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平成15年6月定例県議会 知事提案事項説明要旨

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平成15年6月定例県議会

  本日、平成15年6月定例県議会の開会に際し、県政を担うにあたりましての私の所信と施策の基本的な考え方について述べさせていただき、議員各位並びに県民の皆様の深いご理解とご協力をお願い申し上げたいと存じます。
  はじめに、井本前知事におかれましては、3期12年間にわたり県政を担当され、佐賀県の発展のために、たゆまぬご努力を重ねてこられました。ここにそのご功績とご労苦に対しまして、深甚なる敬意と感謝の意を表わし、今後のご健勝とご活躍をお祈り申し上げます。
  私は、先般の知事選挙におきまして、県民の皆様のご支持をいただき、県政遂行の大任を担うこととなりました。
  県政を担当させていただくこととなった以上、私は、選挙期間を通じて私に寄せられました県民の皆様の暖かい励まし、力強いご支援を胸に刻みながら、公正、公平そして清潔を基本として、新しい佐賀県、進取の気性にあふれた佐賀県を創ることに全力で取り組み、県民の皆様の信頼に応えてまいります。また、議会の場をはじめさまざまな対話を通じて、いろいろな方々のご意見に耳を傾け、県政に反映できるものは反映し、同時にご理解をお願いしなくてはならないものは、きちんと説明をしていく、そのような考えに立って、県政を進めてまいる覚悟であります。
  私は、先の選挙の中で多くの県民の皆様に出会い、そして様々なかたちで接することができました。その中で、県民の方々が、現状に対していろいろな思いがあるということ、また、先々のことに対していろいろな不安があるということ、そして、それ故に県政に対して大きな期待があるということを感じてまいりました。私は、そのような県民の方々の思いや期待に少しでも多く応えるために、まず私自身が現場に出向き、お話を伺い、その実情をきちんとつかみ、自らの課題として、地域の抱えるさまざまな問題について県民の方々と一緒に考え、行動していく、そのことこそが重要であるとの思いを強くいたしました。
  一方で、国も地方も大きな借金を抱える中、大変に厳しい時代を、今、迎えており、これからも財政的にますます厳しい時代になっていくものと考えております。そのような中にあっては、県が取り組んでいく事業について、何故これをしなければならないのか、また何故これはできないのか、といったことについて、きちんと情報を公開し、きちんと説明する姿勢が求められていると考えております。
  翻って見ますと、我が佐賀県は、面積、人口とも全国で42番目という県であります。全国47都道府県の中で、比較的小さい面積と比較的小さい人口であるということを、逆に1つの強みと捉え、私は、県民の皆様方との直接の対話を通じて、この佐賀県を、県政が全国で最も身近に感じられる県、そしてまた、県民の声が県政に全国で最も届き易い県にしたいと考えております。また、県議会の皆様とも様々なかたちで意見を交わし、議論をさせていただきながら、県民の理解と納得が得られるような県政を進めてまいりたいと考えております。
  このため、まずは、新しい県政は、県民の目から見て、違和感のない県政でありたいと思っております。これまでの行政は、行政内部のルールに従っていろいろな事業を行ってきましたが、これからはいろいろな事柄を、県民の目線に合わせて、また県民の常識と合わせて行っていく努力が求められていると思っております。
  また、これまで公益というものは、国や地方自治体だけが代表しているものとされてきましたが、時代が変化していく中で、新しくNPO(非営利組織)などの公共的な役割を担う団体が生まれてきております。これからの県政は、自分たちだけが正しいという考え方ではなく、社会的な団体との新たな協働関係の構築も図りながら、佐賀県にとって最も望ましい答えを探し出していく過程を大事にする、そのような県政に取り組んでまいりたいと思います。そのためには、県庁自身も変わっていかなければなりません。これまで県民の皆様にお寄せいただいた県政に対する信頼を、将来に向けてより強固にしていくためにも、県庁そのものが時代に対応し、県民とともに歩むものでなければならないと思っております。
  私は、このような基本的な認識のもと、「オープン」ということ、「現場」ということ、そして「県民協働」ということの3つをこれからの県政運営のキーワードとし、これらを県民の方々や議員の皆様方と共有しながら、いわば県民の満足度が日本一になるよう、『変革と創造の佐賀づくり』に向けて、誠心誠意、全力で取り組んでまいる覚悟であります。
