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令和8年9月2日令和8年9月定例県議会 知事提案事項説明

最終更新日:

令和8年9月定例県議会の開会に当たり、最近の動き、提案事項などについて御説明申し上げます。

はじめに、令和8年熊本地震について申し上げます。

多くの尊い命が失われ、家屋の損壊、交通やライフラインの寸断など甚大な被害が出ております。犠牲となられた方々に、謹んで哀悼の意を表し、御冥福をお祈りいたします。今もなお、御苦労や御不便を抱えながら生活を送られている被災者の方々に、心からお見舞い申し上げます。

佐賀県内においては、神埼市、白石町での震度5弱など、県内各地で揺れを観測しました。7月28日16時27分の発生直後、その揺れの大きさから、私は直ちに危機管理センターに入り、16時30分に災害警戒対策本部を設置しました。30分後の本部会議開催を決定し、迅速に情報収集に当たりました。17時に第1回対策本部会議を開催し、警察、自衛隊、消防などを含めて情報共有を図りました。防災ヘリ「かちどき」による上空からの確認、警察110番の情報等から、佐賀県内には大きな被害は発生していないこと、玄海原子力発電所に異常がないことなどを確認しました。一方で、熊本県では大きな被害が発生していることから、国と九州地方知事会の調整段階において、直ちに現場に情報収集を行うリエゾンを派遣し、緊急消防援助隊と災害派遣医療チームの出動も決定しました。

29日には、熊本県向けの支援を中心とした被災地支援対策本部に移行しました。現場での災害対応の経験を多く積んでいる危機管理・報道局長をトップに避難所の運営等を行う災害支援員を熊本県氷川町に派遣しました。佐賀県は危機管理先導県として培ってきた災害対応力をもとに、強みであるCSOも連動して、柔軟性、機動性を活かし、きめ細やかな支援を行っています。さらに、医療・保健・福祉の専門家チームも続々と現地に入り、被災者に寄り添いながら支援活動に当たっております。なお、佐賀県は氷川町を対口支援する6県のリーダーとなり、全体調整も行っております。

発災1週間後の8月4日、私は氷川町を訪問し、支援に当たっての現地確認や藤本町長などとの意見交換を行いました。心からのお見舞いを申し上げ、町長から、佐賀県からの迅速で手厚い対応に感謝の言葉をいただきました。その後、公民館、小学校の避難所や支援拠点などの状況を確認しました。避難されている皆さんからも、佐賀県及び県内市町からの支援、特にトイレカー等がサポートスタッフ付きで送られていることなど、佐賀県支援チームの心のこもった対応に多くの感謝の声をいただきました。佐賀県が構築した行政、社会福祉協議会、CSOの連携による支援は「氷川町モデル」と呼ばれ始めているとの話もありました。8月31日のGM21でも意見交換しましたが、被災地での支援の経験を、今後佐賀県民を守る取組に活かしてまいります。

これまでに県民、企業の皆様などから、県内各地に設置した募金箱、佐賀県共同募金会、日本赤十字社佐賀県支部等を通じて、義援金が寄せられております。御支援ありがとうございました。引き続き、力を合わせて被災地に寄り添った支援を続けてまいりましょう。

次に、最低賃金と賃金アップに対する支援について申し上げます。

昨日9月1日に、佐賀地方最低賃金審議会において、最低賃金を現行の1,030円から65円引き上げ、1,095円とする答申が出されました。国が示した引上げの目安56円を9円上回る引上げ幅であり、答申された都道府県の中で最大の引上げ幅です。一方で、隣県福岡県との金額差は27円から19円に縮小されますが、未だ相当の差がございます。同じ福岡県隣接の山口県と福岡県の金額差は13円です。県内のあらゆる業種において、人手不足が顕著となる中、最低賃金の引上げ、福岡県との金額差の是正は人材流出という佐賀県の課題解決に向けた重要な要素です。さらに、地域経済の好循環を創っていくには、実質賃金が安定的にプラスになることが必要です。

