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令和3年 11月25日令和3年11月定例県議会 知事提案事項説明

最終更新日:

 令和3年11月定例県議会の開会に当たり、最近の動き、提案事項などについて御説明申し上げます。
 はじめに、新型コロナウイルス感染症対策について申し上げます。
 8月から急拡大した感染の第5波は、約2か月間にわたって猛威を振るい、この期間で3千人を超える感染を確認しました。病床使用率は9月下旬になってようやく10%を切る状況になり、9月29日の対策本部会議において、ステージ1に戻ることができたことを県民の皆様にお伝えしました。その後現在まで、感染者は一桁またはゼロで推移しており、落ち着いた状況が続いています。しかしながら、これまで5回にわたって感染の波が繰り返されてきたように、新たな変異株の流行やワクチン効果の減衰などにより、感染が再拡大することを想定しておくことが必要です。このため県では、感染が落ち着いている現状にあっても気を緩めず、新たな感染が確認される度に感染経路を追って、濃厚接触者だけでなく幅広く「念のため検査」を行い、徹底して感染拡大防止に努めています。また、感染の第6波に備え「プロジェクトM」により、重症・中等症の患者を受け入れるための病床の確保、軽症者や無症状者が療養する宿泊療養施設の確保に既に取り組んでいます。感染が再度拡大し第6波が来たとしても、医療現場をひっ迫させることなく、患者の症状に合わせた的確な早期治療につなげる医療提供体制を維持できるよう対応してまいります。
 県内のワクチン接種の状況については、7月末には65歳以上の希望する方への接種が完了し、その後は64歳以下の方への接種が各市町、そして職場や大学などの職域において進められてきました。県庁1階の県民ホールに県が設置した大規模接種会場においても、10月からは土日に加え、昼間に時間が取れない方が受けやすいよう平日夜の接種を実施し、接種人数は延べ2万3千人を超えました。県民同士の声掛け、市町の努力、そして打ち手となる医療従事者の皆様の協力によって、今月中旬には12歳以上の接種率が84%を超えています。接種の予約も空きが出てきており、希望する県民への接種が概ね完了したものと考えています。12月からは医療従事者等への3回目の接種が開始されます。引き続き、必要なワクチンが確実に配分されるよう国に求めていくとともに、県と市町、医師会等が連携しながら、希望する県民の皆様が円滑に接種を受けられるよう取り組んでまいります。
 感染が落ち着いている今、事業者や生産者の方々を支える「佐賀支え愛活動」を、県を挙げて展開しています。10月1日からは「SAGAおいし~と食事券 やっぱり佐賀が好き」の販売を開始しました。大隈重信侯をデザインした食事券は好評で、発行総数40万冊、額面総額20億円分が完売しています。利用期限は来年1月末となっております。県内で食事を楽しむことで、飲食店や食材を提供する生産者の方々を支えていただきたいと思います。また、県民を対象とした「佐賀支え愛宿泊キャンペーン」第3弾を9月16日から再開しています。4月の開始以降、感染拡大で途中二度の停止期間があったものの、現在までの利用者数は27万人を超えており、県内観光業の回復を力強く後押ししています。引き続きご利用いただけますので、さらに多くの方に県内の旅を楽しみながら、観光事業者の方々を支えていただきたいと思います。
 感染が落ち着いている状況においても、医療をはじめ、介護、福祉、保育、教育などの様々な現場を支えておられる皆様に心から感謝申し上げます。そして、県民、事業者の皆様には、引き続き感染症対策に努めていただくようお願いします。これからも気を緩めることなく、チーム佐賀、オール佐賀でエールを送り合いながら頑張っていきましょう。
 次に、「令和3年8月豪雨災害」の復旧・復興に向けた取組について申し上げます。
 8月に発生した豪雨災害から、3か月余りが経過しました。災害からの復旧・復興に向けては、庁内に設置している復旧・復興推進本部会議において、生活・産業・インフラの分野ごとにミッションを明確にし、被災された方々に寄り添いながら全庁を挙げて取り組んでいます。また、被災者支援のために寄せられた義援金は2億円を超え、市町を通じて順次被災者の皆様にお届けいたしております。被災地においては、「佐賀災害支援プラットフォーム」を中心とする県内外のCSOや県社会福祉協議会、ボランティアの皆様と一緒になって被災者の困りごとや不安に対するサポートを続けています。被災者に寄り添い、ご支援いただいている全ての皆様に心から感謝申し上げます。
