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令和3年 6月15日令和3年6月定例県議会 知事提案事項説明

最終更新日:

 令和3年6月定例県議会の開会に当たり、最近の動き、提案事項などについて御説明申し上げます。
 まず、新型コロナウイルス感染症対策について申し上げます。
 佐賀県では、ゴールデンウィーク中の人の動きや変異株の影響により、4月下旬から感染が急速に拡大し、医療現場のひっ迫が懸念される状況となりました。このため、1月に効果を発揮した県独自の「医療環境を守るための非常警戒措置」を5月7日から再び実施し、従来から求めていた「県外への移動」、「県外での会食」の自粛に加え、飲食店に対する20時までの営業時間の短縮を要請しました。コロナ対策は、感染の先行きが見通しにくいこと、そして、実際に感染した日から感染確認までにタイムラグがある中で対策を講じなければならないという難しさがあります。国との調整に時間を要する「まん延防止等重点措置」の適用ではなく、県独自の非常警戒措置の実施を決断したのも、県内の実情を見定めながら効果的な対策を機動的かつ柔軟に実行すべきと考えたからです。新規の感染確認や医療現場の状況、福岡県をはじめとする九州各県の状況を毎日、チームと共にチェックし、時短要請の期間も、当初は2週間とし、それを8日間、次に5日間延長する形でトンネルの出口が見えるようにして、励まし合いながら取り組んできました。また、最後の5日間は時短要請を1時間繰り下げて21時までとするなど、リバウンドに注意を払いながら下り対策を丁寧に実施してまいりました。
 非常警戒措置の実施により、5月中旬に51.8%まで上昇した病床使用率も、6月5日には約21%まで低下するなど、感染者数と医療環境が改善傾向となったことから、5日をもって非常警戒措置を解除することができました。1日の感染者数も解除翌日の6日には72日ぶりにゼロとなり、5月30日以降昨日まで一桁またはゼロの日が続いています。病床使用率も12日の時点で9.6%と一桁に改善しステージ1にあると判断しました。
 感染のスピードが速く、重症化しやすい特徴がある変異株の影響で、医療現場は大変厳しい状況が続きました。それでもこうした厳しい局面を乗り越えることができたのは、先を見据えた先手先手の対応で、当初から県と医療関係者が連携して取り組むプロジェクトMが機能したことが大きな力になったと考えています。これにより、コロナ病床や療養ホテルを早め早めに確保し、症状に応じた入院先の調整をきめ細かく行うことで、速やかな入院・入所と自宅待機者ゼロを維持してきました。慶應大学が発表した都道府県のコロナ対応のデータ分析では、病床が確保できていること等が評価され、佐賀県のコロナ対策は全国3位にランキングされています。
 コロナ対策で重要なのは、救急医療や通常診療が常に受けられる体制を維持すること、そのことで県民の命を守っていくことです。1月の非常警戒措置と同様に、佐賀県らしくエールを送り合いながら、チーム佐賀、オール佐賀の一丸となった取組が功を奏したと考えています。改めて、医療や介護、保育や教育などの現場を支えていただいている皆様、協力いただいている事業者の皆様、そして、日々苦しい中で感染対策に取り組んでいただいている全ての県民の皆様に感謝申し上げます。
 次に、ワクチン接種について申し上げます。
 5月上旬に唐津市馬渡島で複数の新型コロナウイルス感染が確認されました。県では現場の実情、特に離島の特性に対応するため、「佐賀県 対コロナ離島緊急支援プロジェクト」を立ち上げ、全国に先駆けて、防災ヘリ等を活用し、離島の全住民を対象に唐津市と連携してワクチン接種を進め、今月13日までに希望する全ての住民に接種を完了しています。県全体でのワクチン接種についても、県民同士の声掛け、市町の努力、そして打ち手となる医療従事者の皆様の協力によって、高齢者への1回目の接種率は50%を超え、佐賀県は6月7日以降全国1位となっています。図らずもトップとなっているのは、これまで地道にチーム佐賀、オール佐賀の取組を進めてきたことの成果だと思います。接種率が上位にある5県には、今月下旬に国からワクチンが追加配布されることとなり、佐賀県には約5万人分が届くことになっています。