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令和4年 2月17日令和4年2月定例県議会 知事提案事項説明

最終更新日:

 令和4年2月定例県議会の開会に当たり、最近の動き、提案事項などについて御説明申し上げます。
 はじめに、新型コロナウイルス感染症対策について申し上げます。
 佐賀県では、1月中旬から、新たな変異株オミクロン株による感染が急速に拡大しました。感染者数は前週の同じ曜日と比べて倍以上となる日が連続し、激しい上昇カーブを描いて増加し続け、2月2日には過去最高の568人を記録しました。感染状況を分析したところ、オミクロン株は感染スピードが著しく速く、家庭、職場、学校や保育園等での感染が相互に連鎖するいわゆるループ感染が至るところで発生しました。そのため、1月24日に国に対して、福岡県及び大分県とともに「まん延防止等重点措置」の適用を要請しました。佐賀県では初めてとなる全県下での「まん延防止等重点措置」を1月27日から2月20日まで適用しています。
 「まん延防止等重点措置」の適用後もしばらくは感染者の増加に歯止めがかかりませんでしたが、7日に前週を下回り、9日からは8日連続で前週を下回っています。感染者数は徐々にではありますが減少局面に入り、ループ感染の輪は小さくなってきています。一方で、病床使用率は、16日の時点で41.5%と依然として厳しい状況が続いています。最近の傾向として、症状が悪化しやすい高齢者の施設等で感染が発生しクラスターとなっていることもあり、中等症の病床使用率が増加し、医療への負担が高まっていることを懸念しております。
 コロナ対策のミッションは、救急医療や通常診療が常に受けられる医療環境を堅持することです。できる限り感染拡大を抑えて、入院が必要となる重症化リスクが高い方の感染を防ぎ、医療のひっ迫を回避するため、昨日「まん延防止等重点措置」の期間延長を国に要請いたしました。期間については、国が決定することとなりますが、県としては、感染者数や病床使用率、医療現場の状況を注視しつつ、できるだけ短い期間、2週間程度で解除できるようにしていきたいと考えています。厳しい感染状況が続く中、大切な医療現場を守り抜いていただいている医療従事者の皆様、保健所やワクチン現場で頑張っている皆様に感謝申し上げます。介護、福祉、保育、学校など現場で様々なことに気を使いながら頑張っておられる皆様にも、エールを送りたいと思います。そして、県民お一人お一人が感染症対策に取り組んでいただいていることに感謝申し上げます。これからもチーム佐賀、オール佐賀でエールを送り合いながら頑張っていきましょう。
 次に、ワクチン接種について申し上げます。
 県内におけるワクチンの3回目接種については、昨年12月から医療従事者や高齢者施設の入所者などを対象に始まり、その後65歳以上の高齢者、64歳以下の方へと順次進められています。県内の7つの離島については、自然的な特性から現地での医療提供や患者の搬送に大きな制約があります。今回3回目接種についても、唐津市と連携し、佐賀大学や唐津日赤などにも協力いただいて、1月下旬の3日間で希望する全住民への接種を完了しております。また、県全体の接種の加速化に向けて、今月7日から、1回目、2回目と同様に、県の大規模接種会場を開設しています。今回は好生館を会場として、好生館の医療従事者の協力を得ながら、対象となる方を限定せずに実施しています。3月からは5歳から11歳の小児への接種が始まります。県では、医師会や小児科医会と連携し、複数の市町による共同での接種体制整備など、各市町の小児接種の体制の支援を行っています。引き続き、県と市町、医師会等が連携しながら、希望する県民の皆様が円滑に接種を受けられるよう取り組んでまいります。
 次に、「令和3年8月豪雨災害」の復旧・復興に向けた取組について申し上げます。
 昨年8月の豪雨災害から半年が経過しました。災害からの復旧・復興に向けて、生活・産業・インフラの分野ごとにミッションを明確にし、被災された方々に寄り添いながら全庁を挙げて取り組んでいます。被災者支援のために寄せられた義援金は4億9千万円を超え、市町を通じて順次被災者の皆様にお届けしています。被災地域の自治会などのコミュニティに対しては、施設や備品の修繕などに支援を行い、中小企業者や生産者に対しては、被災した施設設備の再建への補助や農業機械の保険加入推進などを通じて、活動再開と防災対策を後押ししております。また、公共土木施設や農地などの復旧に向けては、国の災害査定が終了し、順次復旧工事を開始しています。県内各地の内水氾濫への対策については、「佐賀県内水対策プロジェクトチーム(プロジェクトIF)」において、内水状況の把握や被害軽減につなげる対策を、できることから進めており、今後も国や市町と連携しながら流域全体で対策に取り組んでまいります。
 次に、鳥インフルエンザの発生に備えた防疫対応について申し上げます。
