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玄海原子力発電所3、4号機の再稼働について

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玄海原子力発電所3、4号機の再稼働について

 本日は、玄海原子力発電所3、4号機の再稼働に関して、佐賀県知事としての考えを申し上げたいと思います。
 私自身、非常に重い判断で、熟慮に熟慮を重ねてまいりました。
 結論から申しますと、「今回の再稼働については、原子力発電に頼らない社会を目指すという強い思いを持ちつつ現状においてはやむを得ない」との判断をいたしました。

 このような判断に至った経緯を含め、私の考えをご説明します。

 私は常々、

  • 原子力発電につきましては、何よりも県民の安全が大切であることから、稼働している、稼働していないに関わらず、県として、現に存在している玄海原子力発電所と真摯に向き合い、国や事業者の動向を注視しながら対処していかなければならない
  • このため、この問題に対しては、真摯に、愚直に、まっすぐに、また、プロセスを大事に丁寧に取り組んでいく

と考えてまいりました。

 このような中、玄海原子力発電所3、4号機について、本年1月18日に原子力規制委員会は、新たな規制基準に適合したことを示す審査書を決定し、原子炉設置変更許可が出されました。

 この原子炉設置変更許可を受け、世耕経済産業大臣からの連絡の後、1月 20日に資源エネルギー庁の日下部長官が来県され、玄海原子力発電所3、4号機の再稼働を進めるという政府の方針について、説明し、理解を求められました。
 私の方からは、今回の再稼働に対しては、真摯に、愚直に、まっすぐに向き合っていくことを申し上げた上で、

  • 原子力発電に関する本県の考え方の基本は、何よりも県民の安全が大切であること
  • 核燃料サイクルの推進、高レベル放射性廃棄物の最終処分場の選定、使用済核燃料の貯蔵対策などエネルギー政策については、国が責任を持って取り組むべきものであり、その責任をしっかりと果たすこと
  • 原子力発電所の安全性については、引き続き、国において原子力規制の一層の充実・強化を図るとともに、事業者への指導・監督を徹底すること
  • 県内には、経済界、市民団体、市町長、昨年末に立ち上げた県内各界の代表等による広く意見を聴く委員会、県民の代表である県議会において、様々な意見があること
  • 立地地域の問題については、玄海原子力発電所において、廃炉となった1号機の撤去完了までを見据えた対策を図るとともに、立地自治体が新産業の創出や企業誘致等に継続的に取り組むことができるよう必要な施策を講ずること
  • 原子力発電への依存度を可能な限り低減していくためにも、再生可能エネルギーの導入等を積極的に促進していくべきであり、国はそのために必要な技術開発やインフラ整備など再生可能エネルギーの導入に向けた取組をどのように進めていくのか、その見通しを具体的に示しながら、全力で取り組んでいくこと
  • 政府の責任者である経済産業大臣及び内閣府原子力防災担当大臣が現地の状況を直接確認すること
  • 説明活動の進め方を具体的に調整する中で、いわゆる地元の範囲を国が責任を持って示すこと
  • 山口県政は、プロセスを大事に、一つ一つ丁寧に進めていくことを大切にしているので、その点を是非わかっていただきたいこと
などを伝えるとともに、国においては、地元の意見に真摯に向き合い丁寧に対応するよう申し上げました。
 これに対し長官は、政府として県の意向を重くしっかりと受け止めて対応していく姿勢を示されました。

 県民への説明活動の進め方についての協議の中で、国からは、同意を求める地元の範囲については、法令上、地元同意が要件となっていないことから、同意に関して地元の範囲を示すことはないとの見解が示される一方で、国の理解活動については、立地自治体をはじめ、周辺自治体に対しても丁寧に行っていくことから、その範囲については、県とよく相談しながら決めていきたいとの回答がありました。
 県といたしましては、県民に対し積極的に説明がなされるべきという考えから、国の理解活動の範囲については、県内全域であると意見を申し上げた結果、
  • 県内全域を対象に県が説明会を開催すること
  • その中で再稼働を進める国が説明責任を果たすこと

