この度、佐賀県立厳木高等学校が創立７０周年を迎えられますことをお祝い申し上げます。
貴校は、昭和２６年に佐賀県立唐津高校厳木分校として開校し、昭和３６年に佐賀県立厳木高等学校と改称されました。以後、幾多の変遷を経て、平成３０年から全日制普通科単位制となり、地域に根差した学校づくりをされてきました。この７０年という歴史の中で、巣立っていった卒業生の皆様は、厳木町や県内はもとより様々な分野において活躍され、郷土のため、社会のために貢献されています。これまで長きにわたり、貴校や地域の発展に力を尽くしてこられた先生方ならびに関係者の皆様に深く敬意を表しますとともに、心から感謝申し上げます。
厳木高校は「若杉の訓」を校訓として、まっすぐと伸びていく「若杉」のように、自然豊かな環境の中で生徒一人ひとりが個性や特性を伸ばせるよう、きめ細やかで柔軟なカリキュラムのもとで地域や社会に貢献できる心豊かな人材を育成してこられました。里山再生や保全活動を通じて課題解決に取り組む体験学習や、近年取り組んでおられる小学校や中学校との連携活動は、地域の方々との深いつながりを築くとともに、生徒の皆さんそれぞれの学びの幅を広げ、ふるさとへの誇りを高めることにもつながっているように思います。在校生の皆さんは、地域でのボランティア活動にも熱心に取り組まれ、また、アーチェリー部や美術部、ボランティア部など、一人ひとりの関心や強みを活かした部活動にも励まれていると聞いております。
厳木町出身の画家・中島潔さんは、皆様が地域の方々と協力して守ってこられた厳木の美しい風景をはじめとして、そこに生きる人々の懸命な姿を繊細で優しさあふれるタッチのイラストで伝えてこられました。絵を通して多くの人々に感動を与えてきた中島さんにも、描き続けることが困難だった時期があったそうです。
「高い壁を前に必死にあがいた日々の記憶が新たなエネルギーに変わります。」
50年にわたる画家としてのキャリアに甘んじることなく、中島さんは、悩み、自分を探し続けた日々さえもエネルギーに変えて、今なお、新たな分野、新たなステージへと挑戦を続けています。生徒の皆さんも、ご自身の将来を前に、様々な葛藤や壁を感じることがあるかもしれません。そんな時には、自分の力を信じて、夢に向かって一歩一歩、進んでほしいと思います。
昨年から続く新型コロナウイルス感染拡大によって、社会の様々なところが痛手を受けている今、新たな時代を切り拓くには若い人たちの力は欠かせません。ここで学んだ生徒の皆さんが、新たな風を吹き込む存在として、それぞれの目指す道で活躍されることを願っています。
これからの佐賀を一緒に創っていきましょう！
結びに、関係者の皆様に対しまして、今後とも厳木高等学校のために、温かい御支援をお願いいたしますとともに、若杉のような生徒とともに成長し続ける貴校の益々の発展を祈念いたしまして、お祝いの言葉といたします。