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平成20年2月定例県議会 知事提案事項説明要旨

最終更新日:
 
議案等の審議結果
平成20年2月定例県議会

 本日、平成20年2月定例県議会の開会に際し、県政を運営するにあたりまして、私の所信を述べさせていただくとともに、提案しました平成20年度当初予算案並びにその他の議案について、その概要をご説明申し上げます。
 まず、所信及び提案事項の説明に入ります前に、陶芸家の中里逢庵先生が日本藝術院会員に就任されたことについてご報告を申し上げます。
 先生は、作陶の傍ら唐津焼の起源を求めて、世界中を歴訪調査して、叩き技法を確立されました。その作風は、古唐津の伝統を踏まえながら、魚や草花等をモチーフに描いた作品をはじめとする、現代感覚を加えた自在な感覚にあふれており、改めて、偉大な芸術家でいらっしゃるとの感慨をいだいております。
 このたびのご就任を県民の皆様と一緒に心からお祝い申し上げますとともに、今後とも優れた芸術作品を生み出していただきますことを祈念いたします。
 さて、昨年は佐賀県政にとって重要な節目の年で、長年の懸案であった九州新幹線西九州ルートや佐賀商工共済問題に一定の決着がついた年でした。
 九州新幹線西九州ルートにつきましては、昨年末、佐賀県、長崎県、JR九州との間で三者基本合意がまとまり、これによって、着工に向けて大きく前進することになりました。
 佐賀商工共済問題につきましても、佐賀地方裁判所の判決が出て、佐賀県としてはその判決を受け入れ損害賠償に応じることにいたしました。
 今年は、こうした課題に解決の道筋がつき、真にスタートの位置に立てる年であります。改めて初心に返って、「将来を見据えて今必要なことを手がける」という観点から、県政を進めていきたいと考えています。
 このため、昨年策定した「佐賀県総合計画2007」を推進し、「くらしの豊かさを実感できる佐賀県」を実現していくためのステップを踏んでいく年にしたいと考えています。
 まず、「佐賀県総合計画2007」に掲げる「充点項目」を着実に実施していきます。特に、
・ 障害をお持ちの方が地域の中で就労し、生活できるようにしっかりサポートすること
・ 死亡率が高く地域の大きな課題となっているがん対策をハード、ソフトの両面から進めること
・ 低炭素社会の実現に向けて、県の全ての仕事を、環境を前提として進めるとともに、全国に先駆けた新しい取組を進めること
・ 経済のグローバル化が進む中で、世界を意識した産業施策を推進すること
に意を用いて取り組んでいきます。
 現在、佐賀の地域社会もアジアや世界情勢と無縁ではなく、それを意識した施策が必要だと考えております。
 とりわけ、環境問題については、気候変動問題を最大のテーマとする北海道洞爺湖サミットが開催されるこの年に、改めて佐賀県としても、地域として何ができるのかを自ら問いかけ、地球環境時代のトップランナーとして、低炭素社会の実現を目指して、新しい取組に挑戦したいと考えています。
 また、経済面についても、世界が一つの村となりつつある時代の趨勢をしっかり捉え、農産物の輸出に止まらず地域経済を支える企業の世界市場への進出についても取り組んでいきたいと考えております。
 次に、県民生活の実相まで踏み込んだきめ細かな対策を進めます。
 原油や穀物価格等の高騰、サブプライム住宅ローン問題に端を発した世界的な株安等、景気後退の懸念が世界中でひろがっています。本県においても、企業立地は好調ですが、企業倒産は件数、負債総額とも前年と比べて大きく上回っており、先行きは不透明であります。
 特に、最近の原油価格の高騰は、県民生活や本県の産業に深刻な影響を与えています。このため、引き続き、原油高騰に対する総合対策を進めるとともに、県内の景気動向が県民生活や本県産業へ与える影響等を注視してまいります。
 食の安全安心の確保につきましても、昨年の食品偽装問題に引き続き、今年も中国製の冷凍食品による健康被害が発生しており、しっかり対応していきたいと思います。
 昨年は、佐賀の魅力を、スポーツを通じて全国に発信した年で、「2007青春・佐賀総体」での県勢の大活躍、県立佐賀北高等学校の甲子園優勝等、佐賀県の若い力が、日本列島に旋風を巻き起こしてくれました。今年は北京オリンピックが開催され、ボクシングの川内選手をはじめ、佐賀県出身者の出場も期待できます。
