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令和3年9月定例会 知事提案事項説明要旨

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令和3年9月定例会 知事提案事項説明要旨

 令和3年9月定例県議会の開会に当たり、最近の動き、提案事項などについて御説明申し上げます。
 はじめに、本県で発生した「令和3年8月豪雨災害」への対応について申し上げます。
 8月11日から18日にかけて、佐賀県では、九州北部に停滞した前線の影響により、断続的に猛烈な雨が降り続きました。嬉野では降り始めからの降水量が1,000ミリを超え、年間降水量の半分がわずか1週間程で降るなど、数十年に一度の大雨と言われた「令和元年佐賀豪雨」をはるかに上回る雨が、県内各地で降ったことになります。武雄市、大町町では佐賀豪雨と同じような地域で再び内水氾濫が起きるなど、県内のいたるところで家屋や農地などの浸水被害が発生しました。また、かつてない大量の雨に土壌が耐え切れず、山間部では土石流や地滑りなどの土砂災害が多数発生し、家ごと土砂に押し流されたところもありました。早めの避難行動などによって県民の命が失われなかったことは幸いでしたが、2年のうちに再び襲ってきた豪雨によりもたらされた被害は甚大で、被災された方々に心からお見舞い申し上げます。
 私は常に、大切な県民の命を守ることを第一に考えています。今回、新型コロナウイルス感染症が急拡大する中で、豪雨災害発生のおそれがあったことから、8月12日に臨時会見を開き、県民の皆様に、避難を躊躇せず、まずは豪雨災害から命を守ることを最優先に行動するよう強く呼びかけました。14日未明には大雨特別警報が発表されたことを受け、災害対策本部を設置し、自衛隊や消防、警察などの関係機関と連携して対応に当たってまいりました。災害発生時に大切な初動対応においては、今年3月に県が運用を始めた防災ヘリ「かちどき」や、自衛隊、警察のヘリなどの航空運用調整を実施したことで、被害状況を早期に把握し、迅速な初動対応につなげることができました。防災ヘリは、孤立者の救助や透析患者の搬送など人命に関わる活動にも力を発揮しています。また、自衛隊、消防、警察、海上保安庁などにおいては、災害発生直後から迅速に実動部隊を展開していただきました。さらには、内閣府、国土交通省などの国の機関、日本赤十字社をはじめ、人命第一の初動オペレーションにご支援いただいた関係機関に感謝申し上げます。
 災害対応では、これまでの教訓化が活かされた事例がありました。大町町の順天堂病院では、入院患者の院外への避難が却って状態を悪化させるリスクを避けるため、院内の安全な場所で療養を継続する方針で備えていました。今回も1階部分が浸水しましたが、この方針に沿って入院患者と入所者の全員が上層階に垂直避難を行い、派遣したDMATなどと連携を取りながら院内において必要な医療機能を維持することができています。また、2年前には、浸水によって大量の油が流出した大町町の工場では、高さ2メートルの防水壁を整備し、大雨を想定した防災訓練を県や町、消防も立ち会って実施するなど対応力を高めていたことで、工場内への浸水を防ぐことができました。被災した経験を次につなげることの大切さを改めて実感し、今回の経験もしっかりと教訓化し、今後につなげてまいります。
 復旧・復興に当たっては、生活再建支援、事業者や生産者の支援など、ミッションを明確にし、再び同じような災害に見舞われ心が折れたという被災者の声に向き合ってまいります。また、気候変動の影響で、気象条件はこれまでとは全く異なるものに変化しており、異常気象と考えるのではなく、同じような豪雨は毎年発生するということを前提に備えてまいります。2年のうちに浸水被害が繰り返された六角川流域をはじめとする県内各地の内水氾濫については、「内水対策プロジェクトチーム」を立ち上げ、内水状況の把握や被害軽減につなげる対策を進めてまいります。単に前の形に復旧するというだけでなく、気候変動対応型の復旧・復興を目指し、国や市町と連携し全力で被災地域を支援してまいります。