また、最低賃金の引上げは県内の中小企業の経営に影響を与えます。県では、令和5年10月から「佐賀型賃金UPプロジェクト」を立ち上げ、時々の状況も踏まえながら、支援の充実を図り、賃上げの原資確保等の観点から、中小企業の生産性向上や価格転嫁を後押ししてまいりました。中東情勢の不安定化に伴う物価高等を受け、今年7月には資金繰り支援の強化を目的に中東情勢対応緊急対策資金を創設しました。このたび、賃上げに向けた環境整備に当たり、改めて、生産性向上等の支援に係る予算を今議会に提案しております。今後とも将来を見据えた構造改革・持続的な賃上げ・人材確保につながるよう全力で支援してまいります。

次に、国の成長戦略に関する佐賀県の動きについて申し上げます。

我が国のエネルギー源のうち、液化天然ガスいわゆるLNGについては国内使用量の98%を海外に依存しており、LNG運搬船により海上輸送されています。しかし、LNG運搬船は、世界最大のシェアを持つ韓国のほか、中国が急速にシェアを拡大する一方で、2019年を最後に、国内では建造されていないという状況です。

私は、LNG運搬船の建造技術を獲得・保持し、国産化することは、我が国のエネルギー安全保障上、必要不可欠と考え、5月に、経済安全保障に精通している自民党の小林政務調査会長と面会しました。私から、LNG運搬船の国産化を国策としてしっかりと位置付け、迅速に対応するべきと訴え、小林政務調査会長と方向性や問題意識を共有しました。それ以降、情報管理を徹底し、私と、私の命を受けた産業労働部長で、自民党及び国土交通省などの関係機関に対して、調整を重ねてまいりました。

7月21日に閣議決定された「日本成長戦略」では、LNG運搬船について、「自律性の確保という経済安全保障の観点から重要」とされた上で「2035年以降に年間3~5隻建造の安定的な供給体制の構築を目指す」とされ、明確に国策として位置付けられたところです。

8月21日には、国土交通省の金子大臣、塩見次官、足立海事局長、経済産業省の藤木次官とも意見交換を行い、支援を約束いただきました。また、国土交通省、経済産業省、内閣官房の幹部職員とも、国産化の円滑な実現に向けて必要な調整を行っているところです。

8月末に公表された国の概算要求においては、「LNG運搬船の供給体制の構築」等として、内閣府、国土交通省、経済産業省から事項要求されており、今後、具体的な議論が進んでいきます。その中で、伊万里市に立地する名村造船所においては、LNG運搬船を建造する大型ドックを新設するなど、今治造船や川崎重工業といった国内造船所と連携しながら、大きな役割を果たすことが期待されています。県としても、引き続き、国の安全保障に貢献できるよう、関係機関と緊密に連携しながら取り組んでまいります。

また、国が7月21日に閣議決定した「地域未来戦略」を踏まえ、私を本部長とする「佐賀県地域未来戦略本部」を立ち上げ、国が策定する戦略産業クラスター計画への対応や、本県における地域産業クラスター計画及び地場産業成長プランの策定、市町への支援に取り組んでいます。

8月28日には、国は名村造船所も参画した「造船」に係る戦略産業クラスター計画を策定するとともに、県において、豊かな自然が生み出す素材など、佐賀の価値を組み合わせ磨き上げてきたコスメ産業に関する地域産業クラスター計画を策定し、国から高い評価を受けました。

現在、唯一無二のプロジェクト「SSP構想」によるエンタメ性のある世界標準の「スポーツビジネス」、生産から消費までを一貫してプロデュースする「佐賀の食」、「ドローン・宇宙」、「GX」に関する地域産業クラスター計画を策定中です。今後、市町や商工団体などとも連携し、この佐賀から、日本の成長をリードしていく産業クラスターを形成していきたいと考えております。

