令和7年6月定例県議会の開会に当たり、最近の動き、提案事項などについて御説明申し上げます。
はじめに、米価の高騰について申し上げます。
佐賀県は食糧の安定的な確保が求められた時代に、水田農業において佐賀段階、新佐賀段階で日本一の反収を成し遂げてきた米の産地です。まさに佐賀農業の誇りです。しかしながら、近年は、米の需要が減少し、米価が低迷したこともあって、生産者の方から、米作りではなかなか利益が出ないということを伺っておりました。米価の高騰の議論においては、消費者側から見た価格の話がきっかけとなり、消費者、生産者の立場で様々な受け止めがあると思います。育ち盛りの子どもがおり、お米をたくさん食べるので安い方がありがたい、高くなっても今食べているお米を食べたい、丹精を込めて作ったお米に少しでも良い価格がついてほしいなどがあると思います。私は、食料安全保障や、米作りの厳しさ、大変さを考えたとき、価値あるものには見合った価格がつき、その利益が生産者に還元されることが大切だと考えております。国や都市部の食を支えているのは地方です。今回を契機に、生産者の苦労や流通の面にも目が向けられ、食の安全保障も含めた多面的で骨太な議論が進み、生産現場を守ることが国全体のためであることを国民で共有できればと思います。
次に、米国の関税措置について申し上げます。
米国トランプ政権は、4月3日から順次、自動車に対する25%、すべての国・地域に対して一律10%の追加関税を発動しました。佐賀県では3日にいち早く金融特別相談窓口を設置し、4日に副部長級の連絡会議を開催、10日には知事をトップとした対策会議において先手先手での対応を指示しました。先行きが見通せない状況においても、価格交渉や価格転嫁の伴走支援や、新たな販路開拓など経営の多角化にチャレンジする企業を後押しすることとし、必要な予算を今議会に提案しております。関税措置の状況を注視し、企業の状況等を把握しながら、対応してまいります。
次に、国民保護に係る与那国町訪問について申し上げます。
昨年5月に、林官房長官から私に、いわゆる「台湾有事」についての要請がありました。翌6月には国から沖縄県先島諸島5市町村の住民の避難先の提示等があり、佐賀県は与那国町すなわち与那国島の住民、約1,700名の受入れを担当することになりました。受入れの計画は令和8年度までの3年間で検討することになっており、今年3月に初期的な計画を策定しました。有事の形態は様々であり、計画どおりに進まないことを視野に入れ、現場でのオペレーションを重視し、対応していくことが肝要と考えます。
4月に与那国町を訪問し、糸数町長、町議会、地元の商工会や社会福祉協議会などの皆さんと意見交換を行いました。皆さんには、平和は何よりも大切であり、そのための努力をみんなで積み重ねていくことが大事、何も起きないことが最上ではあるけれども、何かあった際のための準備をお互いにしていきましょうと、私から、お伝えしました。住み慣れた島を離れ、遠くに避難することを想定しなければならない住民皆さんの不安な気持ちに寄り添いながら取組を進めていきたいと思います。与那国島は一つの自治体で構成されており、一つの島の町全体と受入先の県が一対一の関係になるのは与那国町と佐賀県のみです。この御縁を大切にし、避難の対応はもちろんのこと、様々な面で交流関係を築いていきたいと考えております。
次に、国際原子力機関IAEAの国際会議について申し上げます。
5月末、世界各地から原子力に関わる政府機関や立地地域の代表者などが参加する国際会議がオーストリアのウィーンで開催されました。IAEAのグロッシー事務局長から招待を受け、私は、日本の首長として唯一、ビデオメッセージの形で参加しました。私が参加したセッションには、世界から10の地域の代表者などが参加し、原子力に関する考えについて発表がなされました。私のメッセージの内容は、原子力発電は安全が最優先であること、原子力発電事業者はミスや事故が起きることを前提にした備えが必要なことなどです。佐賀県が原子力発電所と真摯に向き合っていることを世界に発信できたことは大変意義があったと考えております。
次に、佐賀-上海便について申し上げます。
上海便は令和5年9月の運航再開以降、搭乗率が順調に回復し、昨年12月以降は概ね80%を超えており、7月6日から、週4往復に増便となります。引き続き、中国と佐賀、双方からの利用促進に取り組んでまいります。4月に増便となった台北便と合わせて、両便のアウトバウンドの強化に必要な予算を今議会に提案しております。
次に、中央教育審議会について申し上げます。