 次に、新型コロナウイルス感染症対策について申し上げます。
 県内の感染者は、5月30日から7月26日まで58日連続で一桁またはゼロの日が続いていましたが、首都圏や福岡県などの都市部での感染拡大が止まらない中、夏休みやお盆の人の動きが重なったことで、8月に入って県内でも感染が急拡大しました。8月16日以降は1日100人を超える日が相次ぎ、18日には過去最多となる182人まで増加しました。感染力が強く、感染のスピードが速いデルタ株の広がりは今までの想像を超えており、8月16日には、病床使用率、ホテル使用率ともに50%を超え、医療現場のひっ迫が心配される状況になりました。そうした厳しさが増す中でも、重症化をできる限り防いでこれているのは、県と医療関係者が連携して医療提供体制の強化に取り組む「プロジェクトM」によって、患者の症状に合わせて速やかな入院・ホテル入所を実現し、的確な早期治療につなげてきた成果だと考えています。
 昨年3月以降の感染者の累計約5,000人のうち、この8月だけで約2,400人と、1か月でこれまでの半数を占めるほど感染が急拡大した第5波の波は、こうした佐賀県が誇るプロジェクトMのオペレーションを難しくするものでした。我々のミッションは、コロナから命を守るとともに、通常診療や救急医療が常に受けられる医療環境を堅持することです。佐賀県らしいやり方で築き上げてきた医療環境を守り抜くために、8月18日に、自宅療養の導入と飲食店の営業時間の短縮を対策の柱とする、3回目となる県独自の「医療環境を守るための非常警戒措置」を発表しました。自宅療養の導入は、療養ホテルに準じた健康観察を行う体制を整えた上で、これまではホテル療養となっていた無症状や軽症の方を対象に実施するものです。佐賀県は一貫して「自宅療養ゼロ」を維持してきましたが、想像を超える感染急拡大の中において、医療機能を維持するためにはやむを得ないものでした。これにより療養ホテルに空きを作り、そこに症状が改善した入院患者を病院から受け入れることで、医療環境への負荷を軽減し、必要な治療を早期に提供できる体制を維持していきたいと考えています。そして、飲食店への営業時間の短縮は、特に感染拡大が顕著な旧唐津市は20時まで、その他の県全域は21時までとし、期間を8月20日から31日までと定めて取組をスタートさせました。
 こうした措置に加えて、人口当たりの感染者数を分析すると、旧唐津市においては人口当たりの感染者が、緊急事態宣言が出ている東京都をはるかに超える感染状況まで至っており、更に感染が拡大するという悪いケースも想定し、国と協議した上で8月27日からは「まん延防止等重点措置」を導入することといたしました。その内容は、9月12日までを期限とし、旧唐津市を対象に、飲食店への終日の酒類の提供自粛を新たに求めるものです。併せて、ショッピングセンターなどの大規模集客施設に20時までの営業時間短縮、市民の皆様にも日中を含めた不要不急の外出自粛を要請しています。また、県全体の感染状況を踏まえて、その他の県全域の飲食店に対する時短要請の期限も9月12日まで延長しています。非常警戒措置とまん延防止措置の実施後、1日の感染者数は二桁台に減少し、最大で65.5%まで上昇した病床使用率も、8月31日には50%を下回りました。感染状況が改善の方向に向かっており、対策はメリハリをつけることが大切なことから、二つの措置については予定通り今月12日をもって解除する方向で調整しています。厳しい感染状況が続く中で、大切な医療現場を守り抜いていただいている医療従事者の皆様、介護、福祉、保育、教育などの様々な現場で頑張っておられる皆様、感染症対策に一丸となって協力いただいている県民、事業者の皆様に心から感謝申し上げます。感染状況は今後も予断を許しませんが、これからもチーム佐賀、オール佐賀でエールを送り合いながら頑張っていきましょう。
 次に、ワクチン接種について申し上げます。