そして、佐賀県は接種のスピードだけを求めているのではありません。6月19日からは、土日に県庁舎1階の県民ホールにおいて、市町による接種を支援する「佐賀県接種支援会場」を開設することといたしました。モデルナ製ワクチンを使い、佐賀大学の協力を得て、県での接種を希望する65歳以上の高齢者のほか、高齢者施設や障害者施設などの介護従事者を皮切りに、保育園や幼稚園の職員など順次接種を進めてまいります。今後高齢者以外の方々への接種が本格化することに備え、機動的で柔軟なワクチン接種体制を県独自に構築することで、県民の皆様への円滑なワクチン接種を進め、県全体の感染拡大防止につなげてまいります。
 次に、古賀稔彦さんの顕彰について申し上げます。
 去る3月24日に、本県出身の柔道家古賀稔彦さんが、53歳の若さでお亡くなりになられました。謹んでお悔やみを申し上げます。古賀さんは「平成の三四郎」と親しまれ、鮮やかな一本背負いで世界中のファンを魅了してきました。1992年のバルセロナ五輪で、直前の大怪我を乗り越えて金メダルをつかんだ姿は県民に深い感動を与え、佐賀県初の県民栄誉賞に輝いています。SSP構想のアンバサダーとしても佐賀のために力を貸していただき「世界一になりたかったら、世界一の考え方を」と熱く語っておられた姿は、佐賀の子供達の気持ちを奮い立たせてくれました。その志を後世に伝えていくため、SAGAサンライズパーク柔道場の入口に、古賀さんを顕彰するスポットを整備したいと考えています。官民が連携し、ふるさと納税などを活用して資金を集め、古賀さんの銅像を設置するなど、佐賀のアスリートが志を受け継ぎ、力を生み出す場所にしてまいります。
 続きまして、当面の諸課題への対処方針について申し上げます。
 まず、原子力発電についてです。
 玄海原子力発電所では、4月に4号機の定期検査が終了し、3号機とともに通常運転が行われています。九州電力が原子力規制委員会に対し平成31年1月に申請していた、使用済燃料を金属製の容器に入れて保管する「乾式貯蔵施設」の設置が、4月に許可されました。県に対しては安全協定に基づく事前了解願いが提出されており、現在、九州電力から施設の安全性に関する審査内容の聞き取りなどを行っています。今後、佐賀県原子力安全専門部会を開催し、専門家の御意見を伺いながら、原子力規制委員会における審査結果などをしっかりと確認し、県としての判断を行ってまいります。
 玄海原子力発電所とは、廃止措置を含め、長い年月にわたり関わり続けなければなりません。今後とも、緊張感を持って安全対策に取り組むよう九州電力に求めるとともに、県も含め全ての関係者の中に気の緩みが生じることがないよう万全を期してまいります。
 次に、佐賀空港の自衛隊使用要請について申し上げます。
 有明海漁協は、県と交わしている公害防止協定覚書付属資料の変更について、地権者の意向を確認した上で漁協として判断するとされています。地権者説明会の開催に向けては、県として関係者の信頼関係が構築されるよう間に入って調整を行い、6月30日から7月4日にかけて開催されることが決まりました。今回の地権者説明会は極めて大切なものであり、防衛省には、地権者の皆様に対して、真摯に向き合い、国防上の重要性、必要性を誠意を持って説明していただきたいと考えています。県としては防衛省による地権者説明会が円滑に行われるとともに、漁協内での議論が進むよう、引き続き調整してまいります。
 次に、有明海の再生について申し上げます。
 諫早湾干拓関連訴訟について、福岡高裁における請求異議訴訟の差戻審では、4月28日に第6回口頭弁論が行われました。その後の進行協議において裁判所から、本訴訟のみならず紛争全体の根本的な解決を図るため、国と開門を求める漁業者双方に対して、和解協議の場についた上で、合理的な期間内に集中的に協議を重ねることを求める「和解協議に関する考え方」が示されました。県としては、今後の協議の状況を注視してまいります。有明海のノリ養殖については、昨年度の生産枚数、生産金額ともに18年連続で日本一を達成されました。漁業者をはじめとする関係者の皆様の努力に敬意を表したいと思います。一方、二枚貝については、再生のシンボルであるタイラギの9年連続の休漁に続き、アゲマキやウミタケも今季の休漁が決定されるなど厳しい状況が続いています。漁場環境の維持・改善に努めるとともに、二枚貝の種苗生産技術や人工稚貝の放流技術の開発を続けるなど、一日も早い資源の回復に繋がるよう関係機関と連携して取り組んでまいります。また、3月にはいわゆる有明海特措法改正案が成立し、4月1日に施行されました。これにより、佐賀県が国に政策提案してきた、有明海の再生に向けた事業に対する国の財政支援措置の延長が実現することとなりました。