私は、文部科学大臣の諮問機関である中央教育審議会の委員に任命され、大学分科会に所属することになりました。会議では、教育、産学連携、エッセンシャルワーカーの育成など、地方にこそ、大学の果たすべき役割がとても大きいことなどを申し上げました。今後も、中央教育審議会での議論を県政に活かしていけるよう取り組んでまいります。
続きまして、当面の諸課題への対処方針について申し上げます。
まず、佐賀空港の自衛隊使用要請についてです。
防衛省は、7月9日に佐賀駐屯地(仮称)を開設します。平成26年7月、佐賀空港の自衛隊使用について、防衛省から古川前知事に対して、オスプレイ17機の配備、目達原駐屯地からのヘリの移駐、米海兵隊の利用の要請がありました。私は平成27年1月に知事に就任し、2月13日に当時の左藤防衛副大臣から説明を受けました。曖昧な説明や回答が多かったため、計画の全体像や将来像の明確化を求めました。その後、10月29日に、中谷防衛大臣から当初の要請にあった米海兵隊の利用を取り下げられたことが、一つの大きな転換点になったと思います。
防衛省からの説明をそのまま受け入れるのではなく、オスプレイの安全性や生活環境、漁業、農業への影響など様々な観点から論点整理を進めました。国防の重要性は十分わかりつつも、佐賀県にとって様々な面で重要なことであるため、慎重には慎重を重ねて対応してまいりました。平成29年5月に「論点整理素案」を公表し、県議会で7月に要請の受入れについて知事が先に判断すべきとの決議がありました。私は、県が受け入れると判断した後に防衛省と交渉を始めても、国からこちらが求めるようなものを得るのは難しいと考え、約1年にわたり、官邸及び防衛省と様々なチャンネルを通じて交渉を行いました。そして、平成30年8月24日に、私と当時の小野寺防衛大臣との間で、民間空港としての使用・発展に影響を及ぼさないことを前提に、環境保全と補償に関する協議会の設置、防衛省が支払う100億円を財源とした基金の創設、安全性に関する情報共有のルールの構築について合意しました。合意後、県としての要請の受入れと、公害防止協定覚書付属資料の変更について有明海漁協と協議させていただくことを表明しました。表明後、私自身が、直ちに漁協に赴き、組合長に対して私の判断について説明し、協議の申入れを行いました。漁協の皆様とは、常に様々な面で正面から向き合いながら、真摯に対応してまいりました。そして、令和4年11月1日に、漁協の皆様には、覚書付属資料の変更という大変重い決断をしていただきました。
これまで一つ一つ丁寧に積み重ねてきたことが今につながっているものと考えます。来月、駐屯地は開設されますが、飛行の安全は何より大切です。5月27日には、中谷防衛大臣に改めて安全を最優先に、オスプレイの移駐については、県民の信頼を損なわないように、一つ一つ丁寧に対応していただきたいということを申し上げました。
防衛省にはこの10年間を大切にし、一つ一つのことに真摯な姿勢で対応していただきたいと思います。駐屯地と地元の間で、お互いに信頼が築かれる関係を構築されるようになってほしいと思います。
次に、有明海の再生について申し上げます。
有明海の水産資源については、アゲマキやウミタケが今季も休漁となり、昨年度のノリ養殖についても、令和4年度、5年度に続き厳しいものとなりました。この3年間は、少雨と赤潮の長期化が重なるという過去に無かったことが起きております。気候変動の影響なのかなど原因は分かっておりませんが、このような状況が今後も起こり得ることを考慮しながら、対応していくことも必要と考えます。今月10日に、国から、有明海漁協が要望していた排水ポンプの増設と同等の効果があるフラップゲートの設置について、漁協に説明がありました。海況の改善への効果を期待しております。
宝の海である有明海の再生は、国や県、市町、漁業者など有明海に関わるもの皆で取り組む課題です。これからも、力を合わせて全力で取り組んでまいります。
次に、玄海原子力発電所について申し上げます。
5月11日に、九州電力から、定期検査中の3号機において作業員が微量の放射性物質を体内に取り込んだこと、その後、20日には原因と再発防止策についての報告がありました。また、今月3日には蒸気配管の弁の不具合を確認したとの報告がありました。九州電力において、事象を検知して、必要な対応や公表が行われたものと認識しております。こうした事例をおろそかにせずに再発防止に取り組み、少しでも事故やトラブルのリスクを下げる努力を継続していくことが大切です。
5月19日に、九州電力は、乾式貯蔵施設の設置工事を開始しました。九州電力に対しては、スケジュールありきではなく、安全を最優先に取り組むよう求めています。
