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教育実践交流会(教育センター)において、学校支援・振興プロジェクトの事例発表を行いました

2009年3月5日

 佐賀県教育センター(佐賀市大和町)で、2月17日に開催された第10回「教育実践交流会」の分科会において、学校支援・振興プロジェクトの取組を紹介しました。

 交流1では「学校支援・振興プロジェクトの取組から見えてきたもの ~事業のまとめと今後の方向性~」とのテーマで事業の全体の総括と各地区の取組内容の紹介、プロジェクトの成果を今後へどう生かしていくかといったことを中心に発表しました。

 交流2、3、4ではプロジェクトに取り組んでいる地区の実践発表として、伊万里市、小城市、吉野ヶ里町、鹿島市、太良町の5つの市町の取組を紹介しました。

 

交流1 学校支援・振興プロジェクトの取組から見えてきたもの

県教育庁教育政策課 指導主事 松本成浩

 

事業総括の発表の様子

1 学校、市町との理想的関係とは

 それぞれに役割の分担はあるが、教育現場に出向く、声を聞くという姿勢で、教育現場のセンスや意欲を引き出しながら、教育の質を高めていく支援をしていくことが県の役割の一つではないかと考えている。

 

2 学校支援・振興プロジェクトについて

 ただ、教育現場の現状は、上意下達の風土やそれに伴うやらされ感や多忙感、数次に渡る教育改革など、学校が主体的・自律的に取組を進めて行きにくい面もあるようである。そのような中、県教育委員会と市町教育委員会や学校が理想的な関係に近づくための一歩としてはじめたものが「学校支援・振興プロジェクト」である。この事業は提案公募型で、取り組みたいテーマ、取り組む体制などは主体となる市町や学校の現状に応じて設定してもらうこととし、県は「現場志向」を合言葉として、会議等への参加はもちろん、研修会の講師を務めたり、大学等との連携の橋渡し、テーマに応じた情報提供、そして日常的に取組の方向性についての意見交換などを行ってきた。

 2年間のプロジェクトを通して、各地域における関係者間の共通理解や連携活動が充実するとともに、市町教育委員会、学校と県教育庁関係課等との連携も深まりつつあると感じている。プロジェクトの取組を通して感じた「学校改善の勘どころ」としてのキーワードを出してもらっているが、「学校と地域の相互活性化」「何のための連携か」「地道な活動にスポットを」など示唆に富む気付きが出されている。

 

3 プロジェクトの成果を今後いかに生かすか

 教育行政には教育行政としての、学校や教育現場にはそれぞれの目的に応じた役割があるので、お互いがその役割をしっかり認識し、相手のことを理解しながらよりよい取組ができるようにしていければと考えている。

 教育現場にとって必要な支援を教育現場の要請に応じて行うといったプロジェクトの手法は、現在、他の研究事業にも取り入れ、県の職員が直接学校等に足を運び支援を行っているところである。

 今後、このプロジェクトのキーワードである「現場志向」のもとでの政策形成のプロセスを大事にしながら、各種事業、支援活動など「現場にとって何が必要か」を考えながら取り組んでいきたいと考えている。

 

質疑、意見交流

  • じわじわと取組が浸透しているのではないかと感じている。これまでの関係は長い間に形づくられたものなので、すぐに全部がどんどん変わっていくということはないと思うが、地道にできることからやっていくことが大切だと思う。自分自身は他の地区の取組や現場の先生方の声を聞くとエネルギーをもらえる気がしている。
  • プロジェクトに参加してみて、いろいろな資料等もでき財産となってはいるが、先生方の力量が上がってきたのを感じている。中核となる先生が育ってきているように思う。
  • 教育庁内の横の連携や仕事の進め方についてはどうだったか。

・ このプロジェクトでは、テーマや取組の組織編成などは学校等からの提案によるものであった。した がっていろいろなテーマが上がってきた。それらのテーマに応じて教育庁内の関係課、教育事務所及び教育センターに担当者を出してもらい、会議等への参加や情報提供等を行った。現場に出向き、現場の声を聞きながら取り組んでいくというのは、事業の進め方だけでなく、現場に対する姿勢として大切なことだと思うので、さらに広がっていくようにしていきたい。