 県内の状況については、6月末に医療従事者等への接種が完了し、7月末には65歳以上の高齢者への接種も90%を超え、希望する方への接種が完了しています。現在は、64歳以下の方への接種が各市町、そして職場や大学などの職域において進められています。佐賀県では、県民同士の声掛け、市町の努力、そして打ち手となる医療従事者の皆様の協力によって、接種が全国トップクラスのスピードで進んできました。県内の最近の感染者は、ワクチンを2回接種した方の感染が少なく、重症化した方もいない状況であり、ワクチン接種を進めた成果が表れていると考えています。引き続き国に対して、接種が進んでいる自治体には更に接種が加速するようなワクチン配分を求めてまいります。また、6月から、土日に県庁1階に県が設置している大規模接種会場については、8月28日からは妊婦や高校生を対象に追加しており、さらに今月11日からは1日の接種人数を1.5倍の750人に増やして実施することとしています。市町の接種を後押しし、県民の皆様への円滑なワクチン接種を進め、県全体の感染拡大防止につなげてまいります。
 次に、東京2020オリンピック・パラリンピックについて申し上げます。
 さきの東京オリンピック・パラリンピックでは、佐賀県ゆかりの選手が、これまでで最多の15名出場しました。佐賀女子高校出身の藤田倭選手、内藤実穂選手が大活躍した女子ソフトボールでは13年ぶりの金メダルを獲得し、サガン鳥栖の林大地選手が男子サッカーでベスト4に、唐津市出身の嘉村健士選手がバドミントン男子ダブルスでベスト8に輝いています。そして、パラリンピックでは、西九州大学を卒業し、県内に活動拠点を置く、車いすテニスの大谷桃子選手がダブルスで銅メダルを獲得しました。佐賀で車いすテニスに出会い、佐賀で成長し、そして佐賀から世界に挑戦する大谷選手が夢を追いかける姿は、県民に大きな感動と前を向く力を与えてくれました。これを称え、大谷選手に県民栄誉賞を贈りたいと考えています。SSP構想のもと、佐賀から世界を目指すアスリートをこれからも後押ししてまいります。
 また、今大会では、フィンランドをはじめ3か国6競技の選手団が県内で事前キャンプを行いました。コロナ禍で活動が制限される中、選手達には公開練習など可能な限りの交流を行っていただき、県民の皆様からもたくさんの応援が寄せられました。大会では、オリンピック3人制バスケットボール男子のセルビア代表チームをはじめ、多くの選手がメダルを獲得しています。陸上女子砲丸投げに出場したニュージーランドのアダムス姉妹は、お姉さんがオリンピック銅メダルをとった後も佐賀に戻って、パラリンピックに出場する妹をサポートし、金メダル獲得につなげています。二人は、佐賀について、食べ物がおいしく練習環境が充実し、みなさんが親切で快適に過ごせたと、県民に感謝を伝えてくれました。事前キャンプ受入れを契機として、スポーツの力を活かし、人と人が支え合う地域づくりを進めてまいります。
 続きまして、当面の諸課題への対処方針について申し上げます。
 まず、原子力発電についてです。
 使用済燃料を金属製の容器に入れて保管する「乾式貯蔵施設」については、平成31年1月に九州電力が原子力規制委員会に設置を申請し、併せて県に対して安全協定に基づく事前了解願いを提出しています。規制委員会では、今年4月に審査を終了し設置を許可しています。県としては、丁寧に審査結果の確認を行うとともに、事前了解願いに対する判断を行うため、7月に佐賀県原子力安全専門部会を開催し、そこで出された意見や確認事項について、原子力規制庁や九州電力に聞き取りを行うなどの確認作業を進めています。また、原子力発電所の耐震性評価について、原子力規制委員会は、4月に新たな評価手法を追加し、7月には玄海原子力発電所の耐震評価は見直しが必要と判断しました。これを受け、8月、九州電力は耐震評価を見直し、設置変更許可申請書を提出しています。県としては、九州電力に対して、規制委員会の審査に真摯に対応するよう求めており、今後の審査状況を注視してまいります。
 玄海原子力発電所とは、廃止措置を含めて、これからも長い年月にわたり関わり続けなければなりません。今後とも、県民の安全を何よりも大切に、県も含め全ての関係者の中に気の緩みが生じることがないよう万全を期してまいります。
 次に、佐賀空港の自衛隊使用要請について申し上げます。
