所在地
玄海町浜野浦 0955-52-2199(玄海町)
遺産にまつわる物語
浜野浦という地名は、急傾斜になっている海岸、緩やかな丘、入り江のある集落ということでこの地名がつけられたという。地区は、海岸から駆け上がる階段のように、斜面を幾重にも連なる小規模な棚田が覆っている。大薗地区に端を発する浜野浦川によって形作られた浸食谷の、本来は農耕地として不適な環境の急斜面に、戦国時代から江戸時代にかけて先人たちの偉業により山を切り開き、石を積み上げ築かれてきた。棚田の石垣は、加工を施さない自然石を使った野面(のづら)積みが一部残り、名古屋城の石垣、穴太(あのう)積みの特徴が見受けられる。
特徴
玄海国定公園に指定されている風光明媚な佐賀県北部の東松浦半島を周回する国道204号線の一角に玄海町浜野浦地区は位置する。 浜野浦の棚田は面積11.5haの中に大小283枚の田んぼが階段のように幾重にも連なって海岸に伸びており、ほとんどの田んぼで「コシヒカリ」が栽培されている。夏には色鮮やかな新緑の苗、夜には棚田越しの海に漁火を見ることができる。一面が黄金色に染まる秋、そして冬には棚田のあちらこちらに点在する「わらこづみ」の風景など、季節毎の棚田の風景を楽しむことができる。
保存や活用の取組
地域によって、棚田の石積みや水路等の維持管理が行われ、また、菜の花、ひまわり、彼岸花の種まき・定植など、棚田の風景を彩る植栽も行われている。ゴールデンウィークには、地元のまちおこし団体によって棚田まつりが開催されるなどしている。棚田の水張りが始まると、全国から多くの写真ファンが集まる。平成11年7月に日本棚田百選、平成18年には「恋人の聖地」として認定された。