう県で整備を進めることとしており、今議会に必要な予算を提案いたしております。上下分離で県が駅舎等を所有することとなり、利活用について直接関与できるようになったことで、色々な面で良い点が増えたと感じてもらえるよう取組を進めてまいります。
 国土交通省鉄道局との次回の「幅広い協議」については、鉄道局に確認したところ、準備にもう少し時間がかかるとのことでした。新鳥栖-武雄温泉間の在り方は佐賀県の将来に大きく影響することであり、今後も何が望ましい姿なのかということを大きな視点を持って幅広く、骨太に議論してまいります。
 次に、城原川ダム事業について申し上げます。
 城原川ダム事業については、現在、水没予定地域内で用地調査や家屋調査が進められるなど、ダム建設に向けて、一つ一つ段階を踏みながら着実に進捗している状況です。国の来年度概算要求においては、約10億円と事業を進めていくために必要な金額が盛り込まれています。県としては、地域の治水対策推進のため、一日も早いダム完成を目指した事業の推進と必要な予算の確保を、引き続き国に働き掛けてまいります。あわせて、長年にわたりダム問題で御苦労されてきた水没予定地域の住民の皆様お一人お一人に寄り添い、不安な気持ちが将来への希望に変わり具体的な生活再建に向け踏み出せるよう、国や神埼市と連携して、きめ細やかな支援を心掛けてまいります。
 続きまして、最近の県政の主な動きについて申し上げます。
 まず、“さがすたいる”の推進についてです。
 佐賀県では、誰もが自分らしく、心地よく過ごせる、やさしいまちのスタイル“さがすたいる”を進めています。この取組の一つとして、同性のカップルなど性的マイノリティの方々が自分らしく輝いて欲しいとの想いで実施している「佐賀県パートナーシップ宣誓制度」は、先月で開始から1年となり14組の方が宣誓されています。今年6月には全国で初めて、県内すべての市町と利用に関する協定を締結し、県内のどこにお住まいでも、公立病院の面会での家族同様の取扱いや、公営住宅への入居が可能になっています。県外の自治体についても、4月の福岡市に続き、先月には茨城県と全国初となる県同士の協定を締結しました。茨城県の大井川知事とはこれをきっかけとして全国に広げていくことを確認し合ったところであり、今後さらに広げてまいります。
 また、8月22日には、佐賀県立図書館において、県立としては全国初となる、高齢者や障害のある方、子育て中の方など、誰もが読書を楽しめる専用ルーム「みんなの森」をオープンしました。大活字本や触る絵本、拡大読書器などを備え、専任の司書が障害などに配慮しながら利用をサポートします。談話や飲食をしながら読書できる空間としており、図書館の静かなイメージからこれまで利用を躊躇されていた方々も、それぞれ自然体で読書を楽しんでいただきたいと思います。
 “さがすたいる”の想いのもと、みんなが自然と支え合いながら暮らせる、人に優しい社会を目指してまいります。
 次に、「SAGA2024」のメイン会場となるSAGAサンライズパークの整備について申し上げます。
 中核施設であるSAGAアリーナについては、いよいよ工事が終盤に差し掛かっています。外壁工事がほぼ終了して、足場の撤去が進んでおり、堂々とした外観が姿を現してきました。現在は内装工事を本格的に進めています。11月には「もうすぐ完成内覧会」として、県民の皆様に完成間近のSAGAアリーナの内部を公開し、そのスケールを体感していただくイベントも予定しています。また、今月4日には、国道を跨いでSAGAサンライズパークと佐賀市文化会館をつなぐTHE VICTORY WALK「栄光橋」を架橋します。一夜にして出現する様子をライブ配信し、日常味わうことができない感動を県民の皆様と分かち合いたいと思います。
 来年春のSAGAサンライズパークのグランドオープンに向けて整備は最終章に入ります。これまで本県では実現できなかった規模のスポーツ大会やコンサート、MICEなど、新たなドラマへの期待の高まりを感じており、引き続き着実に整備を進めてまいります。
 次に、SSP構想について申し上げます。
 「平成の三四郎」と親しまれ、昨年53歳の若さでお亡くなりになった本県出身の柔道家古賀稔彦さんについて、全国のファンからの寄附等を受けて制作してきた銅像が完成し、7月にSAGAプラザ柔道場前に建立しました。銅像は、30年前のバルセロナ五輪で、怪我を抱えながら金メダルを掴み取り雄叫びを上げた姿を再現しています。古賀さんの不撓不屈の精神が世代を超えて語り継がれるとともに、佐賀のアスリートが古賀さんの志を受け継ぎ、世界へ挑戦する力を生み出すことを期待しています。