 こうした機会に、多くの県民の皆様がスポーツをより身近に感じて、楽しんでいただければと思い、スポーツの振興により佐賀県のブランド力の向上と県民の盛り上がりを演出していきます。
 極めて厳しい財政状況でありますが、こうした基本方針に沿って県政が推進できるよう、「行財政改革緊急プログラムVer.2.0」を着実に実施し、財源を確保しながら、地域社会に「優しさ」や「温かさ」を取り戻し、県民の皆様が安心して地域で暮らすことができる社会の実現を目指して取り組んでいきます。
 次に、当面の課題に対する対処方針について申し上げます。
 まず、九州新幹線西九州ルートについて申し上げます。
 昨年12月16日に佐賀県、長崎県、JR九州の三者で、西九州ルート開業後も長崎本線肥前山口~諫早間を経営分離せずに上下分離方式でJR九州が運行するという基本合意に至りました。これにより、JR九州による長崎本線の全線運行を望まれていた皆様と一日も早い新幹線の着工を期待する皆様の双方の願いをかなえることができたと考えております。
 政府においても、三者基本合意を受けて、現在、今年度中の工事実施計画の認可を目指して作業を進めていると聞いております。
 県としては、西九州ルートの整備は佐賀県の将来の発展に必要な社会資本であると位置づけ、昭和48年の国の整備計画決定以来、一貫して推進してまいりましたが、着工にあたり、これまで多大なるご尽力をいただいた県議会の皆様をはじめ、関係者の皆様に心から感謝申し上げるとともに、今後、西九州ルートの開業効果を県内のできるだけ広い範囲に広げるような取組を進めてまいります。
 次に、佐賀商工共済問題について申し上げます。
 佐賀商工共済問題につきましては、第一陣訴訟での判決の受け入れに続き、第二陣訴訟での和解の成立により、訴訟を提起された原告との間では被害者救済について目処がつきましたので、訴訟を提起されていないその他の被害者についても、本年1月10日に外部の委員からなる委員会を設置し、救済策の検討を進めているところであり、できるだけ早期の問題解決を図ってまいりたいと考えているところです。
 また、国家賠償法に基づく当時の県関係職員への求償につきましては、日本を代表する専門家の意見を踏まえ、求償にあたっての諸課題の整理を行い、井本前知事に対して求償を行うこととしたところであります。
 最後に、粒子線がん治療施設について申し上げます。
 本県はがんの死亡率が高く、特に肝がんの死亡率は長年全国一となるなど、がん対策は大きな課題となっており、外科的手術を行わず、切らずに治せる治療法として注目されている粒子線がん治療施設の立地に向けて検討を進めてまいりました。
 昨年9月に設置した九州の各大学や医療機関等で構成する専門家会議で、線種と立地場所を中心に様々な角度・観点から議論をかさねていただきましたが、去る2月19日に開催された第四回会議で、「線種は、まず陽子線から導入」「設置場所は、鳥栖地区」といったご提言をいただきました。
 このご提言を重く受け止め、今後、経済界に対する出資・運営への参画の依頼や、医療界に対する集患体制構築等の働きかけを行うなど、立地に向けて具体的な取組を進めていきたいと考えているところです。
 次に、平成20年度当初予算案について申し上げます。
 日本経済は、2002年初めを底とする息の長い景気回復を続けております。しかし、家計への波及が遅れ、また、地域間で回復のばらつきがあります。また、先行きにつきましては、アメリカのサブプライム住宅ローン問題に端を発する金融資本市場の動揺、そして、原油価格の上昇による企業収益や国民生活への悪影響等の懸念が広がっています。
 このような中、国の平成20年度予算編成にあたりましては、社会保障関係経費や少子化対策等による負担が増加しているものの、これまでの財政健全化の努力を緩めることなく、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」で定められた歳出改革の方針を堅持されていることなどから、一般歳出については、前年度の伸びを下回っており、前年度当初予算に比べ、3,061億円の増に止まっています。また、景気回復は続いているものの、租税等の収入は前年度当初予算と比べ、870億円増加しているにすぎません。