今月4日に、原子力規制委員会は、4号機において、現行のものよりも長く使用できる燃料を導入する計画を許可しました。県としては、今後、専門家の意見を踏まえて、原子力規制委員会の審査内容を確認してまいります。
玄海原子力発電所とは、廃止措置を含めて、これからも長い年月にわたり関わり続けなければなりません。今後とも、県民の安全を何よりも大切に、県も含め全ての関係者の中に気の緩みが生じることがないよう万全を期してまいります。
次に、九州新幹線西九州ルートについて申し上げます。
全国の整備新幹線の状況をみますと、北陸新幹線敦賀-新大阪間については、フル規格での早期整備で、地元での合意形成及び与党プロジェクトチームの決定を経ていたにも関わらず、現在、ルートを含めて沿線自治体などの関係者から、様々な意見が出ております。北海道新幹線新函館北斗-札幌間については、着工後にも関わらず、トンネル工事の想定外の遅れから、目標としていた令和12年度末の開業が先送りになりました。整備新幹線にはスキームも含めて様々な課題があると考えており、他地域の動向等も見据えながら、慎重に議論してまいります。
次に、県立大学について申し上げます。
県立大学では、県全体を学びのフィールドとした課題解決型学習を重視し、探究学習を軸に県内高校、専修学校等との連携を目指しています。3月には、県と教育委員会による初めての「さが探究プレゼン大会」を開催し、県内の公立・私立の高校、専修学校から26チームが参加しました。高大連携の取組を進め、高校生たちの学びを更に深めることにつなげていきたいと考えております。7月には、県立大学に関するシンポジウムを開催します。まちづくりや経営に関わる民間の方々が登壇し、大学が地域とともに成長するにはどのような視点や取組が必要かについて語っていただく予定です。ハード整備においては、3月に設計業務の契約を締結しました。地域に愛され、ともに成長する大学を目指し、準備を進めてまいります。
続きまして、最近の県政の主な動きについて申し上げます。
まず、企業誘致についてです。
革新的な製品により、世界中の人々の健康を支える大塚製薬が、吉野ヶ里町にある佐賀工場の敷地内に新たな原薬工場及び技術開発拠点を開設します。同社は、1984年の栄養製品研究所の開設当時から「佐賀は東アジアの中心」という考えのもと、原薬や清涼飲料水などの生産を佐賀で展開されております。私も、佐賀が九州の中心に位置し、東アジアのエンジンとして成長することを常に意識し、様々な施策を進めており、40年ほど前に、同じ考えで同社が佐賀に進出されたことを思うと不思議な感動を覚えます。新たな拠点で生み出される原薬が、医薬品として世界中に届けられ、佐賀の地から、更なる飛躍を遂げられることを期待しております。昨年の久光製薬の研究拠点の佐賀への集約化に続き、付加価値を生む拠点の立地が進んでいることは佐賀の未来に向けた良い方向であり、大変嬉しく思っております。
次に、SSP構想の推進について申し上げます。
SAGAスポーツピラミッド構想推進条例において、5月25日をSSP構想の日と定めております。この日は、2020年のコロナ禍において、高校総体、甲子園などのスポーツ大会が中止となる中、全国に先駆け、代替大会となるSSP杯の開催を発表した日です。今年は、SSPコンベンション2025を開催しました。SSP構想の志を大切にする方々と、改めてスポーツのチカラについての認識を共有し、その価値をより一層高めていくため、スクラムを組み、前へ進めていく想いを一つにしました。
昨年の全障スポの開催を契機に、パラスポーツに取り組む人が増えております。今年の滋賀大会に向けては、バレーボールの精神障がいの部など3競技の佐賀県チームが、九州ブロック予選を勝ち抜き滋賀大会出場を決めております。3つの団体競技がブロック予選を勝ち抜いたことは佐賀県初の快挙です。一方で、全障スポは開催県以外では参加することがなかなか難しいため、今年度、全国に呼び掛けて、新たなパラスポーツ大会「SAGAパラスポ2025」を開催することとしております。当初はボッチャ競技など3競技を予定しておりましたが、他の競技のチームや選手からの声を受け、フライングディスクなど3競技を追加して開催することとし、必要な予算を今議会に提案しております。今後も、全障スポで盛り上がった機運を大切にし、パラスポーツの輪を広げてまいります。
