高校教育改革第1回会議を開きました

2008年5月22日

 県教育委員会では、今日の社会・経済情勢の変化の中、昨年度から着手した「これからの佐賀県教育をともに考える会」などを通じて、本県教育の振興に向けた新たな取組を進めています。

 このような中、昨今、例えば、「大学全入」や「ニート・フリーターの増加」などの問題も踏まえ、特に高等学校の段階においては、生徒一人一人の進路選択やキャリア形成などのニーズに応える「多様な受け皿づくり」が必要との御意見・御提案もいただいているところです。

このため、こうした視点から、

○ 今後の本県高等学校教育の将来像とは、いかなるものであるべきか

○ 各校の意欲・熱意や人材・資源を活かしながら、その実現を図るには、どのような仕組みや制度が必要だろうか

などの点について協議・検討することを目的に、今回、庁内各課や学校の教職員による「高校教育改革ワーキングチーム」を立ち上げました。

 

 この第1回会議について、5月15日(木曜日)に開催し、まず会議の趣旨・目的や検討のテーマについて説明を行うとともに、テーマごとにグループ討議を行い、それぞれのグループにおける今後の方向性と課題の洗い出しを行ったところです。

 今後、当会議については、月数回のペースで開催し、12月を目処に一定の方向を得ることとしています。

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会議の概要

1 日時  平成20年5月15日(木曜日)14時から17時30分

2 場所  県庁新行政棟「教育委員会室」

3 出席者 副教育長、教育政策課、企画・経営グループ、総務課、県立学校再編整備室、教職員課、学校教育課、県立学校、市町立学校の教職員

4 議題 

(1)協議課題提示

(2)協議課題説明

(3)質疑

(4)グループ討議・報告(各グループ)

(5)次回会議の確認

 

会議の模様

1 協議課題提示

  この会議の趣旨や目的を説明し、各グループで特に協議していただく課題として、以下を提示しました。

ア 普通科高校の新たな特色づくりと活性化について

 ○ 進学重点校の在り方について(A1グループ)

 ○ 中高一貫教育の成果・課題の検証と将来展望について(A2グループ)

 ○ 中堅校の活性化について(A3グループ)

イ 総合学科、専門学科の在り方について

 ○ 工業高校の活性化ついて(B1グループ)

 ○ 総合学科、専門学科(工業科以外)の在り方について(B2グループ)

 

2 協議課題説明

以下の状況について説明しました。

 ・大学等進学者数、就職者数など進路選択の状況

 ・不登校数など長期欠席の状況

 ・部活動(文化部、体育部)の状況

 ・「各工業高校の学科や特徴」、「ものづくり人材事業への取組」、「自動車産業の人材確保・育成の方向性」、「起業家教育・キャリア教育への取組」など学校の特色づくりの状況

 

(3)質疑

 グループ討議に先立ち、会議の趣旨等について、全体での共通理解を図るため、質疑を行いました。

 

(質)「これからの佐賀県教育をともに考える会」の論点整理について、この会議との関係、そこで示されている4つの方向性は確定したものか。

(答)昨年からの議論を始めているが、いわゆる知識社会化やグローバル化などの社会の変化を背景に、子どもの将来の進路などへのニーズが多様化しており、高校段階ではそれらの受け皿となれるよう、様々な特色をもった多様な学校が必要であるとの意見が出ている。

なお、「考える会」は、今年も5回ほど予定しており、教育振興基本計画策定を念頭に議論を続けるので、今後も議論を続けていくつもりである。

 

(質)協議テーマ設定の説明のなかで、「佐賀県をひとつの地域として考え、個々の学校ではなく、県全体のこととして議論する」と説明があったが、例えば、工業高校と一口に言っても、県内でも学校や地域で実情には違いがあると思うが、そういう違いも考えるべきではないか。

(答)県立学校全体のこととして考えていく。だからと言って、すべての学校に一律に予算配分することが前提となるものではなく、特定の施策について、意欲のある学校や必要性の高い学校に重点的に配分するということもある。