 今回の防衛省からの要請は、私たちの生活の基盤となっている国防上の要請であることから、重く受け止め、県議会での議論や決議、3年半にわたる検討などを踏まえ、県として受け入れの判断を行いました。その上で、3年前の8月に、有明海漁協に対して、要請を受け入れていただくよう申し入れを行ったものです。有明海漁協は、県と交わしている公害防止協定覚書付属資料の変更について、地権者の意向を確認した上で判断するとされています。意向確認に当たっては、6月30日から7月4日にかけて防衛省による地権者説明会が開催され、その後、地権者へのアンケートが実施されました。現在、アンケート結果を踏まえ、漁協内で覚書付属資料の変更について議論されているところです。県としては、漁協内での議論が進むよう、引き続き、一つ一つ丁寧に対応してまいります。
 次に、有明海の再生について申し上げます。
 諫早湾干拓関連訴訟について、福岡高裁における請求異議訴訟の差戻審では、4月28日の進行協議において、裁判所から、紛争全体の根本的な解決を図るため、国と開門を求める漁業者双方に対して、和解協議の場についた上で、合理的な期間内に集中的に協議を重ねることを求める「和解協議に関する考え方」が示されました。現在、裁判所と当事者双方による和解協議に向けた話し合いが続けられています。県としては、今後の裁判の状況を注視してまいります。水産資源の回復に向けては、依然として厳しい状況にあるタイラギやアゲマキなどの二枚貝の、種苗生産技術や人工稚貝の放流技術の開発とともに、漁場環境の維持・改善に努めるなど、一日も早い資源の回復に繋がるよう関係機関と連携して取り組んでまいります。
 宝の海である有明海の再生は、国や県、市町、漁業者など、有明海に関わるもの皆が一体となって取り組む課題です。引き続き、訴訟の状況や国の動向を注視し、関係者と意見交換をしながら全力で取り組んでまいります。
 次に、九州新幹線西九州ルートについて申し上げます。
 令和4年秋に、武雄温泉-長崎間が開業します。開業を好機と捉え、地域の魅力を磨き上げ、発信することで、人を惹きつけるそこにしかない地域づくりにつながるよう取り組んでまいります。また、西九州ルートの開業により、特急列車が大幅に減ることになる鹿島や太良などの長崎本線沿線地域については、鹿島市において、県も一緒になって市民と議論してきた「肥前鹿島駅周辺整備構想」の案が7月末に策定されるなど、駅も活かしながら、豊かな自然、脈々と受け継がれてきた歴史や文化といった地域の魅力を感じてもらえるまちづくりが始まろうとしています。引き続き、KIZUKIプロジェクトでの議論も重ねながら、地域の人たちの想いが詰まったまちづくりを後押しするなど、長崎本線沿線地域の振興に力を注いでまいります。
 国土交通省鉄道局との「幅広い協議」については、5月31日に第4回の協議を行い、改めて、5つの方式について幅広く協議していくことを確認し、フル規格について協議する場合には、ルートを含めゼロベースから議論することとしております。次回の協議について鉄道局に確認したところ、現在、議論に必要な試算などの検討を行っており、まだ時間がかかるということでした。新鳥栖-武雄温泉間の在り方は佐賀県の将来に大きく影響することであり、今後も何が望ましい姿なのかということを大きな視点を持って幅広く、骨太に議論してまいります。
 次に、城原川ダム事業について申し上げます。
 城原川ダム事業については、昨年度から現地での用地調査が開始され、今年度は事業を所管する佐賀河川事務所の人員体制が強化されたうえで、8月からは水没予定地域内の家屋調査が始まるなど、ダム建設の具体化に向けた事業の進捗が目に見える状況となってきました。国の来年度概算要求においては、約10億円と今年度予算を上回る金額が盛り込まれており、事業のさらなる進捗を期待しています。県としては、今回のような豪雨災害が今後も懸念される中、地域の治水対策を進めるため、一日も早いダム完成を目指した事業の推進と必要な予算の確保を、引き続き、国に働き掛けてまいります。長年にわたりダム問題で御苦労されてきた水没予定地域の方々の中には、地域の将来を想いながらお亡くなりになられた方もいらっしゃいます。住民の方々の不安にしっかりと寄り添い、少しでも早く具体的な生活再建に向け踏み出せるよう、国や神埼市と連携し、きめ細やかな支援を心掛けてまいります。
