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学校支援・振興プロジェクト合同研修会及び多久市学校評価システム実践発表会が開催されました

2008年5月26日

 本年4月から着手した「学校支援・振興プロジェクト」。4月の発足会後、今回はじめて、各地区でこの取組を主導している教育委員会や学校の関係者が、11月29日に多久市役所で一堂に会し、多くの地区がテーマの一つに掲げている「小中連携」について、情報交換・意見交換を行いました。

 今回、こうして異なる現状・課題を抱えた地域が一堂に集まることで、それぞれの状況を少し違った視点から見ることができ、それぞれにとって、意義のある場になったのではないかと考えています。

 また、参加者による協議の後、講師として千葉大学教育学部教授の天笠茂先生(文部科学省「学校評価の推進に関する調査研究協力者会議」座長)にお願いして、小中連携に関する近年の動向や、その意義をどう捉えていくのかなどについてお話いただきました。

 

 さらに、当日の午後は多久市中央公民館にて、「多久市学校評価システム実践発表会」が開催され、県内から約200名の教育関係者が集い、多久市で行われている「外部評価の充実・自己評価の改善のための実践研究」事業の中間報告とともに、天笠茂先生による「学校評価の推進課題」と題した講演が行われました。

 

学校支援・振興プロジェクト合同研修会画像

1 日時 19年11月29日(木曜日) 午前11時から12時まで 

2 場所 多久市役所

3 参加者 市町市教委及び学校関係者10名、県教委8名

4 内容  

(1)各地域の取組と課題

(2)課題についての協議

(3)指導・助言

講師:千葉大学教育学部 教授 天笠 茂 先生

 

協議・検討の模様

  •  各地区で小・中連携の取組は進んでいるが、古くて新しい課題。なぜ、言われ続けているのか、あるいは、その最大の課題は何か。
  •  中1ギャップなど必要性は分かるが、無理もある。人的な制約がある中、いろんな取組をやるよう言われる。今の人材でできることを、それぞれがまずしっかりすることが必要。

 

  •  学校の視点とともに、教育委員会の視点もあると思う。例えば、今度の全国学力調査などをみると、地区ごとに特徴もあるし、その中で見える課題もあるのでは。 
  •  小学校と中学校の文化の違いなどもあるが、地域や中学校区によっては、1中学校に複数小学校の箇所などは、学校ごとの違いもある。その中で、小中連携した学力向上の研究会を全小中学校を巻き込んで行う、学校を超えた「部長」を中学校区ごとにおくなどの工夫をしてきた。
  •  地域によっては、小学校高学年への中学校教師の出前授業などもある。

 

  •  取組はいろいろあるが、それでも課題になっているのはなぜか。視点を変えて、教育委員会の若手の皆さんにも聞いてみたい。
  •  自分の地区の場合、例えば、中学校で問題があった場合、小学校の教師がすぐに出向けるような関係が理想。ただ、現状では、小学校の側では「送り出したら終わり」とまでは言わないが、それに近い意識がないとも言えない。
  •  小中合同での授業研修会の際、「小学校は熱心だが時間にルーズ」との意見があった。そうだなと思う反面、小学校勤務のときはあまり考えたことがなかった。お互いホンネを言える雰囲気があってはじめて気づくこともあるが、小学校から見れば、中学校は専門性があって優秀、逆に中学校から見れば、小学校はオールラウンドで熱心など、遠慮や意識の壁のようなものがある。
  •  自分の場合は、道徳を通じて中学校との付き合いもあったので学校勤務のときからおぼろげに感じていたが、授業の在り方一つとっても違う。授業をお互いに見合っていくことが大切。子供たちが中1でギャップを感じることの一つに教科担任制がある。

 

  •  意識の壁がある、お互いが見えてない、といったような意見が多いように思うが。
  •  「壁」そのものが果たして問題だろうか。小学校・中学校で違いがあるのは当然で、他方で、連携が必要と言われ、何か、「意識の壁」という言葉で濁されてきたような気がする。まずは小学校・中学校それぞれがそれぞれの領分をきちんと極めることが大事で、その上で連携とは、と考えるべき。

 

指導・講話(天笠 茂 先生)画像

【講話の要旨】

<小中連携の全国の状況>

  •  小中連携にはいくつかの流れがある。
  •  教育課程の接続から入ったもの、9年間一貫の学校づくりから入ったもの、学力向上フロンティアなど事業を契機に連携をさぐるものなど。さらに近年、少子化と学校の活力との視点での統合もある。