 

交流2 伊万里市 親と子のこころをつなぐ「いのちの教育」

伊万里市教育委員会 指導主事 中尾聡彦

 

伊万里市の発表の様子

1 「いのちの教育」指導資料集の作成の経緯等について

 子どもたちが被害者または加害者となる事件が多発したことを受け、「いのち」の重さを子どもたちに伝えなければとの思いから、市で独自に資料集を作ったところである。第1集、第2集と作成し、市内の全教職員に配布した。また、「ふれあい道徳」の機会をとらえて、家庭・地域へ「いのちの教育」を公開してきたところである。

 今回、県のプロジェクトに応募し、「いのちの教育」のさらなる広がりと深化、家庭・地域との連携のあり方について、研究委員会を組織して協議・検討し、実践に取り組んできたところである。

 

2 アンケートの結果から

 まず、「いのちの授業」の実施状況や資料活用についてのアンケートを行い、実態の把握を行った。その結果、「いのちの授業」については年間に複数回実施されており、児童生徒の実態や社会情勢から、意識して「いのち」にかかわる指導がなされていること、実施教科等については道徳の時間が多く、ついで朝や帰りの時間を活用していること、「いのちの教育」指導資料の活用回数は年間1~2回程度であることが分かった。また、内容が「死」にかかわるものなど「重たい」という感想も書かれていた。

  「いのちの教育」指導資料の活用理由では、指導資料の内容について共感し、活用に関して肯定的にとらえているものも多かった。また、授業や活用方法、使いやすくするための手立てを求めていることも分かった。一方、活用しない理由からは、活用以前に「まだ読んでいない」という実態も浮き彫りになった。活用する場を意図的に設定するなど管理職のリーダーシップと、市教委や道徳部会による授業研修会による啓発が必要ではないかとの意見が出たところである。

 

3 改善策の検討と取組の実際

 これらの結果を受けて、「使いにくさ」の払拭、学校にある「多忙感」とのすり合わせ、他の活動(「家読(うちどく)」)とのリンクを重点に対策を考えた。

 まず、教室での実践にすぐ役立つように、指導案、挿し絵、ワークシートの作成を検討し、活用頻度の高い資料13話の挿絵を作成し市内全校に配付した。

 各学校で行われている各種教育活動とのリンクにより「多忙感」の軽減を図るためには、年間指導計画への位置付けが必要となると考えた。また、「ふれあい道徳」とのリンクが定着しているため、今後はその取組をより充実するために再検討していく必要があるとの意見が出された。

 伊万里市が独自に取り組んでいる「家読(うちどく)」とのリンクも検討した。「いのちの教育」指導資料に収録されている話が保護者・地域の方には周知されていないようであるとのことから、朝の読み聞かせや家読(うちどく)で「いのちの教育」指導資料を配付する等、意図的に取り入れることを考えた。

 また、読み聞かせグループや公民館への指導資料の配布も検討しているところである。

 さらに、学校と家庭をつなぐ「いのちの教育」の在り方を考えるために、学校では、「いのちを見つめるフォーラム」を開催することとした。黒川小学校と大川内小学校で実施したところであるが、学校で取り組む「いのちの教育」を広く公開し、授業参観、読み語り、集会活動などを通して、保護者・地域の方々とともに「いのち」の大切さを見つめるよい機会になったと考えている。

※ フォーラムの様子については、こちらで公開しています。

 

4 今後の展望

  • これまで作成した資料を使いやすい指導資料とすべく、再編集し、再配付する。
  • モデル授業を公開していく。情報提供や授業構築にあたっての相談窓口的な役割が必要である。
  • 道徳教育推進教師(道徳教育の推進を主に担当する教師)の意図する、学校の教育活動全体を通して行われる道徳教育の具現化を図るためにキーマンを育成する必要がある。
  •  「死」を題材とする授業は「重たいからできない!」という意識から、その意識を乗り越え、自分のクラスの子どもには自分が伝えるという強い意志をもち、授業実践に励む教師を育成していく。

 