となりました。
 このほか、周辺市町等への説明、ホームページなど様々な手段による県民への周知など、県の要請を踏まえた対応をすることとなりました。

 私は、再稼働につきましては、県民の間にも様々な意見があることから、広く県民の意見を聴きながら進めていきたいと考え、次のことを行うこととしました。

  • 県内5か所での県民説明会の開催
  • 県のホームページにおける「御意見メール」の受付
  • 県内13か所での「御意見箱」の設置
  • 県内各界の代表の方々から意見を聴くための「玄海原子力発電所の再稼働に関して広く意見を聴く委員会」の設置
  • 原子力規制委員会の審査書の内容について、専門家の技術的・専門的なアドバイスをいただくための「原子力安全専門部会」の設置及び委員以外の専門家の方々からの意見聴取
  • GM21ミーティングにおける全ての市町長からの意見聴取


 私は、再稼働については、できるだけ多くの方々から、多くの情報や考えをいただくことが重要であり、そうした意見をいただくことによって、様々な「気づき」を得るとともに、それを公開することで広く知見を得たいと考えました。
 また、いただいた意見につきましては、直接見聞きし、報告を受けるとともに、県として気になる点や疑問点を、随時確認してまいりました。

 私はこれまで、原子力発電に対する基本認識として、

  • 原子力発電は、その依存度を可能な限り低減し、再生可能エネルギーの導入などを積極的に推進していくべきであること
  • しかしながら、再生可能エネルギーについては、現状において、気象条件に大きく左右されることや、そのバックアップ電源として火力発電が必要なことなど様々な課題があること
  • また、火力発電については、環境への負荷や燃料の多くを海外からの輸入に依存していかなければならないという問題があること
  • こうした状況の下、一元的に規制監督権限を有する原子力規制委員会において規制基準が求める安全性が確認され、住民の理解が得られた場合には、再稼働はやむを得ないものと考えていること

を申し上げてまいりました。

 まず、安全性の確認について申し上げます。
 平成23年3月11日に発生した福島第一原子力発電所の事故後、平成24年9月に「何ものにもとらわれず、科学的・技術的な見地から、独立して意思決定を行う」組織として、原子力規制委員会が設置されました。
 原子力規制委員会におきましては、

  • 安全追求に「完璧」や「終わり」はないとの認識の下、規制基準の見直しを含む更なる安全性の向上に継続的に取り組む
  • 今後も新たな知見が得られれば、規制に反映し既設の原子力発電所にも適用していく

という姿勢が示されており、私の認識と一致しているところです。

 この原子力規制委員会におきましては、福島事故の教訓を踏まえて新たな規制基準を策定されていますが、この規制基準は、様々な安全対策を要求した上で、その安全対策が機能しなかった場合に備えて更なる対策を要求する、いわゆる多重の防護を強化したものとなっています。

 言い換えれば、様々な安全対策を講じたから大丈夫ということではなく、しっかりとした安全対策を要求しながらも、その対策が機能しなかった場合、常に次の対策を意識しながら防護策を幾重にも想定する、そうした深層防護の考えは、極めて重要であると認識しています。

 この規制基準について原子力規制委員会の田中委員長は、「新規制基準に合致した原子力発電所については、福島のような事故を二度と繰り返さないことを目指した高いレベルの安全性を有するということは申し上げることができる」という趣旨の発言をされています。

 こうした中、平成25年7月12日に九州電力が原子力規制委員会に提出した玄海3、4号機の原子炉設置変更許可申請については、65回の審査会合及び4回の現地調査に加え、358回のヒアリングなど、多くの議論を重ねられ、昨年11月9日にそれまでの審査結果を取りまとめた「審査書案」が公表されました。
 その後、パブリックコメントに寄せられた約4,200件の意見について、回答や審査書への反映が行われ、本年1月18日に玄海3、4号機の原子炉設置変更許可が出されました。

 私は、「何よりも県民の安全が大切である」という考え方の下、県としても、審査結果を確認する必要があると考えました。

 その確認にあたっては、当初、専門委員会といった限られたメンバーではなく、多くの専門家等から個別に意見を伺うことを念頭に置いていましたが、全国の立地道県のうち、本県だけが専門委員会を有していないこと自体を不安に思われている県民がおられるとすれば、それは私の本意ではないことから、新たに原子力安全専門部会を設置しました。