 今シーズンの鳥インフルエンザは、昨年11月に秋田県で初めての発生が確認されて以降、昨日までに、全国10県で16事例が確認されており、発生リスクが高い状況が続いています。本県においては、昨年12月に熊本県で発生したことを受けて、12月から今月末までの2か月半の間、消毒命令を発出したところであり、これまで3回にわたって県内全ての養鶏場へ消毒用消石灰の緊急配布を行い、発生予防対策の強化に努めてまいりました。養鶏農家やJAなど関係者の皆様が発生予防対策を徹底して取り組んでいただいたことで、これまでのところ今季の県内発生を防ぐことができています。それでも、いつ発生してもおかしくない状況が当面は続きます。引き続き、警戒体制を継続し、緊張感をもって対応してまいります。
 次に、原油価格高騰への対応について申し上げます。
 原油価格の高騰に伴い、本県においてもガソリンや重油などの燃料価格が上昇し、県民生活や経済活動に影響が及んでいます。このため、昨年12月に相談窓口を設置して県民の皆様からの様々な相談に対応するとともに、「佐賀県原油価格等高騰対策本部」を設置して対策に取り組んでいます。中小企業等の緊急的な資金需要に対応するため制度金融の弾力的な運用を始めており、2月補正予算においては、省エネルギー設備の導入や燃費向上の取組を支援する予算を計上しています。県民生活や経済活動への影響をできるだけ抑えるよう取り組んでまいります。
 続きまして、当面の諸課題への対処方針について申し上げます。
 まず、原子力発電についてです。
 玄海原子力発電所においては、令和元年度と2年度にトラブルが続いたため、九州電力が令和2年10月から12月に発電所内の総点検を行いました。それ以降も1年も経たないうちに4回のトラブルが発生したことから、昨年11月に九州電力に対し、「総点検を行った後も、なぜこのようなトラブルが続くのか、その原因を根本から幅広く検証し、対策を講じること」を文書で要請し、県としても、九州電力の検証状況をチェックするために12月に検証チームを立ち上げました。また、1月11日には、私から直接、九州電力の池辺社長に対して、一つひとつは小さいトラブルであっても、いずれ大きな事故につながりかねず、1年に何回ものトラブルが発生するのは、尋常ではない極めて憂慮すべきことであると申し上げました。その上で、根本的、組織横断的な原因がないのか、特に特定重大事故等対処施設の設置期限を意識して、現場に過度なプレッシャーがなかったかといった点も含めて、真正面から検証することを強く求めました。
 九州電力からは、個別のトラブルに対する原因究明と再発防止策に加え、トラブルが続く背景や要因についても検証したうえで、今月2日、県に対し、「必要以上に現場に工程を意識させ、安全意識の不足を招いた可能性もあるとの認識を持ち、改めて安全最優先の工程になっているか、安全意識は徹底されているかを継続して確認していく」などの報告がありました。7日には、南里副知事と検証チームが玄海原子力発電所に行き、九州電力の取組について直接確認しました。県としては、今後とも九州電力の取組を注視してまいります。
 玄海原子力発電所とは、廃止措置を含めて、これからも長い年月にわたり関わり続けなければなりません。原子力発電については、何よりも安全が最優先です。今後とも、県民の安全を何よりも大切に、県も含め全ての関係者の中に気の緩みが生じることがないよう万全を期してまいります。
 次に、佐賀空港の自衛隊使用要請について申し上げます。
 有明海漁協は、昨年11月30日の検討委員会において、計画予定地の排水対策など3つの事項に対して防衛省の考えが示されることを条件に、県と交わしている公害防止協定覚書付属資料の変更について応じることを決定され、12月14日に、西久保組合長からその旨の回答文書を頂きました。漁協内では、国防の大切さは分かっていただきつつも、公害防止協定を結んだ先人たちの思いや、有明海の漁業環境に対する不安など、様々な意見があったと伺っております。そうした葛藤の中で、漁協として重い判断を頂き、大変感謝をしております。組合長から回答を頂いて一週間後の12月22日には、私から直接漁協の皆さんの思いをしっかりと伝えるため、岸防衛大臣に面会し、これまでの経緯も含め、真摯に対応いただくよう要請しました。大臣からは、漁協の皆様の声をよく聞きながら、しっかり対応していきたいとの返事がありました。1月28日には、漁協、防衛省及び県の三者で、排水対策など3条件に関する検討状況を確認し意見交換していくため、第一回の三者協議会を開催しました。漁協から示された条件が解決されるよう、この協議会を通じて調整していくとともに、必要に応じて防衛省に対して働き掛けてまいります。
 次に、有明海の再生について申し上げます。
 諫早湾干拓関連訴訟について、福岡高裁における請求異議訴訟の差戻審では、紛争全体の根本的な解決を図るためには、判決では難しく、話し合いによる解決の外に方法はないとする「和解協議に関する考え方」が示されました。しかし、その後の進行協議は、国と開門を求める漁業者双方の意見が相容れなかったため打ち切られ、昨年12月1日に結審しています。福岡高裁は、3月25日に判決を言い渡す予定であり、県としては、裁判所がどのような判決を下すのか注視してまいります。
 有明海の水産資源については、再生のシンボルであるタイラギが10年連続の休漁となるなど、厳しい状況が続いています。近年の記録的な大雨による海水の塩分濃度低下がタイラギ稚貝の生育に影響しているため、塩分濃度が低下しにくい熊本県沖での稚貝の生育に取り組みました。昨年12月には順調に5センチの大きさまで成長し、太良町沖に移殖を行いました。こうした種苗生産技術や人工稚貝の放流技術の開発とともに、漁場環境の維持・改善に努めるなど、一日も早い漁獲の再開を目指し、関係機関と連携して取り組んでまいります。
