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山口知事と日下部資源エネルギー庁長官との面談内容をお知らせします

最終更新日:

山口知事と日下部資源エネルギー庁長官との面談の様子

 平成29年1月20日(金曜日)に、日下部聡(くさかべさとし)資源エネルギー庁長官が佐賀県庁を訪問され、九州電力株式会社玄海原子力発電所3号及び4号炉の再稼働へ向けた政府の方針について説明がなされました。
 山口知事からは、再稼働の問題に対しては、真摯に、愚直に、真っ直ぐに向き合っていくことを申し上げた上で、

・原子力発電に関する佐賀県の考え方の基本は、何よりも県民の安全が大切であるということ
・エネルギー政策については、国が責任を持って取り組むべきものであり、その責任をしっかり果たしていただきたいということ
・山口県政はプロセスを大事に、一つひとつ丁寧にやっていくということが大事なところなので、そこを是非しっかりわかっていただきたいということ
などをお伝えし、国においては、地元の意見に真摯に向き合い丁寧に対応していただきたい旨を申し上げました。

 

■経済産業大臣文書
PDF 九州電力株式会社玄海原子力発電所3号及び4号炉の再稼働へ向けた政府の方針について 別ウィンドウで開きます(PDF:938.8キロバイト)

 

 なお、面談の様子(動画)は以下のURLからご覧になれます。

 https://www.youtube.com/watch?v=_Vq-GbRWWqY/別ウィンドウで開きます (外部リンク:YouTube)

 また、面談後の山口知事の囲み取材の内容は、以下のページでご覧になれます。

 http://www.saga-chiji.jp/comment/20170120/  別ウィンドウで開きます(外部リンク:佐賀県知事公式ホームページ「こちら知事室です」)

 

 

面談内容(テキスト)

【日下部資源エネルギー庁長官】

 山口知事、今日はどうもありがとうございます。

 日頃から原子力行政について、御協力いただき感謝を申し上げます。

 本日お邪魔いたしましたのは、九州電力の玄海原発3号炉、4号炉につきまして、先日、原子力規制委員会のほうから安全性の適合性があるという決定を受けて、政府として、再稼働に向けた方針を説明に上がりました。

 私、世耕(せこう)大臣の命を受けて、山口知事に政府としての考え方の説明するようにということでお邪魔した次第でございます。
 今日は、世耕大臣名で、山口知事あての文書をお持ちしましたので、これをまずお渡ししたいと思います。

 

 それでは今知事にお渡ししたもの、再稼働に向けた政府の方針についてというペーパーに基づきまして、政府の考え方について簡単に御説明を申し上げたいと思っております。

 原子力につきましてはですね、政府はやはり、安全最優先ということを基本原則として、規制委員会のほうで新規制基準に適合すると認めた原発についてのみ、かつ地元の御理解を得ながら、再稼働を進めていきたい、こういうことを基本的な方針として掲げております。

 国内的にいいますと、エネルギーミックスではですね、需給率の向上とか、コストの削減、あるいは温室効果ガスの削減という効果に着目した上で、安全性大原則としながら、原発依存度下げるけども、2030年には、20%~22%程度まで原発を活用したいと考えておりますし、また以下で書きました国際的に目を転ずれば、昨年パリ協定が発効しております。全ての国々が温室効果ガスの削減に向けて取り組んでいく中で、日本もこのパリ協定に基づいた対応が必要となっておりまして、CO2を出さない原子力発電所の重要性というのは、温室効果ガス削減という意味合いからも重要性が増しているというふうに考えてございます。
 こうした中で、九州電力の玄海原発、冒頭申し上げましたように、先日1月18日に、原子力規制委員会が新規制基準に適合するということの判断を出しました。我々としては、再稼働に求められる安全性の確保についての確認がなされたということですので、政府として、従来の方針に則って、玄海原発3号機、4号機の再稼働を進めていきたいと思っております。
 ただ一方で、福島第一原発の事故から今年はちょうど6年となります。
 複数の原発が再稼働しておりますけれども、一方で、地方の皆様、地域の住民の方々、やはり原子力に対する不安がある、声があることは十分承知しておりますし、我々もやっぱり原子力政策、直面している最大の課題はですね、原子力に対する社会信頼の回復にあるというふうに考えてございます。
 従いまして、実は昨年の3月、官房長官をヘッドとする原子力関係閣僚会議というものを開きました。知事会がですね、実は原子力防災についての充実についての御要請をいただき、当時の西川知事、それから泉田知事、この両名のお名前でいただいた知事会からの御要請に応えて、原子力災害対策充実に向けての政府の考え方と、一回レビューしてお答え申し上げたところであります。
 従いまして、我々はこうした新しい原子力災害対策の充実に向けた考え方に基づいて、特に玄海地域においての避難計画の充実、これは安全対策に終わりがないという姿勢で、これからも地元とよく対話をしながら充実をしていきたいというふうに考えてございます。

