唐津市立北波多小学校で第1回授業改善推進協議会が開催されました
本年度、県教育委員会では、学力向上重点対策の一つとして、佐賀市・唐津市・玄海町の9校(小学校6校、中学校3校)の調査活用協力校とともに「全国学力・学習状況調査等を活用した学校改善の推進に係る実践研究」に取り組むこととしています。
今回、そのうちの唐津市立北波多小学校における校内研修会が行われ、県教育委員会からも参加させていただきました。
当日の会議では、学校で独自に行われた教職員の皆さんのアンケート結果や、昨年度の全国学力・学習状況調査及び佐賀県学習状況調査の結果などをもとに、今後の研究や実践のテーマ、方向性、進め方などについて、意見交換を行いました。
会議の概要
1 日時
6月25日(水曜日) 15時30分~17時00分
2 場所
唐津市立北波多小学校図書室
3 出席者
北波多小学校教職員、県教育委員会関係職員(教育政策課、教育センター、東松浦教育事務所)
4 協議内容
(1)北波多小学校教職員アンケート結果について
(2)県や国の学力・学習状況調査結果について
(3)意見交換
会議の模様
1 北波多小学校教職員アンケート結果について(学校側から)
今後の取組の方向性について、職員の意識や思いを反映させるため、簡単なアンケートを行った。今、取り組んでいる中での悩みなどを忌憚なく出してもらい、今後の改善につなげたい。
今年度、学力向上に向けて、朝の読書やモジュール学習、生活状況調査、算数を中心とした授業改善等に取り組んでいるが、これらについての声として、例えば、
- 朝読書の効果はあると思うが、朝の提出物チェックと重なるなどして、朝の会が1時間目にずれこむこともある。また、低学年は、読書より先に朝の会をやった方がいい。
- モジュール学習の曜日だが、水曜日・木曜日よりも、週明けの月曜日やその次の火曜日の方が取り組みやすい。また、この時間の各クラスの具体的な実践方法について、情報を共有したい。
- 生活調査については、継続的にいつも行うのではなく、「よいこのくらし週間」を毎月設けるなどした方が、意識付けにも回収率の向上にも役に立つと思う。
- 算数に限らないが、「聞く力」、「伝える力」をつけることが大事。数学的な道具や概念を使ったコミュニケーション力が必要であり、例えば各学年などに応じて、何を身につけさせるべきかなどを考え、表現方法などに慣れさせることが必要。
などがあがってきている。
このうち、今日は特に、数学における「伝える力」、「聞く力」を育むにはどうすべきか、あるいは、今回、全国調査で問われた「活用」力を育む授業とは、といった点をテーマに、意見交換を行いたい。
2 県や国の学力・学習状況調査結果について(県側から)
今回、特に算数の方をテーマとして設定されているが、皆さんも子どもたちの実態をよく理解されていると考える。「言語力」や「読解力」が言われる中、国語や、国語的な観点から他教科にアプローチされる学校も多く、そのような取組もいいことではあるが、学力調査の結果などももとに、むしろ「算数が大事ではないか」として取り組まれるという判断は、今回のデータ等をよく活かしていただいており、私たち自身も、様々な「気づき」を得る貴重な機会となっている。
このようなことを踏まえ、データを拝見した中でのポイントとして3点ほど、申し上げたい。
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まず、全国調査でみた場合の観点・領域別の平均正答率。特に、観点別では「知識・理解」、領域別では「数と計算」だが、全国調査の結果をみると、「知識」に関するA問題は、なかなかの水準にあって、皆さんの日頃の実践の成果である。他方、「活用」に関するB問題は、「もうちょっとがんばりたい」とお感じの方もいらっしゃるだろう。同じ観点・領域なのに、AとBでなぜ傾向の違いがあるのか、皆さんの日頃の実感もお聞きしたい。
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次に、県調査の領域別でみた「数量関係」の分布状況。数量関係には、計算や図形など様々な領域を総合するような力が求められる。北波多小学校だけでなく、県全体としての一つのテーマだが、授業改善・指導法改善につなげていくことが必要。
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最後に、全国調査の(児童生徒への生活習慣や学習意識に関する)質問紙調査。各設問について、肯定的回答群(「そう思う」、「どちらかといえばそう思う」と答えた層)の割合を県平均と比べた場合、国語に関する設問(例:「国語は好きか」、「生活に役に立つか」など)は、県よりも高く、皆さんが日頃の授業を充実され、また、これらが児童によく伝わっていると感じる。他方、数学や総合的な学習の時間については、「もう一歩」という感じもあるようだ。