<教育課程の視点から>

  •  教育基本法,学校教育法が変わった。背景には、義務教育の果たすべき役割が問われている。
  •  つまり、保護者は子どもの成長に関心があるし、その場が義務教育であって、小学校と中学校がどうあるべきかは端的な話、関係ない。9年間全体を見通して考えることが必要。
  •  今回の学習指導要領改訂には、例えば中学校数学の時数増などこの点が表れている。

<人の動きの視点から>

  •  人の動かし方を考える必要がある。例えば中学校・小学校間の異動、管理職の配置など。
  •  教員人事に手をつけるかどうかが、現場に小中連携の本気度が伝わるかどうかである。

<地域の視点から>

  •  よくあるパイロット校・モデル校も、1校だけだと「特別」だが、2校になると現実味を帯びる。
  •  京都市では、中学校区単位で教育を動かしている。教育課程からみれば、学校経営は中学校区が主流になる。

 

【質疑応答】

Q)義務教育の在り方についても議論されているが、国の動向は?

A)中教審で議論されているが、学習指導要領の動きを見ていくと分かりやすい。

Q)京都や三鷹市を参考に取り組んできたが、他に良い事例は?

A)東京の北区も同様で、中学校区をファミリーとしてとらえている。

Q)小中連携の4つの類型のうち、教育課程に起因するものと、少子化・財政難という外生的要因によるものは分けた方がよいのか?

A)もちろん、相互乗り入れはある。当初は外生的要因によるものでも、実をあげるためにカリキュラムを考えはじめるなどのこともある。結局、「学校の活力」がポイントで、義務教育を9年間で捉えるとどのようなコンセプトの教育が必要で、それに地域の合意を得ていけるか、ということになる。ある地域では、地域や保護者の側から、「統合すべき」との声を起したものもある。

 

会議のまとめとして・・・
  •  結局、小中連携といったときに、「何をやるか」ではなく、「何のためにやるのか」が大事ではなかろうか。多忙感という話もあったし、視点の違いで見えるものも見えないという話もあった。目的意識を明確にし、共有することが必要であり、それによっ画像て必要な取組・不要な取組も明確になる。
  •  データを紹介すると、例えば不登校の発生件数では、全国の水準と比べて(児童生徒1000人当たりの発生件数について、佐賀/全国)、小<中<高となっており(右図参照)、本県では校種間接続は重要な課題。でも、こういう現状は、それぞれの学校種内ではなかなか見えない。
  •  このところ、各地区に全国学力調査や保護者・教師の意識調査などデータを送った。自分の立ち位置を客観視することが、目的・課題の明確化にはまず必要であり、「外の意見を聞くべき」との講話もあったし、また、データもその一つのツールである。
  •  視野を広げて自分達の現状をみることを今後、ほんの少しだけ意識してもらえればと思う。

多久市学校評価システム実践発表会

画像

1 日時 11月29日(木) 13時30分から16時30分まで

 

2 場所 多久市中央公民館

3 内容

(1)実践発表

  • 多久市教職員の意識の向上
  • 評価・育成システムとの連動
  • 小中連携による外部評価

(2)講演

 「学校評価の推進課題」

 千葉大学教育学部 教授 天笠 茂 先生

 

実践発表の概要

 

1 多久市教職員の意識の向上~多久市教職員の実態から~

(多久市教育委員会 指導主事 原口弘之) 

  •  多久市では、ここ数年、学校評価・組織マネジメントに力を入れてきた。
  •  こうした成果として、教職員の間でも、意識の変化が見られる。例えば・・・

・ 使命感:学校評価の意義の共通理解

・ 効力感:自分がかかわっているという実感

・ 達成感:成果の実感と改善

  •  これらの取組を推進し、学校評価を個々の教職員の意識のレベルから、「役立つもの」にしていくことが必要である。

 

2 評価・育成システムとの連動

(多久市立中部小学校 教頭 円城寺文雄)

  •  学校評価と評価・育成システムとの関連には、学校の重点目標と教師個々の自己目標の整合性が必要。
  •  その両者を媒介するものとして、学校の重点目標の学級経営案への反映がある。
  •  学校評価と評価・育成システムを連動させることで・・・