      次に、7月にSAGAアリーナで開催したSAGA×WOMAN EXPO 2026について申し上げます。

   仕事も暮らしも自分らしく、佐賀の女性が前向きな気持ちで「明日が楽しみ」と思えるようになってほしいと考える中で、令和8年度予算編成の重要な柱の一つとして掲げたのは「女性」でありました。性別やライフスタイル、職歴、価値観、経験などがもたらす様々な視点や考えの掛け算によるイノベーションは佐賀を成長させるエンジンとなります。そうした佐賀をイメージし、一人一人の女性の毎日の仕事や暮らしが活き活きとしたものになるよう、交流の「場づくり」を大切にしながら、施策を推進しております。これまでのEXPOは東京、大阪、福岡など都市部で開催されており、佐賀が初めての地方開催でした。また、都市部でのEXPOは働く女性にフォーカスしたものでしたが、佐賀では全ての女性を応援したいという想いで開催しました。「佐賀から始まる、新しいワタシ。」をコンセプトに、キャリア、美容、健康、子育て等、幅広い分野のセミナー、ブースに加えて、男性向けのコスメ体験、妊婦体験などを展開しました。コスメティック構想や子育てし大県“さが”プロジェクトを推進してきた佐賀県だからこその多彩なプログラムであります。県内外から3,000人を超える方に参加いただく中で、私も中越典子さんとのオープニングセッションをはじめ、多くの皆さんと意見交換をしました。今回のEXPOを契機に、金融業で働く女性たちが互いの経験や想いを分かち合う交流の場なども生まれております。今後も、様々な声を聴き、その想いを感じ取りながら、女性にとって、佐賀県がありたい自分を描くフィールドとなるよう取り組んでまいります。

次に、令和5年度県民経済計算について申し上げます。

一人当たりの県民所得について、佐賀県は過去最高となり、初めて九州1位となりました。長年、福岡県が1位である中、直近2年はTSMCの進出効果等を背景に、熊本県が1位でした。佐賀県の県内総生産において、福岡県や熊本県よりも高い割合、実に4分の1を占める製造業は、佐賀県経済の大切な柱です。食品製造、半導体、造船、自動車、医薬品・化粧品など、多岐にわたり層の厚いものづくりが大きな特徴です。また、コロナ禍において、佐賀県は目の前の感染症対策と合わせて、SAGAアリーナの整備をはじめ、高付加価値化に向けた宿泊施設のリニューアル、キッチンカーの導入支援など、「ピンチをチャンス」に、コロナ後の未来を見据えながら、新たな需要を生みだす分野への投資を行ってまいりました。こうした取組も、物流や人流の回復を後押しし、県民所得の向上に寄与しているものと考えております。

次に、令和7年国民生活基礎調査について申し上げます。

佐賀県は児童のいる世帯の平均児童数、児童の3人以上いる世帯率双方が初めて全国1位となりました。また、合計特殊出生率、15歳未満の人口割合も全国上位にあります。佐賀県で子育てをしたいと思ってもらえる地域づくりを目指し、知事就任直後から10年以上にわたり、市町や関係者の皆さんと地道に取り組んできた子育てし大県“さが”プロジェクトなどが実を結び、子育て世代の移住にもつながっているものと認識しております。

次に、令和8年分の路線価について申し上げます。

佐賀県は県庁所在地の最高路線価の上昇率が全国1位となりました。路線価の評価に係る不動産鑑定士は、上昇の要因として、佐賀駅周辺でマンションやホテルなど多様な需要者が競合状態にあること、さが維新テラスを作り、賑わいを創出して繁華性が向上したことなどを挙げています。さらに、県内各地の標準宅地の平均上昇率は、長年1位であった福岡県を抜き、九州1位でした。県内で広く地価の上昇が見られることは、各地域の価値や可能性が評価されている証左と受け止めております。

直近の様々な指標をみますと、日本全体が大きく人口減少トレンドにある中、佐賀県では所得、子育て、人口移動、地価など前向きな変化が見え始めております。こうしたよい流れを未来につないでいけるよう、地域への誇りや愛着の醸成、県民の安全・安心につながる社会資本の整備、県内産業の高付加価値化などに戦略的に取り組んでまいります。

続きまして、当面の諸課題への対処方針について申し上げます。

まず、玄海原子力発電所についてです。

九州電力は、6月の株主総会で、今年10月に純粋持株会社を設立すること、その初代社長に西山社長が就任し、九州電力を子会社とするホールディングス制に移行することを決定しました。8月に、九州電力の西山社長から説明があった際に、私から、今まで積み重ねてきた安全を何よりも大切にする文化をホールディングスにも定着させ、グループ全体が原子力発電の安全を最優先にしていくことを改めて求めました。あわせて、ホールディングス設立後には、県、玄海町及び九州電力の三者で締結している安全協定にホールディングスが加わることも確認しました。

