佐賀県 佐賀県議会TOP総合トップへ佐賀県 佐賀県議会TOP総合トップへ
佐賀県 佐賀県議会佐賀県 佐賀県議会(スマホ版)
背景色 青黒白
文字サイズ 拡大標準

平成24年2月定例会 知事提案事項説明要旨

最終更新日:

議案等の審議結果

平成24年2月定例県議会

知事提案事項説明要旨

 本日、平成24年2月定例県議会の開会に際し、県政を運営するにあたりまして、私の所信を述べさせていただくとともに、提案しました平成24年度当初予算案及び平成23年度補正予算案並びにその他の議案について、その概要をご説明申し上げます。
 昨年3月11日に発生した東日本大震災では、約2万人もの方が犠牲になり、また電気、水道などのライフラインや、道路、港湾などの社会基盤施設等についても約17兆円という甚大な被害を受けました。
 さらに、地震による津波等で起きた東京電力福島第一原子力発電所の事故は、発生からもうすぐ1年が経過しようとしていますが、いまだに避難指示が解除されておらず、多くの方々が避難生活を余儀なくされています。
 1日も早い復旧、復興が望まれる中、震災直後から、多くの人々から義援金や支援物資の提供、現地でのボランティア活動など様々な支援の輪が広がり、改めて、人と人との絆の強さや大切さを感じました。
 県でも、いち早く「佐賀きずなプロジェクト」を展開してまいりましたが、今後とも、被災地の復旧、復興が実現するまで、支援を続けてまいります。
 県内に目を転じてみますと、昨年は、新しい時代につながる多くの出来事があった年でした。
 2月に米の食味ランキングで平成22年産の「さがびより」が本県産米としては初めて最上級の特Aを取得し、3月には広域農道の多良岳地区の全線開通、有明海沿岸道路の県内区間で初めての開通、九州新幹線鹿児島ルートの全線開業と、広域交通ネットワークの整備が相次ぎました。
 また、8月に上海デスクを設置したのに続き、10月には瀋陽、香港に県として初の海外拠点となる代表事務所を開設しました。
 さらに、11月には有明佐賀空港で初めての本格的な国際線の就航が決定し、年末にはサガン鳥栖がJ1昇格を果たすことができました。
 こうした中、今年は、新しく策定した「総合計画2011」の本格的なスタートの年となりますことから、まずは、基本理念である新しい時代をリードする佐賀県をめざし、“進”重点項目をはじめとした各種施策の着実な推進に取り組んでいきたいと考えています。
 その中でも、『国際化』、『産業・雇用』、『環境・エネルギー』、『文化・スポーツ』の分野における新しい施策につきましては、昨年から積極的に実行に移してきているところですが、引き続き、力を入れて取り組んでいきたいと考えています。
 まず、『国際化』につきましては、本県がグローバル化した世界の中で必要とされる地域になることを目指した国際戦略を昨年策定いたしましたが、その中で、中国など東アジアを主たるターゲットと位置付け、このエリアの活力を佐賀県に取り込むための活動に取り組んでいくこととしています。
 そのため、最前線で各種事業展開を行う海外拠点を設置いたしました。県内企業にも積極的に活用していただき、一つでも多くの実を結ぶように取り組んでまいります。
 また、1月には、佐賀―上海路線が就航しましたが、これを契機として、本県が多くの外国人観光客に立ち寄っていただける魅力ある場所となるよう、受入環境の整備に努めてまいります。
 あわせて、佐賀―上海路線の一層の利活用の推進に努め、週3便化や定期便化を目指して取り組んでまいります。
 さらに、今月、韓国の全羅南道(チョルラナムド)との友好交流協定の締結1周年を記念して友好訪問団を派遣しましたが、5月には、その全羅南道(チョルラナムド)の麗水(ヨス)市で国際博覧会が開催されることから、友好交流の拡大を図るために、佐賀県として参加することとしています。
 次に、『産業・雇用』の分野につきましては、グローバル経済が進展する中、県内企業や県産品が生き残っていくために、地域の競争力を強化し、将来にわたって県民のくらしを支える産業の育成・振興に取り組むこととしております。