 さらに、平成20年度の地方財政につきましては、地方税収入や地方交付税の原資となる国税収入の伸びが鈍化する中で、社会保障関係経費の自然増や公債費が高い水準で推移すること等により、大幅な財源不足が生じるものと見込まれています。
 一方、本県の経済状況は、生産面では製造業を中心に回復傾向にはあるものの、これまで以上に、企業や業種によって回復感にばらつきが際立っているほか、個人消費も足元で低下しており、また、原材料や原油価格の高騰、米国経済の減速などもあり、景気の先行きに対する不安が広がっています。
 また、本県の財政状況につきましては、平成16年度以降、国の財政構造改革の一環として地方交付税や臨時財政対策債が見込みを大幅に上回って削減されてきたことなどにより、非常に厳しい状況が続いております。
 昨年、県議会の皆様をはじめ、県内の市町の皆様とともに、地方交付税の「復元」を国に働きかけた結果、平成20年度には、交付税の削減について一定の歯止めをかけることができましたが、「復元」にはほど遠く、構造的な問題の解決までには至っておりません。
 このため、昨年11月に策定した「行財政改革緊急プログラムVer.2.0」を着実に実施することを基本に、佐賀県総合計画2007及び各本部の経営戦略に基づき、伸ばすものは伸ばし、見直すものは積極的に見直すなど、メリハリのきいた予算編成を行ったところであります。
 この結果、平成20年度当初予算案の総額は、歳入歳出とも、それぞれ
・ 一般会計  3,930億3,400万円 
・ 特別会計   約 876億9,300万円 
となっており、一般会計におきましては、前年度6月補正後予算と比較しますと、4.7パーセント減となっております。
 次に、予算案の主な内容について「総合計画2007」に掲げた6つの柱に従って申し上げます。
 まず、『健康で暮らしやすい佐賀県』について申し上げます。
 子育てにやさしい環境づくりにつきましては、佐賀県次世代育成支援地域行動計画に基づき、県内どこにいても安心して子育てができるよう、一時保育や地域子育て支援拠点事業に取り組む施設の増加を図るなど多様な保育サービスの充実に取り組むこととしております。今回新たに、公的支援を受けられない認可外保育施設等が実施する健康・安全対策に対する支援制度を創設し、安心してこどもを預けられる保育環境の向上に取り組むことといたしました。
 また、放課後児童クラブにつきましては、必要とする県内すべての小学校区に設置できるよう引き続き取り組むとともに、開設時間の延長や土曜日の開設等の充実に取り組むこととしております。
 さらに、企業のトップが子育て支援に積極的に取り組む意思を示した「子育て応援宣言」を広く県民に紹介することで、企業内における子育て支援のより一層の促進と、社会全体で子育てを支援する気運づくりを進めることといたしました。
 食品の安全確保につきましては、全国で食品の不適正表示事案が相次いで発生していることから、消費者モニター等による情報収集及びそれに基づく立入調査等に加えて、新たに製造事業者を対象とした巡回指導や食品の科学分析調査を行うなど監視・指導体制を強化し、消費者の食品に対する信頼の確保を図ることとしております。
 また、牛のBSE検査につきましては、平成13年10月から全頭検査を行っておりますが、20か月齢以下の牛が、今年8月から国庫補助の対象外とされる見込みであります。県といたしましては、牛肉に対する消費者の安全安心の確保を図るため県単独事業として引き続き検査を続けていくことにいたしました。
 障害をお持ちの方が地域で自立できる環境づくりにつきましては、重度障害者及び精神障害者が地域の中で安心して生活を送ることができるよう、グループホームの整備を進め、施設整備に必要な経費の一部を助成することとしております。
 がん対策につきましては、肝がんの原因の約9割を占めるウィルス性肝炎患者を早期に発見し、治療するため、医療機関における肝炎ウィルス検査及びインターフェロン治療費の助成を行うことといたしました。
 自殺対策につきましては、自殺者数が全国で3万人を超え、本県におきましても平成11年度から200名を超えるなど、深刻な状況が続いていることを踏まえ、事前予防、危機介入、事後対応の各段階に応じて事業を展開するなど、総合的に取り組むこととしております。
