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佐賀県食の安全・安心の確保を推進する条例

最終更新日:

議員提案条例


「佐賀県食の安全・安心の確保を推進する条例」を制定しました

佐賀県食の安全・安心の確保を推進する条例

目次
 前文
 第1章 総則(第1条-第7条)
 第2章 基本的施策等(第8条-第22条)
 第3章 自主回収の報告等(第23条-第26条)
 第4章 雑則(第27条)
 附則

 食は、人の生命と健康を支える根源であり、その安全性と信頼性を確保することは、県民が健康で安全・安心な生活を実現していくために極めて重要である。
 近年、ホテル、レストラン等におけるメニュー表示の偽装をはじめ、食品の安全性を脅かし、その信頼を揺るがす事態が相次いで発生していることから、県民の食に対する関心はますます高まっており、食の安全・安心の確保に向けた一層の取組が強く求められている。
 本県は、温暖な気候に恵まれた全国屈指の農業生産県であり、米・麦の主産地として、また、ブランド牛の生産地として広く知られているほか、有明海、玄界灘の海苔、魚介類など、豊富で多彩な海の幸、山の幸に恵まれている。豊かな自然環境に恵まれた本県の農林水産物は、この地に住む人々の食文化の継承と発展を支えるとともに、本県のブランドイメージの重要な構成要素となっている。それらを守り、育て、次の世代に引き継ぐためにも県産食品の安全・安心の確保は不可欠である。
 今こそ、生産者、食品関連事業者及び県民の全てが、食の重要性を十分に認識し、環境の保全にも配慮しながら、食の安全・安心の確保に向けた情報共有や意見交換を行うなど創意工夫を重ね、それぞれの責務や役割を協働して果たしていくことが必要である。その上で、県内で生産・加工・販売・消費される食品の安全性を確保し、表示の適正化を図るとともに、食育の取組や地産地消の推進を通じて、県民の健康で安全・安心な生活を実現するよう努めなければならない。
 ここに、県民の総意として、健康で安心できる豊かな県民生活を実現するため、将来にわたって食の安全・安心の確保を推進することを決意し、この条例を制定する。

   第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、食の安全・安心の確保に関し、基本理念を定め、県、生産者及び食品関連事業者の責務並びに県民の役割を明らかにし、並びに食の安全・安心の確保に関する施策の基本となる事項を定めることにより、食の安全・安心の確保に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって安全にかつ安心して消費することができる食品等の生産及び供給の確保に資することを目的とする。

(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1)食品 全ての飲食物(薬事法(昭和35年法律第145号)に規定する医薬品及び医薬部外品を除く。)をいう。
(2)食品等 食品(その原料又は材料として使用される農林水産物を含む。)並びに添加物(食品衛生法(昭和22年法律第233号)第4条第2項に規定する添加物をいう。)、器具(同条第4項に規定する器具をいう。)及び容器包装(同条第5項に規定する容器包装をいう。)をいう。
(3)生産者 農林水産物(食用以外の用途に供するものを除く。)の生産(採取を含む。以下同じ。)の事業を行う者及びその組織する団体をいう。
(4)食品関連事業者 食品安全基本法(平成15年法律第48号)第8条第1項に規定する食品関連事業者(生産者を除く。)をいう。
(5)特定事業者 食品等の製造、輸入、加工又は販売の事業を行う者であって、県内に事務所、事業所その他その事業を行うための施設を有するものをいう。
(6)食の安全・安心の確保 食品等の安全性及び食品等に対する消費者の信頼を確保することをいう。
(7)地産地消 地域で生産された農林水産物又はこれを主たる原材料として地域内において製造され、加工され、若しくは調理された食品を、その生産され、製造され、加工され、又は調理された地域内において消費することをいう。