 玄海地域につきましては、昨年の12月9日の原子力防災会議、これは総理主宰でございますけれども、その避難計画、県庁が主導して作っていただくこの避難計画については、この会議で報告・了承されているところでありますけれども、これから、地方の方々、地域とも対話を続けながら、更なる充実に向けて取り組んで行きたいというふうに考えてございます。
 従いまして、規制庁の、委員会による安全審査の適合審査の確認を得て、防災計画もできていて、これからは、知事も含め地元の方々の対話を通じてですね、再稼働に向けた御理解を賜ればというふうに考えてございます。
 今日をきっかけとして、今後とも山口知事としっかり対話をしながら、再稼働についての御理解を得ていくように努力をしていく所存でございます。
世耕大臣からも知事との対話を続けていくと、そういう政府の意思をよく伝えながら、政府の方針を知事に伝えてほしいと言われておりますので、知事の御理解をいただきますようよろしくお願い申し上げたいと思います。
 私のほうからは以上でございます。

 

【山口知事】
 では、私の方から。
 先日、世耕経産大臣にお伝えさせていただいたことも含めまして、玄海原発3、4号機の再稼働に関しまして、本県の基本的な考え方について申し上げたいと思います。
 まず、玄海原発3、4号機の再稼働は、大きな問題でありまして、県民の間にも様々な意見がございます。だからこそ、私といたしましては、この問題に対しましては、真摯に、愚直に、真っ直ぐに取り組んでいきたいと考えています。
 そして、原子力発電に関する我々の考え方の基本は、何よりも県民の安全が大切であるということであります。
稼働している、稼働していないに関わらず、県として現に存在しているこの玄海原子力発電所と真摯に向き合いながら、国や事業者の動向を注視しながら、対処していかなければならないと考えています。

 こうした中で、国への要望や地域の声として、国に申し上げておきたいことについていくつか申し上げたいと思います。
まずは、国の責任についてでありますけれども、核燃料サイクルの推進、高レベル放射性廃棄物の最終処分地の選定、使用済燃料の貯蔵対策など、エネルギー政策につきましては、国が責任を持って取り組むべきものと考えております。その責任をしっかり果たしていただきたい。

 原子力規制の一層の充実、強化についてでありますが、原子力発電所の安全性につきましては、県民の関心も非常に高く、国においては、今後も引き続き、原子力規制の一層の充実、強化に取り組むとともに、事業者への指導監督を徹底していただきたい。
 廃止措置の安全確保についてでありますけれども、原子力発電所の廃炉措置についても、国が責任をもって安全確保に万全を期すとともに、事業者への指導監督を徹底していただきたいと思います。

 また、先般の原子力防災会議において、総理から「原子力災害が発生した場合、国民の生命、身体や財産を守ることは政府の重大な責務。責任をもって対処する」との発言がありました。緊急時対応の継続的な検証・改善についても、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
 こうした、申し上げた点についても、国として説明責任を果たしていただきたいと思っています。

 