 公共土木施設などの復旧に向けては、災害復旧事業の着手に必要な国の災害査定が10月から始まり現在も進められています。家屋に近接した被災箇所等は応急工事を実施し、漁港に堆積した土砂や海岸の漂着ごみについては全て回収が完了するなど、順次、復旧を進めています。また、中小企業者や生産者に対しては、復旧に必要な設備・運転資金に活用できる災害復旧資金や、10月臨時議会で計上した、被害を受けた施設や設備、農業用機械の復旧及び防災対策への補助等を通じて、事業と生産活動の再開を後押ししております。
 2年のうちに浸水被害が繰り返された六角川流域をはじめとする県内各地の内水氾濫への対策については、「内水対策プロジェクトチーム(プロジェクトIF)」を設置し、内水状況の把握や被害軽減につなげる対策を、できることから順次進めています。9月議会で計上した浸水被害の軽減を図るための排水ポンプ車については、来年の出水期までに配備できるよう、専決処分により契約を行いましたので、今議会にその承認を求める議案を提出いたしております。河川の流下能力やため池・水田の貯留能力の強化、内水状況の早期の把握と提供なども鋭意調整を進めているところです。気候変動により豪雨災害は毎年起こりうると想定し、国や市町と連携しながら流域全体で対策に取り組んでまいります。
 続きまして、当面の諸課題への対処方針について申し上げます。
 まず、原子力発電についてです。
 玄海原子力発電所においては、今月16日、建設中の特定重大事故等対処施設の工事現場で火災が発生しました。九州電力では、令和元年度と2年度に点検作業や工事作業において複数回のトラブルが発生したため、昨年12月に発電所内の総点検を行いましたが、それ以降も、今回を含めて3度にわたってトラブルが発生しています。このため、火災発生の翌日に、九州電力に対し、「総点検を行った後も、なぜこのようなトラブルが続くのか、その原因を根本から幅広く検証し、対策を講じること」を強く要請しました。
 また、玄海原子力発電所の「乾式貯蔵施設」の設置については、佐賀県原子力安全専門部会での意見や助言を踏まえて、原子力規制委員会や九州電力に聞き取りを行うなどの確認作業を進めています。
 玄海原子力発電所とは、廃止措置を含めて、これからも長い年月にわたり関わり続けなければなりません。今後とも、九州電力に対しては、常に緊張感をもって慎重の上にも慎重に安全対策に取り組むことを求めるとともに、県民の安全を何よりも大切に、県も含め全ての関係者の中に気の緩みが生じることがないよう万全を期してまいります。
 次に、佐賀空港の自衛隊使用要請について申し上げます。
 県が有明海漁協と交わしている公害防止協定覚書付属資料の変更については、現在、漁協において、ノリ漁期中においても、検討委員会を開催し、議論を進めていただいています。そこでは、主に、有明海漁業への影響や計画予定地の土地価格の考え方など、本年6月30日から7月4日にかけて防衛省が開催した地権者説明会やその後の地権者へのアンケートで出された疑問点等について、議論が深められています。防衛省には、漁協の皆様に対して、真摯に向き合い、誠意をもってしっかりと説明していただきたいと考えています。県としては、漁協内での議論が進むよう、引き続き一つ一つ丁寧に対応してまいります。
 次に、有明海の再生について申し上げます。
 諫早湾干拓関連訴訟について、福岡高裁における請求異議訴訟の差戻審では、紛争全体の根本的な解決を図るためには、判決では難しく、話し合いによる解決の外に方法はないとする「和解協議に関する考え方」が示されました。しかし、その後の進行協議の中で、国と開門を求める漁業者双方の意見が相容れなかったことから、進行協議が打ち切られました。県としては、和解による解決が図られると考えていただけに、打ち切られたことについては、非常に残念に思っています。12月1日に口頭弁論が開かれることとなっており、今後、裁判所が、どのような判断を下すのか注視してまいります。
