令和7年版消費者白書によれば、令和6年の消費生活相談件数は90.0万件であり、消費者被害・トラブル額の推計は、約9.0兆円に達した。
65歳以上の相談件数が契約当事者全体の33.1%となり、被害態様についても、
インターネット通販やSNSをきっかけとする被害の相談など多様化・高度化している。
多様化・高度化する消費者被害に対応するためには、住民にとって身近で専門的知識や経験を持った地方公共団体の相談体制の維持・拡充が重要であることは明らかである。
しかしながら、これまで地方消費者行政の下支えとなってきた地方消費者行政強化交付金推進事業は、令和7年度末に多くの地方自治体で活用期間が終了するため、交付金を活用して実施してきた相談体制の維持や消費者教育・啓発に係る事業の継続が困難となるなど、地方消費者行政の後退・縮小が懸念される。
さらに、国が進める全国消費生活情報ネットワークシステム(PIO-NET)の刷新により生じる費用の負担、消費生活相談員の担い手不足なども、地方消費者行政の安定的実施を妨げる要因となっている。
よって、国においては、国民生活の安心安全を担っている地方消費者行政を安定的に推進させるため、次の措置を講じるよう強く要望する。
記
1 地方公共団体の財政事情によることなく地方消費者行政を安定的に推進するための恒久的な財源を措置すること。
2 消費生活相談員の安定的な確保と処遇改善にもつながるよう人件費など、幅広く活用できる交付金制度の創設を行うこと。
3 PIO-NETの刷新及び消費生活相談のデジタル化において地方公共団体に生じる費用を国において措置すること。
4 消費生活相談情報の聴取及びPIO-NET登録事務等、国と地方公共団体相互の利害に関係がある事務であって、国全体の消費者被害防止の意義を有する事務として円滑な運営を推進する必要があるものについて、地方財政法第10条を改正して国の恒常的な財政措置を検討すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年10月 日
佐賀県議会
衆議院議長 額賀 福志郎 様
参議院議長 関口 昌一 様
内閣総理大臣 石破 茂 様
総務大臣 村上 誠一郎 様
財務大臣 加藤 勝信 様
内閣官房長官 林 芳正 様
内閣府特命担当大臣 伊東 良孝 様
(消費者及び食品安全)
消費者庁長官 堀井 奈津子 様
以上、意見書案を提出する。
令和7年10月2日
提出者 全議員
佐賀県議会議長 宮原 真一 様