 この専門部会は、原子力規制委員会が示した審査結果の内容を県が確認するにあたり、専門的・技術的な助言を受けることを目的とし、委員には、原子力工学、基礎放射線医学といった分野に加え、地震学、地震工学など7名の学識経験者に就任していただきました。

 この専門部会では、九州電力及び原子力規制委員会の担当者から説明を受け、例えば、

  • 基準地震動の策定に影響を及ぼす断層ではないかという疑いのある地形について、どのような確認を行ったのか
  • 緊急時対策棟について、どのような理由で免震設計が採用されなかったのか
  • 水素爆発防止対策として2種類の装置を設置している理由は何か

など、非常に活発で専門的な質疑が行われるとともに、玄海原子力発電所における安全対策実施状況について現地での確認も行われました。

 こうしたことを踏まえ、県におきましては、国の審査結果を確認していく中で、職員が十分には理解できない部分や技術的な説明が必ずしも十分でないと感じた18の項目について、委員からの技術的な助言を受け、国への確認事項として照会しました。

 その後、国からの回答について、専門部会にその内容をお示ししたところ、「基本的に、県からの確認事項に対する国の考え方が、より詳細に示されている」と確認され、その旨の報告書が取りまとめられました。

 このように、玄海原子力発電所3、4号機の原子炉設置変更許可申請に関する審査結果につきましては、専門部会における質疑や現地確認を参考にするとともに、委員からの専門的、技術的な視点からの助言を受けた国への確認及びその回答という過程を経て、県として「国において新たな規制基準に適合していると認められたこと、すなわち、玄海3、4号機の運転に当たり求められるレベルの安全性が確保されているということ」を確認したところです。

 繰り返しになりますが、原子力発電に対する基本的な考えは「何よりも大切なのは県民の安全」であり、今回、国の審査結果を確認したことをもって終わりとするのではなく、引き続き最新の科学的知見に基づく更なる安全性の向上に向けた取組を、国に対し求めてまいります。

 一方、事業者におきましては、施設・設備というハード面の対策とともに、社員の意識や組織風土といったソフト面からの安全性向上に向けた不断の取組を真摯に行っていくことが極めて大切なことと考えています。

 このようなことから、4月19日に玄海原子力発電所へ出向き、国が新規制基準に適合していると認めた施設・設備について、自分の目で直接確認するとともに、原子力発電所を運営する事業者としての九州電力の取組姿勢を確認するため、瓜生社長との面談を行いました。
 まず、現地におきましては、

  • 重大事故対処設備を操作する制御盤
  • 水素爆発防止のための水素燃焼装置

などの設備や配管の耐震補強状況など、新規制基準に基づく様々な安全対策の実施状況について、直接確認しました。

 その後の瓜生社長との面談において、社長からは、

  • 「二度と福島のような事故は起こさない」という強い気持ちを持っている
  • 安全性、信頼性の向上に向けた取組に終わりはない
  • これからはこの取組を電力の安定供給と同じように、会社の新たなDNAとして植え付けていきたい

などの説明があり、原子力発電所を運営する事業者として、継続的に安全性向上に取り組んでいくことを表明されました。

 これに対して、私からは、組織を守るという誤った認識の下についた小さな嘘が、大きな事故につながることや、それを防ぐためにも組織の風通しを良くすることが大変重要であるということを伝えた上で、

  • 安全性向上に向けた不断の取組を真摯に行うこと
  • ヒューマンエラーを防止する対策を徹底して行うこと
  • 原子力発電所を運営する事業者として、全社で信頼の向上に取り組むこと
  • 県民に寄り添った取組を行うこと

などを申し入れました。

 この面談を通して、九州電力の福島のような事故を決して起こさないという強い思いや、地域にしっかりと寄り添いながら、会社全体で安全性や信頼性の向上に取り組んでいく姿勢が確認できたものと考えますが、こうした取組に終わりはなく、その姿勢を注視し続けてまいります。