 水産資源の回復に向けては、休漁が続いているタイラギやアゲマキなど、依然として厳しい状況にある二枚貝の種苗生産技術や人工稚貝の放流技術の開発とともに漁場環境の維持・改善に努めるなど、一日も早い漁獲の再開を目指し、関係機関と連携して取り組んでまいります。
 宝の海である有明海の再生は、国や県、市町、漁業者など有明海に関わるもの皆で取り組む課題です。今後も、訴訟の状況や国の動向を注視し、有明海の再生という本来の目的を見据え、関係する皆で力を合わせて全力で取り組んでまいります。
 次に、九州新幹線西九州ルートについて申し上げます。
 国土交通省鉄道局との「幅広い協議」については、11月22日に第5回の協議を半年ぶりに行いました。前回の協議では、在来線の利便性低下を懸念していることを伝えるとともに、フル規格で整備する場合の3つのルートについて、将来を見据え、佐賀県はもとより九州の発展にどのようにつながっていくのかなど、国土交通省としての考えを示すよう求めていました。しかし、今回の協議では、そのような視点からの説明はなく、議論が深まることにはなりませんでした。新鳥栖-武雄温泉間のあり方は、佐賀県の将来に大きく影響するため、今後も、何が望ましい姿なのかということを、大きな視点を持って幅広く、骨太に議論してまいります。
 また、来年秋の武雄温泉-長崎間の開業により、特急列車が大幅に減ることになる鹿島や太良などの長崎本線沿線地域の振興に力を注いでまいります。鹿島市においては「肥前鹿島駅周辺整備構想」が策定されるなど、地域の魅力を感じてもらえるまちづくりが始まろうとしており、そうした取組を県としてしっかりと後押ししてまいります。
 次に、城原川ダム事業について申し上げます。
 城原川ダム事業については、水没予定地域内において国が8月から開始した家屋調査が順調に進んでおり、工事に伴う付替道路の詳細なルートが示されるなど、ダム建設の具体化に向けて、一つ一つ段階を踏みながら着実に進捗している状況です。昭和46年の予備調査の開始から今年で50年になります。10月には改めて水没予定地域を訪問し、住民の皆様から温かく迎えていただきました。長い間ダム問題に向き合い続けてこられた皆様からは、「やっと将来像が見えてきたことに感謝している」「地区の全員で力を合わせて頑張っていきたい」などの言葉をいただきました。また、水没予定の岩屋・政所地区で、一時途絶えていた特産品の柚子胡椒や刺身こんにゃくが皆さんの手で復活したと聞き、「岩政ブランド」を立ち上げて未来に残していこうと話し盛り上がりました。一刻も早くダム事業を進めていかなければならないことと、地域の方々の想いを実現するための取組もしっかりと支援していかなければならないとの思いを新たにしました。県としては、地域の治水対策推進のため、一日も早いダム完成を目指した事業の推進と必要な予算の確保を、引き続き国に働き掛けてまいります。あわせて、住民の皆様お一人お一人に寄り添い、不安な気持ちが将来への希望に変わり具体的な生活再建に向け踏み出せるよう、国や神埼市と連携して、きめ細やかな支援を心掛けてまいります。
 続きまして、最近の県政の主な動きについて申し上げます。
 まず、県民栄誉賞の授与についてです。
 10月25日、東京2020パラリンピックの車いすテニス女子ダブルスで銅メダルに輝いた大谷桃子選手に対し、県民栄誉賞を授与いたしました。平成19年に甲子園で優勝した佐賀北高校野球部への授与以来14年振りのことです。大谷選手は、佐賀で車いすテニスに出会い、佐賀で成長し、そして佐賀を拠点に世界へ挑戦しています。初出場のパラリンピックで、女子ダブルスでは初のメダルがかかった大きな重圧と緊張感の中、あきらめず全力でボールを追いかけ勝ち切った姿は、県民に大きな感動を与えてくれました。大谷選手の活躍に、改めて障害者スポーツの素晴らしさを感じ、SAGA2024全障スポに向けて、多くの方が大谷選手に続いてチャレンジし、佐賀の障害者スポーツが盛り上がっていくことを期待しています。
 次に、県がこの秋に開催したイベントについて申し上げます。