 そのため、次世代産業関連企業の新産業集積エリアへの誘致推進や、「さがびより」の食味ランキング特A評価の継続取得などによる農林水産物の流通拡大やブランド力の向上、県立産業技術学院における訓練コースの再編や公募による学院長選任などの取組を通した企業ニーズに即した産業人材、グローバル人材の育成・確保、中小企業の経営品質、技術力向上による競争力強化などに取り組んでまいります。
 次に、『環境・エネルギー』につきましては、経済や地域社会を活性化させながら、地球温暖化防止対策や省資源・省エネルギーを推進するとともに、低炭素社会と新たな産業の成長の実現に大きく貢献する再生可能エネルギーの加速度的な普及を図ることとしています。
 その中でも、太陽光につきましては、佐賀県がトップランナーである住宅用太陽光発電はもちろん、事業所用太陽光発電やメガソーラーの普及についても積極的に取り組み、太陽光王国「佐賀」の実現を目指してまいります。
 また、太陽光以外の再生可能エネルギーにつきましても、水力や海洋エネルギーに関する基礎的な調査を行うなど、多様なエネルギーの利用可能性について検討を進めてまいります。
 次に、『文化・スポーツ』の分野につきましては、近年、高齢者の生きがいづくり、健康づくり、あるいは障害者の社会参加、地域づくりや観光振興など、文化・スポーツの多面的な価値が広がってきている状況にあります。このような状況に対応していくためには、さらなる文化やスポーツの振興が欠かせないことから、「総合計画2011」において政策の柱に位置付けているところです。
 そのため、平成24年度は、文化やスポーツに関する施策を学校や教育の枠を超えて総合的に推進していくため、くらし環境本部内に、文化・スポーツを所管する新たな部を設置して体制の強化を行うこととしております。
 こうした中、今年の秋開催される「第12回全国障害者芸術・文化祭さが大会」や県内唯一のプロサッカーチームであるサガン鳥栖のJ1昇格を機に、県民の文化やスポーツに対する気運の醸成を図り、県民の誰もが文化やスポーツを楽しむ風土づくりを進めてまいります。
 次に、当面の課題に対する対処方針について申し上げます。
 まず、地域防災計画の見直しについて申し上げます。
 地域防災計画につきましては、11月定例県議会において、計画の修正内容を取りまとめた「地域防災計画の修正原案」をお示ししました。
 その後、佐賀県防災会議での議論、パブリック・コメントでの意見、原子力防災訓練での反省等を踏まえて修正を行い、2月に開催された佐賀県防災会議で地域防災計画の修正について、ご了承をいただいたところです。
 今後とも国の防災基本計画の修正や原子力防災指針の改定などに基づき、引き続き県民の安全・安心の向上の観点から、適宜、地域防災計画の見直しを進めてまいります。
 次に、地方分権改革の推進について申し上げます。
 地方分権改革につきましては、国の出先機関原則廃止について、一つの節目を迎えようとしています。九州地方知事会として、九州を単位に設置されている国の出先機関の受け皿として、「九州広域行政機構(仮称)」の設立を目指しているところですが、こうした新しい広域的実施体制について、政府としての全体像が来月末には決定する見込みであります。
 また、ハローワークの都道府県への移管につきましては、本格的な移管の可能性を検証するため、佐賀県と埼玉県に設置されているハローワーク各1カ所において「ハローワーク特区(仮称)」を設け、ハローワークを実質的に県に移管されているのと同じ状況を作ることになりました。
 広域的実施体制及びハローワーク特区につきましては、いずれも、国と協議を重ね、制度設計を進めていくこととなりますが、国の出先機関を住民に身近な地方自治体へ移管することが、行政の透明性の向上と住民サービスの向上につながるとの基本的な考え方のもと、協議を進めてまいります。
 次に、社会保障と税の一体改革について申し上げます。
 社会保障と税の一体改革につきましては、政府・与党における議論、また政府と地方6団体における「国と地方の協議の場」における議論を経て、「社会保障・税一体改革大綱」が閣議決定されました。この大綱においては、社会保障改革を進め、支える安定財源として、現行の地方消費税を除き消費税を社会保障財源化し、平成27年10月までに段階的に税率を5%引上げ、その配分を国3.46%、地方1.54%とするとされています。