 SSP構想で支援している佐賀ゆかりの選手が、古賀さんのように、世界の舞台で活躍を見せています。スポーツクライミングの樋口純裕選手はワールドゲームズ・バーミングハム大会で銀メダルを、男子柔道66キロ級の田中龍馬選手は柔道グランドスラム・トビリシ大会で銅メダルを、フェンシングの伊藤心選手はエペワールドカップ・ジョージア大会で銅メダルを獲得するなど、次々に輝かしい成績を収めています。
 また、県内の高校生アスリートも躍動しています。エクアドルで開催された柔道世界ジュニア選手権では佐賀商業の田中龍雅選手が、アメリカで開催されたクライミング世界ユース選手権では多久高校の通谷律選手が、それぞれ優勝し、佐賀県の高校生が世界の頂点に立ちました。四国で行われた全国高校総体では、柔道で佐賀商業の近藤美月選手と水間仁子選手、レスリングで鳥栖工業の甫木元起選手が日本一に輝いたほか、ウェイトリフティング、ボクシング、相撲など、昨年の8競技を上回る11競技で3位以内の上位入賞を果たしています。
 若いアスリートたちが全国、世界の舞台で躍動する姿に、SSP構想のもとで、着実にトップアスリートの育成が進んでいることを実感しています。
 そして、SSP構想の一つの核である人材育成のシステムを盛り上げていくため、サガン鳥栖U-15の練習拠点を整備いたします。高い育成力を持ち、高円宮杯で二連覇を達成しているサガン鳥栖U-15は、サガン鳥栖ファミリーの強みであり誇りであります。そうした大切なチームが、現在は調整池で練習しており、雨が降ると使用できないなど、満足な練習環境にはありません。この度、鳥栖市内に練習グラウンドを整備することといたしました。SSP構想の人材育成を体現するような、サガン鳥栖U-15が持つ日本一のユース育成力を支えてまいります。
 また、SSP構想の新たな核として、女性アスリートに寄り添う体制をつくっていきたいと考えています。これまで、月経異常や摂食障害など、女性アスリートの健康課題が見過ごされてきました。このため、こうした点にしっかりと目を向け、スポーツ協会に専門チームを設置して相談体制を強化するとともに、佐賀中部病院に女性アスリート外来を開設して受診環境を整えます。女性が安心して競技を続けられ、引退後も生涯にわたってスポーツを楽しめるよう、女性アスリートを支援してまいります。
 引き続き、「佐賀が育てる、佐賀が支える」という想いでSSP構想を推進し、スポーツの力を活かした人づくり、地域づくりを進めてまいります。
 次に、「さが園芸888運動」推進大会について申し上げます。
 県では、令和元年度から、「稼げる農業」を実現し令和10年までに園芸産出額を888億円にすることを目標として「さが園芸888運動」を展開しています。この運動の一層の推進を図るため、7月、生産者などの関係者約300人が参加して初めての推進大会を開催しました。私からは、県の発展に農業の振興が欠かせないことや、かつて県農業を支えた米の価格低下などに伴い農業産出額が落ち込んでおり、軸足を園芸農業に移し「稼げる農業」として次の世代につないでいきたいことなど、改めてこの運動に込めた想いを申し上げ、関係者の皆様と目標に向かって力を合わせていくことを確認しました。
 また、農業産出額を上げていくために「いちごさん」、「にじゅうまる」などの新品種を知的財産として大切に守り、唯一無二のブランドに仕上げていかなければならないことを伝え、知的財産をテーマに、県職員による寸劇や、日本弁理士会の杉村会長を交えた対談を行い、知的財産の保護や育成についての理解を深めていただきました。この大会で運動推進に向けた気運の醸成と連携強化を図ることができ、これから関係者の皆様とスクラムを組み、オール佐賀で運動を盛り上げ、佐賀農業の未来を切り拓く「稼げる農業」「つながる農業」の実現に努めてまいります。
 次に、佐賀を支える社会資本の整備について申し上げます。
 国際コンテナターミナルである伊万里港については、8月28日に臨港道路七ツ島線が供用開始され、七ツ島地区へのアクセスが大きく向上しました。また、11月には、コンテナの積み下ろしに使うガントリークレーンの2号機、愛称「まりん」の供用を開始する予定です。こうしたコンテナターミナルの機能強化と合わせ、新たなコンテナ航路の開設にもチャレンジしており、伊万里港の飛躍につなげてまいります。
 県が整備を進めている、広域幹線道路の東西軸となる有明海沿岸道路と、南北軸となる佐賀唐津道路が接続する「Tゾーン」については、橋梁や地盤改良、盛土工事を本格的に展開し、工事の進捗を図っています。国が整備を進めている有明海沿岸道路の区間については、諸富インターチェンジの令和4年度中の開通に向けて、着々と整備が進められています。
 引き続き、人やモノの交流を促進し、地域の活力を生み出していくための基盤となる社会資本の整備を着実に進めてまいります。
 次に、夜間中学の設置について申し上げます。