 宝の海である有明海の再生は、国や県、市町、漁業者など有明海に関わるもの皆で取り組むべき喫緊の課題です。漁業者が再生を実感するまでの道のりは、まだまだ険しい状況ですが、今後も、訴訟の状況や国の動向を注視し、有明海の再生という本来の目的を見据え、関係する皆で力を合わせて全力で取り組んでまいります。
 次に、九州新幹線西九州ルートについて申し上げます。
 この秋、いよいよ武雄温泉-長崎間が開業します。開業を好機と捉え、県内の各地域で、多くの人が訪れてみたい、住んでみたいと思う、人を惹きつける魅力を磨き上げる取組が進んでいます。県では、こうした地域づくりをしっかり後押しするとともに、観光誘客、移住促進と一体的に取り組んでまいります。県内各地域に息づく文化や歴史、伝統、そこにしかない魅力を発信することで周遊を促し、新幹線が停車する武雄や嬉野だけでなく、県全域に開業効果を波及させられるよう取り組んでまいります。
 また、武雄温泉-長崎間の開業により、特急列車が大幅に減ることになる鹿島や太良などの長崎本線沿線地域の振興に力を注いでまいります。鹿島市においては、県も一緒になって市民と議論してきた「肥前鹿島駅周辺整備全体構想」が昨年11月に策定され、地域の人たちの思いの詰まったまちづくりが始まっています。「KIZUKIプロジェクト」の中で今後の基本計画策定にも主体的に参画するとともに、構想の核となる駅舎やロータリー等について、今回駅舎も県の所有となることを機に県が整備を行い、構想の推進を後押ししてまいります。引き続き、鹿島らしさが感じられる魅力あるまちづくりを県も一体となって進めてまいります。
 国土交通省鉄道局との「幅広い協議」については、2月10日に第6回の協議を行いました。これまでの協議で、鉄道局から対面乗換が恒久的に続くことで利用者の利便性が損なわれるという意見があったため、乗換を解消したいのであれば、フリーゲージトレインを安全性が確保された速度で走行させることも選択肢になるのではないかと提案していました。今回の協議では、時速200km程度のフリーゲージトレインの開発について、時速270kmの車両の開発に関するこれまでの説明と同様に、技術的な課題や導入効果を理由に開発は困難であるという説明に終始し、新たな話はありませんでした。鉄道局とはフル規格やフリーゲージトレインを含めた5つの方式について幅広く協議することとしています。今後も真摯に協議に向き合い、何が望ましい姿なのかということを、大きな視点を持って幅広く、骨太に議論してまいります。
 次に、城原川ダム事業について申し上げます。
 城原川ダム事業については、国の経済対策に係る補正予算約4億円に加え、令和4年度政府予算案において今年度を上回る約10億円が計上されており、ダム本体や付替道路の調査・設計、用地調査、工事用道路の敷設など、ダム建設の具体化に向けて、一つ一つ段階を踏みながら着実に進捗している状況です。これまでの国の説明会でおおまかな湛水範囲や付替道路のルートが住民の皆様に示され、用地調査や家屋調査が行われています。県としては、地域の治水対策推進のため、一日も早いダム完成を目指した事業の推進と必要な予算の確保を、引き続き国に働き掛けてまいります。あわせて、住民の皆様お一人お一人に寄り添い、不安な気持ちが将来への希望に変わり具体的な生活再建に向け踏み出せるよう、国や神埼市と連携して、きめ細やかな支援を心掛けてまいります。
 続きまして、提案事項について御説明申し上げます。
 佐賀県の令和4年度当初予算につきましては、引き続き、「人を大切に、世界に誇れる佐賀づくり」を基本理念とし、これまで取り組んできた「県民の命を守る」、「人の想いに寄り添う」、「子育てし大県を推進する」、「さがの未来につなげる」といった分野の施策を推進し、これらの施策を支える基盤として「社会資本整備」を着実に進めてまいります。当初予算のポイントとしては、まず、新型コロナウイルス感染症対策と豪雨災害対策に全力を挙げていくことを第一義としています。社会を取り巻く環境は大きく変わっています。新たな感染が起こることを想定し、気候変動の影響で同じような豪雨災害は毎年起こりうることを前提とし、県民の命を守るという強い想いのもと対策に取り組んでまいります。そして、今年は山口県政8年目となり、予算編成に当たって県政全体を俯瞰し、改めて人づくりに力を込めたいと考えました。高い有効求人倍率が示すとおり、産業、福祉など様々な分野で担い手が不足しています。農林水産業においても新たな担い手を育成することが必要です。また、地域づくりは人づくりであり、自発の地域づくりを担う人材を生み出していきたい、SSP構想の理念であるスポーツ・文化の力を活かした人づくりの好循環をより大きくしていきたい、弘道館など人づくりで名を馳せた教育県佐賀として子供達をさらに骨太に育てていきたい、こうした想いをより強くしました。時代の変革期である今だからこそ、人に投資していくことが必要と考えています。様々な分野で、佐賀で育てられること、育成されることが大きな付加価値を生み出していけるよう「人づくり大県さが」を創ってまいります。