 宝の海である有明海の再生は、国や県、市町、漁業者など有明海に関わるもの皆で取り組む課題であり、今後も訴訟の状況や国の動向を注視し、関係者と意見交換をしながら全力で取り組んでまいります。
 次に、九州新幹線西九州ルートについて申し上げます。
 国土交通省鉄道局との「幅広い協議」については、5月31日に第4回の協議を行いました。この「幅広い協議」は、昨年6月に協議に入る際、鉄道局とは5つの方式について予断を持たずに幅広く協議することで一致しており、これまでの3回の協議では双方の立場で真摯な議論を行ってまいりました。そうした状況の中で、5月26日に開催された与党検討委員会の会合において、「佐賀駅を通るルートによるフル規格での整備」に絞った検討の方向性が示されたことに強い違和感を覚えました。このため、フル規格を実現するための協議ではないこと、また、佐賀県の合意がない限り事業化に向けた手続きを行わないことについて、改めて鉄道局の考えを確認した上で協議を行いました。佐賀県は、5つの方式について幅広く協議することとしており、フル規格について協議する場合には、ルートを含めてゼロベースから議論すべきと考えています。ルートについても、佐賀駅を通るルートだけではなく、佐賀空港を通るルート、佐賀市の北部を通るルートなど、県内にも様々な意見があります。このため、これら3つのルートについて、それぞれどのようなメリット・デメリットがあるのかということについて、鉄道局としての考えを示していただくよう求めました。また、フリーゲージトレインについても、博多-長崎間に安全性が確保された速度で車両を走行させるなど、様々な可能性について引き続き議論していくことを求めました。新鳥栖-武雄温泉間のあり方は、佐賀県の将来に大きく影響するため、今後も、何が望ましい姿なのかということを、大きな視点をもって幅広く、骨太に議論してまいります。
 また、来年秋の武雄温泉-長崎間の開業により、特急列車が大幅に減ることになる鹿島や太良などの長崎本線沿線地域の振興に力を注いでまいります。肥前鹿島駅周辺は、市民や高校生が行き交い、隣接するバスセンターは嬉野や太良方面とを結ぶなど県南西部の玄関口です。鹿島市では現在、肥前鹿島駅周辺整備構想の策定作業が進められています。県では「KIZUKIプロジェクト」の中で、鹿島市と一緒になって鹿島の魅力と価値を活かした「鹿島らしい」構想となるよう議論を重ねており、まちの賑わいと長崎本線沿線地域の振興につながるよう、支援してまいります。
 続きまして、最近の県政の主な動きについて申し上げます。
 まず、明治初期に日本で初めて走った鉄道の遺構である「高輪築堤」についてです。
 今年は佐賀が輩出した偉人、大隈重信の100回忌の年であり、大隈侯の偉業に光を当て、未来につなげる「大隈重信100年アカデミア」プロジェクトを展開しています。高輪築堤は、我が国初の鉄道を新橋・横浜間に通す際、用地確保が難航したため、鉄道事業の最高責任者であった大隈重信が「陸蒸気を海に通せ」と命じ、線路を整備するために海を埋め立てて築かれたものです。その遺構が、JR東日本が再開発を進める中で、驚くべきことに旧山手線が走っていた線路の真下からそのままの姿で昨年発見されました。明治の錦絵に描かれているまさにその姿で残っており、人力車や飛脚の時代に、誰も想像すらできなかった鉄道を海に通すという大隈侯の驚くべき発想力と実行力を時を超えて感じることができます。国の文化審議会分科会においても、明治日本の近代化に関する遺跡として、産業、鉄道、土木の歴史上非常に重要なものと高く評価されています。100回忌の節目に、大隈侯ゆかりの高輪築堤が出土したことは大変感慨深いものです。県としては、高輪築堤の調査・研究や遺構の保存・活用、情報発信に、文化庁など関係機関と連携して取り組み、大隈侯の偉業に学び、コロナ禍において未来を描き前に進む力にしていきたいと考えています。