 県としましては、これまで社会保障と税のあり方について、消費税、地方消費税を福祉目的税と位置付けて、景気回復後に充実強化することを国に求めてきたところでありますが、国の出先機関の地方移管など行政の無駄の排除や、経済状況や低所得者への配慮など国民の理解が得られる方策も講じる必要があり、国政の場における十分な議論を望むものであります。
 次に、原子力行政について申し上げます。
 玄海原子力発電所2号機のストレステストにつきましては、現在、九州電力が提出した報告書について、原子力安全・保安院による評価が行われています。
 また、原子炉の高経年化問題につきましては、「高経年化技術評価に関する意見聴取会」において、健全性の評価などの議論が行われています。
 さらに、今国会では原発の運転期間を原則40年に制限することなどを柱とした原子力規制関連法の審議が行われているところであり、県としましては、引き続きこうした動きを注視してまいりたいと考えています。
 次に、有明海の再生について申し上げます。
 諫早湾干拓事業の開門調査につきましては、平成24年度政府予算案で、開門に必要な事前対策等の予算が初めて措置されたことで、開門調査の実施について具体化していくべき段階に入ったと考えています。
 そこで、今月15日、筒井農林水産副大臣が佐賀県を訪問されました。開門調査を求める漁業者などの生の声を聞くとともに、直接、漁場を見ていただきました。環境変化や漁業者の苦労を肌で感じられたものと思います。鹿野農林水産大臣にも1日も早く来県されることを期待しているところです。
 また、開門方法につきまして、農林水産省は開門幅を制限したケース3‐2の方法を基本として話し合いを進めていきたいとの考えでありますが、県といたしましては、最終的には全開門となる方法を強く求めてまいります。
 有明海を再生させ、「宝の海」として次世代に引き継ぐため、今後とも全力で取り組んでまいります。
 次に、現下の経済・雇用情勢について申し上げます。
 我が国経済は、東日本大震災の影響により依然として厳しい状況にある中で、緩やかに持ち直してきており、先行きにつきましても、各種の政策効果などを背景に、景気の緩やかな持ち直し傾向が続くことが期待されております。他方、欧州の政府債務危機の動向等による海外経済の減速懸念や為替の動向、さらには、電力供給の制約やデフレの影響など、我が国の景気が下押しされる懸念が存在しています。
 県内の状況につきましては、先月下旬から今月にかけて実施いたしました県内企業60社の訪問調査では、昨年11月に実施した前回調査と比べて、「悪化した」と答えた企業がわずかながら増加しており、持ち直しの動きが緩やかになってきているところです。
 雇用情勢につきましては、有効求人倍率が昨年1月からリーマンショック直前の水準である0.61倍に回復し、12月では0.64倍になるなど緩やかな回復基調にあるものと思われます。
 しかしながら、円高による海外との価格競争激化や市場環境の急変、海外経済の減速などの影響により、県内大手製造業においては、大幅な事業計画の見直しや雇用調整の動きがみられるなど、景気や雇用情勢についての悪化懸念が依然残っています。
 県といたしましては、今後とも、景気の動向や雇用情勢を注視しつつ、適時適切な対策に取り組んでまいります。
 なお、有明海のノリ養殖につきましては、秋芽ノリの不作の後、冷凍網についてはこれまで平年並みの生産で推移しておりますが、今後については、栄養塩の低下による色落ちの被害が拡大するなど楽観できない状況にあります。
 県としましては、引き続き栄養塩やプランクトンの状況などをしっかりと注視しながら、きめ細かな養殖指導に努めてまいります。
 次に、唐津湾沖における海砂採取に係る本県と長崎県との認可境界問題について申し上げます。