あるいは、予算については、国の事業、それも文部科学省に限らず、経済産業省や国土交通省などの事業等も利用できるものはあると考える。

 

(4)グループ討議・報告(各グループ)

 以下の〔各グループでの討議内容〕を参照してください。

 

(5)次回会議の確認

 本日の会議をもとに5月29日までに各グループで方向性と課題をまとめることとし、これに当たって、メールでの会議も活用し、活発な意見交換を行っていただくようお願いしました。

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〔各グループでの討議内容〕

 

A1グループ(テーマ:進学重点校の在り方)

【主な検討課題】

○ 「県立高等学校における少人数学級編成」導入の可能性

 

【意見交換の内容】

(検討課題の背景)

・ 県立高校では、生徒の進路希望にあわせてコース分けをしている所も多いが、希望に偏りが出た場合、特に普通科では、学級によっては40人を上回ることもありうるので、指導内容の違いを踏まえ、例えば、学級の枠を超えたグループ別学習(少人数指導)を行うなど、具体的な授業の持ち方などを工夫して対応している。

・ しかし、こうした工夫改善では、1日の大半を少人数での学習形態で過ごすことでの教育指導面への影響や、教室移動に伴う生徒の休息時間の確保など学級経営・学校運営面での課題も生じている。

・ 他方、特に一定の規模をもつ高等学校の場合、現状の教員配置のもとでも、校内人事の工夫等により、多様な選択授業の展開や学級編成の在り方そのものを変更することが可能な場合がある。

・ こうしたことから、昨年度、個別の学校から、学習指導をより効果的に展開するための手法として学級編成の在り方についての相談・提案等があった際、1クラス40人を超える学級の設定以外に対応策がない場合、募集定員の算定は40人学級を堅持した上で、教科指導等については募集学級数を上回る数の指導クラス(学習集団)の設置を認めることとしたが、今後は、これらをさらに押し進めて、例えば、2年次・3年次について、募集学級数を上回る学級を設定することの可否について検討していく。

 

(今後の検討方針など)

・ 少人数による学級編成については、指導の効率化や焦点化など、生徒一人一人の能力や進路希望に応じた指導方法の改善を期待できることから、学級の枠を超えたグループ別学習(少人数指導)を導入する方向で検討する。

この際、法令上の問題や義務制で導入している「少人数学級編制」との関係、導入に際しての指針(ガイドライン)等について検討していく。

・ タイムテーブルとしては、各学校が次年度へ向けた体制づくりに着手する10月初旬を目処に、一定の公式見解として公表する。

 

A2グループ(テーマ:中高一貫教育校の将来展望)

【主な検討課題】

○ 中高一貫教育校の成果と課題

○ 中高一貫教育校の今後のあり方

○ 中高一貫教育校と市町立学校の関係

※ 特に6年が経過した致遠館中・高等学校をケースとして、進学動向や進路指導等の状況などを考える

 

【意見交換の内容】

(進学状況や進学動機の現状)

・ 中高一貫教育校となってから、市町立中学校からは、致遠館高校を志望する生徒が減ったが、その理由としては、友人関係や学習面の進度などで、高校から入学した場合、上手く対応できないのではないかとの不安があるようだ。

・ 致遠館高校を受験する生徒の中にも、中高一貫教育校だから等の理由ではなく、単に他の普通高校との比較の中で、自分の点数で合格できるかどうかで決めている面がある。

 

(教育指導や学校運営面での課題)

・ 学校の特色として、普通科人文コース、理数科をどのようにするか、他の普通高校との差別化をどのように図っていくか検討する必要がある。

・ 中高一貫教育校になって、中学校段階で多様な資質の生徒が入学してくるようになったが、致遠館高校卒業後の進学への期待は変わっていないので、それにどう応えるかの課題がある。

・ 致遠館中学校が独自の存在として脚光を浴びるようになってほしい。どうしても高校主体の中で中学校が存在しているような感じを受ける。致遠館中学校にしかできないことは何か、もう一度見直すことが必要ではないか。

 

(市町立学校との関係からみた課題)