 医療提供体制の整備につきましては、産科、小児科等の、医師が不足している診療科について、医師を確保する対策を引き続いて推進していくことに加え、看護職員の確保を図るため、看護師養成所の整備に必要な経費の一部を助成することといたしました。
 県立病院好生館の移転改築につきましては、病院建物の基本設計を行うとともに、移転予定地の造成設計等を行うこととしております。また、地方独立行政法人への移行準備のために必要な調査等に要する経費を計上しております。
 医療制度改革の関連施策につきましては、平成20年度からスタートする後期高齢者医療制度の運営が健全かつ円滑に行われるよう医療給付費負担金等の所要の経費を計上したほか、生活習慣病の予防を徹底するため、メタボリックシンドローム対策を進めることといたしました。
 県立福祉施設につきましては、平成18年3月に決定、公表しました「県立福祉施設の将来方向」に基づき、民間移譲や再編強化を進めているところですが、知的障害児施設の「県立春日園」と知的障害児通園施設の「県立くすのみ園」を、平成21年4月を目途に統合し、療育支援センター(仮称)として再編強化するため、施設整備のための所要の経費を計上しております。
 まちなかの再生につきましては、その成功事例を生み出すため、地元関係者の意欲が高まっている地域を対象に、引き続き、重点的に支援することとしております。唐津市の中心市街地の空洞化防止とまちなかの再生を図るため、市街地において再開発事業を行う民間事業者に対し、唐津市と連携し助成を行うこととしております。
 県民協働の推進につきましては、CSO(市民社会組織)活動のさらなる活性化を図るため、個々のCSO活動や活動支援拠点の整備に対して助成するとともに、これらの活動支援拠点を運営する中間支援組織と連携しながら、市町とも一緒になってCSOとの協働に取り組むことといたしました。
 身近な移動手段を確保するしくみづくりにつきましては、交通不便地域における高齢者等の交通弱者の移動手段を確保するため、モデル地区における需要調査や試験運行等の実証実験に要する経費を助成することとしております。
 汚水処理施設の整備につきましては、生活環境の改善と公共用水域の水質保全を図るため、平成22年度末の汚水処理人口普及率74%の達成を目指し、公共下水道事業、集落排水事業及び浄化槽整備事業を引き続き推進することといたしました。交通安全対策の推進につきましては、電動車いすに対応できる幅の広い歩道の整備を進めるとともに、歩道段差のスロープ化についても積極的に進め、誰でも利用しやすい歩道の整備に取り組むこととしております。
 建築物の耐震化対策につきましては、「佐賀県耐震改修促進計画」に基づき、官民が協働してその取組を推進していくため、民間建築物に対する耐震診断費補助を行う市町にその一部を助成するとともに、平成18年度から実施してきた県有施設の耐震診断を、引き続き計画的に実施することといたしました。
 また、水害や土砂災害による被害の軽減のため、緊急性の高い河川、砂防、治山等の重点的な整備を推進するとともに、河川が氾濫した場合に浸水が想定される区域を指定するための調査及び土砂災害危険箇所調査と区域設定を引き続き行うなど、ソフト対策の充実に力を入れていくこととしております。
 歴史・文化、魅力ある景観を活用した県土づくりにつきましては、引き続き「22世紀に残す佐賀県遺産」支援事業や佐賀の美しい景観づくり事業に取り組み、美しい景観にあふれた、豊かで潤いのあるふるさと佐賀県の実現を目指していくことといたしました。
 治安基盤の充実強化につきましては、唐津、呼子及び相知警察署の統廃合に伴い、老朽・狭隘化の著しい唐津警察署の庁舎増改築工事並びに庁舎耐震化工事に着手することとしております。
 また、通報場所の特定が困難である携帯電話からの110番通報に対応するために、警察本部通信指令室に携帯電話発信地表示システムを整備し、一刻も早い現場到着による初動捜査体制の強化を図り、犯罪に強い、安全で安心して暮らせる社会づくりに取り組んでいくことといたしました。
 次に、『誰もが活躍できる佐賀県』について申し上げます。
 特別支援学校に在籍する生徒の自立と社会参加を支援するため、就労支援室に新たに1名の就労支援コーディネータを配置し、在学期間を通じた一貫した進路支援体制を構築することにより、生徒の就職率の向上を図っていくこととしております。