 次に、弘道館の商標権無効審判の審決について申し上げます。
 佐賀藩の藩校である弘道館の名称を個人が商標登録していたことに関し、佐賀県は特許庁に対し無効審判を請求しておりました。審理の結果、県の主張が認められ、一私人が独占的に使用することは、社会公共の利益に反するとして、登録を無効とする審決が今月11日に確定しています。幕末維新期に、大隈重信や江藤新平など、近代日本の礎を築いた人材を数多く輩出した弘道館は、佐賀県民の誇りです。これまで県では、「肥前さが幕末維新博覧会」において、当時の弘道館を体感できるパビリオンを設置したり、弘道館を現代に再現し、佐賀の若者たちが刺激を受け、夢を育み、才能を伸ばすきっかけをつかんでもらいたいという想いで「弘道館2」を開校し、先人の志をつないできました。これからも県民の財産として大切に守り続けていきたいと思います。
 次に、SSP構想について申し上げます。
 佐賀県の若いアスリートが躍進しています。3月に行われた全国高校選抜大会では、佐賀女子高校ソフトボール部が初優勝に輝いたほか、神埼清明高校男子新体操部が3年ぶりの全国制覇、鳥栖工業高校レスリング部が団体初優勝を果たしています。個人では、体操の跳馬で鳥栖高校の田島やまぶき選手、柔道で佐賀商業高校の橋口茉央選手、レスリングで鳥栖工業高校の白川剣斗選手、小野正之助選手が優勝しています。全国の舞台での県勢の活躍ぶりに、SSP構想のもとで、着実にトップアスリートの育成が進んでいることを実感しています。この流れをさらに推し進めるため、進学時における有望選手の県外流出を防ぎ、県外の選手にも佐賀を選んでもらいアスリートとして躍動できるような環境を整えてまいります。スポーツを通して地域に貢献したいという企業などと連携し、中高生のためのアスリート寮を設置することといたしました。九州電力や久光製薬などの協力を得て、佐賀市、鳥栖市、太良町において整備してまいります。競技力を高める拠点としては、鳥栖工業高校のレスリング場、伊万里実業高校のホッケー場などの整備を進めています。名称も新たにした「さがみどりの森球場」では、水はけを改善するためのグラウンド改修や、老朽化したスコアボードのLEDを使った大型スクリーンへの改修を行いました。SSP構想の推進を通じて、佐賀で競技力を高め、佐賀から世界を目指すアスリートを育ててまいります。
 次に、SAGAアリーナについて申し上げます。
 令和5年春のグランドオープンを目指して整備が進んでいるSAGAアリーナが、国において「多様な世代が集う交流拠点としてのスタジアム・アリーナ」9拠点に選定されました。佐賀の未来を切り拓く「さが躍動」の象徴として進めているSAGAアリーナの構想が、まちづくりや地域活性化の核となるスタジアム・アリーナのモデルとして評価されたことを嬉しく思います。全国の先進事例として注目されていることも追い風に、SAGAアリーナを拠点に新たな人の流れを創り出し、その効果を県内へと広げてまいります。
 次に、「さがらしい、やさしさのカタチ“さがすたいる”」について申し上げます。
 県では、お年寄りや障がいのある方、妊娠・子育て中の方など、誰もが安心して暮らし心地よく外出できる、やさしいまちづくりの実現を目指して「さがすたいる」を推進しています。一人一人が、同じところも違うところもあるという多様性を当たり前のこととして受け入れ、互いに理解を深めていきたいと考えています。3月には「まざる、ひろがる、さがすたいる」をテーマに「さがすたいるフェス」を開催しました。取組に共感する店舗・事業所によるマルシェや、視覚や聴覚に障害がある方のことを擬似体験しながら福祉を学ぶ謎解きイベント、バリアフリー映画上映会など、様々な交流、体験を通じて、人にやさしいまちを学び考える時間となりました。5月に実施された東京オリンピック聖火リレーでも、県内20市町をつないだ聖火ランナーは、スポーツ、文化、地域づくり、医療、福祉、子育て支援など様々な分野を支えている方や、病気や障害などに立ち向かっている方などに参加していただき、多様性に溢れたまさしく「さがすたいる」の聖火リレーとなりました。
