所在地
佐賀市柳町4-16 0952-22-6849(佐賀市歴史民俗館)
遺産にまつわる物語
佐賀市白山町で履物商を営んでいた久富亀一が、大正10年(1921)にこの柳町に移転し、「履物問屋 久富商店」として建てたものである。明治元年(1868)生まれ、現有田町出身の亀一は、建物裏に作業所を造り下駄の製造も行い、県内中を手広く営んでいた。跡を継いだ二代目の吉二は、大分県日田市にも下駄の製造所を設け、朝鮮半島へ販路を広げるなど事業を拡大し、久富商店は県下でも有数の大きな履物問屋で、昭和55年(1980)頃まで営業された。土間奥には「履物問屋」と右から左に横書きされた木製の看板が今も掲げられ、当時の面影を残している。
特徴
柳町の中程に北面して建つ。主屋間口は5間余り、建物の西側部分は土蔵造りであり、1階の主屋との間は南側の裏十間川へ通り抜ける通路となっている。外観は、屋根をT字に造り、大棟の妻壁を大きく見せ、その下の表の棟を西棟まで連続させるので、力感あふれる表構えを造っている。内部は1階の21畳敷きの表の間が圧巻である。
保存や活用の取組
現在の柳町周辺には各時代を代表する歴史遺産が集積する地区となっており、佐賀市では、佐賀市景観条例に基づき、柳町地区の一部が「長崎街道・柳町景観形成地区」に指定されている。
建物は外観の特徴を保存しつつ内部の改修が行われ、1階にはカフェ、フォトスタジオが入居し、2階はスペースを分割しレンタル着物店や、複数のアトリエやテナントがして入居している。カフェはイベントにも利用されている。