(1)自己目標達成が学校課題解決へつながる

(2)教職員一人一人の自己目標のレベルアップが図られる

(3)学校評価への意識が高まる

(4)学校評価により自己評価の客観性が高まる

(5)自己目標の見直しができる

といった効果が生まれてくる。

 

3 小中連携による外部評価

(多久市立東部中学校 教頭 中島裕二)

  •  授業改善には、授業力向上を9年間のスパンで考えることが必要。
  •  このため、小・中の教師チームによる授業の外部評価プロジェクトを立ち上げた。これは、

(1)同業性・専門性を活かす

(2)校内研究への参画、授業研究への参加

を意図したもの。

  •  また、この授業評価の具体的な基準として、「55の授業アセスメントポイント」を設けた。なじみやすくするため、あくまで「加点法」での、「提案型」での評価であり、個々の教師のよさと課題を発見するもの。
  •  こうした小中連携は、

(1)中学校の教員は、生徒の学習履歴を明らかにできる

(2)小学校の教員は、9年間のゴールの姿を理解することができる

といった効果につながるものと考える。

 

講演「学校評価の推進課題」 千葉大学教育学部 教授 天笠 茂 先生

1 学校評価をめぐる国の動き画像
  •  学校評価に関する考え方等を取りまとめたものとしては、義務教育諸学校における学校評価ガイドライン(2006年3月)。
  •  その後、学校教育法の改正が、学校評価の導入を明記した(2007年6月)。
  •  これを受け、調査研究協力者会議の第一次報告書として、「学校評価の在り方と今後の推進方策について」をとりまとめた(2007年8月)。
  •  この報告書を踏まえ、先ごろ、学校教育法施行規則が改正され、法に定める学校評価の運用が明確化されたところである。

 

2 学校評価のポイント
  •  主な目的は説明責任。つまり、学校評価をもとに学校の教育方針や教育課題等を対外的に説明し、理解や協力を得ていくこと。
  •  したがって、まず自らが行う教育の成果の検証・点検、つまり、自己評価が重要である。
  •  この自己評価をもとに、他者・外部による学校評価、つまり学校関係者評価がある。
  •  さらに、これらの結果も踏まえつつ、専門家などの第三者が学校評価を行い、学校改善につなげる第三者評価がある。

 

3 「学校評価ガイドライン」(2006年3月)と「学校評価の在り方と今後の推進方策について(第一次報告書)」(2007年8月)

 

4 「評価に基づく経営」のポイント
  •  評価結果を学校改善に結びつけること。これがないと評価することそのものに意味がない。
  •  目標と評価を一体化すること。目標は達成するために立てるものであり、その成果は検証・評価されなければならず、評価できない目標は意味をなさない。
  •  学校評価はコミュニケーションツールでもある。つまり、学校関係者評価等をうまく活用すれば、保護者や地域に学校の現状への理解と改善への協力を得る「関係づくり」の手立てとなる。
  •  学校評価は、対外的にみると、自己の現状を客観的に整理するものでもある。意図、問題意識を持って情報を発信すること。見方を変えれば、広報戦略と学校評価を一体化させること。
  •  また、学校組織の中では、個々の教職員の自己診断能力を高めることが重要。校内研修などで学校評価について議論してみることが必要である。必要に応じ保護者を入れることも。

 

実践発表会に参加して 

 実践発表及び講演で強調されていたことは、まずは「評価の意義」を正しく認識するということではないかと感じました。

 つまり、これまで「評価」と言うと、誰しもどちらか言えばマイナスの、ネガティブ(消極的)なイメージを持ちがちであったのも否めませんし、特に教育の世界では、学校や教師自身が、「評価すること」はあっても、「評価されること」には慣れていないという現状もあり、必ずしも積極的とばかりはいえなかった面もあります。

 その一方、学校課題の解決に、もはや学校のみならず、周囲の理解と協力が不可欠となってきた時代に、公教育としての「説明責任」を果たしながら、学校の外からの応援を得ていくという観点から、学校評価はますます重要になってくることはまず間違いないでしょう。

 あわせて、教育の質や授業の質を保証する、また、これらを学校の中での組織的な取組として継続的に行っていくという点でも、さらに積極的な取組を推進していくことが大切となってくるのではないかと思います。

皆様にとって、より使いやすい県庁ホームページにするため、是非ご意見をお聞かせください。

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