 10月の澄み渡る秋空の下、佐賀城公園一帯で「佐賀さいこうフェス」、「さが維新まつり」、「タイフェス」、「さがすたいるミュージアム」などのイベントを開催しました。今年も感染防止対策を講じながらの開催となりましたが、皆さんが楽しみ、笑顔が溢れている光景に、こうした取組の積み重ねが、佐賀の活力になることを実感いたしました。今回初めて開催した「さがすたいるミュージアム」では、視覚や聴覚に障害がある方も一緒に、光と振動を使って全身で音楽を感じるコンサートや、普段は鑑賞するだけの土器や甲冑などに直接触れる展覧会を楽しみました。高校生を中心とするサポートボランティアが、車椅子に乗る方やベビーカーを押す母親などに声を掛けサポートしている様子に、「さがすたいる」が目指す自然なやさしさのカタチの広がりを感じました。また、今回のイベントに合わせ、開催日の2日間「路線バス運賃無料デー」を実施しました。佐賀市内で降車した場合に運賃を無料とし、イベントに参加された方だけでなく多くの方に御利用いただいたことで、バス利用者数は通常の1.5倍にもなっています。公共交通機関を積極的に利用するなど、自家用車に頼りすぎない歩くライフスタイルへの転換を促すことで、まちも人も元気な佐賀県をつくっていきたいと考えています。
 次に、心地よい空間づくりに向けたチャレンジについて申し上げます。
 10月下旬、KIZUKIプロジェクトの一環として、佐賀駅南口の4車線道路を2車線に減らし、キッチンカーやテラス席を設けて、心地よい空間を創出する社会実験「佐賀駅南テラスチャレンジ」を実施しました。道路の使い方を工夫することで人が歩いて集い、ビジネスチャンスも生まれるなど、まちが楽しいわくわくする雰囲気に変わることを強く感じました。KIZUKIプロジェクトでは、こうした、人が中心の心地よい空間づくりに向けたチャレンジを、市町とも連携しながら、県全体に広げてまいります。
 次に、大隈重信侯の偉業の顕彰について申し上げます。
 昨年、東京の品川において、日本で初めて走った鉄道の遺構「高輪築堤」が当時のそのままの姿で発見されました。高輪築堤は、用地確保が難航した新橋・横浜間において、大隈侯の英断により海上に鉄道を走らせるために築かれたものであり、明治日本の文明開化の象徴として、今年9月に異例のスピードで国史跡に指定されています。今年は大隈侯の100回忌の年であり、その偉業に光を当て、未来につなげる「大隈重信100年アカデミア」を展開しています。この節目に合わせたかのように、大隈侯ゆかりの高輪築堤が出土したことは、まさに奇跡としか言いようがなく、大変感慨深いものです。これを記念し、佐賀城本丸歴史館では、大隈侯が挑んだ日本初の鉄道建設をテーマに「陸蒸気を海に通せ!」と題した特別展を開催しています。三十代前半の若さで鉄道事業の最高責任者となり、数々の難題を乗り越え我が国の一大事業を成し遂げた、大隈侯の類稀な発想力とエネルギーを感じ取っていただきたいと思います。
 また、大隈侯の功績を発信する取組の一つとして、特別番組「明治のイノベーター 大隈重信」を制作し、10月にサガテレビで放映しました。鉄道の開業に加え、通貨「円」の制定や女子大学の創設など、近代日本のグランドデザインを描いた傑物大隈侯の比類なき構想力と志を紹介しています。大好評をいただき、現在はユーチューブで配信中です。大隈侯の凄さに圧倒されたなど多くの感想が寄せられ、県民の心に佐賀と大隈侯を誇る気持ちが更に広がっているものと感じています。
 次に、佐賀・長崎デスティネーションキャンペーンに向けた取組について申し上げます。
 来年10月から12月までの期間、佐賀県と長崎県、JRグループ6社が協働して、国内最大級の誘客キャンペーンであるデスティネーションキャンペーンを実施することとしています。今月9日には、240名を超える全国の旅行会社の関係者を佐賀県にお招きして、「全国宣伝販売促進会議」を開催しました。コロナ禍で厳しい状況にある旅行会社の皆様からは、感染が落ち着いているタイミングで、集まって交流できた喜びの声を多く頂き、私からは、人生において大切な、人と人、人と地域の出会いをつくってきた旅行業者の皆様にエールを送りました。また、佐賀と長崎の人々が古くから交流が盛んで、肥前の国を慈しんで生きてきたことを紹介し、キャンペーンに向けて、両県の歴史、伝統を感じる旅、コロナ禍で希薄になった人と人の繋がりを思い返させるような旅を作っていただきたいとお願いしました。多くの観光客に県内各地を訪れていただき、キャンペーンの効果を県全域に波及させられるよう取り組んでまいります。
 次に、「SAGA2024」のメイン会場となるSAGAサンライズパークの整備状況について申し上げます。