 県内には、様々な理由で義務教育を修了せずに学齢期を経過した方や、不登校などで十分な教育を受けられないまま中学校を卒業した方、また、日本語教育と合わせて日本の義務教育を受けたい外国籍の方などがいらっしゃいます。県として、こうした方々のニーズに応え、誰もが義務教育を受ける機会が得られるよう、県立の夜間中学を設置することといたしました。
 続きまして、提案事項について御説明申し上げます。
 今回の補正予算案の編成に当たりましては、6月補正予算編成後の情勢の推移に対応するため、コロナ禍の原油価格・物価高騰として複合的な視点で対策を講じることを柱に、早急に措置を要するものについて所要額を計上することといたしました。
 この結果、その総額は、歳入歳出とも、それぞれ、
一般会計     約106億2,400万円
特別会計      約32億2,900万円
となり、これを既定の予算額と合わせますと、本年度の予算総額は、
 一般会計   約5,861億5,200万円
 特別会計   約1,976億4,800万円
となっております。
 次に、予算案の主な内容について申し上げます。
 まず、一次産業への支援についてです。
 一次産業が盛んな佐賀県は、西日本でトップの食料自給率を誇ります。現在、生産に欠かせない肥料、飼料、燃油の価格高騰が大きなダメージとなっていることから、生産者の経営安定に向けて支援を行うことといたしました。
 まず、肥料については、輸入原料価格の上昇により、今年の6月以降、価格が高騰しています。耕地利用率が全国一高い本県農業は、化学肥料の使用量も多く、価格高騰は農家の経営を圧迫しています。国の新たな支援は、肥料低減によるコストダウンを前提とされているものの、農家にとって肥料低減はすぐにできることではありません。このため、激変緩和措置として、6月から10月までの肥料購入について、国の支援が受けられず農家負担が増える部分に対し、県独自に支援することといたしました。
 また、肥料価格の高騰を機に、堆肥の利活用への切り替えを促進してまいります。これまで活用が進まなかった要因を踏まえ、散布しやすくなるための堆肥の加工や、散布機械の導入など、堆肥を生産する側と利用する側双方の取組を支援し、堆肥が資源として循環する持続的農業への転換を促してまいります。
 また、飼料については、乳牛の餌に使われている輸入牧草などの粗飼料の価格が高騰しています。生乳の価格はコスト上昇分を転嫁することが難しく、国のセーフティネットも構築されていないため、価格高騰が酪農家の経営を圧迫している状況です。このため自給飼料の生産など費用縮減の取組を要件として、輸入粗飼料の価格上昇に対して支援を行うことといたしました。
 さらに、燃油については、価格高騰が長期化し、農業者や漁業者は、燃油節約などの経営努力を続けながらも厳しい状況が続いています。そこで、既存の制度では対象となっていない、米麦の乾燥調製や園芸生産の光合成促進装置等に使用する燃油の購入費、また漁船の燃費向上につながるエンジンメンテナンスの費用について、県独自に支援することといたしました。
 価格高騰による影響を少しでも緩和し、生産者の皆様が安心して経営を続けていけるよう支えてまいります。
 次に、事業者の前向きなチャレンジへの支援について申し上げます。
 長引くコロナ禍に加え、物価高騰や急激な円安が幅広い業種に影響を及ぼしている中でも、多くの事業者がピンチをチャンスに変えようと様々な努力をしています。県ではこれまでも、新分野への進出や業態転換、新商品の開発、デジタル化による生産性の向上など、新たな事業展開を支援してまいりました。テレワークの普及に対応したワーケーション型客室への改修や、ネット通販などで新鮮な魚を全国に発送するための設備導入など、たくさんの前向きなチャレンジが生まれてきています。さらに多くの事業者の皆さんがこうしたチャレンジに取り組めるよう、今回改めて支援を行うことといたしました。新たな視点と発想で事業の変革に挑む、前向きな事業者を後押ししてまいります。
 次に、官民連携によるフードバンク活動の推進について申し上げます。
 県内では、様々なCSOが、企業等から食品の提供を受けて、生活困窮者や子ども食堂などに無償で配付するフードバンク活動を行っています。物価高騰で今後ニーズが増えていくと予想されますが、現在は、各CSOが個別に活動しているため、保管場所の不足や、配付先の偏り、また提供企業にとっては複数のCSOと個別にやりとりを行う負担などが課題となっています。こうした課題の解消に向けて、活動を一元化するための「佐賀県食でつながるネットワーク協議会(仮称)」の設置が進められています。県も参画して立ち上げを支え、保管用倉庫や冷蔵庫の整備に対し補助を行うなど、フードバンク活動を後押ししてまいります。
 次に、高校生等がいる低所得世帯への支援について申し上げます。
