魅力ある学校づくり推進事業の実践発表会を行いました

2010年3月9日

 2月18日、佐賀県教育センター(佐賀市大和町)で開催された第11回「教育実践交流会」の分科会において、平成21年度魅力ある学校づくり推進事業に取り組んでいる学校の実践発表を行いました。

 鳥栖市立弥生が丘小学校、武雄市立山内中学校、唐津市立加唐小中学校、嬉野市立嬉野小学校の4校から実践発表がありました。発表の概要についてご紹介します。

 

「活用する力を高める算数科学習指導方法の研究 ~算数を使い、問題を解決できる子どもの育成を目指して~」

鳥栖市立弥生が丘小学校 (教頭)秋山博、(教諭)古城武史

 

弥生が丘小発表の様子

  「活用する力」が強調されるようになってきたが、学んだことを活用させようと意識はするものの、学習後に「活用する力」が具体的にどれだけ身に付いたのかは見えにくい部分である。そこで、知識や技能あるいは考え方や表現方法を場面や状況に合わせてうまく工夫して使うことが必要となってくるような授業づくりに取り組み「活用する力」を高めることを目指すとともに、同時に、算数の学習を通し、具体的にどのような「活用する力」が身に付き、どう活かされたのかを明確にしていくことを目指して本テーマを設定した。

 具体的には、授業研究部、評価研究部、学業指導部の3部体制で推進していくことにした。

  •  授業研究部では、「身に付けさせたい活用する7つの力」の明確化、「算数学習の学び方」の再検討、基礎基本を高めるための「弥生タイム(計算の習熟の時間)」の問題の見直しの3点に重点を置いて取り組んだ。「身に付けさせたい活用する7つの力」については、活用する力を分類整理し、つかむ力(日常生活の課題を数学的に解釈する力)、選ぶ力(与えられた情報を分類・整理したり必要なものを適切に選択したりする力)、組み立てる力(筋道を立てて考える力)など7つを設定し、具体的な指導計画、授業計画の中に位置付けるようにした。
  •  評価研究部では、一般的なテストでは測りにくい思考プロセスや数学的なコミュニケーションなどを含めて学習内容の定着を多面的に把握するとともに、日々の教育実践において学習内容の定着を把握するときにも役に立つような評価の方法を探ることにした。いろいろな文献等を調べ、本校では「パフォーマンス評価」という主として自由記述式による評価方法を取り入れることにした。評価基準をどのように設定するか難しい部分もあったが、一人一人の思考のパターンや傾向などが詳しく把握できるとともに、子どもたちが記述する内容も回を重ねるごとに、説明の組み立てや表現方法が効果的なものに変容していった。
  •   学業指導部では、学校生活全般を通して、発表の仕方・話の聞き方などの学習のしつけを習慣化させ、継続的に努力する態度を育成することを目標に取り組んだ。具体的には、学業指導の共通理解、学業チェックカードの活用、発表するときの話型のポイントの活用、聴写タイムなどに取り組んだ。

 

質疑応答(主な概要)

(問) 算数学習の学び方については、低・中・高学年のつながりが大切だと思う。中学校でも役に立つと思うので、実際の様子について伺いたい。

  •  学習の流れについてはほとんどが理解できている。また学習の流れに沿ったノートの使い方も定着してきており、低学年でも結構の分量が書けているし、高学年では友だちのよい考えを記入したり、前の時間の学習内容を振り返るために使うことで次に活かしたりする使い方もできている。

 

(問) 「活用する力がついた」ということの評価をどうするのか難しい部分だと思うが、具体的にはどう考えているか。

  •  研究のきっかけになった部分でもある。学んだ知識・技能の活用ができているのか評価するのは難しいが、パフォーマンステストの作成・活用を通しながら、より効果的なものになるようにしていきたい。本年度は、まず問題を作ってみましょうというスタンスでやってきたところである。

 

 

「立腰教育を基盤とした活気あふれる学校づくり ~小中連携を核として~」

武雄市立山内中学校 (教諭) 中島央子

 

山内中の発表の様子

 全国学力・学習状況調査の結果などを基に山内中校区の児童生徒の現状を分析したところ、課題として、表現力や自尊感情を高めること、学習習慣を身に付けさせることが挙げられた。一方、校区の持つよさとしては立腰の伝統、純朴さ、学ぶ意欲の高さなどが挙げられた。

 それらの現状と「魅力ある学校とは、保護者や生徒にとってどんな学校か」について尋ねたアンケート結果などを基にして、上記の研究主題を設定した。具体的には「立腰教育の見直しと徹底」「学力向上」「小中連携による『学び』の連続性」の3つの柱を立て、取り組むことにした。