 次に、再稼働に関しての様々な意見についてお話させていただきたいと思います。
例えば、経済界においては、電力の安定供給に向けて安全確保を前提とした玄海原子力発電所の再稼働をという意見がある一方で、例えば、私は市民団体の方々と直接何回かお会いさせていただいて御意見をいただいているところなんですけど、その中でも、玄海原発で重大事故が起きれば、私たちのふるさと佐賀そのものが失われてしまうために、「県民の命を何よりも優先し、玄海原子力発電所の再稼働を認めないで下さい」という要望が出されるなど、様々な意見や要望をいただいおります。
 また、市町の首長につきましては、今後、更に、GM21ミーティングという市町の首長との意見交換の場で聴いていきたいと思っていますけれども、昨年の10月17日に開催した会議について、出席した首長さんからは、例えば、
・住民の間には、原発再稼働に関する不安の声がある。国や九電には安全面について十分な説明をお願いしたい。
・今後のエネルギー政策をどうしていくのか、廃炉をどうするのか、核のゴミはどうするのか、皆が安心できる将来展望を示し、国が責任をもって取り組んでもらいたい。
などといった御意見もいただいたところであります。
 そして、県は今「玄海原子力発電所の再稼働に関して広く意見を聴く委員会」というものを設置しております。本格的には今後更に意見を聴いていくことにしておりますけれども、第1回会議においても、委員の皆さんからは、例えば、
・使用済み核燃料の問題は非常に大事な問題で、将来的にどうなるのか具体的な資料を出していただきたい。
・原発が停止し、最初の頃はすごく危機感があったが、今はもう普通に電気を使っている。現実として何の不足もなくという感じもするがどうなのか。
などといった御意見もいただいております。
 そして県議会においても、電力の安定供給は、県民の安定した生活や経済活動においては欠かせないものであるので、現時点では安全性の確保を大前提とした上で原子力発電所を引き続き活用していくべきだ、といった意見がある一方で、
・原子力災害時の国の責任の明確化が必要ではないか。
・最終処分場問題に一定の目途がつくまで、原発は再稼働すべきでない。
・原発は安くつくと言われてきたが、福島事故の教訓からも事故対策費に莫大なお金を必要としてきた。更に廃炉費用や使用済み核燃料の管理処分費などを考えると、決して安くない。必要性や経済性からも考えるべき。
・夏や冬の電力需要がピークのときでも、原発を稼働しなくても電気は足りている。
などといった、再稼働に否定的な御意見もいただいているところであります。
 このように様々な御意見があります。
 国からの立地自治体等関係者や住民への説明は、こういった様々な意見に対して丁寧にやっていただきたいと考えています。

 

 続きまして、電力事業者に関しての話ですけど、私は、東海村の原子力事故のときに、収束するまで現場で活動していました。そうした経験からも、就任当初から九州電力に対しまして、3つお話させていただいております。
1つ目は、信頼関係を築くためにも、嘘はつかず正確な情報を県としっかり共有すること。「嘘をつかない」
2つ目として、現場が事実と本当の意見を言える風通しのよい組織にすること。得てして現場の本当の情報が上の方に上がってこないところがあるので、そもそも風通しのよいように、リスクが起きたようにすぐ情報が伝わるような組織であるべきこと。
3つ目として、自然災害のみならず事故や事件、あらゆる事態に幅広く対応できる危機管理体制を実際に構築することというこの3つを申し上げて、これは再三その後も強く申し上げているところでありますので、ぜひ国にもこの思いを共有していただいて上で、事業者としての説明責任をしっかりと果たすように国からもお話していただきたいと思っています。

 

 続きまして、立地地域の問題についてですが、原子力発電への依存度を低減していくという国のエネルギー政策によって、玄海原子力発電所においても、1号機については平成27年4月に運転を終了しております。
 国においては、こういった立地地域の1号機の廃炉のようなところについても、継続的にしっかり対応していただけるように、撤去完了までを見据えた対策を図っていただきたいと思っています。
 また立地自治体が、新産業の創出、企業誘致等にも継続的に取り組めるように必要な施策を講じていただきたいというふうに思っています。