 続きまして、最近の県政の主な動きについて申し上げます。
 まず、大隈重信侯の偉業の顕彰についてです。
 今年は佐賀が輩出した偉人、大隈重信侯の100回忌の年であり、大隈侯の偉業に光を当て、未来につなげる「大隈重信100年アカデミア」プロジェクトを展開しています。現代に生きる私たちが大隈侯の志を受け継ぐ取組の一つとして、7月と8月に佐賀東高校演劇部による演劇「太陽の羅針盤~未来のきみへ 100年目のメッセージ~」を上演しました。大隈侯が明治日本の近代化に奔走する様子や、佐賀戦争などの故郷の悲劇を誰より憂い悲しむ胸中、そして現代の若者には失敗を恐れず挑戦してほしいという想いなど、高校生がひたむきに演じ全力で伝える姿に、大隈侯の志をしっかりと受け継ごうとする若い世代の頼もしさを感じました。
 また、日本で初めて走った鉄道の遺構である高輪築堤は、用地確保が難航した新橋・横浜間において、大隈侯の英断により、海上に鉄道を走らせるために築かれたものです。佐賀藩の精煉方において、日本初の蒸気機関を製造し有明海を背景に煙を上げる情景が思い浮かんだのか、この常識にとらわれない発想から生み出された高輪築堤は、大隈侯の偉業を伝える遺構です。近く国史跡に指定され、第七橋梁部などの一部が保存されます。県では、佐賀の地で大隈侯の志に光を当てたいという想いで、解体される石垣の一部を譲り受けることとしました。県立博物館に移して築堤部分を約10メートルにわたり復元するほか、大隈重信記念館などに展示スペースを設置し、高輪築堤を通して、日本近代化の礎を築いた大隈侯の志と発想力、実行力を広く伝えていきたいと考えています。
 次に、ユージアムサガについて申し上げます。
 県では、世界に誇る食材と器に料理人を組み合わせ、調和と融合により新たな価値を創造するサガマリアージュに取り組んでいます。この取組の一つとして、究極の器で一流のシェフの料理を楽しめる「ユージアムサガ」をこれまで2回開催してきました。コロナ禍においても、国内のトップシェフと佐賀の食、器をつなげ、県内の料理人が腕を磨く機会が作れないかとの想いで、7月、有田町において、3年振りに「ユージアムサガ」をよみがえらせました。トップシェフが県内の気鋭の若手シェフと共に、佐賀のこだわりの食材を感性と技で高め合うシーンが生まれています。今後、他の地域での開催も予定しており、佐賀の豊富な食材と器を活かすことで、佐賀を国内外から料理人が集う美食の街へと成長させていきたいと考えています。次に、「SAGA2024」国スポ・全障スポについて申し上げます。
この度、大会の会期が決定し、国スポを2024年10月5日から15日までの11日間、全障スポを10月26日から28日までの3日間で開催することとなりました。引き続き着実に準備を進め、最初の国スポとして、全ての人にスポーツのチカラを届ける大会の実現を目指し、様々なチャレンジをしてまいります。前年に開催される鹿児島大会と佐賀大会については、「双子の大会」と位置付け、両県で「エールプロジェクト」として交流を進めています。7月には幕末の佐賀・薩摩両藩の関わりと先見性を探る歴史シンポジウムを開催し、8月には飛込競技でのジュニアアスリート交流を行っています。また、中学生の修学旅行では、お互いの県をコースに入れるなど、競技のレベルアップだけでなく、人と人の交流や歴史、文化のつながりを活かして関係を温める取組を進めています。今後、より一層交流を深化させ、双子の大会の成功とともに両県の絆を未来につなげてまいります。
 次に、「SAGA2024」のメイン会場となるSAGAサンライズパークの整備状況について申し上げます。