質疑、意見交流

  • いのちの教育資料を使った指導においての中学生の反応はどうか。

・ 第1集が主に中学生向けであった。中学生にもなれば、教師と同じようなレベルで価値観を共有できたり、意見の交流ができたりする。資料の内容をより深く見つめ、一緒に語ることができていると思う。

 

  • 公開授業などでの保護者の「参観から参加へ」ということを説明されたが、研究会等に参加されるときに視点のずれというようなものはないだろうか。

・ この学校では数年前から校内研究会にも保護者に参加してもらうという取組をされている。確かに授業研究会などになると、教職員は指導法などについて問題にするが、保護者側からの率直な意見や感想などは、ずれというよりも新たな視点となり刺激になっていると思う。我が子の理解度はどうなのかということを基に発言されるケースが多いが、するどい見方をされていると思う。教師の方が鍛えてもらっていると思う。

 

  • 点としての取組からの脱却ということを言われたが、もう少し詳しく聞かせて欲しい。

・ 「いのちの教育」は1時間の道徳の授業の公開などで完結するものではない。例えば性教育などとのリンクなど他の活動と合わせて組織的にやっていくことが大切だと考えている。

 

交流3-1 小城市 地域の活力を活かした小中一貫教育の研究 ~研究のまとめと今後の方向性~

小城市教育委員会 指導係長 原口憲明

芦刈小学校 教諭 坂本千枝子

芦刈中学校 教諭 森永浩幸

 

小城市の発表の様子

 「開かれた学校づくりの実現」と「小、中学校期間において柔軟で系統性のある教育活動の実現」を目指して今回のテーマに取り組むこととした。

 研究内容は、「柔軟で系統性・継続性のある教育課程の編成」、「小中一貫の教育活動を行うための教育施設」、「地域の活力を学校教育にいかすための方策」の3点である。

 

1 プロジェクト会議と作業部会について

 このプロジェクトを推進するための組織として、保護者代表、社会教育団体代表、有識者等からなるプロジェクト会議を立ち上げるとともに、コミュニティ部会と教育課程部会の2つの作業部会を設けて取り組んできた。

 

2 コミュニティ部会の取組

 コミュニティ部会では、これまでの地域ボランティアを取り入れた取組の洗い出し、新しくお願いしたいボランティアの検討、地域ボランティアの募集などに取り組んできた。本年度は特に、学校地域連携コーディネーター配置事業を活用し、新たに「学校・地域夢つなぎ応援協議会(ユメリン)」を立ち上げて、地域と学校をつなぐコーディネートを行うこととした。

 地域とのさまざまな連携活動などを通して、「芦刈を自慢に思う」「地域の方と一緒に活動し、学びたい」といった子どもたちの感想が寄せられるとともに、教師の側からも「よいコミュニケーションの場となった」「学校と地域のつながりが強まった」といった声が聞かれるようになった。

 今後は、保護者の参加の促進、9年間を見通したカリキュラムの作成、地域の方の学校での居場所作りといったことに取り組んでいきたいと考えている。

 

3 教育課程部会の取組

 教育課程部会では、小中一貫教育へ向けて、カリキュラムの研究、小学6年生の中学校校舎における活動の実践、小中一貫教育に対する保護者へのアンケートの実施などを行ってきた。

 今年度はじめに小学6年生に対して行った中学進学に対する意識調査では、「楽しみにしていること」では、授業、行事、部活動が上位であり、逆に「心配なこと」では、先輩、部活動、授業内容といったものが上位であった。

 本年度は、小学校から中学校へのスムーズな移行を図る目的で、小学6年生に対して、中学校校舎での学習を実施することにした。出前授業としての中学校教師による授業や中学生との交流授業などを実施したところである。各教科の担当が専門性を生かした授業を展開し、中学校での学習への関心を高めさせることができるとともに、中学生との交流により先輩に対する憧れを持つ子どもたちもいたようである。これらの活動の後に行った意識調査では、「心配なこと」として上げられるものがかなり減るなど、相当の効果があったと感じている。