(基本理念)
第3条 食の安全・安心の確保は、このために必要な措置が、県民の健康の保護が最も重要であるという基本的認識の下に講じられることにより、行われなければならない。
2 食の安全・安心の確保は、このために必要な措置が科学的知見に基づいて講じられることによって、食品を摂取することによる県民の健康への悪影響が未然に防止されるようにすることを旨として、行われなければならない。
3 食の安全・安心の確保は、県、生産者、食品関連事業者及び県民がそれぞれの責務又は役割を果たすことにより、行われなければならない。
4 食の安全・安心の確保は、このために必要な措置が食品等の生産から消費に至る一連の行程の各段階において適切に講じられることにより、行われなければならない。
5 食の安全・安心の確保は、県、生産者、食品関連事業者及び県民がそれぞれ相互理解を深め、及び連携協力を図りつつ、行われなければならない。

(県の責務)
第4条 県は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、食の安全・安心の確保に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

(生産者及び食品関連事業者の責務)
第5条 生産者及び食品関連事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、自らが食品の安全性の確保について第一義的責任を有していることを認識して、食品等の生産から販売に至る一連の行程の各段階において、食の安全・安心を確保するために必要な措置を適切に講ずる責務を有する。
2 生産者及び食品関連事業者は、その取り扱う食品等に起因して人の健康に重大な被害が生じ、又は生じるおそれがある場合は、被害の発生又は拡大の防止のために必要な措置を講ずる責務を有する。
3 生産者及び食品関連事業者は、県が実施する食の安全・安心の確保に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(県民の役割)
第6条 県民は、基本理念にのっとり、食の安全・安心の確保に関し知識と理解を深めるよう努めるとともに、県が実施する食の安全・安心の確保のための施策並びに生産者及び食品関連事業者が行う食の安全・安心の確保に関する取組について意見を表明するよう努めることによって、食の安全・安心の確保に積極的な役割を果たすものとする。
2 県民は、自らの食品等の取扱いが人の健康に影響を及ぼすことがあることを認識し、その取扱いを適切に行うよう努めるものとする。

(環境への配慮)
第7条 県、生産者、食品関連事業者及び県民は、食の安全・安心の確保に関する取組を推進するに当たり、当該取組と環境とのかかわりを認識し、農林水産物の持続的な生産が可能な環境の保全に配慮するものとする。

   第2章 基本的施策等
(基本計画)
第8条 知事は、食の安全・安心の確保に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、食の安全・安心の確保に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を策定するものとする。
2 基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1)食の安全・安心の確保に関する施策についての基本的な方針
(2)前号に掲げるもののほか、食の安全・安心の確保に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3 知事は、基本計画を策定するに当たっては、あらかじめ、生産者、食品関連事業者、県民その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講じなければならない。
4 知事は、基本計画を策定したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
5 前2項の規定は、基本計画の変更について準用する。

(年次報告)
第9条 知事は、毎年度、議会に対し、基本計画に基づく施策の実施状況を報告するとともに、これを公表するものとする。

(施策の提案)
第10条 県は、県民から食の安全・安心の確保に関する施策の策定、改善又は廃止についての提案があったときは、第8条第3項(同条第5項において準用する場合を含む。)の規定により生産者、食品関連事業者、県民その他の関係者の意見を反映するために必要な措置を講ずる場合を除き、当該提案について検討を行い、当該提案をした者に対してその結果を通知するとともに、その内容を公表するものとする。

(監視及び検査体制の整備)
第11条 県は、食の安全・安心を確保するため、食品等の生産から販売に至る一連の行程の各段階において、監視、指導及び検査体制の整備に努めるものとする。

(危機管理体制の整備)
第12条 県は、食品を摂取することにより人の健康に係る重大な被害が生じることを防止するため、当該被害が生じ、又は生じるおそれがある緊急の事態への対処に関する体制の整備その他必要な措置を講ずるものとする。

(食品等の適正な表示の推進)
第13条 県は、食品の表示に対する消費者の信頼を確保するため、食品衛生法その他の法令の規定による食品の表示が適正に行われるよう、監視及び指導を行うとともに、食品の表示の制度に関する知識の普及その他必要な措置を講ずるものとする。