  一方で、佐賀県の財政は、歳入の約7割を国からの交付税や補助金等に依存する大変脆弱な構造で、経済情勢の好転が見込めない中、今後ともこれまで以上に厳しい財政状況が続くことが予想されます。このような中においても、時代の変化に敏速に対応し、県民の満足度を向上させていくため、私は、これまで整備されてきた様々な社会資本を有効に活用しながら、「あれも、これも」から「あれか、これか」の事業選択を行っていくとともに、納税者・生活者の視点から、意識改革と徹底した行財政改革を進め、知恵と挑戦する精神を活かした、スピード感のある行政運営を行ってまいります。
  次に、平成15年度の県政を進める際の考え方等について申し上げます。
  まず、『県民協働のための仕組みづくり』についてであります。
  県民協働の県づくりを実現するためには、個人、NPO、企業、大学などあらゆる人々や団体との「情報の共有化」と「対話」が極めて重要であり、そのためには、まず、県の施策の内容はもとより、政策形成過程の情報についても情報提供を行うなど、情報公開をこれまで以上に積極的に進めることが必要であります。
  このため、審議会資料等の行政情報や政策形成過程の情報の提供についての新たなルールをつくり、積極的に情報を提供してまいります。また、県政の重要課題については、多くの県民の意見などを県政に積極的に反映させるため、県民意見提出手続(パブリック・コメント)を実施しておりますが、これを県民がより身近な場所で閲覧し、併せて、意見や提案を行うことができるようにします。さらに、私の考えを県民の皆様に私自身が直接説明をする、或いは、直接対話をするということも重要であると考えております。そのため、県内49市町村ごとに地域の課題等について私と県民とが対話を行う「知事とかたろうかい」を開始したところでありますが、今後は、これに加えて、インターネット等による県政報告などにも取り組んでまいります。
  また、先程申しましたように、近年、NPOなど公共的な活動を担う団体が新しく生まれてきております。多様化する県民ニーズに応え、地域社会における様々な課題を解決するためには、柔軟な発想を持った市民からなる社会的な団体が、新たな社会的サービスの主体として、行政や企業と対等の立場で、それぞれの特性を活かした形で役割分担をし、協働していくことが重要であります。そのため、協働の相手方として今後重要な役割を担う市民社会団体が育つ環境づくりにも努めてまいります。
  2点目は、『地域経済の活性化と雇用対策』についてであります。
  長期にわたる国内経済の低迷とそれに伴う閉塞感が漂う中、県内においても、企業倒産が高い水準で推移し、また、有効求人倍率も改善の兆しが見えないなど、県内の経済・雇用情勢は依然として厳しい状態が続いております。私は、知事就任直後から、「緊急対話集会」を開催するなど、県内各産業に携わる方々の生の声を聞かせていただきましたが、やはりそこでは、売り上げの激減などによる地域経済の停滞や新規学卒者の就職難といった雇用に関する厳しいものが多く寄せられました。
  そのため、私は、当面の緊急優先課題として、地域経済の活性化と雇用対策に取り組むこととし、経営環境の悪化や失業問題に対応するため、中小企業や雇用に係る安全網(セーフティ・ネット)を充実するとともに、県内の中小企業等が開発した製品を、県の機関等において積極的に活用し、受注実績を作ることによりその後の販路開拓に資する「トライアル発注」や、県の機関等における県内企業への発注や調達率を10パーセントアップさせるためのいわゆる「ローカル発注」の実施など、県の機関等の発注や調達のやり方を工夫することにより地域経済の活性化につなげてまいります。また、県内産業の多様化、高度化を進めるとともに、企業誘致などによる魅力ある雇用の場の創出に努めてまいります。
  また、その一方で、現在の厳しい状況の中においても、新たな発想で創意工夫を重ね、業績を伸ばしている方々もおられます。現在の経済状況は構造的なものであり、各産業に携わる皆様にも自らの課題として、経営革新や販路開拓、新分野進出などに取り組んでいただく必要があることから、意欲のある中小企業等に対する支援策を拡充します。
  なお、長引く景気低迷等による厳しい雇用情勢が、県民生活における多くの場面で、大きな悪影響をもたらしていることから、本県の雇用環境の改善を、より早期に、より効果的に進めるための具体的な数値目標を掲げた雇用創出に取り組むこととして、「佐賀県1万人雇用創出計画」を取りまとめたところでありますが、今後、この計画の着実な実現が図られるよう努めてまいります。
