令和5年12月15日
佐賀県公文書館
担当者 江藤
内線
4093 直通 0952-25-7365
E-mail:kobunshokan@pref.saga.lg.jp |
所蔵資料展「佐賀の商船学校-海と船の学校1902～1933-」を開催します
佐賀県公文書館では、所蔵している資料を紹介し、閲覧利用のきっかけにしていただけるよう、特定のテーマに基づく展示を定期的に行っています。
この度、三重津海軍所跡（佐賀市川副町・諸富町）に明治35年（1902年）から昭和8年（1933年）まであった佐賀商船学校をテーマに取り上げ、商船学校でどのような教育が行われたのかを紹介する企画展を下記のとおり開催します。
是非、この機会に多くの皆さまの御来館をお待ちしています。
記
1 期間 令和5年12月14日（木曜日）～令和6年4月14日（日曜日）
2 会場 佐賀県公文書館（佐賀市城内一丁目6番5号 佐賀県庁南館2階）
3 展示内容
佐賀商船学校では、船の乗組員を養成するため、航海や船舶の機関に関する専門的な知識・技術の教育が行われ、廃校までの32年間で約800人の卒業生を送り出しました。
明治39年（1906年）に郡立から県立へ移管されており、当館は主に県立移管以降の文書を所蔵しています。この度、商船学校の教育や実習で用いられた練習船について、当館所蔵資料を中心に他館提供の写真等も交えながら展示します。
関連展示では、当時の商船学校の様子を紹介するコーナーのほか、昭和15年（1940年）に国立唐津海員養成所として開校した国立唐津海上技術学校も紹介します。
（展示数19点）
＜展示例＞
商船学校のはじまり
明治27年（1894年）に日清戦争が起こり、海運が活発になると、船員の需要が高まりました。明治32年（1899年）に「実業学校令」・「商船学校規則」が公布され、それらに基づき、各地で公立商船学校の設立が進められました。佐賀においては、明治35年（1902年）に佐賀郡立海員養成学校が設立されました。
|
設立年月及其後ノ沿革
（大正12年） |
商船学校の教育
佐賀郡立海員養成学校は、改称や県立工業学校との合併・分離を経て、明治43年（1910年）に県立佐賀商船学校となりました。佐賀商船学校には、航海科と機関科の2つの科があり、航海科では航海士を、機関科では機関士を養成しました。航海科・機関科に共通する授業では、主に数学・英語・体操等が行われ、科ごとの授業では、それぞれに必要な知識・技量を習得しました。
|
日課表
（大正4年） |
練習船教育
商船学校では、練習船を用いて航海・運用の実技を訓練しました。練習船は、係留練習船（動かない練習船）と航海練習船の2つに大別されます。
佐賀商船学校では、逓信省から払下げを受けた琴緒丸、廃艦となった日本海軍の練習艦・満珠丸、佐世保鎮守府から購入した汽艇・有明、海軍省から借り入れた汽船・案子山丸等で練習を行いました。
|
満珠丸修繕艤装之図
（大正5年） |
廃校とその後
大正後期に経済不況がはじまり、昭和期に入り不況が深刻化すると、失業船員が多くみられるようになります。昭和7年（1932年）、政府は商船学校の入学定員を半減する措置を取り、商船学校削減案を作成しました。佐賀県においては県財政の窮迫も重なり、県議会で商船学校の廃止が決定しました。存続運動も展開されましたが、その甲斐なく昭和8年（1933年）に廃校となりました。生徒たちは別の商船学校や県内の学校へ転校しました。
|
佐賀商船学校廃止の告示
（昭和8年） |
関連展示
国立唐津海上技術学校※は、現在も国内の海上物流を支える航海士を育成されています。同校の創立から現在までのあゆみを紹介します。
※2024年4月から国立唐津海上技術短期大学校へ移行。
|
創立当初の校舎
（昭和16年頃）
『五十年の歩み 創立50周年記念』より転載 |
添付資料