 10月23日に、水泳場SAGAアクアがオープンしました。本県初の国際公認の屋内50メートルプールは、高い天井と残響を抑えた空間でアスリートが泳ぎやすく、利用目的に合わせて水深を3メートルまで調整することができる最新の機能を備えたプールです。オープニングセレモニーでは、ゲストに日本水泳連盟の鈴木大地会長をはじめ、多数の東京オリンピック出場選手をお招きし、大勢の県民の皆様と一緒にお祝いしました。また、オープニングイベントでは、伊万里市出身の柳本幸之介選手らの本番さながらの白熱したリレー対決や、飛込界のレジェンド寺内健選手の華麗な技に会場が沸き、SAGAアクアから多くの記録と感動が生み出されることへの期待が膨らみました。
 SAGAアリーナについては、上屋の鉄骨工事が進み、昨日上棟式が行われました。屋根部分の梁の鉄骨が架かり始め、いよいよ建物の外観が姿を現す段階へと進んできています。アリーナ内部の工事に向けた準備も進めており、今議会において、センタービジョンの設置等に関する電気設備契約の変更契約議案を提案しております。様々なスポーツの試合で選手の躍動感を演出するなど、魅せるアリーナとしての機能を高めたいと考えています。これまで本県では実現できなかった規模のスポーツ大会やコンサート、イベントなど、新たなドラマへの県民の期待の高まりを感じており、再来年春のSAGAサンライズパークのグランドオープンに向け、引き続き着実に整備を進めてまいります。
 次に、SSP構想について申し上げます。
 今月開催された九州高校野球大会では、有田工業高校と佐賀商業高校の2校がベスト8に入りました。さらに有田工業高校は、小城高校以来15年ぶりとなるベスト4進出を果たし、来年春のセンバツ大会への出場が有力となっています。両校が他県強豪校と堂々と渡り合う姿に、昨年始動した「佐賀野球王座奪還プロジェクト」が良い流れを生み出していると感じています。8月の全国中学校体育大会では、陸上女子100メートルで鏡中学校3年生の德永心奈選手が3位入賞を果たしました。德永選手は県のストリート陸上で見たトップ選手の走りが大きな刺激になったそうです。このようにSSP構想の取組の一つ一つが繋がり、選手を育む好循環が生まれています。佐賀県は、若いアスリートの育成に力を入れるとともに、多くの人が「育てる、観る、支える」など自分なりのスタイルでスポーツに関わることで、スポーツのチカラを活かした地域づくりを進めています。この一環として中央競技団体と連携協定を締結しているフェンシングでは、9月に本県において、東京以外では初めてとなるフェンシングエペのジャパンランキングマッチが開催されました。東京オリンピック金メダリストの山田優選手をはじめとする国内トップ選手が集結し、熱戦を繰り広げています。SSP構想の下、こうした新しいチャレンジをこれからも積極的に進め、佐賀から新しいスポーツシーンを切り拓いてまいります。
 次に、農福連携の推進について申し上げます。
 農業分野で障害をお持ちの方が活躍する農福連携は、農業現場での働き手の確保とともに、障害者の方々にとっては幅広い働き先の確保となる、双方のニーズに合った取組です。障害者月間の今月、佐賀市富士町で農福連携に取り組んでいる方々との座談会を行いました。ホウレンソウ農家の方が年間を通して安定した出荷ができ助かっていることや、障害者の方が、自分が袋詰めした野菜が店頭に並ぶことに喜びとやりがいを感じ自信になっているとの話をお聴きしました。お互いを理解し合い、信頼して共同作業する姿は佐賀県が目指す自然なやさしさのカタチ「さがすたいる」そのものでもあります。県ではこの取組を広げていくために、農福連携プロジェクト推進チームを立ち上げました。双方にコーディネーターを配置してマッチングを支援したり、県内の成功事例の横展開や啓発活動を進めてまいります。農福連携を広げることで、障害者の方も自然と社会のシステムの中に入って、みんなが毎日いきいきと暮らす佐賀県を描いてまいります。
 次に、次世代スギ「サガンスギ」の誕生について申し上げます。
