皆さんおはようございます。今日は発表項目は3件でございます。
まず、令和3年8月豪雨災害について申し上げたいと思います。
ここ数年、九州では豪雨災害が連続して発生しております。ここにありますように、平成29年7月に九州北部豪雨があって、朝倉で多くの山が崩れて、木材、木が筑後川を通して有明海を埋めたというのは非常に衝撃的だったわけです。あの頃ですかね、線状降水帯という言葉が出てきて、今までこんな大雨が局地的に降ることはなかったのになと私も実感しました。そのとき私は唐津にいまして、かんかん照りでしたから、その向こう側で、これは鳥栖も相当降ったわけですけれども、ちょっとした距離でそれだけ局地豪雨が降るんだという衝撃の年だったわけです。その翌年も、このときは西日本豪雨ということで、特に倉敷が非常にやられたという、岡山、広島が象徴的な豪雨でありましたし、その翌年の令和元年には佐賀豪雨と。これは2年前ですから記憶に新しいわけでして、昨年は球磨川ですね、人吉を中心とした大変な災害があったということ。
こうやって考えてみますと、4年続けて大雨特別警報が発表されるということで、本当に我々は気候変動がもたらす影響ということを真剣に考えていかないと、地球全体の問題ではあるんですけれども、何とグリーンランドに雨が降ったという報道がなされていて、グリーンランドというのは北極圏だから氷しかないはずなのに、初めて雨が観測されたと。どれだけ地球が壊れているのかなと思わざるを得ないので、我々にとってみると、そういった大雨というものが例年化してきたということを前提に、ハード、ソフトともに組み立てなければいけないという認識を新たにしているところです。
これもご案内のとおりです。2年前と比べても、今回ははるかに上回る降水量ということで、特に嬉野を中心に1,000ミリを超えて、年間雨量の半分がこの1週間程度で降り尽くしたということですので、非常に大変な量だということです。
いつも私が鹿児島のようになったという話をするもんだから、データで検証してみました。いわゆる1時間に20ミリ以上の降雨ということなんですね。これは1時間に20ミリ降るというのはどういうことかというと、土砂降りで、ワイパーを速くしても見づらいと、皆さん大体イメージされますね。その回数なんですけれども、20年ぐらい前は鹿児島県はこんな感じだったんですね。今までの北部九州、佐賀と違って、ぐわっとこの回数が増えていって、20年前の九州南部、鹿児島の回数なんかを優に超えて、こんな形になっているということなので、非常に気候が変わりつつあるということだから、それに対する対応をしなければいけないという強い問題意識です。
ということで、今回大きな被害が発生しました。特にこの土砂災害はどこで起こるか分からないので、本当厳しいです。やはりいろんな住民の皆さん方の声を聞くと、突然、ドドドドドっという音がして、そこから土砂が流れ込んでくるということでありまして、そのときに、本当に佐賀県は、今回、命を落とす方がおられなかったけれども、聞いてみますと、それぞれのところで結構ぎりぎりのところで逃れている感じです。ですので、本当にありがたいことだなと思いますけれども、いつなんどき命の危機が訪れるか分からないということを考えなければいけないなと思っています。
それから、内水氾濫です。
浸水位置が高くなって広範囲に及んだために、今回、住宅への被害が甚大になったわけですけれども、普通の地域は、河川が決壊するということ、そのときには一遍に河川の流量があふれ出すので、そこを気にするわけですけれども、佐賀県の場合はこういう県土でありますから、内水氾濫、川が切れなくても、そうではない内水に水がたまってしまうということを気をつけなければいけない一番典型的な県だということです。ですから、農地ポンプの多い県です。そこをしっかりと対応しなければいけないということが特徴的なところでありまして、2年前と同じように、今回、同じような場所で起きてしまったということを我々は重く受け止めなければいけないと思います。
被害の発生状況についてはこのような形になっておりまして、本当にありがたいことに、お亡くなりになった方はおられませんでした。しかし、今、特に住家被害を中心に非常に大きな被害がありました。いまだに避難されている方もおられます。
佐賀県は人命が最優先ということで、特に初動を大切に毎回しているわけですけれども、今回、木曜日の段階で、臨時記者会見でダブルの危機を呼びかけました。ちょうどこの日は、私、初盆参りをしていたんですけれども、途中で切り上げて、これは県民の皆さん方に直接訴えたほうがいいと判断をしまして、この大雨が長く続くリスクと、それから、コロナが非常に厳しい状況だったので、このダブルの危機を訴えさせていただきました。
それから、災害警戒本部、そして、災害対策本部という流れになっておりまして、計13回(会議を)開催したんですが、佐賀県の特徴的なところとして、皆さん方も見ていただいたから分かっていらっしゃると思いますけど、各、初動で動くべきチームが打合せの中に入っていくと。普通の県だと、大体、部長がみんな集まって会議をするんですけれども、それはむしろ復旧・復興の段階だと我々は思っていて、最初はやっぱり自衛隊さんや警察さんや消防さん、海保さん、それから、ポンプ部隊、国交省さんだったり、それから、赤十字、CSOという皆さん方に入っていただいているのが大きな特徴だと思っています。