  3点目は、『「重点実施項目」の着実な推進』についてであります。
  去る6月13日に、『変革と創造の佐賀づくり』に向け、今後の4年間において、佐賀県として重点的かつ集中的に取り組むべき項目について、その具体的な実施方針と実施工程表を付して、「重点実施項目」として定め、公表したところであります。
  ご承知のとおり、この中には、これまでの行政の常識では困難と思われるものや国の制度や考え方を変えなければならないものなども数多く含まれております。しかしながら、生活者の目線で今後の県づくりを考えた場合、県民一人ひとりの幸福感や地域に対する満足感を向上させるとともに佐賀県が持続可能な発展を遂げていくためには、私は、「重点実施項目」に掲げた項目の早期の実現に向けて挑戦し続けていくことが必要であると考えております。このため、今年度からの実施が可能なものについては直ちに取り組むとともに、実施工程表に沿った施策の着実な実施が図られるように全庁挙げて努力してまいります。
  なお、この「重点実施項目」につきましては、県議会におけるご議論も踏まえながら、それぞれの項目の展開等に応じて随時見直すとともに、その進捗状況も含めて県民の皆様に常にお示ししてまいります。
  続きまして、提案いたしました平成15年度補正予算案並びにその他の議案について、その概要をご説明申し上げます。
  平成15年度の当初予算は、いわゆる「骨格予算」として編成されていたわけですが、今年度の県の財政状況は、景気の回復による大幅な税収の増加が見込めない中、これまでになく厳しいものとなっており、今回提案いたしました補正予算案は、これまで以上の事業の選択による財源の重点的、効率的な配分に努めながら、新規施策等の政策的事業を中心に編成を行ったところであります。
  また、編成にあたりましては、「重点実施項目」の着実な推進を図るため、その具体化のための事業等に予算の重点化を図ることとし、その中でも、特に、緊急優先課題と認識している地域経済の活性化と雇用対策につきましては、緊急対話集会における意見も踏まえ、できることから積極的に取り組むこととしました。
  なお、当初予算において前年度当初予算額の6割程度の予算計上が行われていた公共事業につきましては、国の認証見込額を追加計上するとともに、前年度当初予算額の4割程度の予算計上が行われていた単独事業につきましては、生活道路の整備等、県民生活に密着した社会資本の整備をさらに推進するため、地方財政計画の状況等も踏まえながら必要額を追加計上することとしました。
  この結果、補正予算案の総額は、歳入歳出とも、それぞれ
   一 般 会 計        約    538億9400万円
   特 別 会 計               50億      円
で、これを既定の予算額とあわせますと、六月補正後の予算総額は、
   一 般 会 計        約   4513億2700万円
   特 別 会 計        約    125億2100万円
となっており、一般会計におきましては、前年度当初予算と比較いたしますと、マイナス4.4パーセントとなっております。
  このうち、投資的経費につきましては、国の予算や地方財政計画などを踏まえ、公共事業として、国の認証見込額約199億7000万円を計上するとともに、単独事業につきましては、約261億9700万円を計上したところであります。
  なお、「重点実施項目」につきましては、その早期具体化に向けた検討を今後とも継続的に行っていく予定であり、その結果、今年度中の事業化が可能となった場合には、今後の補正予算での追加計上もお願いしたいと考えているところであります。
  以下、予算案の主な内容について、佐賀県総合計画の基本方向に沿って申し上げます。
  第1は、『のびやかに育つ人』についてであります。
  いきいきとした学校教育や多様な学習活動の環境づくりを推進するとともに、文化、スポーツの振興を図ることなどにより、子どもたちが伸びやかに育ち、県民誰もが自己実現できる環境づくりを、学校、家庭、地域社会の連携のもとに進めてまいります。
  まず、教育の充実につきましては、たくましく健やかな子どもたちを育成するため、引き続き「教育ルネサンス21さがっ子育成アクションプラン」の充実・強化を図りながら、県民運動として「教育県佐賀の再生」に取り組んでいくこととしております。