 次に、住民の理解について申し上げます。
 私はこれまで、再稼働につきましては、広く県民の意見を聴きながら進めていきたいと申し上げてまいりました。
 このようなことから、まず、県民説明会を2月21日の唐津会場を皮切りに、武雄、佐賀、伊万里、鳥栖の県内5か所で開催しました。
 県民説明会の参加者は、延べ1,048人でした。開催にあたっては、できるだけ参加しやすいように事前申込みを不要とし、また、県ホームページをはじめ新聞、ラジオ、さらには市町を通じた広報などを実施し周知を図ったほか、新聞、テレビ等の報道でも複数回にわたり大きく取り上げられました。
 このような状況から、相当程度の周知が図られたと思いますが、同様に平日の夜に開催した鹿児島県の参加者が5回で延べ約2,500人だったことと比較すると、思ったよりも参加者は少なかったと感じています。
 ただし、参加者は少なかったものの、様々な観点から、多くの質問や意見が出され、意義があったと考えています。

 県民説明会においては、参加者から、

  • 福島原発事故の教訓を踏まえていないのではないか
  • 電気は足りているのに、原発を動かさなければならないのか
  • 高レベル放射性廃棄物の最終処分の目処も立ってないのに、なぜ再稼働をするのか

 など、いろいろな質問や意見が出されました。
 あわせて、会場において提出された「御意見用紙」には、

  • 福島原発事故が起こった以上、どれだけ安全と言われても納得できるわけがない
  • 説明会を聞き、原子力発電の安全性はまだまだ確保されていないと感じた
  • 資源小国日本にとって、原発は最も重要なエネルギー源であり、再稼働は当然のことだと思う

など、様々な意見が寄せられました。
 なお、説明会に参加できなかった県民のために、説明会の様子をインターネットで中継したほか、その様子を録画した動画や議事録を県ホームページで公開してきたところです。

 また、「御意見メール」や「御意見箱」には、これまでに、約300件の意見が寄せられましたが、

  • まだ福島の事故が収束していないのに再稼働することは反対
  • 実際に原発がなくても、生活に支障が出ていない
  • 安全対策に絶対はない
  • 原発に代わる再生可能エネルギーを含めてエネルギー政策を示すべき
  • 安価で安定した電力供給のためには原発は必要

など、様々な意見をいただいたところです。

 県民説明会、御意見メール及び御意見箱で出された県民の意見には、福島の事故を経験したことによる不安や心配の声が数多くあり、原発立地県の知事として、緊張感を持って、真摯に向き合っていかなければならないと、決意を新たにしたところです。

 次に、「玄海原子力発電所の再稼働に関して広く意見を聴く委員会」につきましては、本年2月8日の2回目の委員会における国や事業者からの説明を踏まえ、3月13日の3回目の委員会において、それぞれの立場から意見をいただきました。
 主なものとしては、

  • 各分野において安全対策が格段に強化されていることは評価しているが、最大の関心事である風評被害問題の取組状況に対する新たな強化策はあまり聞いておらず、このような状況下においては再稼働に賛成とは言い難い
  • 原子力発電所について、100%安全だとは言えない中、原発事故がひとたび起きれば、被害が甚大で取り返しがつかないことになることから、原子力に頼らない新たな技術を世界に先駆けて開発することで日本経済を活性化していくべき
  • 団体内でも、今回の再稼働について、積極的に賛成の方は少ないが、意見は拮抗している
  • 九州電力は化石燃料を使うことで電気料金を値上げしたのなら、再稼働することになれば料金を下げる必要がある
  • 災害が発生したときの医療提供体制の確保を最優先に考えていただき、地域住民への安定ヨウ素剤の事前配布はもちろん、入院患者及び在宅患者の適切な避難につながる搬送体制の確保など、体制づくりの必要性を再稼働の前提条件として訴えたい
  • 基本的には原子力発電から安全性が確保されるエネルギーに転換されるべきと考えているが、原子力発電所稼働停止以降、火力発電所に大きく依存をせざるを得ず、電力料金の高止まりが中小企業の経営を圧迫していることから、原子力発電に関しては、現実的な対応もやむを得ない
  • 小規模事業者にとって、電気料金の値上げは、経営が圧迫され大変なことから、国が新規制基準に適合していると判断したのであれば、玄海原発の再稼働をお願いしたい