 令和4年度当初予算案の総額は、歳入歳出とも、それぞれ
   一般会計     5,710億5,800万円
   特別会計    約1,924億8,600万円
となり、一般会計を前年度当初予算と比較すると、約146億円の増、率にして約2.6%の増で、当初予算としては過去最大の規模となっています。増加の主な要因としては、「プロジェクトM」による医療提供体制確保や、3回目のワクチン接種などの新型コロナ対策関連経費が約89億円の増、また、「プロジェクトIF」による内水対策や、災害復旧などの豪雨災害対策の経費が約48億円の増などとなっています。
 財政運営については、「佐賀県行財政運営計画2019」に基づき、税収等の状況変化に応じてローリングを行い検証しています。今回、当初予算の編成に当たっても、財源調整用基金残高や将来負担比率を検証しながら予算編成を行いました。令和4年度末財源調整用基金残高は計画額を確保でき、将来負担比率は、令和4年度に全国で良い方から10位程度の約150%となりますが、県債残高が同年度にピークを迎えるため、徐々に良くなっていくと見込んでおり、安定的な財政運営ができています。引き続き、財政規律に配慮しつつ、佐賀の未来を見据えた県政運営に努めてまいります。
 次に、予算案の主な内容について申し上げます。
 まず、新型コロナウイルス感染症対策についてです。
 佐賀県では、県と医療関係者が連携して医療提供体制の強化に取り組む「プロジェクトM」により、重症・中等症の患者を受け入れるための病床、軽症・無症状者が療養する宿泊療養施設、自宅療養者への支援体制を確保しオペレーションを行っています。2月5日には新たに唐津市内にも療養ホテルを確保し、症状が改善した入院患者の受入れ先を増やして医療環境への負荷を軽減することとしています。令和4年度においても、必要な治療を早期に提供できる体制を維持し、救急医療や通常診療が常に受けられる医療環境を堅持します。ワクチン接種については、佐賀県はトップランナーであり、引き続き、県営の大規模接種会場の開設や、接種を行う医療機関などへの支援をすることで、県民への3回目のワクチン接種を進めてまいります。新たな感染が起こることを想定して先手先手の備えを行うとともに、感染リスクと向き合い、強い使命感を持って対応いただいている医療現場をしっかりと支え、感染症から県民の皆様を守る取組に全力を注いでまいります。
 次に、豪雨災害時の内水被害を軽減する取組について申し上げます。
 内水対策については、令和3年8月豪雨災害後直ちに「佐賀県内水対策プロジェクトチーム(プロジェクトIF)」を起ち上げ、気象変動により豪雨災害は毎年起こりうるとの想定のもと、いつ災害が起きても可能な限り被害を軽減させたいとの強い想いで、できることから順次取組を進めています。これまでも、被災箇所への監視カメラや道路情報板の設置など、浸水状況の把握や住民等の避難を進める「人命等を守る」対策、ため池に切り欠きを設けるなど、流域全体の貯留能力を強化する「内水を貯める」対策、排水ポンプ車の配備など、排水と流下能力の強化を図る「内水を流す」対策、これら三つの柱で、国や市町等の関係機関と連携しながら、内水対策をトータルで取り組んできています。令和4年度の取組としては、まず、田んぼを活用して、上流域の800ヘクタールを対象に田んぼダムを推進することで、80万立方メートルの貯留能力を持たせ下流域の洪水を軽減してまいります。また、流水の阻害となっている河川内の堆積土砂の浚渫を、本年度の1.5倍を超える117か所実施して河川の流下能力を確保するとともに、浸水被害が大きかった地区の排水ポンプ増設等を行い排水能力を強化してまいります。さらに、クリーク、ため池各11か所にカメラ・水位計を設置します。2月補正に計上している県内200か所以上への浸水センサー等の設置もあわせ、豪雨災害時の内水氾濫状況を早期に把握して関係機関と共有し、県民への迅速な情報提供と的確な災害オペレーションにつなげてまいります。2月15日には国・市町等も参加した内水対策プロジェクト会議を開催し、内水対策の取組についてできることから順次進めていくことを確認したところです。再び豪雨災害が発生しても、浸水被害が小さくなったと実感できるよう全力で取り組んでまいります。
 次に、身近な医療提供を支援する取組について申し上げます。
 地域の診療所では医師の高齢化が進んでおり、今後とも、県民が身近な医療を受けられる体制を存続させるため、県と好生館、市町が連携して地域の診療所に医師を派遣する仕組みを構築することといたしました。まずは唐津市をモデルケースとして、好生館が確保・育成する医師を唐津市民病院きたはたに派遣し、上場地域などの診療所で身近な医療が提供される体制をつくります。モデルケースを成功させ、必要とされる地域に段階的に広げてまいります。
 次に、消防団活動への支援について申し上げます。
 佐賀県では、令和元年佐賀豪雨や令和3年8月豪雨をはじめとして、大雨や台風など気候変動による災害が頻発しており、その度に地域の消防団には、住民の避難誘導や救助・救出活動等に当たっていただいています。しかし、こうした地域に欠かせない消防団が、コロナ禍で満足に活動することができていません。そのことで、ボランティアである消防団の活動力や団結力を保つことに支障が出ているのではないかと危惧しています。このため、引き続き高いモチベーションと強い団結力で地域の安全・安心を守っていただきたいとの想いで、各消防団の実情に応じて、詰所の環境整備や団員の研鑽のための研修など、必要と思うことに活用していただくように支援を行うこととしました。