また、中部電力において、浜岡原子力発電所の地震動を意図的に小さく算定していたとする不適切事案とは別に、8月27日には、廃炉作業にかかった費用を使用済燃料再処理・廃炉推進機構へ請求する際に、証拠書類を書き換えていたことが公表されました。中部電力の行為は言語道断であります。安全を扱う会社の矜持を持ってほしいと思います。九州電力では同様のことはないと聞いておりますが、これからも真摯に取り組み、信頼を積み重ねるよう求めております。

現在、3号機は定期検査中、4号機は通常運転中です。4号機は、令和9年7月に運転開始から30年を迎えるに当たり、それ以降の施設や設備の管理計画を策定し、現在、国の審査を受けています。九州電力に対し、国の審査に真摯に対応すること、県民に丁寧で分かりやすい説明を行うことを求めております。玄海原子力発電所とは、廃止措置を含めて、これからも長い年月にわたり関わり続けなければなりません。今後とも、県民の安全を何よりも大切に、県も含め全ての関係者の中に気の緩みが生じることがないよう取り組んでまいります。

次に、佐賀空港の自衛隊使用について申し上げます。

今年7月、佐賀駐屯地が開設し、1年が経過しました。この間、防衛省が示した運用計画に基づいた訓練が実施されているものと認識しております。今後も飛行の安全を何よりも大切にし、慎重にも慎重を重ねて運用していただきたいと思います。また、隊員の地域行事への参加等を通じて、地域と佐賀駐屯地との間で徐々に交流が深まっているものと受け止めております。これからも、地域と佐賀駐屯地が未来に向けてお互いに信頼関係を一つ一つ積み重ねていってほしいと思っております。佐賀駐屯地の青山司令には、私や実動機関トップによる連携会議「佐賀県実動機関トップ連絡会議」に参加いただいております。また、10月3日に行う原子力防災訓練に佐賀駐屯地も参加予定であります。

次に、有明海の再生について申し上げます。

養殖ノリの販売枚数・金額の日本一の継続に向け、県において赤潮の発生や動きなど海況を高精度に予測できるシステムの開発等を進めております。また、厳しい状況が続いているタイラギやアゲマキ、サルボウなど二枚貝の種苗生産や放流の技術開発、大規模海底耕うんなど漁場環境の維持・改善に引き続き取り組んでいきます。宝の海である有明海の再生は、国や県、市町、漁業者など有明海に関わるもの皆で取り組む課題です。これからも、力を合わせて全力で取り組んでまいります。

次に、九州新幹線西九州ルートについて申し上げます。

7月17日に、私と国土交通省水嶋次官の間で「九州新幹線西九州ルートの在り方に関する二者合意」を締結しました。昨年10月以降、2人での協議を積み重ねてまいりました。お互いが信頼関係に基づき、静謐な環境の中で多くの時間を重ね、よい協議ができたと感じております。九州新幹線西九州ルートは、国がフリーゲージトレイン新幹線の導入を断念し、今に至る「特殊事情」があり、この「国の責任」が議論の出発点であります。今回の国土交通省との「二者合意」には、「国の責任」が明記されています。佐賀県が特殊な状況に置かれている中、フル規格整備という全く新しい議論について、私は現行のスキームのまま無条件に受け入れることはできないことなどを一貫して申し上げてまいりました。水嶋次官には佐賀県の「特殊事情」も受け止めていただきました。改めて、水嶋次官の御尽力に深く敬意を表します。