 一方、小中一貫教育に対する保護者へのアンケート結果からは、「スムーズな進学」や「先進的な取組・特色ある取組が期待できる」という回答が多く見られるとともに、9年間の指導で望むものとしては、「思いやりやいのちを大切にする教育」、「基礎学力の定着」といった答えが多く見られたところである。

 

4 成果と課題

 このプロジェクトを通して、地域の方々の意見を吸い上げることができたこと、それを受けて学校が実践を始め、保護者への啓発にもつながったことが成果として挙げられる。今後は、これまでの成果を生かしながら、小中一貫教育に向けて学校、地域、市教育委員会が協力して「新しい学校づくり」を始めていくことにしている。

 

質疑、意見交流

  • 中学校からの出前授業の内容について、カリキュラム上の位置づけはどうされているのか。

・ 中学校では、小学校で使っている教科書を揃えていて、小学生がどのようなことを学んでいるか把握するようにしている。その上で、中学校の内容に見通しを持たせたり、予告編的に中学校の学習内容に触れさせたりするような授業を行っている。カリキュラム上の正式な教科指導ではなくトピック的な扱いである。

 

  • 小中一貫教育に向けて研究されているとのことだが、カリキュラム等も含めてつながり方の見通しというようなものを聞かせて欲しい。

・ 先進校の資料等を参考にして、学びの系統性などを考えてきたところである。一方、現実問題として、小、中学校それぞれの教員がどの程度までお互いに入っていけるか課題も多いように感じている。カリキュラムについては、それぞれの目標や計画等もあるので、限られた中でどこまでやれるのか、教育委員会とも連携しながら考えていきたいと思う。

 

  • 小中一貫教育に期待するものとして、アンケートの中には基礎学力の定着を求められる声が多いように思うが、どのように取り組んでいこうと考えているか。

・ 小学校では、基礎的な内容の定着を目指して、朝の時間などにスピーチや、計算、漢字学習などの取組を行っている。これらの取組が中学校の取組にもつながっていくようにしていく必要があると思う。現在も学力をつけるためのテーマとして「学び合い」を掲げて、小、中学校で研究を進めているが、同じ方向性を持って取組を深めてくことが大切だと思っている。また、研究組織の在り方も検討していきたいと考えている。

 

交流3-2 吉野ヶ里町 心の教育・生徒指導の機能を生かした学力向上 ~小中連携及び家庭・地域との連携システムを生かして~

吉野ヶ里町教育委員会 指導主事 實松清之

三田川小学校 教諭 吉富輝男

三田川中学校 教諭 森田直樹

 

吉野ヶ里町の発表の様子

1  プロジェクト立ち上げの経緯

 「子どもの心の荒れと学力低下からの脱却」や「不登校の増加を最小限にとどめる小中連携」の必要性、また教職員が「義務教育9年間で育てる意識」をしっかりと持つ大切さを感じていた。

 そこで教職員の意識改革をめざし、まずは、「知り合うことから」スタートすることにした。

 

2  具体的な実践

○ 夏季休業中の小、中学校職員合同の研修会

 1年目は「子どもたちの様子」に関し、生活や学習という大枠でフリートークを行い、現状についての共通認識を図った。2年目の今年は、9年間を見通した目標を作り、「吉野ヶ里町育みの眼」としてまとめた。この「育みの眼」は、生活と学習の両面からアプローチしていることが特徴で、教師が内なる基準として持っておくというねらいで作成した。また、自分たちの手で作成したという意識とともに、互いの校種を意識するきっかけにもなると考えた。

○ 授業交流会 

 指導内容や指導方法、子どもたちの実態等の情報交換を行った。

○ 子ども同士の交流

 互いの学校に行き来し、朝のあいさつ運動を合同で行い、同じ時間に同じ空気を吸う場を設定するねらいで行った。

○ 教育委員会の取組

 教育講演会、保護者の子育ての悩みを解決に向かわせるための相談室の設置、地域の教育風土の醸成のための啓発ポスターの作成等を行った。また「育みの眼」を基軸に、保護者用にアレンジした啓発リーフレットの作成も行い、来年度、子どもを通じ全家庭に配布する予定にしている。

 