(調査研究の推進)
第14条 県は、食の安全・安心の確保に関する施策を科学的知見に基づき適切に実施するため、食品等の安全性に関する調査研究の推進及びその成果の普及その他必要な措置を講ずるものとする。

(自主的な活動への支援)
第15条 県は、生産者、食品関連事業者その他の関係者が自主的に行う食の安全・安心の確保に関する活動を促進するため、助言その他必要な支援を講ずるものとする。

(情報の収集及び提供)
第16条 県は、食の安全・安心の確保に関する情報の収集、整理及び分析を行い、並びに生産者、食品関連事業者、県民その他の関係者に対し、必要な情報を提供するものとする。
2 県は、生産者、食品関連事業者その他の関係者が保有する食の安全・安心の確保に関する情報について、生産者、食品関連事業者その他の関係者による提供が促進されるよう必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(情報の共有及び相互理解の推進)
第17条 県は、食の安全・安心の確保のための施策について、生産者、食品関連事業者、県民その他の関係者が相互に食品の安全性に関する情報を共有し、及び相互に理解することを推進するため、関係者が情報及び意見の交換をする場を設けることその他必要な措置を講ずるものとする。

(人材の育成)
第18条 県は、食の安全・安心の確保に関する正確な知識を有し、地域における食の安全・安心の確保の推進を担う人材の育成に努めるものとする。

(生産者及び食品関連事業者の取組等)
第19条 生産者は、農林水産物の安全性を確保するため、関係法令を遵守して農林水産物の生産を行うことはもとより、自主的な生産工程の管理に関し、各工程において管理すべき項目を定め、これを適切に実施するよう努めるものとする。
2 食品関連事業者は、食品等の安全性を確保するため、関係法令を遵守してその事業活動を行うことはもとより、自主的な衛生管理の方法に関し、管理すべき項目を定め、これを適切に実施するよう努めるものとする。
3 生産者及び食品関連事業者は、食の安全・安心の確保を図るため、農林水産物の生産又は食品等の供給に係る活動に関する記録の作成及び保存に努めるものとする。
4 生産者及び食品関連事業者は、食の安全・安心の確保を図るため、その事業活動に係る食品等に関する正確かつ適切な情報を提供するよう努めるものとする。

(原産地に関する情報提供の充実)
第20条 食品関連事業者は、食品に対する消費者の信頼を向上させるとともに、消費者の適切な判断に基づく食品の選択に資するため、国内で生産された畜産物(食用に供されるものに限る。)又は加工食品(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(昭和25年法律第175号)第19条の13第1項又は第2項の規定により定められた品質に関する表示の基準において原材料の原産地を表示すべきこととされている加工食品をいう。)を県内で消費者に販売するときは、別に知事が定めるところにより、当該畜産物の原産地又は当該加工食品の原材料の原産地に関する情報の提供の充実に努めるものとする。
2 前項の規定は、食品関連事業者が自ら生産し、製造し、又は加工した食品を、当該食品を生産し、製造し、又は加工した施設又は場所において直接に消費者に対して販売する場合には、適用しない。

(国、地方公共団体、関係団体等との連携)
第21条 県は、食の安全・安心の確保に関し、国及び他の地方公共団体との情報共有、意見交換及び連携に努めるものとする。
2 県は、食の安全・安心の確保のための施策を推進するに当たり、生産者、食品関連事業者及び県民が組織する団体等との連携に努めるものとする。

(食育及び地産地消の推進を通じた取組)
第22条 県は、食の安全・安心の確保を図るため、県民が食品の安全性に関する知識と理解を深め、及び食品等の取扱いに当たっての適切な判断力を養うことができるよう、食育の推進を通じた知識の普及啓発及び消費者教育(消費者教育の推進に関する法律(平成24年法律第61号)第2条第1項に規定する消費者教育をいう。)の充実に努めるものとする。
2 県は、地産地消の推進を通じ、生産者、食品関連事業者、県民その他の関係者間における相互理解の促進を図り、県産農林水産物の安全性に対する信頼の向上に努めるものとする。
3 食育及び消費者教育に関わる者は、食に関する関心及び理解の増進に果たすべき重要な役割に鑑み、食育及び地産地消の推進に自ら努めるとともに、県が実施する食の安全・安心の確保及び食育並びに地産地消の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。

