本県の私立中学高等学校は、建学の精神に基づき、時代や社会の要請に応じた特色ある質の高い教育を展開し、我が国の公教育の発展に大きな役割を果たしてきた。
その一方で、深刻な少子化が進んでおり、本県及び我が国がこれからも発展していくためには、将来を担う子供たちの資質・能力の育成において、学校教育が果たすべき役割はこれまで以上に増しているが、私立中学高等学校を取り巻く状況を鑑みると様々な課題が山積している。
私立高等学校等経常費助成費補助金については、教員の維持・確保に必要な人件費の高騰や物価上昇への対応とともに、光熱費も高騰している中、猛暑により空調を使用せざるを得ない状況にある一方、一般補助はこうした社会情勢に追いついていない。特別補助についても、ICT支援員やスクールカウンセラー、障害のある生徒への介助者等様々な支援員の拡充強化が望まれる。
そのほか、ICT環境の整備、特に端末の更新時期を迎えることから更新費用、学校施設の高機能化、更に昨今の学校への要望の多様化や保護者対応など学校運営に係る問題解決への支援も必要である。
骨太の方針に明記された「いわゆる高校無償化」が実現されれば、子供たちが自由に学校選択を出来る機会が増える。また、私立学校が多様で質の高い教育を実践していくためには、合理的根拠に基づく授業料の引き上げは必要であり、幼稚園から大学まで授業料無償化が進められている中、私立中学生への就学支援制度の創設が求められる。
更に、私立高等学校等の生徒が海外への留学、研修・修学旅行等を経験し、将来にわたってグローバル人材として活躍するための支援拡充も不可欠である。
こうした課題は、本県の私立中学高等学校も同様に抱えているものであり、課題解決には、所管する本県だけでなく、国による全面的な財政支援及び制度の整備が不可欠である。
よって、政府及び国会におかれては、「経済財政運営と改革の基本方針2025」において、「公教育の内容や質を充実させる」「物価上昇等も踏まえつつ私学助成等の基盤的経費を確保する」と記載され、私学振興助成法第1条の「教育条件の維持向上」「修学上の経済的負担の軽減」「経営の健全性を高める」の趣旨を踏まえ、私学助成に係る国庫補助制度をはじめとする様々な支援が一層拡充されるよう、強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年10月 日
佐賀県議会
衆議院議長 額賀 福志郎 様
参議院議長 関口 昌一 様
内閣総理大臣 石破 茂 様
総務大臣 村上 誠一郎 様
財務大臣 加藤 勝信 様
文部科学大臣 あべ 俊子 様
以上、意見書案を提出する。
令和7年10月2日
提出者 全議員
佐賀県議会議長 宮原 真一 様