 SAGAアリーナについては、6月から上屋の鉄骨工事が始まりました。現在は、全体の半分近くが組み上がっており、冬頃には大まかな形が姿を現すようになります。本県初の国際公認の屋内50メートルプールを備えたSAGAアクアについては、いよいよ10月23日にオープンすることを決定しました。利用目的に合わせて水深をゼロから3メートルまで調整することができ、競泳や水球、アーティスティックスイミングなどの競技のほか、健康づくりなど、幅広く活用することができます。また国内公認の屋外飛込プールは、トランポリンなどを用いて飛込の練習ができる屋内のドライランドを併設し、年間を通して練習できる環境を整えています。オープニングのセレモニーでは、東京オリンピック出場者や県内のSSPアスリートなど多彩なゲストを招待し、選手のデモンストレーションを予定しています。東京オリンピックでは、SAGAサンライズパークフェンシング場で代表合宿を行った日本代表のメンバーが、男子エペ団体で史上初の金メダルを獲得しました。SSP構想を推進する佐賀県が、そしてサンライズパークが、金メダルにつながる競技拠点となったことを嬉しく思います。2023年春のSAGAサンライズパークのグランドオープンに向け、引き続き着実に整備を進めてまいります。
 次に、SSP構想について申し上げます。
 全国高等学校総合体育大会では、鳥栖工業高校レスリング部が、春の選抜大会に続き連覇を達成し、個人でも小野正之助選手が優勝しています。また、陸上女子100メートルで佐賀北高校の永石小雪選手、陸上男子200メートルで佐賀工業高校の田中翔大選手、柔道で佐賀商業高校の近藤美月選手が日本一に輝いています。佐賀県は、SSP構想の下、こうした若いアスリートの育成に力を入れるとともに、多くの人が「育てる、観る、支える」など自分なりのスタイルでスポーツに関わることで、スポーツのチカラを活かした地域づくりを進めています。この一環として、7月には都道府県で初めて、日本山岳・スポーツクライミング協会と連携協定を締結しました。競技人口が増加しているスポーツクライミングは、東京オリンピックで正式種目となり「観るスポーツ」としても世界的に人気が高い競技です。今月スロベニアで開催されたワールドカップでは、多久市出身の樋口純裕選手が優勝するなど、県内から世界で活躍する選手も生まれてきています。SAGA2024の開催を機に、大会の会場としてだけでなく、大会後の競技力向上につなげるためのクライミング施設を多久高校に整備することとしました。佐賀をスポーツクライミングの拠点へと推し進めてまいります。先に競技団体と連携協定を締結しているフェンシングでは、9月11日、12日に本県でフェンシングエペのジャパンランキングマッチが予定されるなど、連携協定を機に、佐賀に新しいスポーツの風が吹き始めています。また、競技力を高める拠点の整備については、SAGA2024高等学校硬式野球の会場にもなっている「さがみどりの森球場」において、球場横に、雨天時の練習や試合前のウォーミングアップ、テニスなどもできる多目的な屋内運動施設を整備することとしています。SSP構想では、こうした世界に挑戦するトップアスリートの育成や練習環境の充実を通じて、アスリートが指導者となって県内に定着すること、さらにはそれを応援する企業の広がりやスポーツビジネスの振興などの好循環を生み出し、スポーツ文化の裾野を広げてまいります。
 次に、パートナーシップ宣誓制度について申し上げます。
 県では、県民一人一人がお互いの特性や個性を尊重し認め合う、佐賀らしいやさしさのカタチ“さがすたいる”を進めています。この取組の一つとして、同性のパートナーと生活を共にされている方が自分らしく生きていけるよう、できる限り障壁を取り除きたいとの想いで、8月27日から「佐賀県パートナーシップ宣誓制度」を開始しました。かけがえのないパートナーであることを二人が宣誓し、それを県が証明することで、医療センター好生館での面会における家族同様の取り扱いや、県営住宅への入居を可能にしてまいります。9月7日には第1号となるお二人にパートナー証明書を交付しています。今後、同様の制度を取り入れる予定の唐津市など、市町とも連携してこの取組を広げていきたいと考えています。“さがすたいる”の想いを更に広げ、みんなが自然体で心地よく暮らせる、人にやさしい佐賀県を創ってまいります。
 次に、有明海沿岸道路の整備について申し上げます。