 人工林の割合が大きい佐賀県の林業にとって、スギの優良品種の開発は長年の課題でした。この度、県林業試験場が56年もの歳月をかけて取り組んできたスギの品種開発がついに実を結び、全国に先駆けて、次世代スギ「サガンスギ」が誕生しました。サガンスギには従来のスギと比べて三つの特徴があります。成長が早く出荷まで50年かかっていたのが30年で可能となること、強度が約1.5倍あり建築用資材として幅広い利用が可能であること、そして花粉の量が半分以下と少ないことです。まさに「早い・強い・優しい」の三拍子が揃った夢の次世代スギです。来年の春から苗木の出荷を開始することとしており、徐々に入れ替えを進めながら、サガンスギによる新しい佐賀の森をつくってまいります。
 次に、全国都市緑化フェア開催について申し上げます。
 佐賀県では、平野部の暮らしを支え、海への恩恵をもたらす源流である山を大事にしなければという強い想いで「森川海人っプロジェクト」に取り組んでおり、地域のみんなで山の魅力を再認識し山の将来を考える「山の会議」が県内各地で始まっています。また、各市町では、3年後の「SAGA2024」の開催に向けて、花と緑で地域を彩りもてなす、自発的な緑化活動の動きも始まっています。こうした動きを推し進めるために、国に対して、国内最大の緑化啓発イベント「全国都市緑化フェア」を令和10年度に佐賀県で開催したい旨申し入れました。全国の方々に佐賀の花と緑、山の素晴らしさを発信し、佐賀の豊かな自然環境を未来につなげてまいります。
 次に、有明海沿岸道路の整備について申し上げます。
 県が整備を進めている、有明海沿岸道路と佐賀-唐津の南北軸となる佐賀唐津道路が接続する「Tゾーン」については、橋梁の工事や地盤改良工事を継続して進めています。盛土工事も始まったことで、いよいよ道路の原型が姿を現してきました。また、国が整備を進めている区間については、(仮称)早津江川橋がほぼ完成し、令和4年度の大野島インターと(仮称)諸富インター間の開通に向けて、着々と整備が進められています。引き続き、県民の暮らしと地域の発展を支える基盤として、県全体の広域幹線道路の整備を着実に進めてまいります。
 続きまして、提案事項について御説明申し上げます。
 今回の補正予算案は、新型コロナウイルス感染症の第6波への備え及び令和3年8月豪雨災害への対応を柱に編成しており、その総額は、歳入歳出とも、それぞれ、
  一般会計   約129億円
  特別会計   減額 約18億4,700万円
となり、これを既定の予算額と合わせますと、本年度の予算総額は、
  一般会計   約6,225億円
  特別会計   約1,931億8,300万円
となっております。
 まず、今後の新型コロナウイルス感染拡大に備えた医療提供体制の強化についてです。
 今後、新たな変異株の流行などから懸念される感染の第6波に備え、医療提供体制の更なる強化を図ることとしました。感染症に対応する病床について、545床を確保することとしており、これは人口10万人当たりの病床数としては全国3位となります。これにより、引き続き、プロジェクトMの下で、コロナに感染した方に早期に医療を提供して重症化を防ぎながら、コロナ以外の救急医療や通常診療の体制も維持し、県民の命を守ってまいります。
 次に、豪雨災害時の内水被害を軽減する取組について申し上げます。
 「内水対策プロジェクトチーム(プロジェクトIF)」では、豪雨災害は毎年起こりうるとの想定の下、次に発生した際にどこまで対応できるかが勝負との強い想いで取り組んでいます。浸水状況の把握や住民等の避難を進める「人命等を守る」対策、ダムや水田など流域全体の貯留能力を強化する「内水を貯める」対策、排水と流下能力の強化を図る「内水を流す」対策、これら三つの柱で、国や市町等の関係機関と連携しながら、内水対策をトータルで、できることから順次進めています。今回、新たに準備が整った取組について着手することといたしました。まず、8月の豪雨で浸水した箇所に監視カメラや水位計、道路情報板を設置して、浸水状況の早期把握と情報提供を行い、速やかな避難行動につなげてまいります。また、農業用ため池に、大雨の状況に応じて時機を逃さず速やかに放流するための調節ゲートを整備し、洪水時の調整池としての貯留能力を強化してまいります。さらに、流水の阻害となっている河川内の堆積土砂の浚渫を、昨年度の3倍を超える56か所実施し、河川の流下能力を確保してまいります。来年また豪雨災害が発生しても浸水被害ができるだけ少なくなるよう、内水対策に全力で取り組んでまいります。
 次に、豪雨で被災した地域コミュニティの再生支援について申し上げます。