 この問題につきましては、長崎県との話し合いによる解決は困難であると判断し、去る平成22年9月議会において、国の自治紛争処理委員への調停申請の議決をいただき、総務大臣に調停申請しておりましたが、今月3日に自治紛争処理委員から調停案が提示され受諾勧告がなされました。
 提示された調停案では、海砂採取の認可に係る管轄境界が未確定であることが認められたうえで、管轄境界を本県と長崎県の等距離ラインを基本として協議を行うものとされ、本県が申請しておりました調停事項について、一定の整理がなされたと評価できるものであることから、調停案を受諾することといたしました。
 今後、本調停案に基づき、長崎県と協議を進めてまいりたいと考えております。
 次に、有明佐賀空港の上海路線開設について申し上げます。
 有明佐賀空港初の本格的な国際線である佐賀―上海路線が1月に開設されました。
 これにより、東アジアでも有数の経済圏である上海都市圏と直接結ばれたことになり、佐賀県の国際化が一層加速するものと大いに期待しています。
 これまで、就航に向けて、市町や関係企業・団体と連携し、県内の観光・宿泊施設や交通機関などの案内表示に、中国語表記を追加するなどの取組を行ってきましたが、引き続き、検証、改善を通して受入環境の整備に取り組んでまいります。
 また、この上海路線をより使い勝手の良いものとするため、佐賀、上海双方からの利用促進に取り組み、できるだけ早い時期の3便化、あるいは定期便化を目指してまいります。
 九州新幹線西九州ルートにつきましては、昨年末、現在工事中の武雄温泉―諫早間に加え、諫早―長崎間への延伸と肥前山口―武雄温泉間の複線化を一体的な事業として整備し、フリーゲージトレイン方式により平成34年頃に一括開業する計画が、政府・与党間で確認されました。国土交通大臣は、平成23年度中にも事業実施計画の認可を行いたいとの意向を示されています。
 県としましては、この計画による西九州ルートの整備が1日も早く実現するよう国等に働きかけてまいります。また、西九州ルートの概ね10年後の一括開業に向け、武雄市や嬉野市といった沿線新駅周辺のまちづくりをはじめ、地元自治体、関係団体一丸となって観光資源の磨き上げなど地域の魅力向上を図り、新幹線の開業効果を一層高めるよう努めてまいります。
 続きまして、提案事項についてご説明申し上げます。
 まず、平成24年度当初予算案について申し上げます。
 国の平成24年度予算につきましては、東日本大震災からの復興に切れ目なく対応するため東日本大震災復興特別会計を創設するとともに、「中期財政フレーム」を遵守しつつ、我が国経済社会の真の再生のために「日本再生重点化措置」として予算を重点配分するほか、「提言型政策仕分け」等を反映して編成されたところであります。
 平成24年度の地方財政につきましては、地方税収入や地方交付税の原資となる国税収入が緩やかに回復することが見込まれる一方、社会保障関係費の自然増や公債費が高い水準で推移すること等により、経費全般について徹底した節減合理化に努めてもなお、依然として大幅な財源不足が生じるものと見込まれています。
 このため、財政運営戦略に基づき、社会保障関係費の自然増や地域経済の基盤強化などに対応する財源を含め、地方の安定的な財政運営に必要となる地方の一般財源総額について、平成23年度と実質的に同水準となるよう確保することを基本として、地域主権改革に沿った財源の充実を図るため、地方交付税総額が確保されました。
 この結果、本県においても、一般財源は確保されるものの、平成24年度末の県債残高が予算規模を大きく上回る7,144億円に達する見込みであることに加え、国と地方を通じて大幅な財源不足が生じていることから、県財政の置かれた状況は依然として厳しいものとなっております。
 平成24年度当初予算につきましては、「新しき世に佐賀あり。」を基本理念とした県政運営の基本方針である「総合計画2011」及び各本部の基本戦略に基づき、将来の佐賀県が新しい時代のリーダーとして、国内外から必要とされる存在感のある佐賀県を創るための政策を盛り込むとともに、限られた資源の重点的・効率的配分を行い、真に県民の期待に応えうる予算編成を行ったところであります。
 この結果、平成24年度当初予算案の総額は、歳入歳出とも、それぞれ

