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平成30年4月 第13回シニアコーラス・フェスティバルへの祝辞『歌う力』

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 この度、第13回シニアコーラス・フェスティバルが、佐賀県において盛大に開催されますことをお祝い申し上げます。

 日本の合唱の歴史は、明治時代、西洋の文化を取り入れていく中で、大きく発展したといわれています。
 その始まりは、明治5(1872)年8月の学制公布によって小学校に音楽の授業として設けられた「唱歌」でした。
 このとき、初代文部卿として唱歌の発展に深くかかわったのが、佐賀藩出身である大木喬任(たかとう)だったのです。

 日本の歌詞を大切にしながら、西洋のメロディを取り入れ、調和させる。今日の合唱にいたる道のりには、多くの先人たちのいわば「和魂洋才」への苦心があったのでしょう。
 そして、その歩みは、歌い継がれることによって、人々の心を後世へとつないでいったのだと思います。

 「うた」の語源は、一説によると、言霊(ことだま)によって相手の魂に対し激しく強い揺さぶりを与えること、すなわち「打つ」であるとされています。
 本日のステージでは、歌い手の皆様の思いが響き合い、聴く人の心を強く打つことでしょう。
 皆様には、それぞれの地域において、ひとつひとつの美しい歌詞やメロディに込められた先人たちの思いを、歌の力によって、ぜひ、後世につないでいっていただきたいと思います。

 今年は明治維新から150年の節目の年です。
 幕末期、佐賀藩第10代藩主鍋島直正もまた、西洋の学問や技術を取り入れながら、国内最先端の科学技術を持つ、雄藩・佐賀をつくりあげました。
 その志は、多くの佐賀人に引き継がれ、教育、文化、科学など様々な分野において新しい時代を切り拓く力となったのです。
 こうした佐賀の「技」、「人」、そして、「志」を感じていただきたいと思い、先月から、「肥前さが幕末維新博覧会」を開催しています。
 皆様には、この機会に、佐賀の歴史や、文化、食をご堪能くだされば幸いに存じます。

 最後になりましたが、本フェスティバルのご成功と、関係者の皆様の今後ますますのご活躍を心から祈念申し上げ、お祝いの言葉といたします。





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