 有明海沿岸道路については、県が整備を進めていた芦刈南インターと福富インター間を、7月24日に開通することができました。開通を記念する式典では、福富太鼓や芦刈音頭が披露されるなど、地域の皆様と一緒になって祝い、喜びを分かち合いました。これまで、昭和30年に建設された住ノ江橋が、地域のシンボルとして産業や暮らしを支えてきたように、今回開通した区間に架かる六角川大橋もまた、人・物・地域、そして私達の想いと命をつなぎ、県南西部地域の発展を支える、新たな時代のシンボルとなることを確信しています。有明海沿岸道路と佐賀唐津道路が接続するエリア「Tゾーン」の整備については、これから地盤改良や橋梁の工事が本格化していきます。引き続き、県民の暮らしと地域の発展を支える基盤として、県全体の広域幹線道路の整備を着実に進めてまいります。
 続きまして、提案事項について御説明申し上げます。
 今回の補正予算案は、「令和3年8月豪雨災害」及び「新型コロナウイルス感染症」への対応を柱に編成しており、その総額は、歳入歳出とも、それぞれ、
  一般会計  約  301億7,900万円
  特別会計  約   42億1,500万円
となり、これを既定の予算額と合わせますと、本年度の予算総額は、
  一般会計  約6,081億7,300万円
  特別会計  約1,941億7,600万円
となっております。
 まず、令和3年8月豪雨災害への対応について申し上げます。
 2年前に続いて再び被害にあわれるなど、厳しい状況にある被災者の皆様に寄り添い、少しでも早く支援を届け、前を向く力にしてほしいとの想いで、準備が整ったものから速やかに着手することとし、今後も順次対応してまいります。
 県内各地で発生した、農地や山林の土砂崩れについては、人家等への被害が懸念される箇所の復旧工事に着手するとともに、海岸に漂着した流木、堆積した土砂の早期の撤去に取り組んでまいります。
 店舗や事業所の浸水などで被害を受けた事業者の皆様においては、復旧に必要な設備資金や運転資金を低利で融資する災害復旧資金を活用いただくことができます。しかしながら、事業者の中には佐賀豪雨に続いてわずか2年で再び被災した方も多くおられ、もう心が折れてしまうとの声をお聴きすることから、こうした皆様の早期の事業再開と事業継続の後押しとなるよう、2年前に続いて被災された事業者の方を対象に、3年間無利子で借り入れができるようにいたしました。
 農家の皆様においても、浸水で農業用施設・機械が被害を受けたり、大豆、水稲、アスパラガスなどの生育に影響が出るなど厳しい状況にあります。このため、被災した農業用施設・機械などの再取得や修繕、また次期作に必要な種苗や生育を回復させる肥料の購入などに必要な経費を支援し、生産者の負担を軽減して、営農再開を後押ししてまいります。
 今後、内水氾濫による同じような被害を少しでも減らす取組として、生産者が園芸用ハウスに浸水防止壁を整備する費用を支援してまいります。また、毎年のように豪雨災害が発生している状況を踏まえ、県独自に排水ポンプ車を県内5つの土木事務所に配備することとし、迅速に排水できる体制を強化してまいります。
 次に、今後の新型コロナウイルス感染拡大に備えた医療提供体制の強化について申し上げます。
 デルタ株による感染拡大、そして、今後新たな変異株が広がる懸念など、先を見通すことが難しい状況の中、更なる感染拡大という悪いケースを想定した準備を進めていきます。白石町での軽症者用の臨時医療施設の新設と、伊万里市での宿泊療養ホテルの追加を先行して実施するとともに、さらなる医療提供体制の強化が必要となる事態も想定し、幅広く予算措置をしておくことで、今後の感染拡大に戦略的かつ機動的に対応してまいります。
 次に、コロナで厳しい状況にある事業者を支える取組について申し上げます。
 8月20日から9月12日までの、飲食店に対する時短要請に協力いただいた店舗への協力金については、専決処分を行っていますが、コロナ禍の影響は飲食店以外にも幅広く及んでいます。こうした中小事業者に、少しでも前を向いていただき事業継続の後押しになればという想いで、今年2月と5月に続き、第三弾の中小事業者応援金として法人20万円、個人15万円を交付することといたしました。交付要件は前回と同じく売上減少率20%に据え置いており、九州各県が30%から50%の売上減少率を交付要件に設定する中で、最も広く事業者を支える仕組みとしています。コロナ対策に活用できる国の臨時交付金が残り少なくなる状況においても、今回思い切った措置を行うこととしました。