 一般会計    4,186億8,600万円
 特別会計  約 1,162億5,400万円

 となっており、一般会計におきましては、前年度6月現計予算と比較しますと、1.3パーセントの減となっております。
 次に、当初予算案の主な内容について、「総合計画2011」に掲げた8つの政策の柱に従って申し上げます。
 まず、『安全・安心』について申し上げます。
 防災・減災等の体制づくりにつきましては、東日本大震災の教訓等を踏まえた緊急防災対策として、国の集中復興期間である平成27年度末までに、災害時に要援護者が安心して避難できる施設を確保するため、全県立学校45校の体育館に要援護者も使えるトイレ及び停電時の非常用電源を整備することといたしました。
 その財源の確保を目的として地方税の臨時特例法が制定されたことを受け、本県においても臨時的な税制上の措置を講じるため、県税条例を改正することとしております。
 また、県庁本館の構造耐震指標値が耐震基準を満たしていないことから、必要な耐震補強工事を実施することにより、耐震性能の確保を図ることとしております。
 農地等の防災・保全の推進につきましては、佐賀平野のクリークの法面の崩壊が急速に拡大・進行し、周辺道路の通行や営農に支障をきたしていることから、クリークの洪水調整等の多面的機能を回復するとともに、交通及び農作業の安全を確保するため、クリークの護岸を整備することとしております。
 警察署の再編整備につきましては、住民サービスの向上と現場警察力の充実強化を図るために、佐賀警察署の管轄区域を見直した上で、一部を諸富警察署と統合し、新たな警察署として、本庄小学校北側に庁舎を新築することとしております。
 次に、『環境・エネルギー』について申し上げます。
 地球温暖化防止対策の推進につきましては、省資源や省エネルギーを前提としたライフスタイルへの転換や再生可能エネルギーの活用を図るため、発電時に温室効果ガスを排出せず、さらには省エネ意識の高揚につながる住宅用太陽光発電設備の設置に対する補助を引き続き行うことといたしました。
 また、走行時に二酸化炭素を排出しない電気自動車(EV)や、排出量が少ないプラグインハイブリッド車(PHV)の普及を促進するため、引き続き充電設備の整備やEV・PHVの購入に対する補助を行うとともに、新たに緊急時にEVから施設に電力を供給する装置のモデル的設置に対する補助を行うことといたしました。
 多様な森林(もり)・緑づくりにつきましては、水源のかん養や地球温暖化防止など森林の持つ多様な機能を十分に発揮させるため、間伐をはじめとする森林整備や広葉樹の植栽を推進するとともに、「佐賀県森林環境税」を財源として、県、市町及び県民の協働により荒廃森林の再生等に引き続き取り組むこととしております。
 グリーン・エネルギー社会の実現につきましては、再生可能エネルギーの普及促進を図るため、県内に再生可能エネルギー等供給設備の設置を目指す事業者が行う現地調査等に必要な資金を補助することといたしました。
 また、海洋再生可能エネルギー産業の集積を目指すため、国の整備構想誘致を見据えた取組を展開するとともに、再生可能エネルギーである水力の利用促進を図るため、既存ダムの放流水や農業用水路の流水等、潜在している水の力を活かした発電について検討を行うこととしました。
 さらに、太陽光発電関連分野への県内企業の新規参入を図るため、産学官による周辺技術開発や人材育成を支援することといたしました。
 次に、『くらし』について申し上げます。
 保育サービスの充実と子どもの居場所づくりにつきましては、子どもの保育環境の充実を図るため、老朽化した保育所の改築等を積極的に促進することとしております。
 また、待機児童対策として、待機児童が発生している市町の一定要件を満たす認可外保育施設に対して運営費の補助を行う市町に対し支援を行うことといたしました。
 さらに、障害児の保育の場を確保するため、障害児を受け入れた認可外保育施設に対して必要な経費の一部について補助を行う市町に対し支援を行うこととしております。
 高齢者福祉の充実につきましては、高齢者の方々が、住み慣れた地域において健康で生き生きと暮らしていただくため、新たに、運動器症候群、いわゆるロコモティブシンドロームの予防に関する普及啓発を行うとともに、介護が必要な方の在宅介護を支援するため、今年4月から創設される新たな介護サービスの導入促進を図ることといたしました。
 障害者福祉の充実につきましては、在宅で重度の障害児等を介護されている方々の負担軽減を図るため、一時預かりや短期入所などにより、医療的ケアが必要な障害児等を受け入れた福祉施設などに対し運営費の助成を行うことといたしました。