・ 致遠館中学校が地域の学校として、その核となり、周辺の学校と交流を進めてほしい。特に、多様な資質を持った生徒が入学してくる中で、学力向上をどのように図っているのか、その成果を市町立中学校に発信してほしい。

・ 市町立中学校の現状として、公立、私立を問わず中高一貫の中学校に進学することにより、市町立中学校の成績の上位者やリーダーが減ったという感じをもっている。そういった生徒たちが高校卒業時にどのような進路を実現していくかが注目されている。

 

A3グループ(テーマ:中堅校の活性化)

【主な検討課題】

○ 生徒が進路意識や目的意識を明確に持ち、進学できる中堅の普通科高校の将来づくり

 

【意見交換の内容】

(協議・検討の前提や範囲)

・ 入試の在り方について、現在のスタイルでの実施にこだわらない。

・ 1学級の定員は40人に限定せず、募集は全県とする。

・ 卒業後の出口を重視し、就労や進学などの進路を見据えて検討する。

・ 検討結果として、新しいカリキュラムの作成まで行う。

 

(学校づくりのコンセプトと教育課程等のあり方)

・ 現在の高校入試は(点数による)輪切りの状況。これに対し、最終的には「この高校にきてよかった」という声が聞かれるような高校にしたい。

・ このコースの位置付けとして、「学び直しの機会を提供する」ことが一つのコンセプト。募集する生徒像についても、リーダー的な資質・能力などではなく、あえて悩みや行き詰まりを感じている者を引き受けるようなイメージでも考えてみたい。

・ 教育課程上は、中学校の内容を選択科目の中に入れておき、高校の必履修科目を3年次にもってくるなどの工夫もある。高校の必履修科目だけをベースにするのではなく、これらを高校での3年間の学習のゴールとして位置付けるイメージ。

 

(学校の入口(入試)と出口(進路保障))

・ 入試の時期については、「学び直しの機会を提供する」点からも他の高校が終わった後も実施するなどの検討が必要。

・ 今後の課題としてニートの増加への対応があり、就労対策も含めて対応を検討する必要がある。就労に特化した担当教員をおくことも考える必要があるのではないか。

・ 普通科にこだわらず、生徒が行きたいと思えるような学科を設置する必要がある。資格の取得なども考える必要があるのではないか。

 

(ロケーション(立地)について)

・ 県内のどこに設置するか、場所選定が厳しい。場所によっては、生徒が集まらない。

・ 通学のためにスクールバスを出すことは、課題をクリアする材料にはならないだろうか。

・ 特に、「学び直し」など、限られたニーズを対象とする場合、それ自体はいいが、一定の後背人口がないと、一つの学校が成立するほどの規模は集まらない。学校そのものの魅力と、物理的な距離や通学上の利便との兼ね合いであり、双方向から考える必要がある。

 

B1グループ(テーマ:工業高校の活性化)

【主な検討課題】

○ 「ものづくり」を核とした工業高校の活性化

○ 産業界や大学等との連携を通じた社会的に必要な力を備えた職業人育成

【意見交換の内容】

(工業高校の現状)

・ 現在、就職状況がよいが、それに甘んじてか、あまり勉強しない。低学力の生徒も10%ほどはおり、基礎学力をつけてやらないといけない状況がある。

・ 就職状況がよい時は、成績優秀な生徒は大学への進学をあまり志望しない。例えば、九電や戸上電機、関西電力等の企業を第一志望にすえ、大学進学は第二、第三志望。

・ 工業科の教職員は専門意識(誇り)が高く、「改革」についても、「なぜ、必要なのか」などについて、納得できる十分な説明がないとなかなか理解を得られにくい。

 

(「ものづくり」への社会的な評価)

・ 全国工業高校校長協会が、2001年からジュニアマイスター顕彰制度を始めており、生徒が卒業後、自信を持って仕事にあたれるようにするとともに、各学校の競争を通じて、レベルアップに貢献している。

  平成18、19年度の資料では、九州地区の工業高校は申請上位30校に多数入っているものの、大分県と佐賀県は入っていない。

  また、他県(長崎、熊本)では、この制度でがんばった生徒に就職先の門戸が開かれるなどもあり、さらに、学校としては就職時の生徒の履歴に記載するなどしているが、企業に対して今以上にこの制度を知らせていく必要がある。