などの意見をいただきました。
 明確に反対を表明された方もいましたが、賛成の意見であっても、その多くは、福島の事故を経験したことを踏まえ、安全性や事故後の対応など、条件付きのものでした。

 さらに、3月18日にGM21ミーティングを開催し、全ての市町長から、再稼働に関する忌憚のない意見を伺うことができました。
 例えば、

  • 今、原発なしでもエネルギーは困っていない。一部では経済界で電気がどうのこうのと言っているが、日本の経済も何とかやっている。そういう中で、あえて原発を再稼働する必要があるのか。首長は国のエネルギー政策に追随するよりも、市民の安全・安心・不安に寄り添うこと、これが我々の責務だと思う。改めて反対と申し上げたい、という意見
  • エネルギー政策は国策なので、安全対策や代替エネルギーについても、国は責任を持ってやって欲しい。最後は誰が責任を持つのか、そういうものを宣言してもらいたい。事故があった場合には、避難者を受け入れることとなっているが、町民が避難することも考えておかなければならないのではないかと思っている、という意見
  • 原発に反対したいのはやまやまだが、地球温暖化の影響などを見ると、それでは済まないのではないかと思う。現実的には、再生可能エネルギーが確保できるまでは原発を安全に運転する。そして、もしもの場合に備えた避難体制を整備すべきではないかと思う、という意見
  • 再稼働しても、しなくても、原発はなくならない。そうであれば、今ある原発で安全対策がなされているものについては、国が責任を持って使用済核燃料の処分などをしっかりと説明し、安心感を持たせながら、再稼働の方向に行くのではないか。そういった中でコンバインドサイクル等々の新しい技術を世界に発信する、そういう役割を国にやってもらいたい、という意見

などがありました。
 住民の代表である市町長が、自らの意見を表明されたことは、大変意義があったと思います。
 明確に反対の意見を表明されたのは3人でしたが、多くの市町長に共通していたのは、安全性の確保に対する強い思い、そして国や事業者がきちんと説明責任を果たすべきとの思いでした。
 また、避難計画の実効性、避難者を受け入れる体制の整備、受け入れる側から避難する側になることへの準備などにつきましては、他の災害と共通することでもあることから、身近な問題として捉えられていると感じました。

 さらに、隣県の長崎県及び福岡県においても、3月15日から説明会が開催されましたので、本県からも職員を派遣し、そこでの意見を直接聞かせ、その報告も受けています。

 そして、県民や専門家などの意見を聴くプロセスを終えたことから、かねてより再稼働を考える上で極めて重要と申し上げてきた、県民の代表である県議会としての意見をいただくため、4月11日に臨時県議会を招集しました。
 この臨時県議会においては、3件の決議案が提出され、討論がなされた上で、4月13日に「九州電力玄海原子力発電所3、4号機の再稼働に関する決議」が議決され、県民の代表である県議会としての意思が示されたところです。
 この決議においては、
 「県議会としては、

  • 安全性については、原子力規制委員会において厳正に審査され、政府及び県においてもそのことを確認していること
  • 県民の暮らしや経済活動に不可欠な電力を、安定かつ安価に供給する必要があること
  • 我が国のエネルギー情勢や地球温暖化対策等を踏まえ、当面、原子力発電に依存せざるを得ないこと

から、再稼働の必要性が認められるものと判断する。
 その上で、我々佐賀県議会議員が地元との対話の中で、玄海原子力発電所の再稼働を求める声を多く耳にし、再稼働やむなしということについての県民理解は、進んでいると考えるものの、安全性への不安の声や再稼働に否定的な声など、様々な意見があることは十分に認識しており、これを重く受け止めるとともに、万が一、原子力災害が発生した場合に備え、防災対策の充実が不可欠である。」
 というものとなっています。

 これまで述べてきたように、県民の理解について考える上で、

  • 県民説明会や御意見メール・御意見箱などでいただいた県民の方々からの意見
  • 広く意見を聴く委員会や原子力安全専門部会における県内各界の代表の方々や専門家からいただいた意見
  • さらにはGM21ミーティングにおいて、市町長からいただいた意見