以上、データからの考察である。
ただ、一つ、御留意願いたいのが、このデータは「全て」ではなく、「一部」に過ぎないこと。今回お示ししたようなデータからの考察と、皆さんの「実感」とをつき合わせることがまずは大事であり、また、両者の相違に本質的なテーマが隠れていることもあるので、忌憚なく意見・提案いただきたい。
意見交換
上記のような学校・県双方からの資料説明の後、意見交換を行いました。
主な意見等は、以下のとおりです。
○ データを踏まえた「実感」など
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数年前は、本校では比較的、「算数が好き」という子が多かった。その後、いわゆる「読解力」等が全国的にもテーマとなり、また、そのような中で国語の研究に力を入れてきた。質問紙調査のデータを見た実感の一つとして、こうしたことも一つの背景とも思う。
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昨年度の全国調査以来、全国的にも「活用」力が課題。ただ、教育現場では、「じゃあ、どうすればそういう力を育めるのか?」について、なかなか簡単に答えが見つからない。
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「活用」力を育むには、今までより丁寧な児童の実態観察や、それらを踏まえた適切な発問と教材、個々の習熟度に応じた細かい指導などが重要なのは分かる。また、このために指導要領も変わり、授業時数も増えるのも理解できる。でも、時数とともに内容も増えているので、どう対応したらいいのか、戸惑いもある。
○ 「活用」力をどう捉えるか?
- 「活用」力について、どのような見方をされているだろうか?あるいは、皆さんのイメージとして、「活用」力を育む授業とは、どのようなものだろうか?
- 教科の知識を、現実の生活場面や体験活動などと関連付けることが重要。先日、「距離」について、校舎を一周して実感をもって理解できるようにした。最近、指導書や研究報告などでも、距離について、例えば、「実際の歩数などと関連付けて指導する」といったようなアイディアが掲載されているのを見かける。
- 自分は、もう少し違った捉え方をしていて、既に学んだことを活かして、類似の問題を解く力と考えている。例えば、計算も、新しい問題が出てきたときに、「この前解いたあの問題と同じ考え方をすれば解けるよね」といった「気づき」を促すこと。学んだことを定着させる、違った問題を関連付けて考えさせるなどの視点を持たせることが大事。
- 今回の研究に関わるまでは、どちらかと言えば前者のような見方をしていたし、特に国語の場合は、例えば一つの「言葉」を、いかに具体的なイメージをもって「事柄」として捉えるかなどが重要なので、生活体験や具体事象との関係は強い。しかし、算数・数学の場合は、最近、後者の見方も含めて、「両方」と思っている。
- 一例として、先日、ある中学校で3次の「魔方陣」(3×3の升目に1~9の数字を入れ、縦・横・斜めの計がそれぞれ同じ数になるようにするもの)の研究授業があった。当初の観測では、「中学生なら解けるかな」と思っていたが、解けたのは数人で、多くがマスに数を何度も当てはめ直して試行錯誤でやっていた。例えば、「1~9の合計は45なので、1列の計は15・・・」といった論理的な解き方をした子は1名のみである。この例から言えるのは、算数・数学について、「活用」を考える場合、「習得した知識を即、具体化する」だけではなく、その前に、「一度抽象化・モデル化する」ことが必要なこと。先ほどの全国調査のデータも、こうした仮説をもってみてみると意外と素直に理解できるように思う。
- 算数・数学についての活用について、一般的に言われているポイントが6つある。かいつまんで言うと、「生活への活用」、「習得した知識の発展」、「他の問題への応用」、「複数の知識の関連付け」、「操作活動」、「読む力、分析する力」。活用といった場合、算数については、多面的な捉え方が必要かもしれない。
○ 取り組む課題の「重点化」・「焦点化」
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本日の校内研究もそうだが、今回、北波多小学校には本当に熱心に取り組んでいただいている。一方、事前に資料を拝見しながら、「皆さんも大変なのでは?」とか、「課題や取組をいくらか絞った方が、勢力が分散されないので、効果もあがるのでは?」とも思っていた。その点については、何か御意見はないだろうか?