 また、難病対策につきましては、在宅重症難病患者及びその家族の方々の安心、安定した療養生活の確保を図るため、県が医療機関と契約することにより、在宅重症難病患者の一時入院の受入先確保を図ることといたしました。
 子どもの医療費につきましては、3歳以上就学前の子どもに係る医療費の支払方法を、3歳未満の子どもと同様に保護者が医療機関の窓口で一定の金額だけを支払えば済むよう、県内を統一するとともに、3歳以上就学前の子どもの通院費も市町への補助対象として拡大することとし、今年の4月から実施することといたしました。
 これに伴い、医療機関の休日・時間外の受診が増えることが予想されることから、診療時間内の受診や小児救急電話相談の利用を呼びかけるなど、今後とも子どもの医療が適切に提供できる環境づくりに努めていきます。
 ユニバーサルデザインの推進につきましては、パーキングパーミット制度の導入など先導的なまちづくりの取組が、都道府県で初めて国土交通省バリアフリー化推進功労者表彰を受賞しましたが、今年は誰もが気軽に外出できる環境づくりのため、必要な情報を簡単に入手できるユニバーサルデザインマップなどを整備することとしております。
 また、すべての人にやさしいまちづくりを推進するために、歩道等のユニバーサルデザイン化を進めておりますが、新たに、ICT(情報通信技術)を活用した将来の「歩行者移動支援システム」の構築を見据えて、基礎的なデータを収集するとともに、歩行者用案内の基本的な方向性を検討することとしております。
 がん対策のうち、死亡率全国ワースト1を続けている肝がん対策につきましては、肝炎治療の促進を図るため、肝炎ウイルス検査陽性者の精密検査受診費用の一部を助成することといたしました。
 ドクターヘリにつきましては、救急医療のさらなる充実を図るため、検討課題となっている災害時の活用も視野に入れた佐賀県独自のドクターヘリ導入に向けて必要な検討を行うことといたしました。
 医療提供体制の充実につきましては、県民が安心して医療を受けられる体制の整備を図るため、西部医療圏の地域医療再生計画を一部変更し、医療従事者の育成・確保に関する事業を追加して行うことといたしました。
 美しい景観づくりにつきましては、違反広告物の撤去指導を行うとともに、改正屋外広告物条例に適合した広告物となるよう許可申請等を促進することにより、佐賀県らしい美しい景観の形成に取り組むことといたしました。
 次に、『産業・雇用』について申し上げます。
 園芸農業の振興につきましては、環境保全型園芸農業や省資源型園芸農業の取組拡大、新たに園芸農業に取り組む生産者の育成や経営規模の拡大に必要な機械・施設の整備などに対し、引き続き助成するとともに、重油にできるだけ頼らない施設園芸への転換を図るための脱石油・省石油型機械・装置の整備に対する支援を強化することといたしました。
 活力ある水産業の展開につきましては、唐津港の水揚量シェアと安全・安心の評価を向上させ、玄海地区水産物のブランド化を図るため、唐津港まき網市場を高度衛生管理型市場に改修することとし、平成24年度で基本計画・基本設計に取り組むことといたしました。
 また、水産資源の回復対策として、玄海地区におきましては、引き続きマダイ等の種苗放流、増殖礁(ぞうしょくしょう)の設置等に取り組むとともに、有明海地区におきましては、クルマエビの放流、海底耕耘、ナルトビエイの駆除等について取り組むほか、平成21年度から実施している特産魚介類の資源回復の研究開発を進め、放流技術や増殖・養殖技術、底質改善技術などの確立を目指したいと考えております。
 さらに、合併により設立される玄海地区の新漁協が、漁業者に資する事業を積極的に展開できるよう、その経営基盤を強化し、運営の安定を図るため、利子補給や生産基盤整備への補助などの支援を行うことといたしました。
 金融支援につきましては、創業や経営革新をはじめ経営の安定・強化などに取り組む中小企業者を支援するため、県制度金融などにおいて、当面の資金需要に対応する新規融資枠を確保することといたしました。
 地域での消費の創出につきましては、地域の店舗が消費行動の変化に対応しながら「選ばれる店づくり」を進めることができるようにするため、ショッピングサイトへの出店支援や電子マネーの実証実験に取り組むことといたしました。
 有明佐賀空港につきましては、上海路線をはじめとする国際定期便の受入体制を整えるため、国際定期便の就航に必要な税関、入管、検疫などの施設を備えた国際線専用施設の整備を進めており、来年度は、建設工事に必要な経費について、事業主体である佐賀ターミナルビル株式会社へ補助することとしております。