など様々な意見を伺うとともに、こうしていただいた意見については、全て公開してまいりました。
 このような県民の意見も踏まえて可決された県民の代表である県議会の決議については、極めて重いものと受け止めています。

 次に、原子力災害対策について申し上げます。
 玄海原子力発電所が稼働している、していないに関わらず、現状においても使用済核燃料が現に存在しており、原子力災害対策は常に極めて重要であります。
 このため、佐賀県、福岡県、長崎県の3県と国の関係機関で構成される「玄海地域原子力防災協議会」が設置され、3県及び玄海地域の関係市町の地域防災計画や避難計画、国の緊急時における対応方針などを具体的に整理し「玄海地域の緊急時対応」として取りまとめ、同協議会において、原子力災害対策指針に照らし、具体的かつ合理的なものであることが確認されました。
 そして、昨年12月9日に開催された総理を議長とする「原子力防災会議」に「玄海地域の緊急時対応」が報告され、了承されました。

 これを受けて、昨年12月16日から18日にかけて、伊藤内閣府原子力防災担当副大臣が来県され、玄海町の福祉施設、唐津市高島の放射線防護対策施設及び各避難経路など「玄海地域の緊急時対応」の対象となる現地の状況を確認されました。
 その後、県庁を訪問され、その際に、原子力防災会議において、「緊急時には国が責任を持って対応する。関係自治体や事業者と緊密に連携して、緊急時対応を継続的に検証・改善をしていく。」という総理からの発言があったと報告を受けました。
 伊藤副大臣は、万が一原子力災害が発生した場合、国の現地対策本部長として唐津市にある県オフサイトセンターにおいて現場を指揮し、災害現場の状況に応じた対応を行う立場にあることから、今回の来県において玄海地域の土地勘を持たれたことは、大変意義があったと考えています。

 そして、本年1月27日に佐賀県原子力防災図上訓練を実施しました。
 地震との複合災害を想定し、指定する避難所や避難経路が使用できないという厳しい事態への対応力を向上させることを目的に実施しました。訓練会場である唐津市のオフサイトセンターには、災害発生時に対応を行う27の関係機関120名が参集し、刻々と変化する現場の状況に対応しながら、関係機関と協議し、新たな避難所や避難経路を選定するなどの訓練を行いました。

 原子力災害対策には、これで「完璧」、「終わり」、そして「絶対」はありません。今後も、考えられる様々な事態を想定し、具体的な対策を考え、それに対応する訓練を行うことにより、課題を洗い出し、より実効性のある対策となるよう不断の見直しを行ってまいります。

 さらに、私は、国の原子力防災の責任者である山本内閣府原子力防災担当大臣及び国のエネルギー政策の責任者である世耕経済産業大臣が来県の上、現地の状況を直接確認することが重要な要素だと申し上げてきました。

 まず、山本大臣は、4月8日、9日の両日に来県され、玄海原子力発電所、放射線防護対策施設の玄海園、唐津市にある県オフサイトセンターなど、現地の状況を直接確認されました。
 山本大臣は、原子力災害が発生した際には、国の原子力災害対策本部の副本部長として、本部長である内閣総理大臣を補佐する立場にあることから、玄海地域の現状を確認されたことは大変意義があったと考えています。
 私からは、山本大臣に対して、避難計画が十分に周知されていないことや離島からの避難に不安があることなど、県民説明会等で出された避難計画等に関する県民の声を直接お伝えしました。
 また、私自身が東海村JCO原子力事故で収束まで現場活動を行った経験から次の要請を行いました。
 すなわち、原子力災害が万が一発生した場合には、国としてしっかりとその責任を果たすこと、特に、初動における国の責任は重要であり、そのための備えに万全を期すこと、原子力災害時に現地対策本部長となる内閣府副大臣には、就任毎に直接現地を見て土地勘を持つことです。

 大臣からは、国として、避難計画等の住民理解やその更なる充実・強化について、本県をはじめ関係機関と一層連携を密にし、訓練を通じて継続的に取り組んでいくという発言があり、今後とも、現在の避難計画等を出発点として不断の改善に努めていくことをお互い確認したところです。