3  三田川小学校の取組

 生徒指導の共通理解テーマとして「子どもと共に生活し高まりあおう!大人が変われば・・・子どもも変わる!」を掲げ、(1)元気なあいさつ、(2)はじめの時間を守る、(3)汗を流すそうじをする、(4)廊下は、静かに右側を歩く、の4つの柱で取り組んできた。

 また、中学校との連携では、「育みの眼」を基にした心を育む教育、あいさつ交流、立腰(りつよう)、地域ボランティア、オンリーワンのさが体験活動「吉野ヶ里遺跡・公園」の学習などを行ってきた。

 交流をとおして、子どもたちの様子などを把握でき、つながりを持って指導できるようになってきたが、コーディネートの難しさやお互いの目標や年間計画の共通理解の必要性も感じている。

 

4  三田川中学校の取組

 「生徒指導の機能を生かした学力の向上」をテーマとして、教科指導の土台となる学級づくり、規範意識の向上、地域・小学校との連携力を生かすという視点から取組を進めてきた。

 学校での様子を家庭にきちんと伝えるために、ある期間、全校生徒について「学校生活状況通知カード」を作成し、保護者に知らせる取組等も行った。また、授業改善をめざして(1)自己存在感、(2)共感的理解、(3)自己決定の場の生徒指導の3要素をいかした授業づくりに努めてきたところである。さらに、学校生活に関する調査なども行い客観的な生徒理解も行っているところである。

 これまでの取組をとおして、かなり落ち着いた学校になったという実感を持っているし、様々な視点から教育を見ることを学ぶこともできたと思う。これまでのどちらかといえばマイナスのイメージを払拭し、プラスの方へどんどん変えていきたい。

 

5  プロジェクトの成果と課題

 様々な協同での取組を通じ、小中の教職員がチームで育てなくては…という意識が芽生え始めたのではと実感している。「育みの眼」を核に、小中連携を意識した指導を行うことができるようになってきた。また、「心の教育」、「生徒指導の機能」を生かす工夫を行った結果、子どもたちは、「落ち着いた雰囲気の中で、学習に集中する姿」へと変貌を遂げている。

 課題としては、「連携に関する主体意識のもと、学校がさらに積極的にかかわっていこうとする」ことと、それをスムーズに行うための「組織の整備」が挙げられる。先進地の事例などを参考に、三田川小、中学校ならではの体制を整えられれば、継続的な小中連携が可能になるのではと考えているところである。

 

質疑、意見交換

  • 小中連携支援員が配置されているとの説明があったが、具体的に教えて欲しい。

・ 町費で雇用している職員である。週30時間の勤務で、小学校と中学校を交互に訪問し、担任と連携して子どもたちの活動を補助したり、話し相手になったりして不安を抱える子どもへの対応を行うなどしている。小学校での様子を中学校の先生に伝えたり、中学校での生徒の様子を小学校に伝えたりするなど、つなぎ役として重要な役割を果たしてもらっている。

 

  • 自分の学校では、特に人的な補助はないので、今ある体制の中で小中連携を担当する職員を決めて取組を行っているが、やはりどこかにしわ寄せが行くように感じている。コーディネート役を担う人的な補助があれば随分と助かるのではないかと思う。
  • 前担任からの情報や前に担任していた子どもたちの現在の様子などを直接、すぐに知ることができるので、必要に応じ学校間で連絡を取り合ったり、場合によっては出かけていったりと連携を深めるための橋渡しをしてもらっていると感じている。

 

交流4-1 鹿島市 学校と地域 相互活性化の連携

古枝小学校 教頭 村田達則   

古枝地区青少年育成会長 竹下 誠

古枝地区防犯協会長 中西 久

 

古枝小学校の発表の様子

 「地域・保護者と連携した学校教育の充実」のテーマの下、「地域の自然、産業、伝統・文化、行事などにかかわる学習の中で、地域の人々との交流を通し、地域への理解と愛着を深める」こと、「地域の人材を学校教育にいかすとともに、保護者・地域住民の声を学校運営に反映させ、地域に信頼され、地域に開かれた学校づくりを目指す」ことの2つの目標に向かって取り組んできた。