  また、障害のある子どもの教育の充実等を図るため、県南部地区における新たな養護学校の整備に向けて、現在、佐賀県土地開発公社が造成を進めている学校用地を取得するとともに、学校建設のための基本設計を行うこととしました。
  幼稚園教育の一層の充実と新規雇用の創出を図るため、県内の各学校法人立幼稚園において、多様な人材を教員補助員等として活用した特色ある幼稚園教育を推進することとしております。
  楽しく豊かな学習活動の環境づくりを進めるため、高度情報化の進展に対応し、県民の方々が、人材情報等の生涯学習情報の活用やアバンセ等の県立施設の利用予約などをインターネットでできるように新たなシステムの開発に取り組むこととしました。
  また、地域社会が、自らの担うべき教育機能を明らかにし、地域ぐるみで教育活動を実践するために主体的に行う計画づくりを支援することによって、子どもたちの望ましい成長にとって大きな期待が寄せられている地域の教育力の向上を図ることとしております。
  青少年の社会活動への参加促進を進め、自主性・協調性を養うため、小中高校生の異年齢の子どもたちがボランティア活動など地域でやってみたい社会参加活動を地域社会の協力を得ながら実践する機会を設けることとしました。
  第二は、『安心できる生活』についてであります。
  県民誰もが安心して健康に暮らすことができる社会や環境への負荷の少ない循環型社会の形成を目指すとともに、安全な暮らしの確保を図ることなどにより、福祉・保健・医療や防災など県民が安心して生活できる環境づくりを進めてまいります。
  はじめに、誰もが安心できる活力ある福祉社会の形成について申し上げます。
  高齢者福祉につきまして、民間の自由な発想も活用しながら多様な福祉サービスの充実が図られるよう、NPO法人が行う宅老所の開設を支援するとともに、特別養護老人ホームやグループホームなどの介護サービス基盤の整備を推進することとしております。
  また、障害者福祉の充実を図るため、一般企業への就労は難しいものの作業能力の高い知的障害者が働く場として、社会福祉施設と一般企業の機能を併せ持つ福祉工場の整備について支援することとしました。
母子家庭等の生活の安定と向上を図るため、これまでの技能講習に加え、就業相談等に対する指導・助言体制の整備を行うとともに、職業能力の開発や資格取得のための給付金制度を設けることとしております。
  児童福祉の向上につきましては、生活指導を要する児童等の自立支援機能の強化を図るため、虹の松原学園の寮舎改築に向けた実施設計を行うとともに、保護者のいない児童など養護を要する児童を入所させる児童養護施設の整備に対して支援することとしました。
  また、子育て支援を目的として、市町村が保育所及び放課後児童クラブの開設時間を延長して行う豊かな愛郷心を育む事業などに対する支援を行うこととしております。
  続きまして、健康を守る社会の形成について申し上げます。
  骨髄バンク事業に対する県民の理解を深め、骨髄提供者(ドナー)としての登録の増加を図るため、集団登録会や街頭での運動などの取組みを強化することとしました。
  また、高齢者などが、住み慣れた地域において、生涯にわたりいきいきとした生活を送ることができるよう、保健・医療・福祉の関係者やボランティア等の地域住民の協力・連携のもとに地域リハビリの支援体制を整備し、老化に伴う心身の機能低下や寝たきりの予防に努めることとしております。
  さらに、回復途上にある精神障害者の自立及び社会復帰の促進を図るため、精神障害者社会復帰施設の整備に対し支援することとしました。
  不妊に悩む夫婦等への支援につきましては、少子化対策の観点から、これまで不妊専門相談センターにおいて行ってきた情報の提供や治療に対する助言に加えて、国に先駆けて不妊治療への助成を行うとともに、併せて心の支援を強化するため専門の相談員を配置することとしました。
  安全で安心できる医療を確保するため、県民の医療等に関する相談・苦情に迅速かつ適切に対応できる体制を整備するとともに、県民から寄せられた相談や苦情等に係る情報を医療機関に提供することによって医療機関における医療安全対策を推進するため、医療安全支援センターを設置することとしております。
  また、救急医療体制の整備が求められている中、重篤救急患者の発生現場での救命医療や迅速な搬送を要する重篤救急患者に対する救急医療等を的確に提供できる体制を確保するため、医師同乗のヘリコプター(ドクターヘリ)の福岡県との共同利用に着手するとともに、子どものための医療供給体制の充実・強化を図るため、小児専門医の確保対策について調査・検討することとしました。