そういった関係で、自衛隊の災派も、今回も、まだ必ずしもはっきり具体的なわけではなかったけれども、早め早めに展開して、そこから重点地区に部隊が展開できるようにということで、早めに自衛隊の災害派遣も行うことができ、おかげさまで600人も来ていただきまして、しかも、2年前を分かっていらっしゃる古庄さんとかもいましたから、非常にスムーズに展開できたと思います。心から感謝申し上げたいと思います。
今回は、やはりヘリが非常に活躍したなと思います。私も県の消防防災ヘリ「かちどき」、この3月から導入されていますけれども、実は実践で乗るのが初めてで、私、ヘリに搭乗したわけです。本当はいろいろ訓練で最初計画していたわけですけれども、実際の災害になりまして、ヘリで全県を見てまいりますと、内野山の地区の土砂崩れ、これは本当は先の不動山を見に行ったはずだったんですけど、その前にもっと大きいものがあるねとヘリで気づきました。そのほか、県警ヘリは鹿路地区でのこういった状況を発見していただいたので、すぐ対応することができたりとか、やはりヘリで上から鳥瞰的に見て災害状況を把握することの大切さを身にしみて今回感じましたし、その中で、「かちどき」はこういったホイストでつり上げて救助すると、これは橘地区だったですかね、上げることだったりとか、透析患者さんを武雄の病院に搬送したり、そういうことにも活躍しましたし、今回初めて航空調整、いろんなヘリを佐賀県の災害対策本部の中に調整班をつくって、それぞれの任務を付与することができました。これは我々がヘリを持っていて、そこについての習熟をしていることと並行してやれるようになったわけでありまして、非常に意義深いことだと思っています。
いち早く応急復旧で県民のライフラインを確保しようということで、こういった形で今作業しております。
2年前との関係で言えば、教訓化という意味からすると、2年前は鉄工所の油が流出しまして、なかなかこれを川に流せないという厳しい状況のままで1週間から10日前後、自衛隊の部隊も一緒になって、油を簡単に言うと、雑巾とかいろんなもので吸いながらやっていくという非常に難しい作業があったんですね。なので、今回はそういった意味では油流出が阻止できたというのは非常に大きかった。というのはもうすぐに六角川に流すことができましたので。もちろん油を含んでいなくても大変厳しい状況にはなったんだけれども、比較的早く復旧の作業を行うことができたということがあります。
もう1点は車両避難の問題で、今回、やはり2年前の教訓というのは住民の皆さん方と活きていたところとしては、車を逃がすことができたり、2年前よりは抑えることができたところがあるんではないかと思っています。特に、遊技業協同組合、パチンコ屋さんに車を置くことができたことが非常に大きく被害の軽減に役立ったということで、こちらも心から感謝申し上げたいと思います。コロナでパチンコ店が目のかたきになったときに、佐賀県は一緒になって連携し合おうということでやったとか、ああいうことがこういうときに生きてきたのかなと思うので、やはりふだんからエールを送り合って一緒にやっていくということなんだなと感じました。
そのほか、これからの気候変動対応型の復旧・復興を目指したいということでありまして、それぞれのチームをつくって、これから全力で県内の被災地域を支援していきたいと思っています。
住宅支援ですね。特に、公営住宅、県営住宅ですとか、そういったところの応急住宅について無償受入れを最大2年間、それから応急修理の受付を開始していきたいと思います。
それから、義援金ですとか、市町の支援チームにおいてはボランティアセンターを設置して、本当にSPFさんが非常によくやっていただいているということで、住民のニーズをしっかりと受け止めながら対応していきたいと思います。
さらに、公共施設については早期復旧ということ、それから、災害に強い県土づくりを進めていくということ、それから、農林水産関係についても大分浸水によって被害を受けて、こんな感じで、アスパラもそうですし、せんだって行った江北の八町では、せっかくトレーニングファームでトマトを勉強してやったのに、いきなり、初作の苗が全部傷んでしまったというふうな話も直接聞いて、すぐに支援していこうと思いましたし、特に、嬉野のお茶畑は大分広い範囲で今回被害を受けているので、日本一の嬉野茶の茶畑をもう一回しっかりと支援していくことに全力を尽くしていきたいと思っています。
さらに、商工業者につきましては、保証料率0%ということで、限度額も3,000万円から6,000万円に引き上げまして、借換えにも対応してということで、全力で支援していきたいと思っています。
ということで、被災された皆様方に寄り添いまして、最後のお一人まで全力を尽くしていきたいと考えています。