 次に、“さがすたいる”について申し上げます。
 佐賀県では、誰もが自分らしく、心地よく過ごせる、やさしいまちのスタイル“さがすたいる”を進めています。今回、身体に障害のある方、高齢者、子育て中の方など、誰もが読書を楽しめる環境づくりに取り組むことといたしました。佐賀県立図書館に県立としては全国で初めてとなる、録音図書やさわる絵本などの、読書が困難な方のための書籍を揃え、誰もが心地よく利用できる専用ルーム「みんなの森(仮称)」を設置します。また、県立点字図書館をリニューアルした視覚障害者情報交流センター“あい さが”との連携を進め、市町の図書館にも同様の取組が広がるよう訪問指導などの支援を行います。“さがすたいる”の想いのもと、みんなが自然と支え合いながら暮らせる、人に優しい社会を目指してまいります。
 次に、がん患者の気持ちに寄り添う取組について申し上げます。
 がんは、医療技術の進歩により、早期発見、早期治療で治る病気になったと言われていますが、抗がん剤による脱毛や乳房切除など、がん治療で辛い思いをされている方がおられます。そこで、そうした方の気持ちを少しでもやわらげたいと考え、医療用かつらや乳房補正具に必要な経費を支援することといたしました。
 次に、骨髄等移植についてです。
 骨髄等移植のドナー候補者を見つけることは難しく数百から数万分の一の確率です。移植可能なドナー候補者をようやく見つけることができても、移植の際にドナーも入院等が必要なために、約6割の方が仕事の都合などを理由にドナーを辞退され、期待した移植が進まない現状があります。そこで、ドナーや雇用主などへの助成を行い、経済的な負担を軽減することとあわせて、骨髄等移植に協力しやすい雰囲気をつくってまいります。
 次に、鳥栖特別支援学校の新設について申し上げます。
 特別支援学校での学びを希望する児童生徒が増加する中、県東部地域に更なる拠点が必要と考え、中原特別支援学校に加え、新たに鳥栖特別支援学校を設置することといたしました。令和6年3月末に閉園予定の九千部学園を有効活用して設置することとしています。障害のある児童生徒一人ひとりのニーズに応じたきめ細やかな教育を提供してまいります。
 次に、佐賀県では、これまで、不妊治療を受ける方の経済的負担を軽減するため、独自に国の治療費助成制度への上乗せや、助成対象外の治療等への支援を行うとともに、国に対して自己負担の軽減について提言を続けてきました。今年4月からは保険が適用されることとなり、基本的には自己負担は軽減されますが、従来の県独自の助成制度と比較し、治療内容によっては逆に負担が増える場合があります。県では、こうした方に対して新たに独自の支援を行うこととし、今後とも、子どもを持ちたいと望む方の想いにしっかりと寄り添ってまいります。
 次に、SAGAスポーツピラミッド「SSP構想」の推進について申し上げます。
 SSP構想では、世界に挑戦するトップアスリートの育成を通じてスポーツ文化の裾野を拡大し、さらなるトップアスリートの育成につながる好循環の確立を目指しています。この年末年始には、佐賀の中高生が目を見張る活躍を見せてくれました。2年連続日本一に輝いたサガン鳥栖U-15をはじめ、佐賀工業高校ラグビー部は全国選手権で10大会ぶりのベスト8進出、鳥栖工業高校陸上部は全国高校駅伝大会で10位の好成績を収めています。高校野球でも有田工業高校が春のセンバツ大会に県勢としては4年ぶりの出場を決めました。若いアスリートたちが全国の舞台で躍動する姿に、SSP構想のもとで、着実にトップアスリートの育成が進んでいることを実感しています。こうした流れをさらに推し進めるため、来年度からは、アスリート及び指導者へのサポート内容を更に拡充することといたしました。西九州大学と連携したスポーツ医科学・栄養学の普及・定着、競技団体や私立学校における指導者の確保・育成、官民連携によるアスリート寮の運営など、中長期的視点に立ち育成体制を強化してまいります。また、鳥栖工業高校の新レスリング場と多久高校のスポーツクライミング施設については、様々なアスリートが利用できる開放型の全国トップレベルの拠点として、来年度の完成に向けて整備を進めており、人材育成の拠点となる練習・競技環境を充実させてまいります。「佐賀が育てる、佐賀が支える」という想いでSSP構想を推進し、スポーツの力を活かした人づくり、地域づくりを進めてまいります。
 次に、「SAGA2024」のメイン会場となるSAGAサンライズパークの整備について申し上げます。