 次に、パートナーシップ宣誓制度の導入について申し上げます。
 同性のパートナーと生活を共にされている方についても、自分らしく生きていけるよう、できる限り障壁を無くしていきたいと思います。互いに協力し継続して生活を共にすることを宣誓し、それを県が証明する制度の導入や、県営住宅への入居など具体的対応に向け検討を始めます。今後も「さがすたいる」の想いを更に広げ、みんなが自然な形で、お互いに尊重し合える、人にやさしい佐賀県を創ってまいります。
 次に、吉野ヶ里歴史公園について申し上げます。
 佐賀の豊かな自然、歴史を肌で感じられる吉野ヶ里歴史公園は、4月に開園20周年を迎えました。記念セレモニーでは、私も子供達と一緒に花を植え、子供達が佐賀出身のアーティスト、ミヤザキケンスケさんと巨大なテントに色とりどりの絵を描くなど、花と絵でお祝いしました。佐賀の自然や未来への希望を詰め込んだ巨大テントの絵は「吉野ヶ里オープンアートプロジェクト」として、地元の子供達や来園者が一緒になって、年内の完成を目指し描いていくこととしています。20周年を機に、歴史的な価値の高い吉野ヶ里遺跡の魅力を活かしながら、公園内でのキャンプやオープンヨガなどアウトドアを楽しめる企画を充実させるとともに、アドベンチャーバレーSAGAなどの周辺施設とも連携して、佐賀の魅力を発信する「新しいスタイルの公園」を目指してまいります。
 次に、スノーピークとの包括連携協定締結について申し上げます。
 4月に、日本のアウトドアシーンを代表する株式会社スノーピークと「オープンエア佐賀の推進に関する包括連携協定」を締結しました。佐賀が誇る豊かな自然と、それらを魅力的な空間へと磨き上げる「OPEN-AIR佐賀」の取組に共感いただいたことで協定が実現しました。日々の暮らしの中で豊かな自然を身近に体感できる環境は、佐賀県の強みです。吉野ヶ里歴史公園をはじめとして、佐賀県は歴史、自然、食材などの地域資源にあふれています。スノーピークがこれまで培ってきたアウトドアのノウハウと佐賀の「本物」の素晴らしさを掛け合わせながら、「OPEN-AIR佐賀」の魅力をさらに高めてまいります。
 次に、企業誘致に関する動きについて申し上げます。
 近年、あらゆる産業分野において、ビジネスの成長と発展にITの利活用は不可欠となっています。佐賀県では、IT関連企業の誘致に力を入れており、平成30年度以降、昨年度までの3年間で30件の誘致が実現しています。今年の4月には、企業が企業を呼び込むという新しい形で、嬉野温泉の旅館をサテライトオフィスとして、4社同時進出が決定しました。引き続き、企業同士のつながりも活かしながら、魅力的な就業の場の創出に向け、IT関連企業の集積に力を入れてまいります。また、こうした企業誘致のほか、昨年1年間の新設法人の増加率が、佐賀県は全国4位、九州1位となっています。佐賀を拠点に世界に飛躍する起業・創業の動きについても後押ししてまいります。
 次に、有明海沿岸道路と佐賀唐津道路の整備について申し上げます。
 有明海沿岸道路については、県が整備を進めている芦刈南インターと福富インター間について、東京オリンピック開会式の翌日7月24日に開通することになりました。これにより、白石地区だけでなく県南西部地域の産業や観光の振興、交通混雑緩和や救急搬送時間短縮などの暮らしの向上に寄与することを期待しています。また、有明海沿岸道路と佐賀唐津道路が接続するエリア「Tゾーン」の整備については、今後、地盤改良や橋梁の工事が始まるなど、目に見える形で工事が進んでいくこととなります。国が整備を進めている区間については、大野島インターが3月14日に開通したところであり、それに続く大野島インターと(仮称)諸富インター間も、令和4年度の開通に向け着々と整備が進められています。この二つの道路については、九州佐賀国際空港や医療センター好生館との広域的なアクセスの向上など、県民の暮らしと地域の飛躍を支える基盤として、着実に整備を進めてまいります。
 続きまして、提案事項について御説明申し上げます。