  なお、県立病院好生館につきましては、今年3月に、県立病院好生館基本構想策定委員会から提出された報告書を踏まえた上で、今後、県として、将来のあり方をどのように描き、どの時点で、どのように対応していくのか等について、県内のいろいろな地域や立場の方々とも十分意見交換しながら、検討してまいります。
  次に、安全な暮らしの確保について申し上げます。
  まず、犯罪の広域化や突発事件に対処するため、諸情報の有効活用、共有化、高度化を目的として警察統合情報通信網を逐次整備してきたところですが、今年度は、交番等に通信網を拡大することとしております。
  また、交通事故の発生件数は、依然として増加傾向にありますが、中でも特に高齢者の交通事故被害が多発していることから、緊急的な対応として、幹線道路の近くに居住している高齢者を訪問し、それぞれの行動実態に応じた交通安全指導を行うこととしました。
  食品に対する不安感や不信感が高まっている今日、佐賀県内で生産し、または流通している食品の安全と適正表示の確立を図るためには、食品の生産から消費に至る関係者が、共通の認識のもとで主体的に取り組むことが必要なことから、「さがの食」の安全性を確立するための取組みを県民運動として展開することとしております。
  続きまして、環境への負荷の少ない循環型社会の形成について申し上げます。
  廃棄物の減量化や再生利用を促進するとともに、適正な処理施設の整備を図るためには、いわゆる静脈産業の育成が必要なことから、本県の地理的条件や産業の立地状況等を踏まえたリサイクル産業の集積や団地化などの可能性を検討するための基礎調査を行うこととしております。
  また、鎮西町菖蒲の県有地において、公共関与による安全で安心できるモデル的な廃棄物処理施設を整備するため、財団法人佐賀県環境クリーン財団に対して引き続き助成することとしております。
  なお、この施設の整備につきましては、昨年9月に下流域の唐津市湊地区との間で締結した協定書等に基づき、これまで地域振興策について協議・調整を行ってまいりましたが、関係者のご尽力により、地元及び唐津市のご理解を得るに至り、今月8日に調印を行ったところであります。今後は、1日も早く稼動できるよう、施設整備に全力を尽くすとともに、地域の振興・発展に係る施策の推進に努めてまいります。
  有明海の環境保全対策につきましては、「有明海再生に関する県計画」に基づき、有明海に流入する汚濁負荷量削減のための対策を検討するために小規模事業場の排出水についての実態を調査するとともに、農業集落排水施設において、遠隔監視システムを活用したきめ細かな運転操作等による処理水質の高度化を目指した実証実験を行うこととしました。
  第3は、『さかんになる交流』についてであります。
  世界に開かれた地域づくりや総合的な情報化を推進するとともに、交通基盤の整備や個性あふれる地域づくりを進めることなどにより、国際交流や県際交流を推進してまいります。
  まず、県民の国際理解の促進と国際交流・協力活動への参画を促すため、財団法人佐賀県国際交流協会が実施するアジア地域への交流・協力推進研修(スタディ・ツアー)等に対して支援することとしました。
  また、行政の情報化を推進するため、県内の情報通信幹線網を利用した行政、防災等の公共ネットワークの整備に着手するとともに、過疎地等における情報通信格差の是正を図るため、携帯電話等の移動通信用鉄塔施設の整備を行う市町村に対して支援することとしました。
  県勢の発展に欠かせない産業活動や特性を活かした地域づくりを支えるため、県内幹線道路網の基軸となる西九州自動車道や有明海沿岸道路の整備を引き続き促進するとともに、南北交通軸となる佐賀唐津道路や国道498号、県道江北芦刈線などの幹線道路網の整備を推進することとしております。
  また、伊万里港における港湾内の航行の安全性の確保及び物流の効率化を図るため、久原地区の航路・泊地の拡幅に着手するとともに、現在の唐津港港湾計画が改訂後15年を経過し、港湾を取り巻く環境が大きく変化していることから、来年度の改訂に向けた調査に着手することとしました。
  さらに、地域におけるNPOの設立と活動の活性化が促進されるよう、「NPO推進機構(仮称)」を設置するなど、NPOが活動しやすい環境の整備・充実に努めることとしております。
  第4は、『はつらつとした産業』についてであります。
  高収益で、魅力とやりがいのある農林水産業の確立や新産業の創出、活力ある地域産業の振興を図るとともに、産・学・官の連携や新技術の開発・導入等を進め、はつらつとした産業を育成してまいります。