SAGAサンライズパークが、日本スポーツ施設協会主催の「第8回スポーツファシリティーズ大賞」において、最高賞となるスポーツ庁長官賞を受賞しました。新たに整備したアリーナやアクアと、既存施設をペデストリアンデッキでつなぎ回遊性と統一感を高め、エリア全体で新たな価値を創造している点などが評価されました。コロナ禍という不透明な中においても、国スポの開催という短期的な視点ではなく、未来を見据えて整備したこと、イベント時に限らず、普段からもスポーツや食事等を楽しめる「日常と非日常が交わる場所」というコンセプトが受賞につながったものと考えております。
次に、「サガプライズ!」の第40弾「ゴジラ対サガ」の受賞について申し上げます。
日本が誇る世界的キャラクター・ゴジラとのコラボから生まれた「ゴジラ対サガ」は、全国で大きな話題となりました。ユニークで独自性のある情報発信を行ったことが高く評価され、全日本広告連盟主催の鈴木三郎助全広連地域広告大賞の最優秀賞、タイ・パタヤで開催されたアジア太平洋広告祭のエンターテインメント部門でシルバー賞を受賞しました。今後も、新たな挑戦と創意工夫を重ね、佐賀を発信してまいります。
次に、5月に行った政策提案について申し上げます。
佐賀県の提案は、佐賀県の強みや現場での問題意識、国全体を俯瞰する視点等を取り入れた骨太な内容となっております。関係府省庁の大臣などに対して、原子力政策や有明海の再生、社会資本の整備、政府機関の誘致などについて提案を行いました。中谷防衛大臣、中野国土交通大臣などとの面談では、九州佐賀国際空港の滑走路延長と平行誘導路整備についても提案しました。災害対応や産業活性化などの観点からも、九州佐賀国際空港の発展は、九州全体の成長につながるものと考えております。
27日には、石破総理大臣に鍋島焼を献上した際、総理に意見交換の時間をいただきました。現在、起きている米価の問題に関連して、食料やエネルギーなどの消費者である都市部と、生産者である地方の関係について、お互いが分かり合えるような骨太な議論が、どうすれば国全体で行われていくのかを語り合いました。さらに、食料安全保障などの議論が必要な時に、人口比例だけで国会議員の定数を配分し、農業現場の苦労や地域の手触り感に触れることの少ない都市部の議員ばかりで議論することになっても良いのだろうかとの問題意識も伝えました。地方の想いも踏まえた議論ができたものと受け止めております。また、オスプレイの移駐や九州佐賀国際空港の機能強化についても話しました。
次に、有明海沿岸道路等の社会資本の整備について申し上げます。
有明海沿岸道路と佐賀唐津道路が接続する「Tゾーン」については、橋梁や地盤改良、盛土の工事を行っており、今年度から、ジャンクション部についても工事を進めていきます。国から、大川佐賀道路の諸富インターから(仮称)川副インター間の開通が令和8年度になるとの見通しが示されました。九州佐賀国際空港へのアクセス向上により、筑後佐賀エリアの交流が更に進むことを期待しております。また、国道3号鳥栖拡幅の4車線化での開通も令和8年度になる見通しです。渋滞の改善による物流の効率化などが図られ、東部地域のポテンシャルが更に高まっていくものと考えております。
今後も、佐賀の未来を創り、未来を守る社会資本の整備を着実に進めてまいります。
次に、防災・減災に係る取組について申し上げます。
今年も、梅雨や台風などで災害が起こりやすい時期に入りました。今回の政策提案時に、激甚化・頻発化する自然災害への防災・減災や国土強靭化に係る予算の確保等を坂井国土強靭化担当大臣などへ申し上げました。幸い、昨年は大きな災害はありませんでしたが、引き続き、人命を守ることを第一に、被害ができる限り軽減されるよう佐賀県内水対策「プロジェクトIF」などの防災・減災対策を進めてまいります。
続きまして、提案事項について御説明申し上げます。
今回の補正予算案の編成に当たりましては、当初予算編成後の情勢の推移に対応するため、早急に措置を要するものについて所要額を計上することといたしました。
この結果、その総額は、歳入歳出とも、それぞれ、
一般会計 約85億8,400万円
特別会計 減額 約 6億9,500万円
となり、これを既定の予算額と合わせますと、本年度の予算総額は、
一般会計 約5,216億 500万円
特別会計 約1,981億7,500万円
となっております。
次に、予算案の主な内容について申し上げます。
はじめに、外国人材ドライバーの受入環境の整備に向けた取組についてです。
全国的な人材不足の状況下において、昨年3月、在留資格の一つである「特定技能」の産業分野に、「自動車運送業」が追加され、外国人材ドライバーの受入れが可能となりました。今後、ニーズが拡大していくことを見据え、全国での取組事例がほとんど無い中、トラック協会や国際交流協会、自動車学校などと連携し、タイからのトラックドライバーの受入れについて、チャレンジすることとしました。ノウハウの蓄積や業界での横展開を通して、外国人材ドライバーの受入環境を整備してまいります。