 また、佐賀県及び福岡県南西部地域における高速交通の拠点として、羽田空港の発着枠拡大が予定される平成25年度中の5便化を大きな目標として利用促進に取り組んでおります。このたび低価格の佐賀―上海路線が開設されたことにより、これまで有明佐賀空港を利用されていなかった地域や事業所などにおいても関心が高まり、新たな旅客需要の開拓も期待できることから、上海路線との相乗効果を高めながら、より一層、東京路線の利用促進にも取り組んでまいります。
 幹線道路網の整備につきましては、県内の主要都市を結び、北部九州の広域的な高速交通網を構築する西九州自動車道、佐賀唐津道路、有明海沿岸道路、国道498号の整備を引き続き推進し、佐賀福富道路の久保田インターから芦刈インター間におきましては、平成24年度中に予定されています新県立病院好生館の開院に合わせて供用開始できるものと見込んでおります。
 次に、『情報発信』について申し上げます。
 佐賀県の存在感を高めるために、日本最大の情報集積・発信量を誇る東京において戦略的な情報発信を行うことを検討しており、そのための予備調査として、東京の情報トレンドや効果的な情報発信ツール、想定される効果などについて調査・分析し、事業実施の可能性を探ることとしております。
 次に、『国際化』について申し上げます。
 国際化推進のための環境づくりにつきましては、国際社会で活躍できる人材を育成するため、引き続き、本県の高校生の海外留学等を支援するとともに、英語教育の充実に取り組んでまいります。
 また、青少年が海外を身近に感じる環境を整えるため、県内の小中高校が県の海外交流地域内の学校と行う交流について支援することといたしました。
 韓国の全羅南道(チョルラナムド)との交流につきましては、全羅南道(チョルラナムド)の方々に佐賀県を強く印象付け、青少年交流を中心に市町、民間まで含めた幅広い交流への進展を図るため、2012年を友好交流飛躍の年と位置付けて、韓国の麗水(ヨス)市で開催される麗水(ヨス)国際博覧会及び国際青少年祝祭に参加することといたしました。
 また、博覧会の期間中に高速船ビートルや国際旅客船が、唐津港から麗水(ヨス)港へ運航することになっており、より多くの方々が利用されるよう取り組んでまいります。
 次に、『文化・スポーツ』について申し上げます。
 多彩な文化の振興と伝統文化の継承につきましては、児童・生徒をはじめ県民の皆様に、文化芸術や伝統文化などに触れる機会を提供することにより、文化に親しみ、楽しんでもらうきっかけづくりとするとともに、県内の様々な文化情報を発信することにより、文化活動が活発になるよう、文化芸術専用ソーシャル・ネットワーキング・サービスを開設・運営することといたしました。
 また、肥前地方の特色ある陶磁器等に触れ親しむ機会を創出し、陶磁文化の振興を図るため、九州陶磁文化館において、特別企画展「将軍家献上の鍋島・平戸・唐津展」を開催することといたしました。
 さらに、障害者の芸術及び文化活動への参加を通じて、障害者の生活を豊かにするとともに、国民の障害への理解と認識を深め、障害者の自立と社会参加を促進するため、11月に「第12回全国障害者芸術・文化祭さが大会」を開催することといたしました。
 夢・感動と活力を生むスポーツの振興につきましては、佐賀県唯一のプロサッカーチーム「サガン鳥栖」が活躍することにより、県民に夢と感動と活力を与えるため、「サガン鳥栖」の練習環境整備の支援と全県的な応援気運の醸成を図るとともに、情報発信を行うこととしております。
 最後に、『人材育成』について申し上げます。
 確かな学力を育む教育の推進につきましては、学校の組織マネジメント力を高め、保護者・地域から信頼される魅力ある学校づくりを推進するため、学校現場の創意工夫による自主的・自律的な取組を支援することとしました。
 健やかな体を育む教育の推進につきましては、平成25年に佐賀、福岡、長崎、大分の北部九州ブロック4県を会場として開催する全国高等学校総合体育大会に向けて、引き続き、中学生や高校生の競技力向上を図るとともに、本県で開催される競技種目が円滑に実施されるよう、必要な準備を進めてまいります。
 社会経済の進展に対応した教育の推進につきましては、児童生徒の学力向上に向けて、先進的なICT利活用教育を推進するため、教育現場におけるICT機器等の整備と、新たな教育情報システムの構築及び教職員の人材育成に一体的に取り組んでまいります。
 安全・安心、快適で、質の高い教育環境の整備につきましては、県立学校の校舎等の耐震化について、引き続き計画的に進めていくこととしております。
 私立学校の安全・安心の確保や、よりよい学習環境づくりにつきましては、校舎等の耐震化や教育の高度化に対応した施設・設備の整備を促進するため、補助を行うこととしました。
 以上、平成24年度当初予算案の主な内容についてご説明申し上げましたが、これに対する一般会計の歳入財源としましては、

