県教育委員会では、ICT利活用教育の推進は、教育の質の向上と子どもたちの学力の向上につながる有効な手段であると捉え、現在、全県規模で「先進的ICT利活用教育推進事業」に取り組んでいます。
今回、総務省や文部科学省等とも連携し、これまでの成果を広く公開し、今後の取組の一層の充実を図るとともに、県内外における教育情報化の推進に向けて、「教育フェスタ2013~ICT利活用教育の推進に向けて~」を開催しました。
こうした取組は、今年度で3回目を迎えますが、今回は特に、総務省及び文部科学省、佐賀大学文化教育学部並びに県内全市町教育委員会に共催していただき、IWB(電子黒板)やタブレットPC(学習者用端末)を効果的に利活用した授業実践や遠隔授業の実証等も行いました。
県外からの参加者や教員採用試験に備えた大学生等の参加者も多く、全体としても、2000名を超える数の参加がありました。
事後のアンケートからも「実践的な勉強ができ、充実していた」等の肯定的な評価を数多くいただくとともに、全員を収容できる大きな会場を確保して欲しい等の要望もありました。
概要は、以下のとおりです。
【教育フェスタ2013 全体会】
1.期日
平成25年5月12日(日曜日)
2.場所・時間
佐賀大学本庄キャンパス・9時30分~17時00分
3.参加者
約1500名
4.出展企業
ICT機器・教材の展示・実演 計58社
〔教材関連〕23社〔システム関連〕11社〔機材関連〕24社
5.内容
(1)開会行事
・教育委員会挨拶 佐賀県教育委員会教育長 川﨑俊広
・「佐賀県が進めるICT利活用推進の取組について」
佐賀県最高情報統括監 森本登志男
(2)授業実践並びに授業における学習者用端末の利活用事例の紹介
1. 県スーパーティーチャーによるIWB(電子黒板)を利活用した授業実践
・授業者:佐賀市立赤松小学校教諭 横地千恵子
・授業者:吉野ヶ里町立三田川中学校教諭 吉田喜美子(英語)
・授業者:県立唐津東高等学校教諭 山口 明徳(化学)
3名のスーパーティーチャーが、参加者を児童生徒に見立て、50分の授業過程で効果的に電子黒板を利活用した授業を行った。サテライト会場も準備していたが、そこにも入りきれないほどの大盛況であった。
2. 授業における学習者用端末の利活用事例
・シャープビジネスソリューション株式会社
・Apple Japan合同会社
・日本マイクロソフト株式会社
それぞれの会場では、アンドロイドタブレット、iPad、Windows8タブレットを参加者が実際に操作しながら、端末の活用事例についての紹介があった。参加者からは、協働学習や個別学習など、学習者用端末の利活用方法についてイメージを膨らませることができた等、評価する声が多かった。
(3)シンポジウム
〔パネリスト〕※パネリストのお名前をクリックすると、当日の資料がご覧いただけます。
佐藤安紀 総務省情報流通行政局情報通信利用促進課長 (1023KB; PDFファイル)
新井孝雄 文部科学省生涯学習政策局参事官 (1353KB; PDFファイル)
福本敏雄 佐賀大学文化教育学部学部長 (484KB; PDFファイル)
稲垣 忠 東北学院大学教養学部人間科学科准教授 (394KB; PDFファイル)
(情報活用能力調査に関する協力者会議委員)
中川正博 佐賀県市町村教育長会連合会会長
(多久市教育委員会教育長)
〔コーディネータ〕
福田孝義 佐賀県教育庁教育情報化推進室長 (1436KB; PDFファイル)
シンポジウムでは、国や大学、地域などそれぞれの立場から、ICT利活用教育の推進に向けての制度設計や環境整備、指導法の確立などに関して、課題や取組を示し、意見交換を行った。
各分野が連携協力してICTに取り組むことの必要性と重要性が感じられた。また、学習者用端末については、「個別学習からのアプローチが、子どもの学びを豊かにする」等、幅広い活用の可能性が示された。
(4)事例報告、電子黒板を利活用した指導事例
1. 事例報告
ア 総務省「フューチャースクール推進事業」及び文部科学省「学びのイノベーション事業」の実証校からの報告
・佐賀市立西与賀小学校
・県立武雄青陵中学校
イ 総務省「地域雇用創造ICT絆プロジェクト」の実施地区からの報告
・佐賀市教育委員会(市立赤松小学校、市立若楠小学校)
・武雄市教育委員会(市立武内小学校、市立山内東小学校)
ウ 県指定実証校・地区からの報告
・県立太良高等学校の取組
・玄海町教育委員会の取組
・太良町教育委員会の取組
エ 県指定実証校(特別支援学校)からの報告
・県立金立特別支援学校
・県立中原特別支援学校
国や県の事業の実証校や実証地区からの成果報告が行われた。フューチャースクールや絆プロジェクト等、国の実証研究だけでなく、県の実証研究に対しても評価する声が多く、全国の先駆けとなる取組に参観者は興味を感じていた。
2. 電子黒板を利活用した指導事例
ア 現職教師によるIWB を利活用した指導事例の発表(小学校・中学校)
・神埼市立西郷小学校教諭 中山 孝
・嬉野市立塩田中学校教諭 岡 孝一郎(数学)
・唐津市立浜玉中学校教頭 田中泰博 (国語)
イ 現職教師によるIWB を利活用した指導事例の発表(高等学校・特別支援学校)
・県立佐賀西高等学校教諭 緒方 微 (地歴)
・県立伊万里商業高等学校教諭 牧瀬 省吾(商業)
・県立伊万里特別支援学校教諭 荒金 直子
6名の現職教師が電子黒板を利活用した具体的な指導事例を紹介した。参加者からは、「より身近に、より分かりやすくICT利活用教育推進の方向性を示され、電子黒板の利活用法やその効果について現実的、直接的に実感することができた」等、評価する声が多く寄せられた。
【各学校での授業公開】
1.期日
平成25年5月11日(土曜日)及び13日(月曜日)〔合計〕
2.会場
・小学校 7校〔約290名の参加〕
・中学校 7校(うち県立中学校3校)〔約170名の参加〕
・高等学校 5校〔約170名の参加〕
・特別支援学校 2校〔約30名の参加〕
各校でICTを利活用した授業実践が広く公開され、県内外の教職員、保護者、大学生、企業関係者等の参加があった。
実際に授業を見ることによる満足度は高いと思われる。
【災害発生時等における学校ICT環境の利活用実証】
1.期日
平成25年5月11日(土曜日)
2.場所・時間
教育情報化推進室(佐賀県庁新行政棟10階)
県立武雄青陵中学校
県立致遠館中学校・高等学校ユビキタスルーム
東京会場
3.参観者
約60名
4.内容
大規模災害等の発生時を想定し、遠隔授業のデモや遠隔地からの情報伝達のデモを実施した。
第1部【授業保障】
災害発生時等に、学校から通常授業を配信し、それぞれの環境におかれた生徒たちに通常の授業内容を提供し、学習機会を保障する。
第2部【学習保障】
災害発生等のため、学校の機能が停止した場合を想定し、教育委員会等、遠隔地からの学習情報提供により、児童生徒の学習を保障する。
参観者からは、「機器の性能やネットワークの整備状況に制約される点もあるが、さらに改善・整備を加えるならば、災害時、パンデミック時の貴重な学習保障の手段になると感じた」等、災害時における学校ICT環境の利活用の可能性について多くの肯定的な感想をいただいた。
また、不登校や病気等により通常の登校ができない児童生徒に対しても大きな成果が得られることを示すことができた。