所在地
鹿島市大字高津原3903-1 0954-63-2008(矢野酒造)
遺産にまつわる物語
鹿島市は、多良岳山系からの良質な伏流水と地場の良質な米が原料となり酒造業が栄え、現在も酒造場の主屋や土蔵が多く残っている。矢野酒造は、江戸時代末期の寛政8年(1796)より創業、旧長崎街道多良往還(多良海道)沿いにあり、現在も造り酒屋を営んでいる。明治39年(1906)に家業を継いだ矢野和良は、事業を拡大したほか、鹿島消防組等を組織し、町会議員や商工会会長の要職を務め地域にも貢献した。
特徴
主屋、離れ、旧精米所、東蔵、中蔵、西蔵、麹室から構成される。主屋は明治37年(1904)建築で、入母屋造妻入り、その南側に土間を介して切妻造平入りの旧精米所ある。主屋西側に渡り廊下を介し2階建て入母屋造妻入りの離れがある。東側の通り沿いから見える主屋と旧精米所の趣きのある白漆喰壁と、敷地西側から見える西蔵や麹室をはじめとする蔵の立ち並ぶ様子は歴史を感じさせる。
保存や活用の取組
鹿島市内では、肥前浜宿を中心に、 「肥前酒蔵ツーリズム」と称した、市内の酒蔵をめぐるイベントを実施しているが、矢野酒造は会場のひとつとなっている。旧精米所は、表側をギャラリーとして絵画、陶器、写真等の展示やコンサートの場や、商工会議所との協働で地元の方へ手作り作品展や商いをする場として開放している。また、観光協会主催で毎年冬に「酒造り体験」を開くなど各種イベントで利用されている。平成18年に建物7棟とも国の登録有形文化財に登録された。