  はじめに、「食」と「くらし」を支える農業・農村の振興について申し上げます。
農業を取り巻く情勢は、担い手の減少や輸入急増等に伴う農産物価格の低迷に加え、これまでの米政策を大きく転換する「米政策改革大綱」への対応が求められております。また、食品の不正表示、無登録農薬の問題などにより、消費者の「食の安全」に対する関心が、かつてないほど高まっております。
  これらの諸情勢に的確に対処し、本県の基礎産業である農業の持続的な発展を図るため、意欲的な「農業経営者」づくりや競争力のある「さがブランド」づくり、さらには、活力のある「むら」づくりを推進してまいります。
  まず、佐賀農業における新たなブランドの創出や企業的農業経営の育成に資するため、農業者自らの創意工夫を発揮した新たな生産・加工方式の導入や新しい商品の開発等に取り組む農業者等を支援することとしております。
  農業経営の規模拡大やゆとりある経営を可能とするため、農業者と労働力提供者との調整等を行う「農業労働力調整システム」を構築することとしました。
  また、平成14年12月に決定された「米政策改革大綱」は、これまでの米政策を大きく転換する内容となっており、とりわけ、需給調整の仕組みについては、農業者や農業者団体が主役となる体制への移行が求められております。水田農業を中心とする佐賀県の農業にとりましては、新たな需給調整への円滑な移行が重要な課題であることから、各市町村において農業者等の主体的な取組みを促進するための組織として設置される「地域水田農業推進協議会」が行う地域水田農業ビジョンの策定などの活動に対して支援することとしました。
  さらに、野菜の輸入が急増する中で、輸入野菜等との競争に打ち勝つことのできる産地を育成するため、消費者が求める安全・安心な農産物の供給に必要な残留農薬分析装置の整備に対して支援することとしております。
  続きまして、健全なを守り育てる林業の振興について申し上げます。
  人工林率の高い佐賀県においては、特に、森林を適切に管理し、森林の有する多面的機能が十分に発揮されるようにしていくことが、豊かな海や川を守るためにも重要であります。このため、管理の遅れた森林を中心とした侵入竹の除去等による森林整備の促進と、森林整備を担う人づくり等を併せて行う森林環境整備緊急対策事業に着手することとしました。
  また、県産木材の需要の拡大を図るため、天然乾燥木材の安定的な生産体制と流通管理体制の構築に、関係者が一体となって取り組むとともに、県としても、公共施設への県産木材の利用を図るなど、県産木材の利用促進に向けた全庁的な取組みを展開していくこととしております。
  なお、「森林・林業基本法」の制定等を踏まえ、本県の森林・林業の特徴を活かした新たな視点でのづくりに関する長期的な構想を策定することとしておりますが、流域全体を視野に入れた森と海の再生を図る観点からの環境林の位置付けなど、50年後を見据えた森林や林業のあり方を描いていきたいと考えております。
  次に、豊かな海が育てる力強い水産業の振興について申し上げます。
  本県水産業の現状は、玄海地域においては、イカをはじめとする主要水産資源が減少し、魚価も低迷を続けております。また、有明海地域においても、ノリ養殖生産は依然として不安定であり、タイラギ、アサリなど重要貝類の漁獲量も減少しているなど、いずれも厳しい状況にあります。
  このような現状を踏まえ、玄海地区の漁業者が将来に明るい展望を持てるよう、生産から流通までを視野に入れた玄海地域水産業再生のための基本的施策の方向等を示す玄海水産振興計画を策定するとともに、水揚げ量の減少が著しい唐津港の水産基地としての再生に向けた構想の策定に取り組むこととしました。
  また、平成14年度のノリ不作等により経営不振が著しい漁家が、その対策として特別資金を借り入れた場合に、市や町と一体となって利子補給を行い、漁業経営の維持と安定化を図ることとしております。
  続きまして、新世紀を切り拓く戦略的な産業振興について申し上げます。
  21世紀の佐賀県産業を切り拓き、地域経済の持続的な発展と多様で魅力ある雇用の場の創出を図るためには、新産業の創出や新事業・新分野への展開など、活力あふれる産業を構築していくことが必要であります。
  そこで、県内における創業・ベンチャー等を積極的に促進するため、特に優れた事業計画を持つ中小企業者に無担保・無保証人で融資を行う「元気企業チャレンジ支援資金」を創設することとしました。
