三田川の小中連携、学び支援プロジェクト会議(10月2日)が開催されました
吉野ヶ里町の学校支援・振興プロジェクト事業である「三田川の小中連携、学び支援プロジェクト」では、三田川小学校と三田川中学校において、小中連携での学級経営(心の教育)・生徒指導の充実を図り、家庭・地域との連携の下、「人間力の向上」、「学力向上」を目指して取組を進められています。
10月2日にプロジェクト会議が開かれ、生徒指導上で課題となっていること、特に不登校への対応について学校関係者のみならず、地域の各種団体の皆さんも一緒になって、現状の分析や今後の方策などについて協議・検討が行われました。それぞれの参加者が自身の立場から、子どもたちに向けた熱い思いや願い、今後の方向性について積極的に発言され、活発な話し合いが行われました。
会議の概要
1 日時 平成20年10月2日(木曜日)14時00分から16時50分
2 場所 吉野ヶ里町民集会所
3 出席者
三田川小学校・三田川中学校教職員、主任児童委員、家庭教育支援チーム代表、スクールソーシャルワーカー、学校評議員、PTA代表、幼稚園関係者、子どもクラブ代表、吉野ヶ里町教委、県教委
※スクールソーシャルワーカー:教育分野、社会福祉等の専門的な知識や技術を用いて、児童生徒が置かれた環境へ働き掛けたり、関係機関等とのネットワークを活用して、問題を抱える児童生徒に支援を行う専門家
4 内容 ○あいさつ 吉野ヶ里町教育長 井上和洋
○協議 ・児童生徒の現状について
・不登校児童生徒にどのように手を差し伸べるのか
会議の様子
○あいさつ 吉野ヶ里町井上教育長
今、子どもたちへの支援は、より具体的で個に応じた支援が求められている。生徒指導上の課題などは、家庭との連携が第一だと思うが、支援・助言が届いていない現状もある。これからは、相談を待つのではなく、こちらから出向く「訪問型」の支援も必要であると考えている。各種の事業でもこの考えの下、いろいろなアイデアを出してもらっており、先日は、家庭教育支援の一環として、企業に出向いての「子育て講演会」を開催したところである。子どもだけでなく、保護者、家庭への支援も充実させているところである。
児童生徒の現状について
まず学校から児童生徒の現状について報告がありました。主な内容は以下のとおりです。
- 精神面でデリケートな子がいる。保護者にしても、人間関係で悩みを抱えたり、うまく関係が取れなかったりするケースもあるのではないか。お互いに愚痴を言い合うなど、コミュニケーションが取れる人がいれば少しは楽になると思う。また、家庭環境によっては、適切なしつけや考え方が身につかずに社会生活に対する考え方が十分とは言いがたい場合も見られる。
- いろいろなところで言葉の乱れが指摘されるが、その裏には、思いやりの欠如というか、心の未熟さがあるのではないだろうか。相手が傷ついているという実感が伴っていないように感じる。
- 関係性を結べない、深められないケースも多い。方法を知らない。何かを共に作り上げるという機会が少なく、そこに喜びを見つけることが少ないこともその背景にはあるのではないか。普段は特にそういったことが課題とはなっていないように見える子たちにも、同じような背景が忍び寄っていると思う。
- 不登校の子どもに対して、担任だけでなく、民生委員さんにも家庭訪問をしてもらっている。学校では、スクールカウンセラーや管理職、養護教諭が担任をサポートしている。
不登校児童生徒にどのように手を差し伸べるのか
意見交換で出された主な意見は次のとおりです。
- 吉野ヶ里町のスクールソーシャルワーカーとして、小中連携という視点から発達障害のある子たちへの支援を行っている。特に中学校段階になってくると周りの子たちとの差が大きくなるが、その前段階としての小学校のときの支援の在り方が大切だと感じている。自分に対する自信を持てずにいる子たちが多いのではないか。
- 視点を変えて、子どもの「よさ」に目を向けた情報交換も行い、そこを伸ばしていくような指導も必要だと思う。その際、担任だけに任せるのではなく、サポートしていく人も必要である。
- 課題を抱えている子に対する支援と同時に周りの子への支援も必要である。また、保護者の理解・協力を得ることも必要になってくる。両者への共感的理解が大切だと思うし、「お互いに心が育つ」ということもあると思う。
- 特別支援教育に対する社会の認識を変えていくことも必要である。
- 不登校にならないまでも、いろいろな課題を抱えている子どもたちはいる。周りの子たちの心を育てていくことも大切である。いろいろな子がいることを認め合えることが大事である。