 次に、市村記念体育館の利活用について申し上げます。
 市村記念体育館は、昭和38年に佐賀県出身でリコーの創業者である市村清氏が、県民の体育と文化の振興を目的に佐賀県に寄贈したもので、歴史的価値が高い建物です。長年県民から愛され、肥前さが幕末維新博覧会ではメインパビリオンとして多くの県民に佐賀への誇りと新たな志を芽生えさせたこの建物を、市村氏の志を受け継ぎ、さらに未来に向けて想いを広げる場所にしていきたいと考えています。この度、地域活性化の先導的事業として、国の地方創生拠点整備交付金に採択されたことを受け、多様な体験やクリエイター、企業などとの出会いの中で、柔軟な発想と新たな技術でイノベーションを起こし、多彩な文化芸術に触れて創造的な活動を生み出すなど、佐賀の未来を創造する拠点として整備することといたしました。
 次に、さがの林業再生プロジェクトについて申し上げます。
 海外における経済活動の活発化等により、木材の輸入が減少し、国産木材の価格が急激に上昇しています。これまで木材価格低迷の影響を受けてきた本県林業にとって、追い風ともなりうるこの機を捉え、佐賀の山を守り育て、林業を再生するプロジェクトを進めています。第1弾となる生産性向上のための林業機械の導入支援に続き、第2弾として、小規模に分散し作業効率が悪い森林を集約化する取組を支援し、作業地をまとめて効率的な伐採につなげることで、林業事業体の経営安定と林業従事者の確保を図り、佐賀の林業の再生につなげてまいります。
 予算外議案といたしましては、条例議案として3件、条例外議案として10件となっています。
 最後になりますが、この度、佐賀県は、豪雨災害と新型コロナウイルス感染症の急拡大という、ダブルの危機に直面しました。この危機に、私たちは県民同士のつながりを力にして、チーム佐賀、オール佐賀で立ち向かうことができていると考えています。
 豪雨災害では、住民同士が声を掛け合い、早め早めに避難したことで、浸水や土砂災害から命を守ることにつながりました。神埼市では、土石流で家が流される事態となりましたが、近所の方の声掛けによって避難していたことで、住民の命が救われています。浸水被害の現場では、ゴムボートを使った救助活動に、地域のことを誰よりも知る消防団の力が発揮されました。コロナ禍であっても、浸水した家の片付けや清掃に駆け付けたボランティアなど、人と人のつながりが災害時の大きな力となっています。
 また、新型コロナウイルス感染症への対応では、隣同士の声掛けでワクチン接種を呼び掛けたこともあり、佐賀県の接種率は全国をリードしてきました。非常警戒措置においても、コロナに立ち向かう想いを共有し、県民の皆様が一丸となって感染対策の徹底に取り組んでいただいています。なかでも、まん延防止等重点措置を適用した唐津市については、県と唐津市がお互いの旗を掲げ、心を一つに共に頑張ってきました。そして、東京をはるかに上回っていた感染状況をわずか10日ほどで県平均レベルまで急降下させています。驚くべき成果に、唐津くんちに代表される絆の強さ、唐津の心意気と底力を見た思いがします。一致団結して見事にやり遂げた唐津の皆様に心からの敬意を表し、共に感染拡大を抑え込んだ今回の経験を今後のコロナ対策に活かしてまいります。
 人と人のつながりが強く、地域のコミュニティがしっかりしている、このことは都市部では失われかけた佐賀の力です。この力こそが、危機を乗り越え、一人一人の命を守ることにつながると強く感じています。これからも、こうした佐賀の力を大切にし、県民同士エールを送り合いながら心を一つにして、危機を乗り越え、前へ前へと佐賀の歩みを進めてまいります。
 以上、今回提案いたしました議案などについて御説明申し上げました。
 よろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。
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