次に、県内大学の新たな学部設置への支援について申し上げます。
学校法人永原学園の西九州大学健康データ科学部(仮称)の設置に伴い、立地市町である佐賀市が同法人を支援されます。県は、大学に対する支援として、市が負担する額の2分の1を、佐賀市に対して補助することといたしました。県内高等教育機関の充実を図ってまいります。
次に、吉野ヶ里遺跡の歴史的価値を高める取組について申し上げます。
「謎のエリア」で発見された石蓋に文様がある石棺墓について、精巧に再現したレプリカを作成し、4月26日から公開しています。ゴールデンウィーク期間中には、13,000人を超える方が見学に訪れました。今回、弥生時代に海を通じて交流があり、日本を代表する弥生時代遺跡がある鳥取県、岡山県と連携し、共同プロジェクトを開始することとしました。他地域との比較研究等を通して、吉野ヶ里遺跡の多角的な視点での研究を進め、歴史的価値を更に高めてまいります。
予算外議案といたしましては、条例議案として6件、条例外議案として6件となっています。
乙第39号議案「世界海洋プラスチックプランニングセンター条例(案)」につきましては、海洋プラスチック問題に関する教育、体験等を通じた県民等の行動変容や国内外への情報発信など、世界を視野に入れた取組を推進する拠点として、「世界海洋プラスチックプランニングセンター」を設置するものです。森、川、海の自然のつながりを大切に未来につなぐ取組を進めてきた佐賀県から、次世代に継承できる海洋プラスチックのない豊かで美しい世界の海を目指してまいります。
最後になりますが、今年は戦後80年の節目の年であり、昭和で数えると昭和100年に当たります。今日、日本に暮らす私たちは豊かで平和な暮らしができております。先の大戦で亡くなられた多くの方々の尊い犠牲があったということを決して忘れてはなりません。私は全国各地の佐賀県出身の戦没者が祀られている場所に赴き、そうした想いで戦没者を弔い、悲惨な戦争を二度と繰り返さないようにと平和への誓いを心に刻んでおります。私が生まれた昭和40年代は戦争の面影が様々なところに残っておりましたが、今では戦争の悲惨さに触れることも希薄になっているように感じております。10月に、戦後80年の県戦没者追悼式を開催します。戦没者の妻の方々の平均年齢は約100歳、遺児の方々は80歳を超えておられます。これまでは20年ごとに開催しており、次の開催は戦後90年に当たる2035年の予定でしたが、高齢化が進む御遺族の想いを深く受け止め、今年、開催することにしました。平成から継承した戦争のない平和な社会を次の世代へとつないでいくことは、今を生きる我々の大切な役割です。佐賀県遺族会など関係者の皆さんの想いを後世に引き継いでいける戦没者追悼式にしたいと考えております。
戦時中、戦況の悪化とともに、日々の暮らしが困窮していく状況において、この国はなぜ立ち止まることができなかったのでしょうか。理由は多々あると思いますが、私は様々な形でつくられていった世の中の雰囲気というものも影響していたのではないかと考えております。戦争に対して、おかしいと思っても違うとは言えない、本当の気持ちを口に出してはいけない、そういった雰囲気が国全体を覆っていたのではないかと推察します。
今、世界は様々な価値観が交錯し、混沌としております。このような時代だからこそ、一人一人が自ら研鑽を積んで物事を考え、様々なことに思いを巡らせ、自らの意見を発信していくことが大切ではないでしょうか。そうした個々の発信の中で、意見がたたかわされ、お互い寛容の心を持ちながら、国や地域の方向性が決められていく。そうした形が必要と考えます。そして、どのような時代であっても、人が輝き、生き生きと暮らしていく鍵となるのは、人であり、地域であります。地方創生は、国から示されたものを画一的に取り組んでいくのではなく、地域における価値や人材、課題などは様々であることを踏まえ、地域自らが地域をよくしていこうと、トライアンドエラーでチャレンジを積み重ねていくことが何よりも大切だと考えます。すなわち、地方創生は既製品を広げることでなく、オーダーメイド型であるべきだと思います。これからも、佐賀県は「人を大切に、世界に誇れる佐賀づくり。」を目指し、人づくりや地域づくりを進めてまいります。
以上、今回提案いたしました議案などについて御説明申し上げました。よろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。