  •  立腰教育(腰骨を立てる)では、姿勢をよくすることでやる気と集中力を高めるとともに、あいさつ・返事・後始末の3つを徹底することを目標にしている。朝の立腰の時間と授業始業時の立腰は全学年の共通理解の下で取り組んでいる。本年度は、特に、立腰教育の視察、講演会の実施、校区内の小学校、中学校合同での研修会の開催、生徒会主催の立腰集会などを行ってきた。
  •  学力向上では、「学習過程の確立」、自分で課題を決め、学習に取り組む「『自学』への支援」、「教師力の向上」の3点について取り組んだ。学習過程の確立ではめあてとまとめの段階でのホワイトボードの活用、「自学」への支援では学習の約束事の徹底、ステップアップタイムの設定、自学ノートの継続・充実へ向けた支援などを行った。教師力の向上へ向けては、生徒による「授業アンケート」を実施し、教師自身が授業のあり方を見つめ直してみることにした。また、全職員による指導案検討会を実施し、教科を越えて意見交換することで、それぞれの職員の授業に対する意識を高めることができた。
  •  小中連携による「学び」の連続性の確立では、小、中学校共通しての学びボードの活用、出前授業や体験授業の実施、学力向上に関する小中学校合同での研修会の実施などに取り組んだ。学力向上のために大切な基本的生活習慣と学習習慣の項目を小中学校共通で設定するとともに、保護者に対して、理解と協力のお願いなどを行ってきた。
  •  今年度の成果としては、立腰の見直しができたことで、教師・生徒ともに意識が向上したこと、小学校との連携を深めることにより、生徒理解と文化の共有化が図れたことなどがあげられる。

 課題としては、校内研修との関連付け、教師主導から生徒が創り上げる取組へ、自尊感情の向上などがあげられる。

 

質疑応答(主な概要)

(問)立腰教育に対する生徒の反応はどうか

  •   生徒たちは「心が落ち着く」ということを言っている。部活動の試合会場で立腰をやっている場面を見たことがあるが、後で、「自分の学校にいるような感じになるので」といった話を聞いた。自分らしくあれる、自分の居場所であるという感じがしてくるのではないかと思う。

 

(補足) 単に正座することとは違い、立腰にはやる気や希望を持たせる効果もあるのではないかと感じている。大きな夢を語れるような生徒たちを育てていきたい。これまでの実践の成果を活用し切れていない部分があるので、いかに広げていくかが課題だと思っている。9月の発表会にむけて、授業力も上げていきたい。

 

 

「ICTを活用した授業改善と校務の情報化」

唐津市立加唐小学校 (教諭)川副暢  唐津市立加唐中学校 (教諭)藤田郁夫

 

加唐小中の発表の様子

 本校は離島にある小、中学校併設の学校である。昨年度末に高速のインターネット接続回線の普及と児童生徒及び職員用のコンピュータの更新など、情報通信に関するハード面の整備がなされた。本年度は、それらのハード面の整備を基にして、ICTを活用した授業改善による学力向上と校務の情報化に向けて全職員で取り組んできた。

 先進校の視察、講師を招聘しての授業実践に向けた研修会、スキャナやプレゼンテーションソフトを活用した指導資料の作成に関する職員研修などを行った。

 校内研究の主題も「自ら学び、『分かる』・『できる』喜びを味わうことのできる児童・生徒の育成 ~ICTを活用した指導法の研究を中心として~」とし、全職員がICTを活用した研究授業を行った。普段の授業での活用も広がってきている。

  •  小学校では、主に、挿絵、資料などの拡大提示、プレゼンテーションソフトを使っての動きのイメージを伴う事象説明、仮想体験などに活用した。また、プレゼンテーションソフトやスライドショーを使っての学習内容のまとめや発表などにも取り組んだ。テレビ会議システムを使うことで、分校の子どもたちとお互いに顔を見ながらの話し合いが行えるようになるなど、交流を深めることにも役に立っている。
  •  中学校でも、教科の特性に合わせて、動画を活用した学習や生徒自身による学習成果の発信の手段として機器を活用することができた。また、テレビ会議システムを使って他校の生徒との交流を行うなど、より多くの人と交流を実現していく手立てとしての可能性が見えてきたところである。
  •  校務の情報化では、テレビ会議システムを活用した会議、打合せなどを行うことができ、本校と分校間の移動の制限を受けずに職員間の共通理解を深めることができるようになった。
  •  本年度の実践を基にした情報教育計画の作成にも着手した。今後、様々な実践を積み重ねていき、小中学校9年間の発達段階に応じた本校ならではの情報リテラシー表を完成させていきたいと考えている。
  •  育友会を中心として島民の方を対象としたICT活用に関する研修会を行った。参加者からは、「また機会があれば参加したい」「子どもたちには是非活用方法をしっかりと教えて欲しい」といった声が聞かれた。今後も計画的に実施できたらと考えている。
  •  ICTを活用する利点として考えられる即時性、双方向性、再現性、保存性、効率化が理解され、学習指導への導入が増えてきた。アンケート結果を見ると、児童生徒にとっても、学習内容の理解の手助けになっているようである。また、保護者もICTを活用した授業の有効性を感じておられるようである。今後は、ICTを活用した学習指導場面の精選、学力向上への効果の検証、施設・機器整備の充実などを課題として取り組んでいきたいと考えている。