 学校支援・振興プロジェクト地域委員として、地区振興会長、区長会長、青少年育成会長、老人クラブ会長など地域の各団体の代表者、PTA会長など総勢19名の方に委員をお願いし、プロジェクト会議等を通して取組の方向性を探るとともに、実践活動を行ってきたところである。具体的な課題は、主に保護者世代の参画の促進、今ある活動を継続していくためのシステムづくりであった。

 

1  地域連携の実際

具体的な取組としては以下の4点が挙げられる。

 (1) 安全サポート

 (2) 学習の支援

 (3) スポーツの支援

 (4) 行事の連携(合同開催)

 

  • (1) 安全サポートでは、これまでの古枝地区子どもサポート隊の取組に加えて、PTAに呼び掛け、全保護者が年に一度は見守り活動に参加するようにしたところである。
  • (2) 学習支援では、老人クラブの方からの伝統的な遊びやものづくりの指導、ホタル保存会と連携したホタルの学習、ボランティアグループによる本の読み聞かせ、地元企業等と連携しての環境の学習などに取り組んできた。
  • (3) スポーツへの支援では、地区の各競技連盟からの支援により競技力の向上はもとより、スポーツへの意欲の向上などにつながっているところである。
  • (4) 行事での連携では、活動の周知と横の連携をさらに強化するために、これまでの地域との合同運動会に加え、新たに「古枝ふれあい祭り」と古枝小学校の「学習発表会」を合同開催することとした。学校での学習を保護者・地域の方に広く知らせるとともに、祭りの各種イベントに児童と地域の方が一緒に参加して交流を深めるなど、充実した行事となったと考える。合同で開催したことで、子どもたちの発表に対する張り合いになるとともに、子どもたちの姿をとおして学校への理解を深めてもらう機会になったところであり、同時に祭りの盛り上げに役立ったのではないかと考えている。

 

 今年度は、活動の組織化ということで、文化委員会、体育委員会、生活・安全委員会の3つの委員会を設け、それぞれの委員会の中に部会を整理して位置づけることにした。部会は全部で7つ設けているが、各部とも活動の推進計画などは必要最低限の人数で話し合うようにし、活動へのボランティア参加を増やすような方向で進めてきた。長く続けて行けるように「一人一人の負担は軽く、参加者は大勢で」という考え方に立ってのことである。

 

2 成果と課題について

 2年間のプロジェクトで、地域のよさを生かしたすばらしい体験活動、地域の方との交流などをとおして、子どもたちは地域への理解や愛着を深め、心も豊かになっている、と感じている。地域にとっても子どもの活動が地域の活力になるとともに、子どもを通じて地域の交流が深まっているように感じる。相互が活性化できる連携ができてきているのではないかと感じているところである。

 今後は、学力向上についての保護者との連携、学校支援の取組の広報、保護者世代の新たな参画などを課題として取組を進めていきたいと考えている。

 

質疑、意見交流

  • 地域とのつながりが随分広がっていると思うが、どのようにして広げられているのか。

・ 地域そのものが見知った方々ばかりで、身動きが取りやすい関係にあるというのがあると思う。運動会ならば地区の体育協会の方が中心になって一体となって支援していただくし、地区でのいろいろな会合で立ち話的に学校での取組について情報交換をしてもらっているようなこともある。自然のうちに広がっていくという地域性があると思っている。

 

  • そのような中で、保護者世代への広まりをどうしていくかを課題として挙げられているが、その点について何か考えがあれば聞かせていただきたい。

・ PTAの役員などを経験された方は、学校や地域とのつながりが深まるが、新しくこの地区に来られた方などは、まだ地域のこともよく分からないし、横のつながりも薄いと思う。今回作った地域との連携会議(コミュニティ会議)などにも参加いただき、思いを共有しながら、同じ方向性で取り組んでいたたげる方を増やしていきたいと思っている。「古枝ふれあい祭り」と「学習発表会」の合同開催は、学校のことや地域のよさを知っていただくよい良い機会であったと思っている。

 

交流4-2 太良町 太良町豊かな人間力形成プロジェクトの取組  ~小中連携による学力向上と家庭・地域との連携による地域の教育環境づくり~

多良中学校 教頭 横尾秀久

多良中学校 教諭 廣田弘一郎

 