 今回の補正予算案の編成に当たりましては、当初予算や5月補正後の情勢の推移に対応することといたしており、補正予算案の総額は、歳入歳出とも、それぞれ、
  一般会計      約71億9,900万円
  特別会計       約4億3,900万円
となり、これを既定の予算額と合わせますと、本年度の予算総額は、
  一般会計   約5,747億9,500万円
  特別会計   約1,898億9,100万円
となっております。
 次に、予算案の主な内容について申し上げます。
 まず、感染リスクを軽減するための学校施設などでの水栓タッチレス化についてです。
 子供達が集まる現場では、新型コロナウイルス感染症対策として、消毒や換気などの徹底が図られています。そうした中で、多数の手が触れる水道の蛇口について、接触回数を減らすため、蛇口を触らずに使用できる自動水栓への切り替えを進めてまいります。保育所・幼稚園や高校など、子供達が日中の大半を集団で過ごす幅広い施設を対象に水栓タッチレス化を進め、接触に伴う感染リスクの軽減を図ってまいります。
 次に、事業者の前向きなチャレンジへの支援について申し上げます。
 長引くコロナの影響により、人々の生活様式や消費行動など、社会経済は大きく変化しています。これまで二度にわたって、事業者のウィズコロナ対策に補助を行ってきましたが、今回、第3弾として補助額の上限を200万円と手厚くし、中小企業・小規模事業者の新たなチャレンジを支援してまいります。新分野への展開や業態転換、新商品の開発、デジタル化による生産性の向上など、コロナを乗り越え、アフターコロナに向かって新たな視点、発想で事業の変革に挑み、前に進もうとする事業者を後押ししてまいります。
 次に、宿泊事業者のコロナ対応への支援について申し上げます。
 観光需要が低迷する中、宿泊施設での感染防止対策や新たな需要に対応した受入環境の整備など、前向きな投資に取り組む旅館やホテルを支援します。国の制度を活用し、昨年5月14日以降の取組まで遡って対象としています。個人旅行者の誘客や、OPEN-AIRなど佐賀らしさを取り入れた旅行プランの開発、チェックイン時の感染対策など、ウィズコロナ・アフターコロナにおいて、旅行者が安心して旅を楽しめる環境を整えてまいります。
 次に、伝統産業への支援について申し上げます。
 佐賀県の大切な地域資源である、伊万里・有田焼や唐津焼、諸富家具をはじめとする伝統的地場産品の多くも、コロナ禍で売上が減少しています。また、飲食、宿泊等の業界の影響を受けるため、回復がより遅れる傾向があります。こうした伝統産業は一度途切れると復活することが難しい特別な産業です。このため、事業継続に向けて頑張る伝統産業の製造事業者等に対して、少しでも前を向く力にしていただければとの想いで、昨年に引き続き支援金を交付することといたしました。永い歴史をかけて築き上げられ、本県が世界に誇る「本物」を大切に守り続けてまいります。
 次に、文化芸術活動の継続を支える取組について申し上げます。
 コロナの影響により、アーティストや文化芸術団体、地域の伝承芸能団体にとって、活動が制限される状況が続いています。こうした中で、昨年実施し、活動継続の力になったと好評であった、無観客での公演の配信などにより新たな活動モデルを創出する文化芸術祭「LiveS Beyond(ライブスビヨンド)」を今年も実施することといたしました。ライブハウス同士の連携や、伝承芸能団体の参加など幅を広げ、リアルの公演などの内容も充実させてまいります。アーティストにとって「披露する場」、そして県民にとって文化芸術に「触れる場」を創出することで、県民の暮らしに力を与える存在である文化芸術活動を支え、佐賀の文化芸術の灯を灯し続けてまいります。
 次に、園芸農家を支える取組について申し上げます。
 年明けからの都市部を中心とする緊急事態宣言の発令により、飲食店における野菜の需要が減少し、品目によって取引価格が大幅に下落しています。国は、こうした品目を対象に園芸農家への支援金を交付していますが、その対象は、メロン、わさび、切り花など一部の品目に限られています。そこで、同様に厳しい状況にありながら、国の要件に合わず支援の対象とならないトマトやチンゲンサイ、水菜等の園芸農家に対して、県独自に支援することといたしました。次期作への前向きな取組を支えることで、園芸農家の生産意欲の維持と経営の安定につなげてまいります。