 中核施設であるSAGAアリーナについては、現在、鉄骨の柱の組み上げがほぼ完了し、梁の工事も進み、いよいよその美しいフォルムが姿を現してきました。昨年末、工業高校の生徒や親子向けに開催した見学会が大変好評で、来年度は県内の原則小学5年生を対象に、今しか見ることができない建設現場を体験してもらいたいと考えています。今後アリーナ内部の工事も始まり、久光スプリングスや佐賀バルーナーズのホームゲームをはじめ、メインアリーナで各種競技を行うためのポータブルフロアの購入について今議会に契約議案を提案しております。昨年10月にオープンしたSAGAアクアは、県民の皆様の御利用が増え、国内トップ選手も次々と合宿を行っているなど注目され人気が高まっています。SAGAサンライズパークは、これまで本県ではできなかった規模のスポーツ大会やコンサート、MICE(マイス)と呼ばれる全国規模の学会や展示会などの開催が実現できるようになり、新たな価値を生み出していきます。これを機に、デジタル技術やAIを活用したアスリートの発掘、自動運転モビリティ、スポーツハイライト自動編集などに取り組み、SAGAサンライズパークをデジタルの実証フィールドとしてまいります。来年春のグランドオープンに向け、引き続き着実に整備を進めてまいります。
 次に、県内への移住・定住の促進については、支援対象を全国に拡大することといたしました。国の支援スキームでは東京23区内の方だけが対象ですが、コロナ禍において、佐賀での暮らしに全国から関心が集まっているこの流れを最大限に活かすため、県独自に対象を拡大いたします。人手が不足している産業や、事業承継、空き家活用など、県が指定する分野で担い手となっていただける方を対象に「さが暮らし」のスタートを支援し、移住者の増加とあわせて、担い手不足を解消することで地域課題の解決を図ってまいります。
 次に、ゆめさが大学卒業生の地域活動の支援について申し上げます。
 ゆめさが大学は、シニアの方々の生涯学習の場、そして地域活動の担い手育成の場として開校し、これまで約5千人を超える方々を送り出しています。入学希望者が多く、令和2年度には4か所目となる鳥栖校を開設しました。ゆめさが大学で学ばれたシニアの方々は、卒業後、地域活動の担い手、リーダーとして活躍されており、学んだことをもっと地域に活かしたいという方が多くおられます。そこで、「ゆめさがアシストセンター」を設置し、卒業生と地域のボランティア団体などをつなぎ、活躍の場を広げる支援を行ってまいります。
 次に、「さが園芸888運動」については、これまでハウス整備への支援や農地の基盤整備、トレーニングファームによる新たな担い手の育成などに取り組んでいます。これから取組を加速させるとともに、担い手と産地を育むことに更に力を注いでまいります。新たにピーマンを対象とした県内5か所目となるトレーニングファームの整備や、新規就農者の受け皿となるきゅうりの園芸団地の整備、面積の拡大を伴うハウスの再取得の支援などを進めます。また、中山間地域におけるみかん畑や耕作放棄地などを集約・集積し、高品質生産技術を取り入れた高収益が見込める果樹産地の形成や、新たな露地野菜産地づくりなどを展開してまいります。さらに、販売対策としては、園芸作物の販売先を確保するため、生産者と消費者、食品メーカーとの橋渡しを行うなど取組を強化するとともに、「いちごさん」や「にじゅうまる」のプロモーションを実施して一層のブランド化を図ってまいります。引き続き、市町やJAなど関係機関と一丸となって「さが園芸888運動」を進めてまいります。
 次に、「さがの林業再生プロジェクト」について申し上げます。
 ウッドショックによる木材の輸入減少で、国産木材の価格が上昇し県産木材も高値が続いています。これまで木材価格低迷の影響を受けてきた本県林業にとって、追い風ともなりうるこの機を捉え、佐賀の山を守り育てる「さがの林業再生プロジェクト」を進めています。第1弾の林業機械導入支援、第2弾の小規模で分散した森林の集約化支援により、作業の効率化と事業体の経営基盤強化、就業者の待遇改善を促進しています。今回第3弾として、林業に意欲のある人材を見い出し育成する「林業アカデミー」を開校することといたしました。林業の魅力に触れる体験会や就業セミナー、林業事業体への就職希望者に対する技術習得研修を行い、即戦力となる担い手の確保と育成を進めてまいります。
 次に、唐津プロジェクトについて申し上げます。
 県では、唐津・玄海エリアが本来持っている魅力を掘り起こす「唐津プロジェクト」を進めています。
 名護屋城はかつて、徳川家康や伊達政宗といった名だたる武将が全国から集結し、ごく限られた期間に人口が20万人を超え、文化が繁栄した、他に類を見ない、唯一無二の舞台です。茶道、能、和歌、華道、陶磁器、仮装など、様々な文化が結びついた「奇跡の見本市」会場ともいえる、そこはまさに日本文化発展の“はじまりの地”です。その価値を磨き上げ、「はじまりの名護屋城。」をコンセプトに、当時を再現するような大茶会や、豪華絢爛と侘び寂びの対をなす「黄金の茶室」「草庵茶室」の体験、全国の武将の陣跡を一堂に巡るためのサイン整備など、名護屋城の歴史や文化を活かした取組を進めてまいります。
 また、唐津の建築家たちに焦点を当てる展示会を開催します。佐賀藩ゆかりの大木喬任や江藤新平らが、東京遷都に携わるなど制度面で近代東京の礎をつくった一方で、唐津からは、建築分野で近代東京の礎づくりに貢献しています。東京駅を設計した辰野金吾、丸の内の煉瓦街を設計した曾禰達蔵、赤坂離宮を迎賓館としてリニューアルさせる設計を行った村野藤吾の3人が、いずれも武雄の楼門など県内にも建築物を遺しており、東京で活躍しながら、ふるさと佐賀を愛し続けた唐津の偉人3人の歴史や功績を伝えたいと考えています。