今回の「二者合意」では、環境アセスの実施に当たり、財政負担、在来線、地域振興などについて合意しました。その内容は、財政負担では、国土交通省は、佐賀県の地方負担について一定の上限を設ける等、特別の配慮を行います。また、佐賀県区間に係る地方負担は、受益の程度等を踏まえて、長崎県と佐賀県が共同して負担することが適当であり、国の特別の配慮も踏まえ、両県は負担の在り方について協議し、国土交通省は当該決定を尊重することになっています。地方負担に関する地方交付税措置について、国土交通省は、充当する地方債の元利償還金に対して現行の上限を超える交付税措置率を適用するよう、関係省庁と協議します。在来線では、現行の経営形態の維持を念頭に、長崎本線又は佐世保線を区間に含む特急列車及び普通列車のそれぞれについて、開業前の本数を確保する内容でJR九州と佐賀県の間の合意を成立させるよう、国土交通省はJR九州に要請することを合意しています。地域振興では、佐賀空港の滑走路延長及び平行誘導路整備の議論があることを受け、国土交通省は令和9年度から北部九州地域の空港のあり方に関する検討の調査を実施します。また、長崎本線の上下分離区間の利便性向上に向けて、国土交通省は遅滞なく、ICカードの導入に係る支援策の提示を行い、イニシャルコストを佐賀県が、運用コストをJR九州が負担する形でのICカードの導入に係るJR九州の同意を得ることになっています。あわせて、有明海沿岸道路及び佐賀唐津道路の早期完成に向けて、国と県が連携し、計画的に整備を推進すること、国土交通省は佐賀市内の南北アクセスの充実に向けて、佐賀県及び佐賀市と連携して取り組むことも合意しています。仮に、フル規格整備に関し、佐賀県が合意する場合、内容の具体化やルート決定に伴う新たな合意が必要となります。今回の合意は、国、長崎県、JR九州において議論を深めていただくための論点を分かりやすく整理し糸口を示したものであり、意義深いものと認識しております。8月27日に長崎県の平田知事、翌28日にはJR九州の古宮社長にそれぞれ、私から今回の「二者合意」について説明いたしました。両者とも「二者合意」を尊重することを共有できました。今後の鍵は、「二者合意」の論点をもとに、関係者の相互理解と協力がいかに積み重なるかどうかだと考えます。引き続き、国土交通省や長崎県、JR九州など関係の皆さんと連携を図り、佐賀県の今と将来を見据えながら、議論を深めてまいります。

令和9年度からの環境アセスの実施に向けて、今年度、国土交通省は事前調査を実施します。事前調査の実施や結果の評価について、国土交通省、鉄道・運輸機構及び佐賀県で構成する「環境アセスに向けた技術検討会」において検証することとしており、8月26日に、1回目の技術検討会を開催しました。検証に当たって、今後必要となる専門家からの技術的な助言やサポートに係る予算を今議会に提案しております。

次に、県立大学について申し上げます。

4月から公募を開始している教員の採用について、現在、専門家チームとともに選考を進めています。学生への教育を大切にし、一人一人の成長を促すことのできる教員、企業・団体・CSOなど地域のプレイヤーの新たな取組の伴走者となる教員、県内高校との学びの連続性を創り出す教員を採用していきたいと考えております。また、令和6年度から校舎の設計業務に取り組む中で、民間事業者へのサウンディングなどを丁寧に進めてまいりました。今議会に建設工事に係る予算を提案しております。改修する校舎と大講義室などが入る新校舎は令和11年4月の開学時、4階建ての新校舎は令和12年4月に利用を開始する予定です。地域に愛され、地域とともに成長する大学となるよう着実に準備を進めてまいります。

続きまして、最近の県政の主な動きについて申し上げます。

まず、佐賀県北部女性相談窓口「ほっとテラス」の開所についてです。

7月に、唐津市に「ほっとテラス」を開所しました。「ほっとテラス」は女性が抱える生活の悩みや家庭内での困りごとなどを、女性スタッフが一緒になって考える場です。不安を抱える人にとって、人に語れる場、気軽に訪れることができる場、いわば「止まり木」はとても大切な存在だと思います。日常のとりとめのない雑談をしながら、手を取り合い、寄り添い合うことが日々の暮らしの安心感につながります。これまで、県の女性相談窓口は佐賀市にあり、日々の生活に追われる中、県北部の方にとって訪れにくい状況でした。関係者の皆さんの力を借りながら、地域に親しまれ、多くの方を支える場になればと思っております。

次に、鹿島・太良地域について申し上げます。

7月に、エリアの核となる肥前鹿島駅新駅舎の起工セレモニーを行いました。新しい肥前鹿島駅のコンセプトは、「non‐station」打ち出すべきは「Relation」。単に利用するだけの駅ではなく、人と人のつながりを生み、新しい旅を提案するフロントという想いを込めております。

8月には、有明海沿岸道路の鹿島側、福富鹿島道路1期の着工式を国や沿線市町長、ありあけ海道盛り上げ隊の皆さんなどで行いました。福富鹿島道路によって、筑後佐賀エリアにおける鹿島・太良へのアクセスが向上します。早期整備に力を注いでまいります。