  また、地域産業の高度化や新産業の創出などを図るため、産学官連携による研究開発拠点としてシンクロトロン光応用研究施設の整備を進めているところでありますが、今年度から、企業や大学等に広く利用してもらうための光源利用実験装置(ビームライン)の整備に着手するとともに、同施設の利用促進に向けた取組みを強力に展開することとしております。
  企業誘致につきましては、厳しい経済情勢の中、積極的に取り組んでいるところでありますが、新たな雇用の創出のためにもさらに一層の誘致促進を図る必要があります。このため、企業の進出に係る初期投資費用の軽減を図ることとし、県の工業団地について貸付(リース)制度を導入するための条例改正の審議をお願いしているところであります。なお、佐賀県土地開発公社が保有している工業団地につきましては、企業からの引き合い状況を見ながら、その取扱いを今後検討していくこととしております。
  次に、活力ある地域産業の振興について申し上げます。
  県制度金融につきましては、経営の合理化や安定・強化などに取り組む中小企業者における資金調達の円滑化を図るため、資金需要に十分対応できる新規融資枠を確保するとともに、融資に必要な連帯保証人の人数を緩和することとしました。
  また、中小企業等における資金調達の多様化を図るため、県内の金融情勢をはじめ事業者のニーズや特性等を踏まえた直接金融制度の導入に向け、そのあり方について調査・検討を行うこととしております。
  県内企業の事業機会の拡大を図る観点から、首都圏の企業において活躍されている佐賀県ゆかりの方々に対して事業者が新製品や新技術を発表する場を設けるとともに、大規模な見本市や展示会への出展に対して支援するなど、中小企業等が開発した製品等の販路開拓や市場開拓に係る支援を強化することとしました。また、合わせて、県内の留学生を活用した語学等の人的支援制度を創設するなど、県内企業の取引の拡大に係る支援策を拡充することとしました。
  中小企業等のデザイン技術力の向上と売れる商品づくりを促進するため、中小企業等が、商品企画力のあるデザイナー等の専門家と協働して行う新商品開発を支援することとしております。
  また、商店街の活性化を図るため、市町村が行う商店街における空き店舗等を活用した地域密着型事業(コミュニティビジネス)の導入に向けた取組みに対して支援することとしました。
  このほか、伊万里・有田焼の振興を図るため、これまでに蓄積された技術等を活用した新製品の開発など、産地自らの取組みに対しての支援を拡充することとしております。
  次に、雇用環境の整備について申し上げます。
  本県の有効求人倍率は全国の率をかなり下回って推移するなど、依然として厳しい雇用情勢となっております。このため、学識経験者や産業、労働、教育などの各界の関係者及びNPOや行政等で構成する「雇用のための県民会議」を設置し、雇用促進の方策等について検討することとしました。
  また、高卒未就職者等の職業能力の向上を図るとともに、求職と求人の間のずれを解消し、早期就職を促進するため、高卒未就職者等が企業で就業体験できる仕組みを新たに設けるとともに、子どもを持つ女性や障害者等が家庭にいながら仕事を確保しやすくするため、在宅勤務に係る受発注の支援システムを開設し、仕事と家庭の両立が可能な環境づくりを推進することとしております。
  なお、この雇用問題につきましては、今後、「佐賀県1万人雇用創出計画」に基づき、企業誘致や創業等の促進、既存企業における新分野・新事業への展開をはじめ、福祉や農林水産業の分野における施策展開等に伴う雇用の創出、さらには「佐賀県緊急雇用創出基金」を活用した緊急かつ臨時的な雇用・就業機会の創出などに取り組んでまいります。
  第五は、『暮らしを支える県土』についてであります。
  災害に強い県土づくりや快適な生活環境の整備を図るとともに、自然環境の保全とうるおいのある空間を創造していくことなどにより、社会基盤の整備を進め、安全・快適な県民生活や活発な産業活動を支えてまいります。
  治水につきましては、過去幾多の災害を被るなど、治水対策は県政の重要な課題となっており、加えて、県民の水辺環境に対する関心の高まりもあることから、豊かな水辺空間を生かし、自然環境を前提とした治水対策を推進することとしております。
  生活道路につきましては、一般国道207号の深浦百貫地区の4車線化に着手するとともに、引き続き県道佐賀環状東線等の整備を推進するなど、生活圏交通網の整備をバリアフリー化にも配慮しながら、計画的に推進していくこととしております。
  また、全国の緑の関係者が一同につどい、広く都市緑化意識の高揚を図り、みどり豊かなうるおいのある住みよい環境づくりを推進するとともに、みどりを守り育てる国民運動を積極的に推進するため、平成16年4月の「緑の週間」中に、吉野ヶ里歴史公園において、第15回全国「みどりの愛護」のつどいを開催することとしております。
