平成28年度佐賀県ICT利活用教育フェスタ
(基調講演、教職員による指導事例発表、教科によるICT利活用事例等、成果発表)
1 開催日 1日目:平成28年10月14日(金曜日)
2日目:平成28年10月15日(土曜日)
2 会場 佐賀市文化会館(佐賀市日の出一丁目21-10)
佐賀県青年会館(佐賀市日の出一丁目21-50)
3 日程
○1日目:平成28年10月14日(金曜日)
ア
11時30分~ 会場受付
イ
12時00分~13時00分 昼食・機器展示(佐賀市文化会館)
ウ
13時00分~13時20分 機器展示(佐賀市文化会館)
エ
13時20分~13時40分 開会行事
オ
13時40分~14時40分 基調講演(佐賀市文化会館大ホール)
演題:「新たな学びを支える学校情報化の在り方」
講師:横浜国立大学 教育人間科学部附属教育デザインセンター
教授 野中 陽一氏
カ
14時50分~16時20分 指導事例発表(佐賀市文化会館大ホール)
キ
16時20分~17時00分 機器展示(佐賀市文化会館
○2日目:平成28年10月15日(土曜日)
ア 8時15分~ 会場受付
イ 8時50分~12時10分
・教科におけるICT利活用事例等(佐賀市文化会館)
・研究発表(佐賀市文化会館、佐賀県青年会館)
ウ 12時10分~13時00分 昼食・機器展示(佐賀市文化会館)
エ 13時00分~13時40分 機器展示(佐賀市文化会館)
オ 13時40分~15時40分
・文部科学省「先導的な教育体制構築事業」成果発表(佐賀市文化会館大ホール)
・ワークショップ(佐賀市文化会館、佐賀県青年会館)
カ 15時40分~16時10分 閉会行事(佐賀市文化会館大ホール)
キ 16時10分~17時00分 機器展示(佐賀市文化会館)
4 参加者 1928名(2日間)
5 主な内容
○1日目:平成28年10月14日(金曜日)
■13時40分~14時40分 基調講演
横浜国立大学 教育人間科学部附属教育デザインセンター 教授 野中 陽一氏
「新たな学びを支える学校情報化の在り方」
日本教育工学協会(JAET)は、教育の情報化の促進を支援するために「学校情報化認定事業」に取り組んでおります。学校の情報化指標として、「学校情 報化チェックリスト」をベースに「教科指導におけるICT活用」「情報教育」「校務の情報化」「情報化の推進体制」の4カテゴリ20項目について、各学校が情報化の状況を自己評価し、一定の基準を満たした学校を学校情報化優良校として認定しております。これらの学校情報化認定の情報がずいぶん蓄積されてきましたので、本日の話もここからになります。
学校情報化については、全国的に見ればまだまだ課題が多いと認識しており、次の学習指導要領との関連を見ましても、「どのように普及していくか」「先進的な取組を全国に普及させるには」「地域格差をどのようにするか」などの課題が挙げられます。日本は国際調査に於いてもICT環境は遅れていると認識しており、次の学習指導要領までになんとかしないといけないと考えています。国の教育の情報化の実態調査を見ると、佐賀県は大変整備が整っていると言えます。整備もさることながらICT活用に関する研修の受講率が高いのが特徴的です。
児童生徒のPC活用、情報活用は今後更に求められると考えております。国としても2020年までには、整備を含めて目標の環境を達成することを求めています。環境整備やICT活用についてもまだ日本は、諸外国に比べると状況がバラバラなところがあり、ICT活用が日常的、持続的活動になりえているかというとまだ誰もが取り組めるものになっていないように思えます。