次に、「佐賀酒の守り手」認定証交付式について申し上げます。

8月に、SAGAアリーナで開催された佐賀酒フェスにおいて、「佐賀酒の守り手」認定証交付式を行いました。佐賀酒は、佐賀県の大切な地域資源であり、伝統文化そのものであります。初開催となる佐賀酒フェスには県内21の酒蔵が一堂に会し、100種類以上の佐賀酒が集まりました。気候変動や主食用米の価格の状況など環境が変化する中、酒米農家の皆さんはたゆまぬ努力を続け、佐賀酒の根幹となる酒米を守り続けられております。そうした酒米農家の皆さんに、直接感謝の気持ちを伝えたいとの想いで認定制度を創設しました。交付式では、私と佐賀県酒造組合の七田会長との連名で、120の酒米生産者や団体を認定し、地域の代表の方に認定証を手交しました。

また、県が9年の歳月をかけて開発した酒米の新品種の愛称を「さがなみ」に決定しました。WOMANEXPOにおける酒蔵の次代を担う女性セッションの意見も尊重したものとなり、この愛称は未来につなぐ形のものとなりました。佐賀県のブランド米「さがびより」を祖母に持つ、暑さに強く倒れにくい品種であり、今後、「さがなみ」を使った佐賀酒の試験醸造が本格化していきます。世界に誇る伝統文化の佐賀酒の技と志が守り継がれ、更なる挑戦が続いていくように、佐賀酒を支える皆さんとともに、その未来を創る動きを拡げてまいります。

次に、SSP構想の推進について申し上げます。

今夏も、たくさんのアスリートが国内外の舞台で活躍しました。フェンシングのアジア選手権で山田優選手、柔道の「グランプリ・青島」では近藤隼斗選手が優勝しました。インターハイにおいて、少林寺拳法女子団体で武雄高校が初の栄冠に輝きました。神埼高校の花岡ゆらら選手がカヌー2種目で優勝し、2年連続2冠の快挙を達成しました。ボクシング男子では高志館高校の秋山一真選手が準決勝・決勝の大接戦を制し優勝し、なぎなた個人で佐賀東高校の坂田はなみ選手が頂点に立ちました。

9月から日本で開催される第20回アジア競技大会及び第5回アジアパラ競技大会に、テコンドーの岡本留佳選手や柔道の近藤隼斗選手・近藤美月選手、車いすテニスの大谷桃子選手、パラ水泳の坪井夢輝選手をはじめ、佐賀ゆかりのアスリートが出場予定です。大会での活躍を期待しております。

青森県で開催される今年の国スポの九州ブロック大会で、ホッケー成年男子が初優勝しました。スポーツクライミングの成年少年の全種別、ボウリングの少年女子、ソフトボールの成年男女などが出場権を獲得しております。全障スポでは、バレーボール知的障がいの部男子チームが5大会連続出場します。個人・団体競技とも出場枠が限られ、全障スポへの出場がなかなか難しい中、昨年から開催している佐賀発の全国大会「SAGAパラスポ」の認知などが全国のパラアスリートの間で着実に広まっております。ますますパラアスリートが目指す大会となっていくよう、関係者の皆さんと一緒になって育ててまいります。また、9月10日から、「全国ろうあ者スポーツ大会」が佐賀県で初めて開催されます。第60回の節目の大会であり、大会名称が「体育」から「スポーツ」に変わる記念すべき大会でもあります。国スポと同じように、新しいスポーツ大会がまた一つこの佐賀から始まることは意義深いものと考えております。

続きまして、提案事項について御説明申し上げます。

今回の補正予算案の編成に当たりましては、6月補正予算編成後の情勢の推移に対応するため、早急に措置を要するものについて所要額を計上することといたしました。

この結果、その総額は、歳入歳出とも、それぞれ、

一般会計      約75億1,900万円

特別会計      約42億4,100万円

となり、これを既定の予算額と合わせますと、本年度の予算総額は、

一般会計  約5,626億3,900万円

特別会計  約2,177億9,600万円

となっております。

     次に、予算案の主な内容について申し上げます。

まず、農業者への物価高騰対策についてです。

水田農家において、物価高による生産コストの増加に加え、米余りを背景とした米価の下落により、生産コストが価格を上回っている状況もあります。このたび、米麦等農家の乾燥に係る燃油購入費を支援し、負担軽減に取り組むこととしました。また、初期投資の大きい施設園芸農家の園芸ハウスのリース料の負担軽減や、中小企業診断士による伴走支援に取り組みます。さらに、共同選果場のコスト低減を図り、施設園芸農家の収益性の改善に取り組むこととしました。日本の食料安全保障を支える農家の足元の負担軽減と収益力強化を一体的に支援してまいります。