   第3章 自主回収の報告等
(自主回収の報告)
第23条 特定事業者は、食の安全・安心の確保を図るため、その製造し、輸入し、加工し、又は販売した食品等の自主的な回収に着手した場合であって、当該食品等が次の各号のいずれかに該当するときは、規則で定めるところにより、速やかに、当該食品等の名称、当該食品等を回収する理由その他規則で定める事項を知事に報告しなければならない。
(1)食品衛生法の規定に違反する食品等である場合(同法第19条第2項の規定に違反する食品等にあっては、規則で定めるものに限る。) 
(2)前号に掲げるもののほか、人の健康への悪影響を未然に防止する観点から、この項の規定による報告が必要と認められる食品等として規則で定めるものに該当する場合
2 前項の規定は、次の各号のいずれかに該当する場合には適用しない。
(1)自主的な回収に着手した食品等を販売した相手方が特定され、かつ、その相手方に直ちにその旨を連絡することができる場合
(2)自主的な回収に着手した食品等が県民に販売されていないことが明らかな場合
3 知事は、第1項の規定による報告を受けた場合は、速やかに、その内容を公表する。
4 知事は、第1項の規定による報告を受けた場合であって、当該報告に係る回収の措置が人の健康に係る被害の発生又はその拡大を防止する上で適切でないと認めるときは、当該報告をした特定事業者に対し、その防止のために必要な措置を講ずるよう指導等を行う。
5 第1項の規定による報告をした特定事業者は、当該報告に係る回収を終了したときは、規則で定めるところにより、速やかに、その終了した期日その他規則で定める事項を知事に報告しなければならない。

(危害情報の申出)
第24条 人の健康に悪影響が生じ、又は生ずるおそれのある食品等に関する情報を入手した者は、知事に対し、適切に対応するよう申し出ることができる。
2 知事は、前項の規定による申出があった場合において、当該申出に相当の理由があると認めるときは、関係法令又はこの条例の規定により、必要な調査を行い、その結果必要があると認めるときは、必要な措置を講ずるものとする。

(立入検査等)
第25条 知事は、この章の規定を施行するため必要があると認めるときは、法令又は他の条例に規定する措置を講ずる場合を除き、生産者、食品関連事業者その他の関係者から必要な報告を求め、又はその職員に、これらの者の事務所、事業所その他その事業を行う場所に立ち入り、食品等、施設、設備、帳簿書類その他の物件を検査させ、関係者に質問させ、若しくは試験の用に供するのに必要な限度において、食品等その他の物件の提出を求めさせることができる。
2 前項の規定により立入検査等をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3 第1項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

 (措置勧告)
第26条 知事は、特定事業者、生産者又は食品関連事業者が次の各号のいずれかに該当するときは、必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。
(1)特定事業者が第23条第1項の報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。
(2)生産者又は食品関連事業者が第25条第1項の報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による立入検査若しくは提出を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。
2 知事は、食品を摂取することによる県民の健康への悪影響を未然に防止するため必要があると認めるときは、法令又は他の条例に規定する措置を講ずる場合を除き、生産者又は食品関連事業者に対し、当該悪影響を未然に防止するために必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。
3 知事は、第1項又は第2項の規定による勧告を受けた者が正当な理由がなく当該勧告に従わないときは、その旨及びその勧告の内容を公表することができる。
4 知事は、前項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ、当該勧告を受けた者に対し、意見を述べる機会を与えなければならない。

   第4章 雑則
第27条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

   附則
 この条例は、平成26年4月1日から施行する。ただし、第20条、第23条、第25条及び第26条の規定は、平成27年4月1日から施行する。 

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