 また、人気ゲーム「サガ」シリーズを手掛ける株式会社スクウェア・エニックスとは、ゲーム内に佐賀県の温泉地や名物が登場したり、人気キャラクターをデザインしたマンホールを設置しスタンプラリーで県内を観光したりと、これまで8年間にわたり、ゲームの世界観と佐賀の魅力を融合させた様々なコラボレーションを展開してきました。そして今回は、JR唐津線と筑肥線山本-伊万里間の全ての車両を「ロマンシング佐賀」でデザインするとともに、唐津線の全駅をラッピングする、これまでの取組が結実したともいえるコラボレーションを実施します。“乗りたくなる列車”“降りたくなる駅”で沿線市とともに唐津線・筑肥線を盛り上げ、全国からデスティネーションキャンペーンで来ていただく皆様にも、全県を周遊していただく大きなきっかけにしたいと考えています。
 次に、無人駅“まち駅”づくり化プロジェクトについて申し上げます。
 近年、駅の無人化が進み、JR九州の公表によると、県内の約7割の駅が無人駅となる予定です。しかし、地域にとって駅はまちの顔であり、暮らしや文化、交流の拠点として、まちづくりに重要な場所です。また地域からは、人がいないことで安全面や防犯面で不安の声もあります。市町には、見守りやマルシェといった地域活動など、それぞれの駅に合ったやり方で、無人駅をまちのシンボルにする“まち駅”づくりを住民の皆さんとともに考えていただき、県ではそうした取組を後押ししてまいります。
 次に、佐賀大学などの県内の高等教育機関との連携については、これまで、主に農作物の品種改良など個別課題の共同研究を行ってきました。これからは、より実践的な取組を進め、ともに佐賀の未来を創造していくため、「TSUNAGIプロジェクト」として、AIを活用した農業の熟練技術の再現や、ビックデータ解析による地滑りの早期検知など、Society5.0時代に対応した実践的で地域課題解決型の連携にもチャレンジしてまいります。
 次に、JAXAと連携した宇宙の取組について申し上げます。
 昨年3月に全国ではじめてJAXAと地方創生に関する連携協定を締結し、子どもたちの夢と志を育む宇宙教育JAXAGAスクールや、宇宙技術を活用した地域課題の解決、宇宙ビジネスの創出に向けた取組を推進してきました。宇宙はラストフロンティアです。九州でも、福岡県や大分県が宇宙への取組を強化し始めた中、佐賀県としても、JAXAとの連携を軸に更に取組を前に進め九州全体で相乗効果を発揮していきたいと考えています。来年度は、JAXAGAスクールにおいては、志を実装する場として、高校生が自ら宇宙技術活用のミッションを考え、キューブサットと呼ばれる超小型人工衛星を開発して宇宙に打ち上げることとしています。また、宇宙ビジネスの創出に向けては、宇宙関連産業の多様なプレーヤーが共創し議論する場をつくり、佐賀を宇宙ビジネスの実証フィールドとして、様々な分野にチャレンジしてまいります。
 次に、佐賀を支える社会資本の整備について申し上げます。
 県が整備を進めている、広域幹線道路網の東西軸となる有明海沿岸道路と、南北軸となる佐賀唐津道路が接続する「Tゾーン」については、橋梁や地盤改良工事に加え、盛土工事も進んでおり道路の姿が徐々に現れてきています。国が整備を進めている有明海沿岸道路の区間については、(仮称)諸富インターの令和4年度の開通に向けた整備に加え、その次の区間となる(仮称)川副インターに向けた整備も進められています。また唐津市においては、昨年12月に、国道204号唐房バイパスのトンネルが貫通し、バイパス全線の令和4年度中の開通を目標に整備を進めてまいります。鳥栖市においては、(仮称)味坂スマートインターのアクセス道路となる県道鳥栖朝倉線の整備を進めており、令和4年度には、九州縦貫自動車道を跨ぐ橋の架設も予定しています。また、地域の生活を支える道路の整備や、安全安心を支える交通安全対策などを進めています。引き続き、地域の発展と県民の暮らしを支える基盤として、広域幹線道路やくらしに身近な道路の整備を着実に進めてまいります。
 国際コンテナターミナルである伊万里港においては、海上運賃高騰など厳しい環境であったものの、令和3年のコンテナ貨物取扱量はコロナ禍においても順調に推移しています。令和4年度中には臨港道路七ツ島線が供用開始となります。そして、コンテナの積み下ろしに使うガントリークレーンの2基目の整備も進めています。コンテナターミナルの機能を強化するとともに、新たなコンテナ航路の開設にもチャレンジし、伊万里港の飛躍につなげてまいります。
 今後も、人々の暮らしを守るとともに、人やモノの交流を促進し、地域の活力を生み出していくための基盤となる社会資本の整備を着実に進めてまいります。
 次に、令和3年度補正予算案の概要について申し上げます。
 補正予算の編成に当たりましては、11月補正後の情勢の推移に対応することといたしており、今回提案いたしました令和3年度2月補正予算案の総額は、歳入歳出とも、それぞれ
   一般会計    減額 約34億8,100万円
   特別会計       約58億1,500万円
となり、これを既定の予算額と合わせますと、本年度の予算総額は、
   一般会計   約6,387億1,400万円
   特別会計   約1,989億9,800万円
となっております。