太良町発表資料の一画面

 太良町では、「学力向上」、「豊かな人間性の育成」、「たくましい体の育成」、「特色ある学校づくり」、「教職員の資質向上」の5つの課題に取り組んでいるところである。

 今回のプロジェクトでは、「子どもたちの豊かな人間力の形成へ向けた総合的な教育内容の開発と実践」のテーマを掲げて、生きる力を基礎とした、豊かな人間力の形成を目指して取組を進めてきた。豊かな人間力とは社会的総合力として、自立した人間性や社会構成力、人間関係力などから構成されるものと捉えている。

 

1  取組の実際

 太良町新教育プランの策定や実践を通した方策や指導方法の追求を目標として取り組んできた。具体的には、教育内容や組織の体系化、学力向上学習プログラムの開発と実践、地域の教育環境づくりプランの作成と実践などを行ってきた。

 これまでの太良町教育委員会で行ってきた諸事業を「学力向上プロジェクト」と「豊かな家庭・地域プロジェクト」の二つの視点で整理して、目的を明確にして実践することにした。

 

2  学力向上プロジェクトについて

 学力向上プロジェクトでは、小中教科部会を設定しそれぞれの部会で、小中連携・交流や学力・学習状況の分析・対策などを行い、小、中学校の連続性を意識した教科の在り方などについて協議・検討を深めてきたところである。また、国語部会、司書部会との連携による「太良町美しい日本語暗誦大会」の開催なども行ったところである。

 学習習慣作りでは、学習の心得や学校生活の心得の作成、さらに「太良の根っこ」と題した町内向けの便りの作成などを行い、啓発活動にも取り組んでいるところである。

 その他、町内の全職員を対象とした教職員研修会や教育資料のデータベースの作成などを行ってきた。

 

3  豊かな家庭・地域プロジェクトについて

 豊かな家庭・地域プロジェクトでは、多良地区での新しい子育てフォーラムの開催や学びサポートとしての教育ボランティア人材の整備及び活用体制の構築、生活習慣作りのための「生活習慣100点運動」の効果的な活用に関する検討・実践などに取り組んできたところである。

 子育てフォーラムの開催では、ざっくばらんに長く続けられる会をモットーとして、PTAの方々が中心となり計画、運営をしてもらっている。参加者にとっても日ごろの子育てについての悩みなどを本音で語り合えるよい機会となっているようである。

 また、町教育情報のホームページ作成に向けて掲載情報の収集整理などを行い、発信へ向けた取組を進めているところである。

 

4  今後の課題

 町教育委員会、プロジェクト事務局のリーダーシップとコーディネート力の向上、学校におけるミドルリーダーの育成と活用といったことが課題として挙げられる。また、本プロジェクトの成果を今後さらに生かしていくための新たな枠組みについても考えていく必要がある。

 

質疑、意見交流

  • 行政には、現場の先生方が一体何をどのようにしたいと思っているのか、課題意識として何を持っているのかをくみ上げていって欲しい。学校も与えられてから、どうしようかと考えたりするところがあるので反省すべきところはあると思うが、現場の声に耳を傾けることでおもしろい発想などが出てくるのではないかと感じている。
  • 学校現場からいろいろな課題やアイデアを出してもらって、それらをコーディネートしていくことが教育委員会の一つの役割だと思う。学校が自立して取組を進め、それをサポートする関係になっていければと思う。また、自分の町でもいろいろな組織などがあるが、それぞれが独立にばらばらに取組を進めるのではなくリンクさせながらうまく機能していくようにしていきたいと思っている。
  • 1年目から2年目とこれまでの取組を整理して、随分すっきりした形になってきたと思うが、今後の展開として何か考えておられれば聞かせていただきたい。

・ それぞれの取組の一つ一つは素晴らしいが、やらされてきたという感じがあった。真に機能させるという思いで取組の目的を振り返り、整理してきたところであるが、来年度に向けさらに整理できる部分は整理したいと思っている。新しい取組も出てきているのでこれから運営をどうするのか課題もある。ビルドばかりではなくスクラップも必要だと思っている。

 

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