 物価高騰により、高校生等が使用する学用品、通学用品、制服などの価格が上昇し、特に低所得世帯の家計を圧迫しております。こうした状況を踏まえ、非課税の低所得世帯を対象に支給している高校生等奨学給付金に、県独自に学用品等の価格上昇分を上乗せして支給することといたしました。負担を軽減することで、高校生等の「学び」を支えてまいります。
 次に、コロナ禍でも家族等と面会できる環境づくりについて申し上げます。
 コロナ禍が長引く中、多くの医療機関や高齢者施設などでは、感染リスクから入院患者や入所者を守るために、自由な面会ができない状況が続いています。長い間家族等と会えず気持ちが沈まれている方が多いとの現場の声もお聴きしており、病院や施設等に対して、感染の不安なく面会できる環境整備を支援することといたしました。入り口を分けて接触せずに面会できる面会室の整備や、タブレット等を活用したオンライン面会の設備導入を支援いたします。コロナ禍でも大切な家族等と面会ができる環境を作り出してまいります。
 次に、JR佐世保線へのICカード導入について申し上げます。
 駅の改札をタッチで通過できるICカードについて、県内では佐賀駅から西側のエリアが未整備です。県民の皆様は通勤通学や普段使いの中で不便を感じておられると思います。県はこれまで、JR九州に対しエリア拡大を求めてきましたが、コストが課題となり進展していませんでした。そこで、今年4月に、私からJR九州の古宮社長と長崎県の大石知事に直接提案し、3者で協議を進めた結果、佐賀-佐世保・ハウステンボス間へ導入することで合意しました。県内は鍋島駅から有田駅までの13駅となり、JR九州が行う整備に対して佐賀県はこの区間に係る費用を負担いたします。
 予算外議案といたしましては、条例議案として10件、条例外議案として6件となっております。
 最後になりますが、このコロナ禍においても、佐賀県はしっかりとコロナ対策を取りながらも、ポストコロナ時代を見据え、佐賀を前に進めるための布石を打ち続けてきました。来年春にはSAGAサンライズパークがグランドオープンし、これまでにない規模のスポーツ大会やコンサート、MICEなどが実現できるようになります。また、シリコンウェハー大手SUMCOの工場拡張、アサヒビールの新工場建設、久光製薬の研究拠点集約など、世界的な企業が続々と佐賀県を選んでいます。農林水産業の分野では、さが園芸888運動の推進や佐賀牛の生産拡大に向け、基盤整備とブランディング、プロモーションをトータルで、新たな取組に果敢にチャレンジしています。そして、人づくり大県を掲げ、SSP構想による世界で活躍するアスリート育成、高校生の県内就職促進などの産業人材確保、トレーニングファームによる農業後継者育成など、佐賀を支える人材育成も歩みを続けています。
 そして、コロナ禍は、テレワークやキャッシュレス決済など、隅々までデジタル化を浸透させ社会を一変させました。デジタル社会の中で佐賀県がどのように存在感を発揮していくべきか。先月末には、佐賀県にルーツを持つお二人、すなわち日本のインターネットの父と言われる慶應義塾大学の村井純教授と、企業家として日本のデジタル社会を牽引する藤原洋氏を迎え、デジタル社会の未来を考えるシンポジウム「佐賀県から始まる日本の未来」を開催しました。
 シンポジウムでは、まずはじめに、お二人から佐賀とのゆかりと、技術の力で世界と繋がっている佐賀県の伝統についてお話しいただきました。さらに、スポーツやコスメなど様々な分野でデジタルを活かせる潜在力があることや、産業面でも大切な半導体関連産業の川上部分を持っている強みがあることなどを話し合いました。そして、私も含めた3人で、佐賀に息づく挑戦する気風を活かして、構想力を持ってデジタルの未来を描き、佐賀の地から新しい社会システムを創り出していくことを提起いたしました。
 また、同時に、全国各地においてデジタルで地域課題解決に挑んでいる県内外の方々との官民事業交歓会も開催しました。多くの英知を佐賀に結集し、佐賀を実証フィールドにデジタル技術で地方創生を起こし、デジタル社会において、世界につながるローカルハブを目指してまいります。

 この2年半にわたり続いているコロナ禍や、激動する国際情勢が及ぼす様々な分野における安全保障の問題は、時代の変革へのうねりともなっています。
 こうした中で、県民の皆様とともに、新しい社会を思い描く構想力と創造力を発揮しながら、佐賀が本来持つ強みを伸ばし、価値を磨き続けることで、後世へとつながる光り輝く佐賀県を創ってまいります。
 以上、今回提案いたしました議案などについて御説明申し上げました。
 よろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。





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