・ 他にも技能オリンピックがあるが、この制度はそのレベルまでは達していない。

・ その他、今度、「ものづくり佐賀」について、県大会で優秀な成績の生徒に対して、教育委員会として表彰するつもりである。

  ただ、イベントだけの表彰に終わらないようにしていきたい。

 

(今後の検討課題)

・ 高大連携の推進も課題のようだが、例えば、ある分野に特出した能力のある生徒について、高校在籍中から、大学で行われる実験や実習に参加することは考えられないか。

・ 現場の多忙感が指摘される中、業務を増やすことではなく、今ある業務について、やり方を見直したり、いくつか関連付けるなどして新たな価値を生み出すような発想も必要。

・ 全体の予算が減少しているという現実もあるので、外部資源(国や企業等)を積極的に活用することも必要。また、施設設備も、共有して使えるものは共有するなども。

 

B2グループ(テーマ:工業以外の専門学科、総合学科の活性化)

【主な検討課題】

○ 専門学科の進路に繋がる教育課程のあり方

○ 専門学科、総合学科における生徒の目的意識や進路意識の醸成・向上

○ 社会的なニーズに応じた職業人養成と、これらを促す仕組みづくり

 

【意見交換の内容】

(専門学科や総合学科へのイメージと現状)

・ 一般には、専門高校への肯定的でないイメージや先入観がある。他方、そのような中だからこそ、入学してきた生徒は、モチベーションが高かったり、学習内容に魅力を感じていることも多い。

・ 入試の点数など学力との関係で、必ずしも目的がはっきりしないまま、「仕方なく」入学した生徒も、実習などを通じ、地域の人と触れ合うことで、「楽しみ」・「成功体験」を得て、「やる気」を向上させている例がある。

・ 今日の社会の多様化の中で、専門高校も、生徒や保護者のニーズを踏まえて就職・進学双方への対応など、幅広い取組を行なっている。ただ、これがかえって、特色を分かりにくくしている面もある。

 

(今後の各学科等の方向性)

・ 今後の専門学科高校を考える上では、「分野融合」がキーワード。

・ 農業高校においては、生活の糧を得られる農業経営につなげていく必要がある。例えば、「農業ビジネス科」などの編成もあっていい。

・ 商業科や家政科においても、学校での教育の成果を実社会での職業生活に活かしていくとの発想をより強く持つ必要がある。

  例えば、一部には校内擬似企業をつくって、経営の疑似体験をさせたり、大学や実業界と連携して起業家教育などを行っているが、これらを後押ししていく制度や仕組みも必要。

・ 商業高校は、進学・就職の双方に対応しているが、このことが学科の特色を分かりづらくしているとの指摘もある。ただ、なぜ、そのような対応が必要となったかというと、その背景には社会の専門化の高まりがあり、「そこまでしないと食っていけない」から。

  これを逆の発想で捉えると、専門化と同時に、社会の中で、個々の専門性をもった人材を「つなぎ合わせる」役割も重要であることから、商業科固有の方向性としては、こうした人材の輩出も考えられるし、このような視点で、他の学科と横並びでなく、「分野横断」的に位置づけて検討していくことも必要。

 

(実現へ向けた検討課題)

・ 「ある学校の取組がなぜ、広まらないか?」、ここを考えると、「ウチではうまくいくとは限らない」との不安がある。ある学校の成果をもとに、他校でも応用可能なサクセスモデルやノウハウとして確立し、「やればできる」ことを提示していくことが重要。

・ 学校の方向性は学科の名称等で決まる。新しい学科の創設や学科名称を変更すること等について議論することも必要。

・ 学習内容が新しくなるなら、それを指導する人材を育てることが必要。ただ、これは長期的な課題であり、即戦力としては、外部の人材を活用することも考えられる。その仕組み、場、ネットワーク作りも課題。

皆様にとって、より使いやすい県庁ホームページにするため、是非ご意見をお聞かせください。

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