次に、市町立小中学校スポットクーラー応急整備支援事業について申し上げます。

近年の猛暑も踏まえ、県では今年度から県立学校の空調整備に取り組んでおります。このたび、子どもたちの学び育つ環境の改善とあわせて避難所の暑熱対策の加速化に向け、県内全ての小中学校の体育館・武道場を対象に、市町が実施する大型スポットクーラーの整備を支援することとしました。市町が本格空調を整備するには時間を要する中、佐賀の子どもたちがより活き活きと学校生活を送れるよう、市町の取組を後押しする端緒になればと考えております。また、電源工事を含めて支援を行うことから、佐賀県が被災した際には、県立学校が持つスポットクーラーを避難所となる市町の体育館等に持っていくオペレーションも可能になります。市町と連携し、災害時のオペレーションの幅を広げていけるよう取り組んでまいります。

予算外議案といたしましては、条例議案として3件、条例外議案として6件となっています。

最後になりますが、昨今の国際情勢を語るまでもなく、この国の安全保障は常に意識すべき重要な課題であります。伝統的な国防はもちろん、食料安全保障、経済安全保障、エネルギー安全保障もまた大切です。そしてこれらを維持するためには地方の存在が極めて重要であります。7月に開催された全国知事会議において、過度な東京一極集中の是正をテーマに、侃々諤々の議論が交わされました。地方を大切にすることは、都市部対地方の二項対立の問題ではなく、この国の形をどうすべきかという問題だと私は主張しました。食料安全保障の観点では、日本の食料自給率が低迷する中、東京都、大阪府、愛知県を除く地域で日本の食料の実に約98%が生産されております。また、原子力発電所が立地しているのは全て地方であります。さらに、地方には、国の戦略17分野の基盤となる企業が数多く立地しています。そして、佐賀県の食料自給率は西日本一を誇っております。また、佐賀県には玄海原子力発電所があり、名村造船所をはじめとする造船関連企業や、SUMCOに代表される半導体サプライチェーンの川上企業等が立地しています。このように佐賀県は日本の安全保障に大きく貢献しているのであります。

激動する国際情勢の中、地方を守り、支えていくことは、都市部を含めたこの国全体やこの国の人々を守っていくことそのものであります。食料、エネルギーの消費地である都市部とそれらを供給する地方の関係について、お互いのことに思いを馳せながら、国民全体で骨太な議論を深めていくことが必要です。例えば、いわゆる「令和の米騒動」や備蓄米の放出、その後の米価の動向などに鑑みますと、日本の食を支える地方農家の皆さんが前を向き生産を続けていける方策など、国全体で議論していく課題があると考えています。私は、このままでは米作りに携わる人がいなくなってしまうのではないかという危機感すら持っております。国には、現場の状況や将来性を踏まえた鳥瞰的な議論をしていただきたいと思います。

そして、この国の安全保障の基盤は、厳しい環境の中においても、創意工夫を凝らし、新たな技術等を取り入れながら努力を続ける農業やものづくりに携わる方々をはじめ、現場を支えるお一人お一人の日々の積み重ねであります。そうした「人の力」こそ、従来の常識や経験の延長線上では予測できない不確実性の時代において、佐賀の未来を切り拓く原動力だと考えます。佐賀の先人たちは「人づくり」に一方ならぬ熱意を注ぎ、幕末から明治維新期に現代につながるこの国の礎を築く人材を多く輩出してまいりました。連綿と受け継がれてきた佐賀の伝統や文化を大切にしながら、佐賀の未来を切り拓くべく、佐賀から新しい価値を創造していく所存です。人への投資は未来への投資。私は県民の皆さんと力を合わせて、地域発の挑戦を積み重ねながら、「人を大切に、世界に誇れる佐賀づくり。」を推進してまいります。

以上、今回提案いたしました議案などについて御説明申し上げました。よろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。

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