 県税             684億8,000万円
 地方消費税清算金    160億円
 地方交付税       約 1,423億600万円
 国庫支出金       約 509億9,800万円
 繰入金          約 183億8,700万円
 諸収入           約 349億1,900万円
 県債             666億300万円
 その他          約 209億9,300万円
 計                4,186億8,600万円

 となっております。
 このうち、県税につきましては、最近における経済の動向、過去の実績等を総合的に勘案するとともに、平成24年度地方税制改正案に係る増減収額を考慮して計上しております。
 地方交付税につきましては、地方財政計画等をもとに、現段階で見込み得る額を基礎において、所要額を計上するとともに、県債につきましても、国の地方債計画等をもとに、今回計上する事業費の財源として所要額を計上しております。
 次に、企業会計として運営しております工業用水道につきましては、収益的支出約4億4,600万円、資本的支出約4,200万円となっております。
 次に、平成23年度補正予算案の概要について申し上げます。
 今回の補正予算の編成にあたりましては、11月補正後の事態の推移に対応するため、国の補正予算に対応した認証見込み額を計上するとともに、歳入歳出予算について、所要額の調整を行うことを中心として編成いたしました。
 この結果、今回提案いたしました平成23年度2月補正予算案の総額は、歳入歳出とも、それぞれ

 一般会計  減額 約 72億100万円
 特別会計  減額 約 24億6,300万円

 となり、これを既定の予算額とあわせますと、本年度の予算総額は、

 一般会計      約 4,349億3,300万円
 特別会計      約 1,033億3,500万円

 となっております。
 これに対する一般会計の歳入財源といたしましては、

 県税     減額      9億7,300万円
 地方交付税    約 8億円
 国庫支出金    約 27億8,000万円
 繰入金   減額 約 30億900万円
 諸収入   減額 約 31億7,100万円
 県債     減額     32億8,800万円
 その他   減額 約 3億4,000万円
 計      減額 約 72億100万円

 となっております。
 次に、予算外議案といたしましては、条例案として「佐賀県公文書館条例(案)」など34件、条例外議案として「地方独立行政法人佐賀県立病院好生館中期目標の変更について」など9件、あわせて43件となっております。
 このうち、乙第2号議案「文化及びスポーツに関する施策の推進体制の強化を図るための関係条例の整備に関する条例(案)」につきましては、文化やスポーツに関する施策を学校や教育の枠を超えて、知事部局において総合的に推進していくために必要な関係条例の整備を行うものです。
 その他の議案につきましては、それぞれ提案理由を記載しておりますので、説明を省略させていただきます。
 さて、今、私たちが住んでいる時代は、もはや世界との関係なしには切り拓くことができない時代になってきています。そのためには、世界との関係を密にしていかなくてはいけないと思います。
 今年の干支は辰ですが、竜の雲を得るが如く、サガン鳥栖が悲願のJ1昇格を果たし、新しいステージに昇っていきました。佐賀県も世界という大きなステージを視野に入れながら、新しき世に向けて上昇気流に乗っていきたいと思います。
 先ほども申し上げましたが、「総合計画2011」では「新しき世に佐賀あり。」を基本理念として、将来の佐賀県が新しい時代のリーダーとして、国内外から必要とされる存在感のある県にしたいとの思いを掲げており、そのような佐賀県を創るために、しっかりと取り組んでまいりますので、どうか、議員各位、並びに、県民の皆様のご理解とご協力をお願いいたします。
 以上、私の所信と今回提出しました議案についてご説明申し上げましたが、よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。 

 

このページに関する
お問い合わせは
(ID:6355)
佐賀県議会事務局   〒840-8570  佐賀市城内1丁目1-45  
(総務課)TEL:0952-25-7215  (議事課)TEL:0952-25-7216  (政務調査課)TEL:0952-25-7306  メール(共通):gikai@pref.saga.lg.jp

Copyright© 2016 Saga Prefecture.All Rights Reserved. 佐賀県

佐賀県議会事務局

佐賀市城内1丁目1-45
(総務課)TEL:0952-25-7215
(議事課)TEL:0952-25-7216
(政務調査課)TEL:0952-25-7306
メール(共通):gikai@pref.saga.lg.jp
Copyright© 2016 Saga Prefecture.All Rights Reserved.