 就職の促進と就業環境づくりの支援につきましては、正規雇用、非正規雇用の格差が顕在化する中、企業における労働力の正社員化への支援に取り組むこととし、特に、育児・介護により就業継続が困難とならないよう県内企業に対し先進企業の事例紹介や講演会を開催するなどして短時間正社員制度の普及啓発を行います。
 また、情報通信技術の進展に伴い、時間・場所に捉われない在宅での就労等多様な働き方が可能となる中、多様なライフスタイルに合わせた労働環境の整備を図るため、在宅勤務普及啓発のリーフレットを作成するなど県内企業への在宅勤務の普及を促進します。
 さらに、依然として失業率が高い若年者につきましては、総合的な就職支援センターであるジョブカフェSAGAにおいて、最適な支援サービスが受けられるようフロアナビゲータを新たに設置するなど総合支援機能を一層強化し若年者の就職を促進します。
 次に、『地球環境時代のトップランナー佐賀県』について申し上げます。
 新エネルギーの導入促進につきましては、地球温暖化防止対策の一環として、二酸化炭素の排出量が少ないクリーンエネルギー自動車の県内における着実な普及を図るため、クリーンエネルギー自動車の購入に対して助成することとしております。 また、世帯あたり普及率が全国一である太陽光発電につきましては、従来の「グリーン電力証書」の購入による助成制度から、二酸化炭素削減量に着目した助成制度に改正し、さらなる普及を図ることといたしました。
 さらに、県民が地球温暖化防止の重要性を実感できる象徴的な取組として校庭の芝生化を行う市町等に対して助成することとしております。
 新エネルギーの研究支援につきましては、燃料電池に代表される新エネルギー関連分野の産業化を目指し、県内企業の優れた技術を活かした研究開発等について、引き続き支援することといたしました。
 また、バイオマス等の新エネルギーの導入につきましては、新たな産業化の可能性を探るため、廃食用油のバイオ燃料利用の実証事業等について新たに支援することとしております。
 産業廃棄物税を財源として実施している産業廃棄物税使途事業につきましては、産業廃棄物の排出事業者が行う減量化や再生利用を促進するために必要な施設整備に対する助成を拡充するとともに、来年度から県内で保管中のPCB廃棄物処理が開始されることに伴い、新たに保管事業者への指導や普及啓発等を実施することといたしました。
 また、唐津市鎮西町菖蒲において、公共関与により廃棄物の処理を行うため、現在、財団法人佐賀県環境クリーン財団が進めている施設整備に必要な事業費に加え、平成21年1月の事業開始に向けた準備経費及び稼動後における高度処理経費に対し支援することとしております。
 森林・緑の保全につきましては、引き続き「こだまの森林(もり)づくり」を推進するとともに、平坦地においても緑化を積極的に進め、県民協働による緑化運動に取り組むことといたしました。
 さらに、森林の持つ様々な公益的機能を十分に発揮させ、安全・安心な県民生活と自然環境の保全のため、「佐賀県森林環境税」を財源に県、市町及び県民の協働により荒廃森林の再生等に新たに取り組みます。
 また、県で唯一の特別名勝である「虹の松原」の景観が広葉樹の侵入などにより変容しつつあることから、国や唐津市とも連携し、森林環境税を活用しながら、松の過密林の除間伐や、CSOなどが実施する松原の保全活動の支援を行うことにより、「虹の松原」の白砂青松の景観の再生・保全に取り組むことといたしました。
 次に、『学びきらめく佐賀県』について申し上げます。
 基礎学力の定着と個性を生かす教育の推進につきましては、少人数による授業やティームティーチングなど、一人ひとりを大切にしたきめ細かな指導について、成果の周知を図りながら引き続き取り組んでいくとともに、全国学力・学習状況調査結果等の分析に基づき、各市町や学校における指導方法の工夫改善について支援してまいります。
 また、希望する小学校に、理科教育に堪能な外部人材を派遣して観察・実験の支援を行ったり、企業の研究者や大学教員等を特別講師として活用したりすることにより、小学校の理科授業の充実を図っていくことといたしました。