  下水道等につきましては、合併処理浄化槽等の活用も含め、平成十八年度末の目標普及率である62パーセントの達成に向けて、今後さらに整備の促進が図られるよう、公共下水道事業の県費補助制度について見直すこととしました。
  なお、公共下水道や合併処理浄化槽などの計画的かつ効果的な整備を行うため、「佐賀県下水道等整備構想」を今年度中に見直すこととしておりますが、その見直しの状況も踏まえながら、市町村が実施主体となる浄化槽整備についての支援制度の検討も行うなど、さらなる整備の促進に努めてまいります。
  木造住宅の需要を喚起し、地域の住宅産業の活性化を図るため、技術力の向上等に向けた取組みを行う協議会に対して支援するとともに、佐賀市内の「アベニュー与賀団地(仮称)」において、周辺の住宅地と調和した木造の県営住宅の整備に着手することとしました。
  松浦川中流部の「アザメの瀬」地区において、河川が本来有していた自然環境としての氾濫原や湿地帯の復元を行い、生物の良好な生息環境を取り戻すための河川環境整備事業の推進を図ることとしております。
  また、昨年10月に開催した第二十六回全国育樹祭を契機として、山間地では「川と海」の再生のための環境林の整備や広葉樹による森林景観の修復・向上を図るとともに、里山・平坦地では「うるおい」と「やすらぎ」を享受できる佐賀の原風景と新たな緑空間を創造する「さがのづくり県民運動」を山間地から里山・平坦地まで一体となって展開することとしました。
  水資源の確保につきましては、筑後川の良好な河川環境の保全や既得用水の安定的な取水などを図ることを目的として実施される小石原川ダム事業の推進を図ることとしました。
  次に、その他の事項について申し上げます。
  時代の変化に対応できる先進的な県政を展開するため、県政と県民の橋渡し役として、また、専門分野における相談役として「知事特別補佐(仮称)」を配置することとしております。
  また、新しい県づくりに向けて、県民ニーズを広く把握し、今後の県政における企画立案を行う際の基礎資料とするため、県民満足度等の調査を行うこととしました。
  このほか、県政に関する情報提供や県民からの意見や相談の受付けなどの総合的なサービスを行うとともに、女性やNPOの活動を支援する場として、県民総合相談・情報提供窓口を設置し、県民サービスの向上を図るとともに、県民協働による県政の推進に資することとしております。
  以上、補正予算案の主な内容について申し述べましたが、これに対する一般会計の歳入財源としましては、
   地方交付税      約     67億7000万円
   国庫支出金      約    155億9800万円
   繰  入  金      約    113億3500万円
   県     債      約    176億3300万円
   そ の  他      約     25億5800万円
      計         約    538億9400万円
となっております。
  次に、予算外議案としましては、条例案として、「佐賀県職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例(案)」など九件、条例外議案として「交通事故による損害賠償について」など8件、あわせて17件となっております。
  これらの議案につきましては、それぞれ提案理由を記載しておりますので、説明を省略させていただきます。
  以上、県政を進めて行くにあたっての基本方針と今回提案いたしました議案についてご説明申し上げましたが、よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。

  かつて「故郷(ふるさと)は遠きにありて思ふもの」と言った方がおられましたが、私は、「地域(ふるさと)は近くに住みて創るもの」だと信じてやみません。この素晴らしい佐賀の自然や人間性を、いつまでも私達県民の誇りとして、次の世代に引き継ぐために、新しい発想で、明日の佐賀を創ってまいりたいと存じます。
  今後とも議員の皆様方と緊密な連携を図るとともに、新しい協力関係を築いてまいりたいと存じておりますので、ご指導とご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。


 
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