遺産にまつわる物語
里地区は、山代氏の居館跡やその家臣団の屋敷地、さらに鎮守社として青幡神社があり、中世の松浦党に関わる歴史を持つ地域である。家臣団の屋敷地の生垣は、当時の家臣たちが戦いに備えての矢柄にするために矢竹を植えて生垣にしたと伝えられており、緑豊かな生垣が地域住民によって守り継がれてきた。また、約870年前に創建されたと言われている青幡神社の境内には巨大な楠の木があり、毎年10月の山代供日には浮立が奉納されている。歴史に根付いた空間や景色、民俗芸能が現在まで継承されている地区である。
特徴
中世の山代や館に関わる遺跡が5カ所確認され、松浦党の歴史を色濃く残す。里小路は、明治期の地籍図では、中央の小路に沿って、40箇所ほどの宅地が整然と並んでおり、その大半が長方形の敷地割を基調としている。また小路に沿って給水用の側溝が設けられ、計画的な居住区の形成があったとされている。里小路の西側から東方向を見ると、なだらかな傾斜の小路と生垣、その先に伊万里湾が、また東側から西方向を見ると、生垣の先に国見の山々と夕日の美しさを眺められる。
保存や活用の取組
これまで生垣の維持管理については生垣に面する敷地の所有者が代々引き継いで行っている。以前から居住している住民は生垣通り全体で維持管理していく意識が醸成されているため、現代に至るまで保存されている。伊万里市お宝マップ、東山代町史跡めぐりウォーキングマップ等にも掲載されている。