 学校経営の改善、充実につきましては、家庭や地域との連携や、幼稚園・保育所と小学校・中学校の連携、市町教育委員会による公立学校の支援、地域の人材や教育資源の効果的な活用等、今年度、教育現場と一体となって協議・検討してきた佐賀県教育の振興策について、教育施策への反映も視野に入れながら、実現に向けて具体的に進めていくことといたしました。
 教育環境の整備につきましては、県立学校について、校舎等の耐震化を進めるとともに、段差解消等のユニバーサルデザイン整備について、引き続き計画的に進めていくこととしております。
 文化の振興につきましては、博物館施設における企画展として、県立美術館では「運慶流―蒙古襲来と西国のみほとけ―」を、九州陶磁文化館では「古唐津のすべて―肥前陶器の始まりと変遷―」を開催することといたしました。
 スポーツの振興につきましては、2007青春・佐賀総体で過去最高の成績を収めた成果を生かし、中学生・高校生の競技力の維持・向上を図るため、指導者のレベルアップや、中学生と高校生の一貫した指導体制の構築に、新たに取り組むこととしております。
 特に、全国が注目するようなスポーツの舞台において活躍が期待される高校をモデル校として選定し、確実に全国トップレベルの成績が収められるような競技力を養成する取組にも着手することといたしました。
 私立学校教育の振興につきましては、私立高等学校に在籍する生徒の修学上の経済的負担を軽減するとともに、私立高等学校の教育条件を維持・向上させるため、運営費の助成について充実を図ることとしております。
 これらの4つの政策の柱を支える2つの柱として、まず、
『活力あふれる佐賀県』について申し上げます。
 県内中小企業の新事業、新分野への進出促進につきましては、財団法人佐賀県地域産業支援センターにおいて、国の融資制度を活用した基金を造成し、その運用益により新産業分野等における新製品開発や販路開拓を支援することといたしました。
 また、北部九州における自動車生産体制の拡大により、大きなビジネスチャンスを迎えている自動車産業の振興につきましては、引き続き、県内自動車産業の取引拡大や新規参入を支援することとしております。さらに、県内自動車産業を支える人材の確保・育成を図るため、産学官が密接に連携しながら、新卒者の県内就職率向上や在職者の技術レベルの向上等に取り組むことといたしました。
 企業誘致の推進につきましては、雇用効果や経済効果の大きな大規模企業や今後大きな発展が見込まれる新エネルギー産業等の重点誘致産業の立地を促進するため、東部、北部、西部の三地域において、新たな大型工業用地の整備に向け、県と地元市町で共同して取り組むこととしております。
 また、伊万里市に立地する企業の大規模な事業拡張を実現し、県西部地域において、大規模な雇用の確保と地域経済の活性化を図るため、新規工業用水道を整備する伊万里市に対し、同市が平成21年度から平成49年度までに支払う予定の企業債償還金の一部を助成するため、債務負担行為を設定しました。
 伝統的地場産業の振興につきましては、かつてない厳しい状況にある伊万里・有田焼や諸富家具の産地再生を図るために、意欲的な事業者に対して、新商品の企画から開発、販路開拓まで総合的に支援することとしております。
 有田窯業大学校につきましては、平成21年度に修業年限4年制の課程を新設することとしておりますが、そのための広報費や施設設計費など、開校に向けた準備経費を計上しております。
 金融支援につきましては、原油価格高騰などの厳しい環境変化の中で、経営の安定強化などに取り組む中小企業者を支援するため、県制度金融やがんばる企業支援資金等において、十分な新規融資枠を確保することといたしました。
 玄海水産物の流通体制の整備・強化につきましては、老朽化した唐津港沿岸物卸売市場を平成21年度に建て替えて、漁獲物の鮮度管理の徹底及びブランド力の向上を図ることとしており、そのための設計等に着手いたします。
 農産物等の海外市場開拓につきましては、成長著しい東アジアへの輸出促進に引き続き取り組むとともに、中東諸国など、輸出実績がない国についても、市場調査や試験輸出にチャレンジしていくこととしております。
 観光の振興につきましては、所得水準の向上やビザ取得の規制緩和が進み、訪日旅行客数が著しく増加している東アジア地域からの観光客を増やすため、現地での本県観光の認知度向上の取組を進めてまいります。
