民法では、知識や経験が乏しく判断能力が未熟な未成年者を保護するために「未成年者取消し」という権利を定めています。要件を全て満たすと、未成年者が結んだ契約を取消すことができます。取消した場合は、受取った商品があれば返品し、支払ったお金があれば返金されます。詳しくは消費生活センターにご相談ください。
未成年者取消しの要件
(1)契約者の年齢は契約時に20歳未満である。
(2)契約者に婚姻の経験がない。
(3)法定代理人(親権者、後見人、両親)が同意していない。
(4)法定代理人から許された営業に関する取引ではない。
(5)法定代理人から処分を許された財産(小遣い)の範囲ではない。
(6)未成年者が契約時に詐術(うそ)を用いていない。
(7)法定代理人または未成年者が成年に達したときの追認がない。
(8)取消が時効になっていない。
上記(1)~(8)の全てを満たす必要があります。
未成年者取消権は、未成年者自身または法定代理人から申出ることができます。
契約の取消し方法
※書き方など、詳細は消費生活センターにご連絡ください。連絡先はこちらをご覧ください。
【本人から取消通知を出すときの例】
取消通知 平成〇年〇月○日に、貴社セールスマン〇〇氏との間で締結しました<商品名>または<役務名>(価格〇〇万〇〇千円)の契約は、未成年者の私が親の同意なしに行った行為であり、取消します。 つきましては、当該契約の際に支払いました金〇〇〇〇円は、直ちに〇〇銀行〇〇支店普通預金口座〇〇号に振込んでください。 なお、商品は早急に引取ってください。 平成〇年〇月〇日 通知者 〇〇市○○町〇〇番地
<氏名>〇〇㊞ 被通知者 〇〇市〇〇町〇〇番地 ○○株式会社 <氏名>〇〇殿
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【親などの法定代理人から取消通知を出すときの例】
取消通知 平成〇年〇月○日に、貴社セールスマン〇〇氏と、私共子供〇〇との間で締結しました<商品名>または<役務名>(価格〇〇万〇〇千円)の契約は、未成年者が親の同意を得ずに行った行為であり親権者として取消します。本人も取消を望んでおり、もちろん支払い能力もありません。 つきましては、当該契約の際に支払いました金〇〇〇〇円は、直ちに〇〇銀行〇〇支店普通預金口座〇〇号に振込んでください。 なお、商品は早急に引取ってください。 平成〇年〇月〇日 通知者 〇〇市○○町〇〇番地 <氏名>〇〇㊞※ <氏名>〇〇㊞※
被通知者 〇〇市〇〇町〇〇番地 ○○株式会社 <氏名>〇〇殿
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※親権者が両親の場合、それぞの署名・捺印が必要です。
消費生活センターにご相談ください
契約の取消しや書面の書き方などは、消費生活センターにご相談ください。未成年者取消しができなかった場合でもトラブル解決のために、アドバイスやあっせんを行います。
全国共通番号 消費者ホットライン 電話(局番なし)188 お近くの相談窓口につながります。 佐賀県消費生活センター 午前9時から午後5時まで、土日祝日も開設しています(年末年始除く) 電話 0952-24-0999 FAX 0952-24-9567 メールによる相談受付はこちらからお願いします。 |
考えてみよう!未成年者取消しは認められるかな
Aさん(17歳)高校生からの相談
・ネットをしていたら、500円のダイエットサプリがあったので、安いと思い購入した。
・最初の商品が届き代金を支払った。しばらくすると注文していないのに商品がまた届き、代金を定価(8,980円)で請求された。
・お店に問合せたところ「この商品は初回は特別価格で、4回分購入しないと解約できない契約です。」と言われた。・親にも相談したが、4回分の総額は35,920円と高額で、お小遣いでは支払えないためやめたい。
【消費生活センターでの対応】
Aさんに状況をヒアリングし、(1)~(8)の要件を全て満たすことが確認できたため、お店に未成年者取消しの通知を出し、契約を取消すことができました。 ○ポイント:お小遣いの範囲 初回の500円はお小遣いの範囲内となり要件(5)を満たすことができませんが、4回分の総額で判断するとお小遣いを超える金額となったため、要件(5)を満たすことができました。 |
Bさん(20歳)専門学校生からの相談
・19歳のときにエステの体験コースに行き、1年間の定期コースを契約した。
・2か月前に誕生日がきて20歳になっている。
・半年間通ったが、毎回オプションを勧められ、断りづらいので通うのをやめたい。
【消費生活センターでの対応】
Bさんが契約したときの年齢が19歳だったため、未成年者取消しができないか検討しました。しかし、状況をヒアリングしたところ、20歳になった後にクレジットカードの分割払いを行ったことがわかりました。支払行為は、追認行為の一つであるため、要件(7)を満たすことができず、契約を取消すことができませんでした。 (その後、契約の取消しに変わり、中途解約を交渉しました。) ○ポイント:追認 追認とは、過去の行為を確定することです。未成年者取消権は成人してから5年間有効ですが、その間に追認を行うと権利はなくなります。 支払行為のほか、サービスや商品の提供を受け続けること、契約相手からの追認確認に期限内に回答しないこと、などが追認行為にあたります。 |
■イラストは消費者庁イラスト集を利用しています。