- 共感的理解については、完全にというのは無理かもしれない。ただ、違いを認めていくことで、抱えている「きつさ」が取れてくるというのはあると思う。完全には分からないかもしれないが、「分かろうとする」気持ちを持っているということが大切である。
- 関わりを繰り返していくことで、子どもと徐々にコミュニケーションが取れるようになってきた。
- 全体と個別の支援におけるバランスが難しいと感じるときがある。また、「必要としている支援」をどのように見極めるのかは難しい問題である。
- 個別指導については、いろいろな施策もあり頑張っておられると感じる。地域のボランティア、スクールソーシャルワーカーなどにも入ってもらって個別的な支援が行われていると思う。これは言わば、直接的な支援だと思うが、周りの子を育てるというもう一つの面についての現状はどうだろうか。将来の自立へ向けた支援、社会に出たときに必要とされる力の育成にむけて、理想とする社会を作っていくための縮図として、そういう教室を作っていくような子どもたちに育てていくことが必要ではないか。
- 頭の中で分かっていることと実際に「受け入れる」こととは別のことのように感じるが、子どもたちの実態はどうか。
(答)友だち関係でトラブルになるという事例も多い。友だち関係がスムーズに行くような人間関係を結べる力が必要だと感じる。
(答)学校生活の満足度を調べるための調査を実施しているが、不満足のカテゴリーに分類される生徒もいるし、危険信号が出ているような子もいる。また、周りから認められていないと感じている子もいて、散らばりがあるというのが事実である。ただ、昨年度との比較では、結果は好転している。
- 小学校入学前までの保護者の関わり方が大切である。確かに、社会が変わってきていることもあるが、小さいときから保護者が「生きていく」という現実について教えていくことも必要なことではないか。
- 保育園では、子どものことについて気になることがあれば、早い段階で保護者と話し合うようにしている。また、周囲の子どもたち、保護者にも理解を深めてもらう取組として講演会なども行っている。
- 家庭教育支援チームでも、とにかく情報を発信していこうということで、広報活動を行うことにしている。また、企業での子育て支援の講座なども実施しているところである。保護者への啓発では、「来てください」ではなく、こちらから出向いていこうという姿勢で考えている。
- 人は自分が認めている人の話は聞くものであると思う。ただ、世の中は人を否定するような言葉が氾濫しているように感じる。人の悪口を言ったり、「あの人はだめだ」といった言葉ばかり言うような中にあっては、子どもたちは周りには価値がある人間がいないと感じてくるようになるのではないだろうか。あなたの周りには価値ある人がいっぱいいるんだよというメッセージを与えていくことが必要だと思う。
- ボランティアとして学校と関わってみて、先生方が子どもたちのことをしっかりと受けとめてくれていることをひしひしと感じている。それでも限界があるのだなぁと実感している。自分たちの取組を耳にされたある方から、「自分にも何かできることはないだろうか」という申出をいただいた。その方には自分の得意なことを生かした支援をいただいているが、地域の方から支援がもらえれば、子どもたちにとっても関わりの幅が広がると思う。
- 今の子どもたちには、逃げ場がないのかもしれない。以前は、地域社会の中でいろいろな活躍の場もあったと思うが、今は子どもたちが関わる「世界」がせまくなっているのではないだろうか。
- 「何とかしなければならない」という思いを一つにしていくことが重要である。「親父の会」などの取組があるが、朝読書の時間などに「親父の生き様」などを語っていただく機会などを設けるのもいいのではないだろうか。
会議に参加して(担当者から)
課題を抱える子どもたちへの支援について、学校や地域、町教育委員会で主体的に取り組まれていることがよく分かりました。今回の会議をきっかけとして、より一層関係者が連携した取組が展開されていくものと思います。
不登校の児童生徒にとっては、自分が何に困っているのかはっきり分からないという状況があるのではないかと思います。うまく説明がつくというのは少なく、説明がつかないほどもやもやしているということの方が多いように感じます。その意味では、周囲の者が急ぎすぎずに、じっくりと向かい合って、困っている状況に寄り添いながら、心のエネルギーを蓄えられていくように支援していく取組が今後ますます重要になってくると感じました。
お問い合わせ先
佐賀県教育庁 教育政策課
メールアドレス: kyouikuseisaku@pref.saga.lg.jp
