所在地
嬉野市塩田町大字久間乙3242番地3、同久間甲3849番地6
0954(66)2202 (志田陶磁器株式会社)
遺産にまつわる物語
18世紀半ば頃より志田には多くの窯があり、そこで生産される陶磁器は「志田焼」と呼ばれ、豊富な生産量を誇っていた。しかし、同地区内には大規模な問屋が無く、窯業関係者たちは買い叩き等の不利な取引を強いられていた。そうした状況を改善するべく、明治42(1909)年、地元の有力者や窯元などの出資により「志田陶磁器株式会社」が設立され、地区における陶磁器の取引を担うこととなった。大正10(1921)年には製磁工場(現・志田焼きの里博物館)を買収し、昭和59年まで生産が続けられた。以後は本来の卸業に専念し現在に至る。
特徴
蔵(正式名称:志田の蔵)は、木造切妻造妻入瓦葺2階建。2号棟、4号棟、5号棟、6号棟の4棟が残る。陶磁器等を格納していた倉庫群であり、大型陶磁器を大量に格納しても耐えられるよう大きな松材を使い、頑丈な梁に支えられている。本社事務所は大正7(1918)年に旧武雄警察署を移築したもので、窓建具の外側には鉄格子がついており当時の雰囲気を残す。また付帯建造物は元々事務所として利用していたもので、旧武雄警察署移築時に後方へ移設、以後は倉庫や宿直室等として利用された。上絵工場は、木造切妻造妻入桟瓦葺の平屋。正式名称は〇志(〇の中に志)上絵工場。内部には色絵を生産していた窯と作業場があり、特に窯は県内でも貴重な赤絵窯である。
保存や活用の取組
平成10(1998)年より、蔵の一部を利用して有田焼や和雑貨の販売を行っている。
本社事務所及び付帯建造物のうち、1階事務所は展示室「ギャラリー和陶」として使用、1階和室はひな展等の催事で活用されている。2階大広間には東海道五十三次大皿等が展示されており、別棟2階は陶芸ギャラリー、3階は志田焼資料館となっている。