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「ICT教育の未来を考える佐賀セミナー」を開催しました

最終更新日:

   県教育委員会では、現在、全県規模で「先進的ICT利活用教育推進事業」に取り組んでいます。この事業の中の一つとして、特別支援学校におけるICTの利活用について、東京大学先端科学技術研究センターとの連携の下、障がいのある幼児児童生徒の学習を支援する「学習のバリアフリー」を促進することを目指し、情報端末を活用した事例研究(魔法のふでばこプロジェクト)にも取り組んでいるところです。

   今回、その一環として、東京大学との共同セミナーを開催しましたので、その概要をお知らせします。

 

○開催日 平成23年10月10日(月曜日、体育の日)

○開催場所 アバンセホール(佐賀県生涯学習センター)

〇参加者数 133名

 

1 開会・主催者挨拶

   主催者を代表して川﨑俊広教育長が「ICT利活用教育の推進を、佐賀県教育の最重要施策と位置付け、環境の整備と人材の育成に、先進的、かつ大胆に取り組んでいる」、「特別な支援を必要とする子どもたちにとって、その特性や個性などに応じて、ICT利活用教育を効果的に行うことは、各教科の学習や、社会的自立に向けての指導において、多くの可能性を秘めている」、「参加の皆さんにとって、意義あるものであり、また今後の教育の振興に大きく寄与することを願っている」と挨拶し、セミナーへの期待を述べました。

主催者挨拶をする川﨑俊広教育長

 

2 講演1 「IT社会が変える障害と教育」
     講師 東京大学先端科学技術研究センター 教授 中邑賢龍

   中邑氏は、「好きか嫌いかといったレベルではなく、世界の流れの中でICT機器の利活用について考えて行く時代、情報のバリアフリー化が進む時代となっている。情報の壁、コミュニケーションの壁、障害の壁、国境の壁等、こういった壁を越えて行くのにICTは有効な役割を担っている」とICTの意義について語られました。

 

講演する中邑賢龍教授

3 講演2 「身近にあるテクノロジーで学習の困難な子どもを支える」

    講師 東京大学先端科学技術研究センター 教授       中邑賢龍

                          同                  センター  特任講師 近藤武夫

   中邑氏は「現代は多様性を認める時代であり、障害者を“Disability”“Difficulty”という視点から見つめ直す必要がある。ICTを活用し、支援ベクトルの発想を転換しよう」と語られました。

  近藤氏は、それを受けて、障害を持つ方でも音声で簡単に入力できる方法や文章を構造化して内容をグラフティカルに理解する方法など示されました。

講演する中邑賢龍教授(手前)と近藤武夫氏

 

4 講演3 「学習困難な子どものための支援システムの開発」

  講師 佐賀大学 教授  園田貴章

      同大        准教授 岡崎泰久

   佐賀大学からは、学習困難な子供のための漢字書字支援システムについて紹介がありました。このシステムは、漢字の書き取りの一点一画ごとに正しく書けているかを評価するところに特徴があります。

講演で挨拶する園田貴章教授(右)と岡崎泰久准教授(左)

 

5 シンポジウム

「テクノロジーを活用した子どもたちへの合理的配慮を考える―試験を事例にして―」

   指定討論者 東京大学先端科学技術研究センター 教授 中邑賢龍

   パネラー    同センター   特任講師    近藤武夫

                     同センター   特任研究員 髙橋麻衣子

                     熊本大学理学部1年    山崎康彬

 

   シンポジウムではまず、髙橋氏が、読み書き障がいの子どもを例に挙げ、「読み書き能力を改善することに注力するのではなく、代替の策を講じることが先決である」ということを話されました。また、代読による定期考査の受験形態などを例示しながら、「学習の本質は何かを見極め、テクノロジー利用の可能性を探り、個人の能力を適切に評価することが大切だ」と述べられました。

続いて、近藤氏による「アメリカにおける合理的配慮の考え方」についての説明がありました。アメリカは日本とは異なり、障がいのある学生も通常の教育カリキュラムを履修することを原則としており、代読や代筆が一般的に行われていることであり、それは「合理的配慮である」と広く認識されています。「合理的配慮を欠く」ということは、ややもすると人権差別にあたるという考えが根底にあるようです。代読や代筆という支援は「下駄をはかせる」のではなく、「そもそもアクセスできないのだから、同じフィールドに立ってもらう合理的配慮なのだ」という考えがあることを示されました。

   肢体不自由というハンディキャップを持つ山崎氏は、現在熊本大学理学部に学ぶ大学生です。氏は、実際に自分が体験した高校入試や大学入試を例に挙げながら、「ワープロを使うことや時間延長を求めることができることを、障がいのある多くの子どもたちに知ってほしい。一人ひとりの多様な障がいに合った合理的配慮が必要だ」と主張されました。

最後に中邑氏が「合理性というものはロジカルなものではなく、むしろリーズナブルなものである。入試の在り方に関しては、当事者と一緒に考えるしかないが、その意味ではネゴシエーションが重要だ。日本型のものを作っていこう」と締めくくられました。

シンポジウムでの様子。左から近藤武夫氏、高橋麻衣子氏、山崎康彬氏

   また、会場前のホワイエでは、セミナーと並行して、学習支援機器の展示と東京大学読み書き相談室「こころ」の専門家による相談会が行われました。

 
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