 今回の補正予算の編成に当たっては、必要な経済対策を国の補正予算を活用して行うこと、そして、年度末での事業の精算を行うことを前提といたしました。減額補正となっている要因としては、経済対策で、新型コロナ対策や豪雨災害対策など約188億円の事業予算を計上する一方、新型コロナ対策としての事業者向けの融資資金が、融資の実態に応じて約59億円の減額、豪雨災害の復旧工事が工法見直し等により約64億円の減額、また、その他の事業の精算で約107億円の減額となったことなどによるものです。
 次に、予算案の主な内容について申し上げます。
 まず、商工業者への防災対策支援についてです。
 令和3年8月豪雨で被災した事業者への支援については、佐賀型商工業者再建補助金などにより、復旧と防災対策を後押ししています。そうした中で、再度の被災防止には、工場の防水壁設置や店舗のピロティ化など、本格的な対策を実施しなければ事業を続けることができないとの声を受け、現状復旧にとどまらない防災対策の取組についても市町と連携して支援することといたしました。
 次に、事業者の前向きなチャレンジへの支援について申し上げます。
 長引くコロナの影響により、人々の消費行動や企業活動など、社会経済は大きく変化しています。これまで三度にわたって、中小企業・小規模事業者が取り組む新分野への展開や業態転換、新商品の開発、デジタル化による生産性の向上など、新たな事業展開を支援してまいりました。多くの事業者に活用いただいており、キッチンカー導入による移動販売や伝統菓子のブランディング戦略の構築など、前向きなチャレンジが数多く生まれてきています。このため、更に多くの事業者の皆さんがこうしたチャレンジに取り組めるよう、改めて今回支援を行うことといたしました。アフターコロナを見据え、新たな視点、発想で事業の変革に挑む、前向きな事業者を後押ししてまいります。
 次に、OPEN-AIR佐賀の推進について申し上げます。
 コロナ禍の中で、佐賀が持つ豊かな自然を活かし、様々な魅力を体感するOPEN-AIR佐賀を推進しています。柱のひとつとして進めているキャンプ場整備では、民間との協調で運営している波戸岬キャンプ場が、利用者が5倍に増える人気となっています。今回は山の「北山キャンプ場(仮称)」について、21世紀県民の森とあわせて、民間のアイデアを活用しながらリニューアルすることといたしました。美しい森と湖が広がる北山エリアを、佐賀の山の魅力を体感する拠点に磨き上げてまいります。
 予算外議案といたしましては、条例議案として17件、条例外議案として13件となっています。
 このうち、乙第13号議案「佐賀県文化財保護条例の一部を改正する条例(案)」につきましては、文化財保護法の一部が改正され、佐賀県独自の視点により登録制度を設けられるようになったため、新たに「佐賀県登録文化財制度」を創設いたします。今日まで守り伝えられてきた多種多様な佐賀の文化財にさらに光を当て、地域の誇りとして次の世代に伝えていくため、一層の文化財の保存と活用を図ってまいります。
 最後になりますが、私は知事に就任してから8年目を迎えるこれまで、一貫して「人を大切に、世界に誇れる佐賀づくり」を基本理念として県政運営に当たってまいりました。佐賀が持つ歴史や文化、美しい自然、豊かな食文化など、本物の価値を再認識し、人から人へ伝えてきたことは、佐賀が本来持つ素晴らしさを一層輝かせるとともに、県民の皆さまが佐賀を誇りに思い未来を創造する志へつながっていると実感しています。様々な分野において、持続可能であってさらに前進させるための源泉は「人の力」であります。これまで人を大切に、人にこだわり続けてきた取組も、様々な分野において芽を出し始めています。昨年、佐賀県にまた新たな人の交流が生まれました。2020東京オリンピック・パラリンピックを契機として、県内で事前キャンプを行ったフィンランドの皆さんは、環境や子育て、デザインなどで意気投合し、連携した実践的な取組が始まりました。スペインとは、ホルヘ駐日大使が佐賀の食や酒・茶、そして焼き物に関心を持たれ来訪されたことをきっかけに今後、ガストロノミー、スポーツやツーリズムなどの分野で交流を深めることになり、昨日連携協定を結びました。佐賀と佐賀に息づく本物を愛してくれるこうした国々とのつながりが、佐賀そのものの本質的な美しさを磨き上げることになると確信しています。
 今年没後百年を迎えた佐賀の偉人大隈重信侯は、「時のある限り、人のある限り、道が窮まるという理由はないのである。」との言葉を残しています。人の生み出す可能性や力を信じ、その力がある限り、未来への道は続いていくのだというこの言葉の通り、「人」を思い、「人」の力を信じて、「人」と手を取り合い歩んでいく。このことは、佐賀の地に連綿と続く大切な「伝統」としなければなりません。
 「佐賀でもできる」ではなく「佐賀だからこそできる」。
 コロナ禍の先に向かって、これからも、「人」を育み、「人」と手を取り合いながら、ともに考え新たな時代を切り拓いていく。「人を大切に、世界に誇れる佐賀県」を創ってまいります。
 以上、今回提案いたしました議案などについて御説明申し上げました。
 よろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。





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