 次に、世耕経済産業大臣は、4月22日に来県され、玄海原子力発電所において、安全対策が着実に進展していることや現場の職員が誇りと気概を持ってしっかりと取り組んでいることを確認されました。
 その後の面談において、1月20日に私から要請した事項について、世耕大臣から回答をいただきましたが、その内容については次のとおりです。

  • 核燃料サイクルについては、資源の有効利用、高レベル放射性廃棄物の減容化・有害度低減等の観点から推進することが我が国の基本方針であること。また、高レベル放射性廃棄物については、国が前面に立って解決に取り組むとしており、さらに、使用済燃料の貯蔵能力についても強化していくこと。これらのことについては、エネルギー基本計画において、明確に位置付けているところであり、こうした課題をはじめ、エネルギー・原子力政策について政府として責任をもって進めていくこと
  • 原子力については、安全性確保が大前提であることから、原子力安全規制については、原子力規制委員会が規制の一層の充実強化を図ることとしているが、経済産業省としても、規制基準さえ満たせばリスクがないとする「安全神話」と決別し、産業界の自主的かつ継続的な安全性向上を促していくこと
  • 廃止措置の安全確保については、廃止措置が終了するまで安全性が確保されるよう、原子力規制委員会が関連法令等に基づき適切に規制を行うとともに、経済産業省においても、事業者が責任を持って安全確保に万全を期すよう指導監督を行っていくこと
  • 特に知事が九州電力に伝えている、「正確な情報を佐賀県としっかり共有すること」、「風通しのよい組織にすること」、「あらゆる事態に幅広く対応できる危機管理体制を構築すること」の3点については、政府としても思いを共有するものであり、今後とも、具体的な対応をしっかり行うよう、九州電力を指導監督していくこと
  • 玄海地域の緊急時対応については、玄海地域防災協議会で具体的かつ合理的なものになっていると確認し、昨年12月9日の原子力防災会議で報告・了承されているが、原子力災害対策に、「これで完璧」ということはなく、引き続き国としても、その改善強化に取り組んでいくこと
  • 国からの立地自治体等関係者や住民への説明については、ご指摘を踏まえながら、佐賀県内で計5回開催された住民説明会において説明をさせていただき、丁寧な対応に努めたこと
  • 玄海原発1号機の廃炉による地域への影響への対応や立地自治体をはじめ関係自治体の経済活力の維持・向上は重要な課題であり、様々な施策の活用を通じて、佐賀県をはじめ立地自治体等と連携しながら、地域の経済振興等にしっかり対応していくこと
  • 再生可能エネルギーについては、国民負担を抑制しつつ、最大限導入を進めていくこと。その際、事業者の参入促進を容易にするためにも、技術開発やインフラ整備への支援などの取組を進めていくこと。なお、再生可能エネルギー導入に向けた具体的な計画や方法については、次期エネルギー基本計画の見直しの議論の中で検討していくこと

以上、私の要請に対する回答を述べた上で、

  • 中倉県議会議長からいただいた、佐賀県議会としての決議については、国として大変重く受け止めている
  • 原子力の理解活動に終わりはないと思っており、今後とも、国民や地元の皆様の理解が広がり、深まるよう、丁寧かつ粘り強く取り組んでいく

との発言がありました。

 私は、原子力発電につきましては、国が責任をしっかりと果すということが、極めて大切だと考えています。
 このため、私から改めて、

  • 原子力発電所の安全性については、国において引き続き、原子力規制の一層の充実・強化に取り組むとともに、事業者への指導・監督を徹底すること。特に、ヒューマンエラーの防止については、徹底を図っていくよう指導すること
  • 使用済核燃料対策及び高レベル放射性廃棄物の最終処分などのバックエンド対策への取組を加速させること
  • エネルギー基本計画で、原発依存度については可能な限り低減させるとしていることに対し、再生可能エネルギーの更なる導入促進、蓄電技術や新エネルギーの開発など、原子力に依存しない経済・社会構造の確立を目指すこと
  • 原子力発電所の安全性及び再稼働の必要性、使用済核燃料の貯蔵対策などのエネルギー政策については、引き続き県民及び国民に対し、国が前面に立って説明を行い、その理解を得るよう取り組むこと
  • 県、市町、防災関係機関等との連携を強化し、避難のための道路、港湾等のインフラの整備促進や離島住民及び避難行動要支援者に十分に配慮した避難計画の充実など、原子力災害対策の継続的な見直しを行うこと
  • 福島原発事故後の環境変化や原子力災害対策の見直しなど、立地地域を取り巻く環境は大きく変化していることから、立地地域の更なる振興対策に努めること