 

質疑応答(主な概要)

(問) ICTを活用した学習指導場面の精選について、どのように進めていこうと考えられているのか。また、学力向上への効果の検証について手立てや方法等について考えておられることがあれば伺いたい。

  •  ICTは、あくまで一つの道具であるので、授業のどの場面で使った方が効果的か実践を積み重ねながら検証していきたい。黒板や他の機器との組合せなども考える必要はあるし、児童生徒への学習指導の基本は「生」のやりとりだと思うので、その辺りはしっかり見極めながらやっていきたいと考えている。
  •  学力向上という視点からの効果の検証については、「比較対象をどのようにするか」や「短いスパンでは効果が現れにくい」など難しい面があるが、理解に時間のかかる子にはICTの活用が有効であるという実感もあるので、今後、研究を進めていくなかで具体的に示せるようにしていきたい。

 

 

「地域に根ざした連携から、共創の学校作り」

嬉野市立嬉野小学校 (主幹教諭)山口英俊

 

嬉野小の発表の様子

 これまでも地域の中の学校として、地域に根ざした授業づくり・学校づくりを目指して取り組んできたが、社会の変化に伴い子育てに対する不安や悩みを抱える保護者も増えつつあること、また、生活習慣や学習習慣の二極化傾向が進んでいる子どもたちの実態等を踏まえ、さらに地域に学校を開き、地域との連携協力をより円滑にし、地域に貢献する学校づくりを目指した取組を推進するために本テーマを設定した。

 取組の成果指標として、地域行事・PTA行事への参加者の増、地域人材を活かした授業数の増、活用力に重点を置いた授業研究会の実施を掲げている。

  •  具体的には、まず、地域連携協議会を立ち上げ、学校からの積極的な情報の発信、意見交換を行うことにした。また、これまでも行ってきた懇談会や授業参観等への多数の参加を促すため、案内文書、便り、メール配信などを活用して積極的に参加を呼びかけた。地域人材バンクを利用して、生活科や総合的な学習の時間での地域人材の活用を積極的に取り入れることにした。新たな登録者も増えるなど、地域との連携がさらに深まっている。

 5年生では、JA嬉野支所の地域ボランティアの方々に協力いただき、もみまきから稲刈り、餅つきまで、年間を通した取組を行うことができた。読み聞かせボランティアや登下校時の交通指導、防犯パトロールなど地域からの支援活動も広がり、つながりが強化されてきた。

  •  活用力に重点を置いた授業づくりでは、学習過程に対話活動を取り入れることで、自分の考えを明らかにしたり、相手の考えを聞いて相違点やよさに気付いたりできるようにしてきた。また、読み取ったことを根拠に話し合うことで読解力も育つと考え、それらを基にした授業研究会などを行ってきた。
  •  全国学力・学習状況調査を基に本校児童の伸びを分析、調査するための研修会を開催した。教科ごとの得点が全国平均を上回るなど学習習慣がうまく形成されていることが伺われるとともに、無回答率が全国や県平均と比べてかなり低いなどの良い傾向も見られたところである。また、新学習指導要領における授業づくりについての研修会も行い、「活用する力」を高めるための授業のあり方を意識した取組へと結びついている。
  •  保護者に対するアンケート調査では、昨年と比較すると「子どもは、学校へ行くのを楽しみにしている」、「学校は、保護者からの相談があれば応じている」などで「あてはまる」という回答が増えるなど、肯定的な回答が多くなっており、学校の取組に対して評価してもらえているのではないかと感じている。

 

質疑応答(主な概要)

(問) 学校行事の見直し等も行われているようだが、結果はどうだったか。また、校内研究(国語)と本事業に関わる取組でいろいろな面で負担感のようなものはなかったか。

  •  各担当部で、これまでの行事の精選を行ったが、子どもたちにどういった効果があるかという視点で考えると削れるものはそれほど多くはなかった。時間をいかに確保するかが課題であった。
  •  また、あくまで校内研究は研究として進め、本事業の取組についても新たな提案としてではなく、これまでに行ってきたものを整理しながらやっていくという考え方で進めてきた。この事業に関わって新たに加えたものとしては、地域との連携を推進していく組織として立ち上げた地域連携協議会くらいである。

 

(補足) 地域連携協議会については、「地域と何とかつながっていきましょう」という思いで、学校を開くことから始めたものである。子どもたちに関わるいろいろな方との情報交換、意見交換ができ有意義な会になっていると考えている。

 

皆様にとって、より使いやすい県庁ホームページにするため、是非ご意見をお聞かせください。

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