我々は原子力発電への依存度は可能な限り低減していくべきだと考えておりまして、そのためにも再生可能エネルギーの導入などを積極的に推進していくことが必要と考えております。

 

 佐賀県はこれまでも、太陽光発電、海洋エネルギー、小水力発電、更には、再生可能エネルギー由来の電力の貯蔵手段として期待される水素エネルギーの導入促進など様々な取組を行っているところであります。
 なかなか系統の問題、コストの問題もあって、再生可能エネルギーの導入は十分に進んでいるとはいえない状況にはございます。
再生可能エネルギー分野への事業者の参入促進を容易にするためにも、様々な技術開発、インフラ整備への支援などが必要と考えておりますので、国は、原発依存度は減らしていくとする中で、再生可能エネルギー導入をどのように進めていくのか、その見通しを具体的に示しながら、今後、全力で取り組んでいただきたいと思います。

 

 それから、政府責任者について述べさせていただきたいと思いますけれども、国のエネルギー政策の責任者であります経済産業大臣、そして原子力災害時の対応の責任者であります内閣府の防災担当大臣には御来県いただきたいなと思います。そして発電所、そしてオフサイトセンターなど、現地の状況を直接御確認いただきたいなというふうに思っています。

 

 今後、説明活動を具体的にどのように進めていくかなどについては、今後、副知事と調整していただきたいと考えておりますけれども、その際に、いわゆる地元の範囲については国が責任を持って明確に示していただきたいと考えています。
 そして、これは世耕大臣とも合意をしたところでありますけれども、その進め方については、県からの要請に対しては真摯に対応していただきたいと思いますし、隣接する福岡、長崎県に対しても、丁寧に対応していただきたいと考えています。いかがでしょうか。

 

【日下部資源エネルギー庁長官】
 どうもありがとうございます。
 地域の住民の方々に直接接しておられる知事のほうから、現場の声を具体的に御紹介していただきました。それを踏まえた知事からの今の御意見。国の平時及び緊急時の責任の在り様。それから、原子力事業者、九州電力に対する指導。
 更には廃炉措置に対するその後の地域対策の在り方。
 更に原発依存度低減する中での新しいエネルギーの開発の在り様。
 そうしたことを全部踏まえた上での地域の方々、佐賀県のみならず、周辺の福岡県、長崎県との対話の在り方。様々な御提起をいただきました。
 また世耕大臣、それから原子力防災担当大臣の、現場に来て、その上で対応してほしいという御用命についても、しっかりと受け止めさせていただきたいと思います。
 私、本日戻りまして、世耕大臣に知事からの御要請については責任を持って伝えさせていただきますし、知事から御提案がありましたように、これから地域の方々との説明会も含めた対話の在り方、具体化したいと思います。副知事と我々の資源エネルギー庁部局、内閣府防災、全省関係しますので、我々の方に組織をして、副知事と具体的なお話し合いを開始をさせていただきたいと思います。
 知事からの御要請しっかりと受け止めますので、これからもよろしく、対話、コミュニケーションに努めたいと思いますので、御協力の程よろしく申し上げたいと思います。

 

【山口知事】
 重ねて申し上げさせていただきますけれども、あくまでも県民の安全が大切だということ。
 それから国の責任ですね、県もしっかりやりますけれども、本来、しっかり定められている国の責任をやっていただくということが大事だと思っています。
 それから、山口県政はプロセスを大事に、一つひとつ丁寧にやっていくということが我々の大事なところなので、そこをぜひしっかりわかっていただきたいなというふうに思います。
 これから、縷々申し上げることもあるかと思いますけれども、国におかれては、地元の意見には真摯に向き合っていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 

【日下部資源エネルギー庁長官】
 わかりました。
 今、知事の最後の言葉について、重く受け止めてやらせていただきたいと思います。ありがとうございます。

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