 以上の6項目について、政府を挙げて取り組むことを要請したところです。

 これにつきましても、世耕大臣からは、

  • 今、要請いただいたことについても、誠意を持って対応したいと考えている
  • 政府としても、責任を持ってエネルギー政策、原子力政策を進めていく
  • 原発依存度を低減させるということは国の方針として決めており、また再生可能エネルギーの導入促進も国の重要なテーマとして進めていく

との発言がありました。この大臣の発言につきましては、私からの要請を、国としてしっかりと受け止めていただいたものと考えています。

 以上申し上げましたとおり、玄海原子力発電所3、4号機の再稼働につきましては、先行県を参考にしながらも、それに加え、本県独自の取組としては、原子力発電所から30km圏にとどまらず県内全域を対象とした県民説明会の開催や県内の全市町長から意見を聴くなど、丁寧かつ慎重に進めてきたと考えています。
 このようなプロセスでいただいた様々な意見、国及び事業者から示された方針や姿勢、そして何よりも県議会の決議などを総合的に勘案し、「今回の再稼働については、原子力発電に頼らない社会を目指すという強い思いを持ちつつ現状においてはやむを得ない」との判断をいたしました。

 再稼働の判断につきましては、私も心の底から悩みぬき、熟慮に熟慮を重ねてまいりました。

 原子力発電につきましては、福島原発事故のことが頭から離れません。先日、福島第一原子力発電所に赴いた時も、水素爆発で折れ曲がった原子炉建屋の鉄骨、大規模な津波で変形したまま放置されたタンク、日々発生する汚染水などをじかに確認し、現場の方々のご労苦を目の当たりにしました。また、今もなお、避難を余儀なくされた多くの方々が、愛する我が家に戻ることができない日々が続いています。あのような事故は二度とあってはならないという強い思いが、私の胸の内に深く深く刻まれています。
 こうした福島の状況は広く県民の皆様も知るところであり、原子力発電というものに対して大きな不安や疑問を持たれることはむしろ当然であり、自然なことだと思います。

 私も、原子力発電に頼らない、再生可能エネルギーを中心とした社会を実現できれば、これほど素晴らしいことはないと思っています。佐賀県は、海洋エネルギーやバイオマスをはじめ、再生可能エネルギーの導入促進に向けて、全力で取り組んでいるところであり、今後も、私が先頭に立ってこの取組をさらに加速させていきたいと考えています。
 しかしながら、再生可能エネルギーはその安定供給に課題があり、エネルギー自給の観点で考えると、現時点においては、一定程度、原子力発電に頼らざるを得ない状況と考えています。

 1号機には廃炉の決定がなされたところですが、さらに再生可能エネルギーへのシフトが進んでいったとしても、原子炉の運転が止まり、廃止措置が全て終了するまで何十年もの長きにわたり、我々は否応なくこの玄海原子力発電所とともに日々の生活を続けていかなくてはなりません。
 もし仮に今、新たに原子力発電所をつくるという判断を求められたとしても、私は決して同意するつもりはありません。しかし、私が愛する佐賀県には、現に玄海原子力発電所が存在しています。
 来たるべき再生可能エネルギーが主役となる時代を迎えるまでの間、原子力発電所を安全に維持・管理するための技術や知見をどのように継承していくのか、そうしたことにも思いを巡らせながら、様々な観点から総合的に考え、悩みぬいた末、今回の結論に達しました。

 玄海原子力発電所が最初に稼働してから、今年で40年あまり。
 これからも廃止措置を含めて非常に長い年月にわたり、関わり続けなければなりません。
 このため、私は、原発立地県の知事として、県民の安全を何よりも大切に、玄海原子力発電所と真摯に向き合い続けていくことを、ここで改めて県民の皆様にお誓いします。

平成29年4月24日 佐賀県知事 山口 祥義

 
 

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