 また、本県を訪れた観光客に高い満足感を得てもらうために本年度から取り組んでいるウェルカム佐賀キャンペーン事業についても、市町や民間団体との協働により推進していくこととしております。
 元気な農業経営者の育成につきましては、平成19年産の米・麦・大豆から導入された「品目横断的経営安定対策」に対応し、体質の強い水田農業を構築するため、低コストで効率的な営農確立に必要な機械・施設の整備や、担い手に農地を集積する取組に対し、引き続き助成することといたしました。
 また、新規就農者を確保するため、農家の子弟や農業外からの参入者、団塊の世代などの幅広い就農希望者を対象とした啓発活動や栽培技術習得のための研修の実施に対し、助成することとしております。
 環境保全型農業の推進につきましては、消費者が求める、より安全で安心な農産物の生産拡大と環境の維持保全を図るため、有機農業や特別栽培、エコ農業など環境保全型農業の取組拡大に必要な機械・施設の整備等に対し、助成することといたしました。
 また、地域でまとまって化学肥料や化学合成農薬の使用を大幅に減らし、環境負荷を低減する先進的な営農活動等に対して助成するとともに、そのトップランナーである有機農業の普及促進や有機農業に取り組む農家に対して助成することとしております。
 これまでに造成された多くの農業水利施設につきましては、今後順次更新時期を迎え、更新費や維持管理費の増大が想定されることから、ダムや排水機場等の公益性の高い施設の長寿命化を図り、ライフサイクルコストを低減するため、施設機能を定期的に診断し、きめ細かな補修などを計画的に実施する「基幹水利施設ストックマネジメント事業」に取り組むことといたしました。
 高品質・高付加価値な農産物づくりの推進につきましては、「佐賀牛」の一層の銘柄確立を図るため、肉用牛の子牛の飼育施設であるキャトルステーション等の整備に向けた取組や酪農家と連携した受精卵移植技術の活用による効率的な肥育素牛生産の取組に対して助成することとしております。
 中山間地域の活性化につきましては、イノシシによる農作物被害の防止を図るため、これまでの防護柵の整備などに対する助成に加え、イノシシ被害対策チームの設置やイノシシ対策専任の専門技術員の配置などを新たに実施することといたしました。
 水産業の振興につきましては、玄海地域において、水産資源の回復対策として、藻場(もば)の造成等の漁場整備、マダイ等の種苗放流に加えて、カサゴの放流技術、アカガイの養殖技術の開発に重点的に取り組んでまいります。また、同地域の水産物の流通拠点である玄海漁連魚市場の製氷施設の整備を支援することといたしました。
 有明海地域においては、魚介類資源の早急な回復を図るため、引き続き、海底耕うんや清掃、ナルトビエイの駆除等を実施するとともに、クルマエビの種苗放流、さらには、アゲマキ資源の復活に向け、放流技術の確立に重点的に取り組んでまいります。
 また、ノリ養殖につきましては、協業化施設の整備に加えて、有明海漁協の西部地区三支所が共同で使用する集荷場の整備を支援するほか、白石町地先において、作澪(さくれい)事業を実施することとしております。
 最後に、『未来ひろがる佐賀県』について申し上げます。
 九州新幹線西九州ルートにつきましては、国において今年度中の工事実施計画の認可のための作業が進められており、平成二十年度事業に伴う本県の負担額を計上しております。
 また、鹿児島ルートにつきましては、平成22年度末の完成を目指して、新鳥栖駅(仮称)の整備や、軌道工事等を円滑に推進するため、その整備費に対する負担を、引き続き行うことといたしました。
 幹線道路網の整備につきましては、県内の主要都市を結び、北部九州の広域的な高速交通網を構築する西九州自動車道、佐賀唐津道路、有明海沿岸道路の整備を引き続き推進することといたしました。
 有明佐賀空港の利活用促進につきましては、平成22年10月末に羽田空港の新滑走路完成により発着枠が拡大されることから、東京路線の増便に向け、個人客・事業所の利用対策や空港アクセス手段の拡充を行うなど、さらなる旅客便の利用促進を図ってまいります。
 港湾の整備につきましては、経理の明確化と起債等を活用しながら適切な時期での事業実施を図るために、港湾整備事業特別会計を新たに設置することとしております。
 今後相次いで老朽化することが見込まれている橋梁の維持管理につきましては、大規模補修や架け替えが一時期に集中しないようにきめ細かい補修を計画的に行うことで橋梁の延命化を図ることを目的とした「橋梁の長寿命化修繕計画」を策定することといたしました。