 次に、林業再生に向けた支援について申し上げます。
 海外における住宅市場の活況により、木材の輸入が減少し、国産材の価格が上昇しています。これまで木材価格低迷の影響を受けてきた本県林業にとって、追い風となりうるこの機を捉え、第一弾として生産性を上げるために必要な、伐採や搬出作業を効率化する林業機械の整備を支援することといたしました。引き続き県産木材の供給拡大を促進することで、林業事業者の所得向上と担い手の確保を図り、佐賀の林業の再生につなげてまいります。
 次に、農業大学校の牛舎の改修について申し上げます。
 農業大学校は、畜産経営に必要な知識や技術を総合的に学ぶことのできる県内唯一の教育機関であり、佐賀牛の生産を担う人材や生産農家を指導する人材を育成する役割を担っています。しかしながら、現在実習施設として使っている牛舎は、酪農用の旧牛舎を転用したものである上、整備から40年近くが経過し老朽化しています。このため、ICTを活用した最先端の機器を導入するなど、佐賀牛の繁殖から肥育までの最新の技術を学習できるスマート牛舎を整備することとしています。県内では、ブリーディングステーションや高性能食肉センターなどの基盤整備を進めており、これらと併せて、高度な生産技術を有する人材を育成することにより、本県農業のトップランナーである佐賀牛の振興を図ってまいります。
 次に、予算外議案といたしましては、条例議案として8件、条例外議案として4件となっています。
 このうち、乙第47号議案「佐賀県交通安全の確保に関する条例の一部を改正する条例(案)」につきましては、大切な命が交通事故で失われることが後を絶たない現状を踏まえ、県民一人一人が交通事故防止を自らの課題と認識し、自発的に事故防止につながる行動をとることを目的に加えました。また、自転車の運転者に対し、自転車が車両であることを認識し保険に加入することや、傘さし運転、携帯電話などを使用しながらの「ながら運転」が法令違反であることを自覚し事故防止に努めることを定めるなど、県民の交通安全意識の向上と交通安全の一層の確保を図るものです。
 その他の議案については、それぞれ提案理由を記載していますので説明を省略させていただきます。
 最後になりますが、コロナ後の社会を見据える中、デジタル技術を活用し、社会や暮らしに変革をもたらすDXの重要性が高まっています。DXで世の中を変えていくためには、常識にとらわれない、誰もが思い付かないような、全く新しい未来を想い描く柔軟な発想が大切だと思います。これを私は「DX脳」と呼んでいます。こうした発想と新しい技術の掛け合わせによって新たなモノやコトが生み出され、世の中は進歩していくのだと思います。だからこそ私は、多様性を大事にし、柔軟な発想を生み出す土壌づくりを進めています。デザイナーやクリエイターと一緒に佐賀らしさを磨く「さがデザイン」をはじめ、アニメやゲームとのコラボで佐賀の価値を高める「サガプライズ」、全日空やJAXAとの人材やノウハウの交流などに力を入れているのも、様々な経験から生まれるアイデアの掛け合わせによって刺激を生み、議論を巻き起こし、多くのイノベーションを生み出していきたいという想いによるものです。また、佐賀県庁は、多様な経験を重ねてきた人材の採用、いわゆる中途採用率が全国1位です。生え抜きの人材に新しい風を吹き込む力が加わることで、今までこうしてきたからと前例踏襲する「もんだ症候群」に陥ることなく、新たなモノやコトを生み出す組織、集合体でありたいと考えています。
 幕末維新期に、驚くべき発想力と実行力で日本を牽引した大隈重信のように、新しいものを取り入れ、時代の先を見据え構想する「DX脳」を磨き、県民の皆様とともに新たな価値を生み出し、佐賀の未来を創り上げてまいります。
 以上、今回提案いたしました議案などについて御説明申し上げました。
 よろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。





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