先ほどの4つのカテゴリを見ていくと、だんだん上がってはきております。「教科におけるICT活用」では、「教材研究・指導の準備・評価等におけるICT活用」については、どの校種においても比較的によく取り組まれています。全体的にみると高等学校よりも小学校・中学校が高い傾向が見られます。また、普通教室におけるICT環境の整備が進んでいない学校は、教員のICT活用や児童生徒のICT活用もあまりできていないという相関関係が見られるようです。「校務の情報化」については、比較的よく取り組まれており、地域間や校種間の格差も小さいようです。これは、校務支援システム等の校務関連システムが自治体単位で導入されていることによるものと考えます。しかしながら、校務の情報化だけを一生懸命やっても児童生徒の情報活用能力の育成には直結しておりません。学校情報化優良校の認定を受けた学校は、校内の情報化の推進体制のバランスがよく、推進化の体制と校内研修がバランスよく実施されています。児童生徒のICT活用は、教員のICT活用が高いところが高くなっていることが読み取れます。児童生徒の情報活用能力の育成と評価に最も寄与しているのは、意外にもICTの基本的操作の習得であるということがデータから読み取れました。これは、情報活用能力を高めるのに、子どもたちが道具としてICTを使うとき、スキルが必要だということです。スキル指導がきちんとなされて、スキルがきちんと身に付いた児童は、情報活用能力も身に付きやすいと考えます。さらに、校内研修も授業研修のレベルまで高めてやっている学校が、教員のICT活用や児童生徒のICT活用の項目が高くなっています。推進体制の関連で言うと、小学校、中学校は管理職のリーダーシップとビジョン、高校は、情報主任や外部との連携などの支援体制づくりと関係が深いようです。
今後はますます地域全体の情報化が求められます。ICTの環境整備が、教員や児童生徒のICT活用に関連はしていると思いますが、おそらく整備だけでは進みません。学校として、地域としての戦略が必要です。そういう戦略がきちんとなされているところが、情報化優良校の認定を受けるに至っているようです。先進的地域では、ICTに関する推進体制が地域全体できちんとなされています。また、計画的な情報化推進計画が長期スパンで考えられており、研究プロジェクトなどにも積極的に取り組まれています。さらに、小中一貫を取り組んでいるところは、9年間を一貫した情報教育カリキュラムが実施されています。ある地域では、学力向上のエビデンスを明確にし、さらに、全国調査などとも比較しながらやっておられ、おそらくICT活用だけの効果ではないでしょうが、ICT活用を伴った校内研究を実施し、授業力向上の成果が結果として出ているものと考えます。
次の学習指導要領では、アクティブ・ラーニングの重要性やそれにICTを活用することなどが述べられていると思いますが、世界的に見れば、日本のICT活用は低い状況にあります。イギリスやフィンランドは、比較的自由な環境の中でICTを使っていますが、一斉授業でのICTを活用した授業から、グループごと、個人それぞれのICT活用に段階を踏んでいます。日本もまずは、ICT環境を整え、一斉型の授業がきちんとできる授業スタイルから、様々な授業スタイルへと移行することが望ましいと考えます。これからのICT活用を考えると、日常的なICT活用の定着が大切ですし、電子黒板も普通の黒板と同じように扱えるようにしていくことが大切です。そのときに重要なのが、授業改善であり校内研修です。それを積み重ねて学力向上につなげていきます。
日常生活では、実際には子どもたちはデジタル情報の活用はたくさんやっています。学校でのデジタル情報の取扱いも日常生活でのデジタル情報の取扱いと同じようにできるようにし、授業内の活用だけでなく、授業外の活用も推進していくことが大切だと考えます。「自分の学びのためにICTを活用していく」。教員もそういう経験が求められます。今後、ICTに関する地域格差がなくなるように、JAETもそれを支援していきたいと考えております。
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■14時50分~16時20分 教職員による指導事例発表
◆趣旨:日頃、学校教育に従事している教職員の、ICTを利活用した実践事例や学校単位での取組について募集し、特に優れている者について、紹介及び表彰を行った。また、これらの実践事例や取組を全県で共有することで、教職員の指導力を向上させ、本県教育の質の向上につなげる目的で開催した。
◆応募件数:20事例(小学校3、中学校3、高校13、特別支援学校1)
