「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」について
人口減少・高齢化の進展に伴う土地利用ニーズの低下や地方から都市等への人口移動を背景とした土地の所有意識の希薄化等により、所有者不明土地(※1)が全国的に増加しており、公共事業の推進等の様々な場面において、所有者の特定等のため多大なコストを要し、円滑な事業実施への大きな支障となっていることなどから、所有者不明土地の利用の円滑化及び土地の所有者の効果的な探索を図るため、国土交通大臣及び法務大臣による基本方針の策定について定めるとともに、地域福利増進事業の実施のための措置、所有者不明土地の収用又は使用に関する土地収用法(昭和26年法律第219号)の特例、土地の所有者等に関する情報の利用及び提供その他の特別の措置を講じ、もって国土の適正かつ合理的な利用に寄与することを目的として、「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」(平成30年法律第49号、以下、「所有者不明土地法」という。)が平成30年6月13日に公布されました。
(※1)所有者不明土地
相当な努力が払われたと認められるものとして政令で定める方法により探索を行ってもなおその所有者の全部又は一部を確知することができない一筆の土地(所有者不明土地法第2条第1項)
所有者不明土地法の概要
1 所有者不明土地を円滑に利用する仕組み(令和元年6月1日施行)
特定所有者不明土地(所有者不明土地のうち、現に建築物(簡易な構造の小規模建築物(※2)を除く。)が存せず、かつ、業務の用その他の特別の用途に供されていない土地)について、以下の仕組みが構築されます。
(※2)簡易な構造の小規模建築物
物置、作業小屋又はこれらに類するものであって、階数が1(平屋建て)で、床面積が20平方メートル未満の建築物
(所有者不明土地法施行令第2条第1項、第2項)
1.地域福利事業の創設(使用権の設定)
概 要 |
〇
都道府県知事による裁定により、特定所有者不明土地に使用権を設定し、公共性のある公園・広場・防災空き地等として、一時的 な利用が可能となる。 ・ 上限10年間、延長申請可
〇
国・地方公共団体や民間事業者、NPO団体等が事業者として利用可能。 |
制度利用の要件 |
(1)
法に定める、公園・広場・防災空き地等の整備に関する事業に限る。
・
一時的な利用に限る。大規模な施設等の建設は対象外。
(2)
土地の所有者の一部または全部が不明であり、建築物が存在しないこと。
・ 小規模の物置等(※2)は可
(3)
事業に反対する権利者がいないこと。
・ 異議の申出があった場合には裁定申請は却下される
(4)
事業者は借地料相当の補償金を供託し、使用終了後は原状回復すること。
(5)
事業者は事業の遂行及び事業終了後の原状回復をできるだけの資金確保や組織・人員を確保すること。 |
申請手数料 |
補償金の見積額(借地料相当)に応じて徴収(佐賀県手数料条例第2条別表第1 377の2) |
・詳しくは、下記パンフレットをご覧ください。
2.土地収用法の特例(所有権等の取得)
土地収用法に基づき、公益性等についての認定(事業認定)を受けた事業に係る特定所有者不明土地について、起業者が収用又は使用しようとする場
合、収用委員会の裁決に代わり、都道府県知事が裁定を行うことで、収用委員会の審理手続を経ずに土地の所有権または使用権を取得することが可能と
なり、手続のスピードアップが見込まれます。
2 所有者の探索を合理化する仕組み(平成30年11月15日施行)
1.
土地等権利者関連情報の利用及び提供
土地の所有者の探索のために必要な公的情報(固定資産課税台帳、地籍調査票等)について、行政機関が利用できる制度が創設されました。
2.長期相続登記等未了土地に係る不動産登記法の特例
長期間、相続登記等がされていない土地について、登記官が、長期相続登記等未了土地である旨等を登記簿に記録すること等ができる制度が創設されま
した。
3 所有者不明土地を適切に管理する仕組み(平成30年11月15日施行)
所有者不明土地の適切な管理のために特に必要がある場合に、地方公共団体の長等が家庭裁判所に対し財産管理人の選任等を請求可能にする制度が創設
されました。
関連リンク
所有者不明土地問題に関する最近の取組について(国土交通省ホームページ)
(外部リンク)