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週2回、モジュール学習に取り組んできて一定の成果はある。自分の学級では、共通プリントの他、100マス計算や「きくきくタイム」などに取り組んだ。ただ、このモジュールが、時々、通常の授業時間にくい込むこともある。
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モジュール学習で計算や漢字をやった場合、自分の成果・課題を自身で振り返るという観点から、「答え合わせ」の時間を設け、児童自身に採点させている。ただ、低学年の場合、この「○付け」にさえ、かなりの時間がかかるのも実情。慣れれば改善されるとは思うが・・・。
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朝読書について、低学年の場合、読める本が限られることも課題。例えば、1年生に貸し出していただいている本が、一ヶ月ほどで読まれてしまった場合、2年生と入れ替えているが、1年生にとっては、2年生の本はほとんど読めない。ローテーションの工夫も必要。
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3・4年生の場合、発達心理上は、いわゆる「ギャングエイジ」に当たるので、朝のモジュール学習に臨むまでの学習規律をつくるのに時間がかかる。学級によっては、小集団に分割して落ち着かせてから学習に入るなどが必要なこともある。
○ モジュール学習と「活用」力
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モジュール学習について、皆さん、問題意識をお持ちのようだが、現状では、特に算数の場合、どのようなことに取り組まれているのだろうか?
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当初は、自作問題や、教育センターが提供しているモジュール学習用の教材なども考えたが、「基礎・基本の定着」をテーマとした場合、どうしてもかなりの数の設問が必要。その一方、モジュール学習もかなり浸透してきて、最近では、市販のプリント等もあることから、こうしたものを活用することが多い。
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内容的には、算数の場合、計算などが中心。
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あくまで、「そうしてください」という意見ではなく、「参考になれば」ということで申し上げると、モジュール学習も、それ自体の如何ではなく、使い方かもしれない。先ほどのような「活用」力の捉え方からすると、例えば、「4×25は?」という計算問題をたくさんこなすのか、「かけあわせて100になる2つの数の組み合わせは何通りあるか?」という問いを立てるのかでは、同じ「数と計算」や「数量関係」に関する問題であっても意味合いが異なる。データからは、おそらく、前者のような問題については、皆さんも児童に対して十分なトレーニングをされており、十分な水準にあるのではないだろうか?また、後者のような設問であれば、問題数もそれほど多く必要としない。
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キーワードとして、「条件不足or条件過多」、「オープンエンド」(一つの問いに複数の答えがあるような問題)を頭の隅においておいてもらうと、アイディアもでてくるのではないだろうか?また、特にモジュールの場合、こうしたトピック的な問いを持ち込みやすい。
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本校でも、算数の時間に、「算数ゲーム」などを取り入れている教職員もいる。そうしたことも、今後、研究を深めてみたい。
○ 次回に向けて
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「伝える力」、「聞く力」という話があったが、「意見は?」と問うても、なかなか手が挙がらないなどと悩まれている方も多いだろう。そういう場合に、「書かせる」ことも一つのアイディアであり、教具の工夫も考えたい。市販のラミネートなどを使うと、繰り返し使えるものも簡単に作ることができる。
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児童とのやりとりを活発化させる発問の工夫も大事。ちょっとしたアイディアだが、自身の実践としてよくやっていたのは、「答えを途中でさえぎって、続きを別の児童に言わせる」ことだった。想像力が必要になるので、話す側は「伝えよう」、聞く側は「理解しよう」という姿勢が求められる。
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教育センターでも、プロジェクト研究の成果や、他県等の研究資料などをホームページで提供しており、この中には、今日、テーマとなった算数の活用力に関するものもあるので、ぜひ、御活用いただきたい。また、その中で意見や質問等あれば、いつでも連絡いただければと思っている。
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活用を考えるに当たって、「振り返り」、「メタ認知」が重要。自分も含めて、これまで授業は「知識を伝える」場、なので、「まとめて終わり」ということが多かったが、この先に、「では、今日、何を学んだか?」、「それが次にいかに活かされるか?」までおさえておくことで、次につながる形での定着が図られる。
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「伝える力」、「聞く力」は、昨年度から学校支援・振興プロジェクトなどに取り組む中でも、多くの市町・学校が課題としている。いろいろな実践例があるので、また後日、資料等提供したい。
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今回、この事業に取り組むに当たって、昨年度の学校支援・振興プロジェクトの成果を踏まえ、「教育現場と同じテーブルで課題を共有し、ともに考え、実践する」ことを基本姿勢とし、この成果を踏まえて、県としても、現場の課題解決に実効性のある施策・制度につなげていくつもりである。こうしたことから、連絡調整のルートや方法も簡素なものにしているので、また、いつでも声をかけていただきたいし、実践の中で意見や質問、提案等があれば、いつでも御連絡いただきたい。