◇最優秀賞(県教育長賞)
受賞者:教諭 田中晴子
学校名:佐賀商業高校
タイトル:化学の基礎
◇優秀賞
受賞者:教諭 井上富久子
学校名:白石小学校
タイトル:「比とその利用」
◇優秀賞
受賞者:教諭 江里口 大輔
学校名:西与賀小学校
タイトル:ICT利活用を位置づけた国語科単元学習の工夫
◇優秀賞
受賞者:教諭 溝田 貴章
学校名:佐賀大学教育学部附属中学校
タイトル:新しい時代の学びを意識したICT利活用の実践事例-校内ネットワークと汎用的ソフトウェアを用いて-
◇優秀賞
受賞者:教諭 寺田 弘
学校名:多久高校
タイトル:みんなの英語道場4(デジタル教材)
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○2日目:平成28年10月15日(土曜日)
■8時50分~12時10分
◆教科におけるICT利活用事例発表
佐賀県立高等学校の各教科におけるICT利活用教育の取組の発表。学習用パソコンの授業での活用事例や自作のデジタル教材の活用事例などについて発表を行った。
◆ICT利活用教育推進に関する県教育委員会の取組
◆研究発表:9分科会
[テーマ]教科指導におけるICT活用、校務の情報化とICT支援員及びサポート体制の構築・運営、教育・学習用ソフトウェア開発・評価、情報教育、教科指導におけるICT活用、幼稚園・小学校における教育実践、教員研修・教員養成、情報モラル・情報セキュリティ、特別支援教育
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■13時40分~15時40分 文部科学省「先導的な教育体制構築事業」成果発表
「先導的な教育体制構築事業」とは…複数の学校間で、また、学校と家庭とが連携した新しい学びを推進するための指導方法の開発、教材や指導事例等の共有など、4校の実証校がそれぞれの特色を生かして、先導的な教育体制に向けた研究を実施している。
◇発表内容
(1)
武雄市立北方小学校 |
主な取組 |
普通教室や特別教室における授業時のCPF上のコンテンツ等を利用した主体的な学習、協働的な学習の実施 等 |
(2)
武雄市立北方中学校 |
主な取組 |
生徒の学びのスタイルに応じた遠隔授業の実施、家庭に持ち帰った学習用PC及びCPF上のコンテンツ等を利用した主体的な学習の実施 等 |
(3)
県立有田工業高等学校 |
主な取組 |
新たな学びに対応した指導方法の充実、論理的思考力を養うことを目的としたプログラミング学習の実施検討 等 |
(4)
県立中原特別支援学校 |
主な取組 |
遠隔授業を取り入れたプログラミング学習の実施、官民共同によるコンテンツの開発 等 |
※CPF…クラウド・プラット・フォームの略。
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■13時30分~15時30分 ワークショップ
(1)デジタル教科書を活かした授業づくり(光村図書出版株式会社)
(2)教育委員会の情報化戦略とICT活用好事例-学校情報化先進地域に学ぶ-(日本教育工学協会)
(3)タブレット端末を活かした授業づくり(日本マイクロソフト株式会社)
(4)1人1台タブレット端末活用の効果測定と教育委員会・学校の取組(公益財団法人パナソニック教育財団)
(5)ICT活用授業は電子黒板フル活用から!(エプソン販売株式会社)
(6)学校経営支援のための校務の情報化(日本ユニシス株式会社)
(7)外国語活動でのタブレット端末や電子黒板を活かした授業づくり(シャープビジネスソリューション株式会社)
(8)スマホやタブレットで簡単準備!NHK For
School アプリを使ったアクティブ・ラーニング実践法(日本放送協会)
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【企業展示】
<企業展示> 教材関連、システム関連、機材関連、その他関連企業の計92社による、最新のICT機器及びデジタル教材等の展示・実演が行われた。