人間国宝・井上萬二様の訃報を受けて知事コメントを発表します
井上萬二様の御逝去の報に接し、深い悲しみとともに、心より哀悼の意を表します。
白磁の巨匠、萬二先生。佐賀の文化や伝統を大切に育みたいという私の想いにも深く共感してくださり、先生の存在は大変有難く、その励ましは私の心に鮮明に刻まれています。先生は変わらぬ温かさで一貫して私を応援してくださり、常に背中を押していただきました。私にとって、かけがえのない萬二先生には、深い感謝の気持ちでいっぱいです。
平成28年の「有田焼創業400年事業」でも、先生の力強い後押しがありました。「USEUM ARITA」を私が考案した際、先生に器を食器として使わせてもらいたいとお願いすると、「器は使うために作っているのです」と、力強く賛同してくださったのです。その言葉に、私は胸が熱くなりました。この事業が成功したのは、先生の全面協力があったからこそであり、そのご厚意に心から感謝しています。
先生は、かつて大戦を経験されたことから、平和への強い願いを抱いておられました。その姿勢に触れ、私も改めて、未来の世代に平和を繋いでいくことの責任と意義を深く感じました。だからこそ、先生は生涯を通じて後進の育成に情熱を注ぎ、やきもの文化の未来を真剣に見つめ続けてこられたのだと思います。
「挑戦なくして伝統なし」
萬二先生の常に挑戦する精神は、これからの陶芸界を担う若い世代へと、確かに受け継がれていくのだと思います。
これまでのご功績の大きさと、やきものに注がれた深い愛情に、改めて敬意を表しますとともに、心よりご冥福をお祈り申し上げます。