 情報化政策につきましては、「いつでも、どこでも、誰でも情報通信技術(ICT)の恩恵を実感できる社会」の実現を図るため、ブロードバンドサービスが可能となるケーブルテレビ、無線通信システム等の情報通信基盤の整備を推進する市町を財政的に支援し、情報通信格差を是正していくこととしております。
 また、業務処理の簡素化、運用費用の削減、安定的なシステム運用による住民サービス向上を図るため、庁内の個別の情報システムの統合を段階的に実行し、費用対効果の高い全国最先端の電子県庁を実現する情報化推進計画を策定することといたしました。
 以上、平成20年度当初予算案の主な内容についてご説明申し上げましたが、これに対する一般会計の歳入財源としましては、
・ 県税           918億2,300万円 
・ 地方消費税清算金 153億6,700万円 
・ 地方交付税  約 1,362億3,600万円 
・ 国庫支出金    約 507億2,400万円 
・ 諸収入       約 176億6,300万円 
・ 県債           617億6,300万円 
・ その他       約 194億5,800万円 
   計        3,930億3,400万円 
となっております。
 このうち、県税につきましては、最近における経済の動向、過去の実績等を総合的に勘案するとともに、平成20年度地方税制改正案に係る増減収額を考慮して計上しております。
 地方交付税につきましては、地方財政計画等をもとに、現段階で見込み得る額を基礎において所要額を計上するとともに、県債につきましても、国の地方債計画等をもとに、今回計上する事業費の財源として所要額を計上しております。
 なお、道路特定財源につきましては、国税の揮発油税や県税の軽油引取税等の暫定税率が本年3月31日に期限切れを迎えることになっております。
 現在、国会におきまして、この暫定税率を10年間延長する法律案が審議中ですが、この法律案が3月31日までに成立しない場合には、本県において約131億円の歳入減となります。
 多額の歳入不足は、道路整備だけでなく、本県の行財政運営全体に影響が及ぶことから、今後、与野党間で真摯な協議がなされ、是非3月31日までに一定の結論が得られることを切に願うところであります。
 次に、企業会計として運営しております県立病院好生館につきましては、収益的支出約107億9,600万円、資本的支出約12億6,400万円となっており、これに対し、一般会計から約12億400万円を繰り出すこととしております。
 工業用水道につきましては、収益的支出約4億6,400万円、資本的支出約2億5,700万円となっております。
 次に、予算外議案としましては、条例案として「佐賀県公益認定等審議会条例(案)」など29件、条例外議案として「佐賀県国土利用計画(案)」など3件、あわせて32件となっております。
 このうち、乙第1号議案佐賀県ふるさと寄附金基金条例(案)につきましては、地方税法の改正に伴い、個人住民税における寄附金税制の拡充、いわゆる「ふるさと納税制度」が創設されることから、新たに寄附金を受け入れるための基金を設置するものです。
 その他の議案につきましては、それぞれ提案理由を記載しておりますので、説明を省略させていただきます。
 さて、昨年は、にせもの、「偽」という一文字で象徴された年であったと言われておりますが、今年はぜひ、まこと、「真」の年にしたいと思っております。
 先ほども申し上げましたが、今年は「真」のスタートラインに立った年とも言えるのではないかと思っています。そして、改進をさらに進めるという意味で、県庁を「進化」させ、そしてまた、議論を深掘りしていくという意味で、「深化」をさせていく、そういう年にしたいと考えているところです。議員各位、並びに、県民の皆様のご理解とご協力をお願いいたします。
 以上、私の所信と今回提案しました議案についてご説明申し上げましたが、よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。

 


 
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