 8月の豪雨災害では、地域の自治公民館や伝統行事用の道具等も被災しており、自治会や老人会といった地域コミュニティの活動が影響を受けています。地域と人をつなぎ交流を生み出す地域コミュニティは、地域の住民の方にとって、そして佐賀県にとってもかけがえのないものです。このため、2年前の佐賀豪雨に続いて、ふるさと納税寄付金も活用し県が直接支援を行うこととしました。施設だけでなく、畳やエアコンなどの備品の修繕や、防災マップ作成などの防災力を高める取組も対象とし、地域コミュニティが活動を再開して活気を取り戻せるよう支援してまいります。
 次に、佐賀県高性能食肉センターの整備について申し上げます。
 現在、食肉センターにつきましては、牛肉の海外市場への販路拡大に向けて、米国やEUなどへの輸出に対応できる高性能な牛処理施設の新築工事を進めています。今回は、これに続いて、食肉センターに不可欠な施設である、病気の牛などを衛生的に処理する事故畜棟の新設と、脱臭装置の設置などを行う汚水処理施設の改修に着手することといたしました。新たな佐賀県高性能食肉センターが、生産者と消費者の架け橋となり、国内外から高い評価を得ている佐賀牛をはじめとする本県畜産業の更なる振興を図ってまいります。
 予算外議案といたしましては、条例議案として8件、条例外議案として14件となっています。
 このうち、乙第72号議案「佐賀県立点字図書館設置条例の一部を改正する条例(案)」につきましては、来年4月のリニューアルオープンに併せ、佐賀県立点字図書館の名称を「佐賀県立視覚障害者情報・交流センター」に変更するものです。視覚障害者の読書環境の充実を図ることに加え、新たにコーディネーターによるニーズに応じた相談支援や、視覚障害者同士の交流の場づくりを進め、視覚障害者の自立と社会活動への参加促進を図ってまいります。
 最後になりますが、新型コロナウイルス感染症と向き合ってきたこの2年近く、高度経済成長期以来の、利便性や効率性を追い求めてきた、東京をはじめとする都市部中心の価値観は大きく変化しています。コロナ禍で仕事や学びがオンラインでできるようになった新しい生活スタイルによって、社会の動きがこれまでの東京一極集中から地方に向かい始めました。今年3月に発表された移住希望地ランキングでは、移住セミナーの参加者数が佐賀県は全国3位となり、人々の佐賀県への関心の高まりを感じます。また、シリコンウェハー大手の世界的企業であるSUMCOは、生産力の増強に向けて、県内で新工場建設など2千億円を超える大型の投資を決定されました。嬉野温泉のITオフィスには昨年の開設から早くも5社が進出しており、コロナ禍においても県内の企業進出数は増加しているなど、企業からの注目も高まっています。地方回帰の機運が高まる中で、こうして佐賀県が選ばれている強みの一つは「人づくり」にあります。企業進出による昨年度の新規雇用が前年度の約3倍に増加していることは、確かな人材が佐賀の魅力になっていることを表していると思います。
 私は、知事就任以来、人が基軸の県政を掲げ、「人づくり」にこだわってきました。佐賀の歴史や文化、自然の素晴らしさを伝え続け、県民の皆様に芽生えた、佐賀を誇りに思い未来を創造する志は日々大きくなっています。そうした強い志を育みながら、佐賀の伝統産業や世界に誇る技術を継承する「ものづくり人材」の育成、SSP構想による「世界に挑戦するアスリート」の育成、トレーニングファームによる「稼げる若手農業人材」の育成など、志と技が一体となった「人づくり」の一つ一つがしっかりと実を結んできています。
 今や、どこからでも世界と繋がることができ、チャレンジできる時代です。人材が都市部に流出していた時代とは逆で、これからは、佐賀で技術を磨いた人材が世界に向けて発信し、同じ志を持つ人材が佐賀に集まってくる時代です。地域づくりは人づくり。「人づくり」をさらに推し進め、コロナの先に見えてきた新しい社会において、多様な人材が活躍し、想像力、企画力、突破力をもって新たな価値を生み出し続ける佐賀県を創ってまいります。
 以上、今回提案いたしました議案などについて御説明申し上げました。
 よろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。





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